急がば回れ!物件購入前に必ずしておくべき、一番大切なこととは?
最初に、不動産運用における各業者の関わり方と、全般的な仕組みの流れを掴んでおきましょう。
仕入会社とは…
土地や物件を仕入れ、不動産業者へ卸すことを主な業務としています。自社で一般消費者へ販売している会社もあります。
販売会社とは…
仕入会社から購入した物件を一般消費者へ販売することを主な業務としています。販売物件の賃貸管理を行っている会社もあります。
購入者とは…
一般消費者であり、物件オーナー、ひいては投資家のことです。何かしらのきっかけで、販売会社から紹介を受けた物件を購入します。
このように不動産の流通は物件の仕入れに始まり、販売会社を通じて購入者のもとに渡ります。
では次に、不動産購入後に関わる各業者について見ていきましょう。
賃貸管理会社とは…
物件の入退去の際の諸手続き・家賃集金の代行業務など、賃貸に関する業務を一括して請け負う会社です。
管理会社とは…
物件の維持・管理・修繕を取り行う会社です。
客付会社とは…
ここでは主に入居者を見つける賃貸専門の会社とします。
ご覧の通り、不動産投資は非常にシンプルな仕組みで成り立っています。想像してみてください。この流れの「購入者」にご自身が入り、晴れて不動産オーナーとして運用がスタートすることを。
購入した物件は、賃貸管理会社や管理会社によってしっかりと管理され、客付会社によって入居者も見つかり、毎月安定した家賃収入が手元に入ってくる…滞りなくいけば、どこにも問題は見当たらないように見えますが、ここでいくつか質問させてください。
その物件の購入を決めた理由は何ですか?
その販売会社から購入した理由は何ですか?
その販売価格は適正でしたか?
私自身10年以上に及ぶ年月を不動産業界ひと筋で過ごしてきましたが、このようにお聞きして即答できる方は極めて少ないと思います。もし明確かつ的確に答えられるとしたら、その物件をあなたに販売した担当営業マンは、実に信頼に値する人物であり、販売会社は、真に価値ある物件を適正に販売している業者であると判断することができるでしょう。
ここでいう明確さや的確さとは、全く見知らぬ人に説明しても、「なるほど、それなら購入しますよね」と納得できるだけのエビデンスや確固たる裏付けがある場合を指しています。
「なんとなくお得な物件だと思ったから」、「立地など条件面も良いし、学生に人気が出そうな気がした」という感情や想いが先行したあいまいな答えしか思い浮かばないとしたら…
物件を購入するという最初の時点で、知らず知らずのうちに“落とし穴”にはまってしまっている可能性があります。
ここでいう落とし穴とは、「適正さ」と「信頼性」に欠けた、業者の巧妙なトークやあざとい手法にかかってしまうことを意味しています。
仮に即答できたとしても、「よくよく考えてみたら、すべて担当営業マンからの受け売りだった…」というケースは往々にしてよくあることです。
その販売価格、その家賃。本当は相場よりずっと高いかもしれません。それらを理解し、承知したうえで購入される方もいらっしゃるかと思いますが、
その理由はなぜですか?
それは正当な理由ですか?
もし答えられないとしたら、短期的にはうまくいったとしても、長い目でみればいずれどこかでつまづくことになる可能性が大きいです。なぜなら自分でもよく把握できていないものをなんとなく運用して、対価を得続けられるほど、世の中そんなに甘くはないからです。
上記の質問事項はほんの一例であって、すべてではありません。資産運用のために不動産を所有するのであれば、もっと注意しなくてならないことは山ほどあります。
意欲満々で、1日でも早く資産運用を始動させたいー不動産投資に挑む方たちの熱意は素晴らしいものです。しかし“急がば回れ”なのです。
不動産運用は非常に大きな金額が動く巨大な買い物。その分所有してしまえば一気に巨額の資産を得ることになり、自分が何もしなくても長期的に安定した収入を得ることができますが、それが可能になるのは先に述べたような落とし穴となり得るポイントをよく知り、正しいステップを踏んだ場合だけです。
脅かすつもりはありませんが、「無知は罪」という言葉があるように「そんな大事なことを知らないまま、買ってしまった…」では済まされない現実があります。運用商品である不動産についても、そこから起きる成功も失敗も、全てが自己責任。金額の大きさゆえ、一度落とし穴に落ちてしまうと、そこから這い上がることは容易ではありません。結果、お金も時間も余計にかかることになってしまいます。
不動産投資をスタートする前に必ずしていただきたいこと、それはお伝えしてきたように、まず物件を購入する前の段階で、先の3つの質問をご自身に問いかけることです。
その物件の購入を決めた理由は何ですか?
その販売会社から購入した理由は何ですか?
その販売価格は適正でしたか?
これらに対する答えが自分の中できちんと整理できてこそ、本当の意味で安定した資産運用をスタートし、継続していくことができるのです。