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【2023最新】所得税が来年4万円減税予定!期待される効果や4つの問題点を解説

所得税, 減税, 問題点

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2023年10月24日、政府は取りすぎた税金を国民に還元するため、物価高の負担を緩和するための一時的な措置として「1人当たり4万円の所得税・住民税の定額減税を行うとともに、住民税の非課税世帯には7万円を給付する」案を提示しました。

参考NHK

同月20日頃から浮上していた「期限付きの所得減税」ですが、徐々に具体案が出てきている状況です。そこで今回は2023年10月26日時点で判明している「所得税1人あたり4万円減税」に関する情報を詳しくまとめました。今回の減税の問題点や、国民の反応などもまとめています。ニュースを見て減税の内容が気になっている人はぜひお読みください。

所得税1人あたり4万円減税を政府が検討!概要まとめ

さっそく、今回の「所得税1人あたり4万円減税」の概要について詳しく見ていきましょう。

納税者4万円 + 扶養の人数 ✕ 3万円が減税される見込み

今回の減税案では納税者(住民税を払っている人)1人につき4万円、扶養(住民税を払っていない人)の人数 ✕ 3万円が減税される見込みとなっています。

たとえば1人暮らしの会社員世帯では4万円の減税。会社員1人・専業主婦1人・子ども2人の4人世帯の場合は、4万円 + 3万円 ✕ 3 = 13万円が減税されます。両親ともに住民税を支払う会社員・子ども2人の4人世帯の場合は、4万円 ✕ 2 + 3万円 ✕ 2 = 14万円です。

当初は「所得制限は設けない」と政府は打ち出していましたが、10月25日夕方、自民党の宮沢洋一税調会長の発言によれば「年収2,000万円以上を対象外にする案が出ている」と一変。実際には高所得者のみ減税の恩恵を受けられない形となりそうです。

参考朝日新聞デジタル

期間はおそらく2023年の1年間のみ

減税の期間については、2023年の1年間のみとみられています。自民の宮沢洋一税調会長が期間について「1年が常識的だろう」との認識を示していたためです。来年6月から会社員など、給与所得から所得税・住民税を天引きされている人は恩恵を受けられる形となるでしょう。

参考日本経済新聞

なお個人事業主やフリーランスについては所得税・住民税を天引きされているわけではないので、明言されてはいませんが2023年度の確定申告(2024年に申告する分)のタイミングで恩恵を受けられる説が有力です。

住民税非課税世帯には7万円・低所得世帯には10万円の給付金も検討

今回の減税とあわせて、下記2つの「給付案」も浮上しています。

  • 住民税非課税世帯に1世帯あたり7万円の給付
  • 低所得世帯に1世帯当たり10万円の給付

「住民税非課税世帯」には前年の合計所得金額が自治体ごとの基準より少ない方や、年金生活者で年金額が一定以下の方が該当します。実態としては、約1,500万世帯のうち実に72.5%が65歳以上の高齢者世帯です。ちなみに住民税非課税世帯にはこの春一律3万円を給付しているため、計10万円が給付されることになります。

参考厚生労働省「国民生活基礎調査」

「低所得世帯」については「所得税は支払っていないけど、住民税は支払っている」層が該当するとのこと。たとえば東京都武蔵野市の場合は、合計所得金額45万円 ~ 48万円の範囲内の人が該当します。非常に対象は限られますが、減税・非課税世帯への給付の恩恵をどちらも受けられない人に対する支援策といえるでしょう。

所得税の4万円減税は本当に効果ある?

気になるのが「今回の所得税4万円減税に、本当に経済効果があるのか」という点。そこで期待できる効果や見通しについてまとめました。

単年度分の家計支出負担増はカバーできる可能性がある

単年度分に限っていえば、家計支出の負担増は今回の減税でカバーできる可能性があります。みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社の調査によれば、2人以上世帯の家計支出は2021年 → 2022年では107,625円、2022年 → 2023年では87,652円ほど増えました。

参考みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社「賃上げでも24年度まで実質賃金マイナス継続」

まだ正確な見通しは立っていませんが、おそらく2023年 → 2024年も8万円前後の家計支出負担が増える結果になるとみられています。それに対し減税額は2人世帯で70,000円、3人世帯なら100,000円です(※片働きの子育て世帯を想定)。家計支出の負担増はほとんどカバーできる金額といえるため、国民の消費活動の加速・回復にはある程度の効果が期待できるかもしれません。

余計な事務コストは給付よりも低い可能性が高い

減税は既存の税金徴収スキームにひと手間加えるだけで済むため、非常に煩雑な手続きを要する給付と比較して余計な事務コストがかかりません。しっかりと国民に「還元」される金額の割合は、給付よりも大きくなっている可能性が高いです。

ただし今回の減税案は、住民税非課税世帯や低所得世帯への給付をともないます。実質的なコスト感は、現時点ではまだ不透明な部分が多いでしょう。

2025年度以降の家計へのダメージが懸念される

2024年の所得税が減額されれば、国民の生活は多少なりとも楽になる可能性があります。しかし問題は2025年以降の家計へのダメージです。先ほど「単年度分の家計支出負担増はカバーできる可能性がある」で解説したように、国民の家計支出負担はここ数年増え続けています。そのため2023年 ~ 2024年の2年間で上昇した物価が、2025年以降の国民の生活に重くのしかかるのは間違いありません。

さらに問題なのが、国民の負担を加速させるのが物価の上昇だけではない点。2024年以降、下記のような増税・負担増が計画されています。

  • 2024年:森林環境税の徴収開始(1,000円/年)
  • 2025年:防衛増税(金額未定)
  • 時期未定:少子化対策の財源確保のための社会保険料上乗せ(500円/月)

さまざまな増税・負担増の影響で、むしろ国民の消費を大きく落ち込ませるリスクがあると考えられます。なおこれ以外の「ステルス増税」の計画については、下記記事で詳しくまとめているのでぜひ参考にしてください。

参考【2023年最新】岸田政権が計画する13のステルス増税!ターゲットはサラリーマンと高齢者?

所得税の4万円減税における4つの問題点

今回の所得税の4万円減税には、下記4つの問題点があると考えられます。

  • 1回限りではやっていることが給付とほぼ変わらない
  • 非課税世帯への給付額のほうが大きい
  • 選挙を狙ったバラマキ減税に見える
  • 先に所得税の限界税率を見直すべき

それぞれ詳しく見ていきましょう。

問題点①:1回限りではやっていることが給付とほぼ変わらない

最大の問題は、たった1回の減税ではやっていることが給付とほぼ変わらない点です。減税には所得税に関する法改正が必要なため、「それなら給付で良いのでは」という声も上がっています。また給付と同様、減税は一時的に国民の消費活動を上向かせる効果には期待できますが、根本的な物価高対策にはなり得ないでしょう。

さらに今回の減税は所得税・住民税が減額されるという仕組み上、一時的に「手取りが急に増えた」ような感覚になるのは間違いありません。つまり減税が終わった後に「手取りが大幅に減った」と感じ、消費支出意欲の減退による経済停滞が発生するのは、誰が見ても明らかです。

問題点②:非課税世帯・低所得世帯への給付額のほうが大きい

2つ目の問題点は、今回の減税額よりも非課税世帯・低所得世帯への給付額のほうが大きい点です。減税は「4万円」給付は「10万円」となっており、「真面目に働いている方が損をする」と捉えられても仕方がない政策といえます。

ただし多くの人が勘違いしていますが、片働きの3人世帯(両親と子供)でも減税額は10万円です。子どもが多い場合はより大きな減税の恩恵を受けられます。最初に打ち出された「4万円減税」のイメージが先行している状況ですが、家族が多い場合は非課税世帯・低所得世帯の給付額よりも減税額が上回るので押さえておきましょう。

問題点③:選挙を狙ったバラマキ減税に見える

複数の閣僚関係者によれば「岸田総理はおそらく年内に解散総選挙を行う」といわれており、今回の減税案は「明らかに選挙を狙ったバラマキ減税だ」と指摘されています。非課税世帯への手厚い支援を行えば、高齢者の票田を獲得でき圧倒的に選挙が有利になるためです。これについては立憲民主党の泉代表をはじめ、多くの野党からも声が上がっています。

参考読売新聞オンライン

そもそも今回の減税案は給付でもよい1回限りの内容にもかかわらず「減税だ!」と銘打っているため、「減税しろといわれたから、やった感を出しているのだろう」と思われても仕方がありません。自民党関係者によれば、その割に岸田首相は「俺は減税までしてやったのに」と愚痴をこぼしているとのこと。明らかにタイミングが悪く選挙対策の思惑も透けて見える中、国民の怒りを逆撫でしてしまっている状況です。

参考週刊FLASH

問題点④:先に所得税の限界税率を見直すべき

所得税の一時的な減税よりも、まずは所得税の「限界税率」の区分見直しを図るべきです。所得税の限界税率とは、所得金額に応じた課税割合のこと。日本はインフレ傾向にあるにもかかわらず、この限界税率は1995年ころからほとんど変動していません

参考国税庁「所得税の税率」

「物価上昇」に乗じた「賃上げ」をするならば、税率もそれに対応した形にしなければ国民は余計な税金を取られることになってしまいます。限界税率の区分見直しは一筋縄ではいきませんが、今は短期的な減税よりも将来につながる税制改正が必要でしょう。

所得税4万円減税に対する国民の反応まとめ

今回の「所得税4万円減税案」に対する国民の反応をまとめました。

なぜ所得税を払っていない層に還元するのか

非課税世帯・・・所得税減税のはずなのに、非課税世帯(税金払ってないってこと??)に7万円払うって、「所得税減税」とはいわないわよね?
払ってないのに減らせないでしょ。

引用X(旧Twitter)

今回、政府は「非課税世帯への給付」も含め、所得税の減税として政策を打ち出しています。「所得税の減税なのに、所得税を取られていない非課税世帯に還元する」のはつじつまが合いません。

事実1 ~ 2人世帯の場合は、減税の金額より非課税世帯・低所得世帯への給付金額の方が大きくなります。しっかりと所得税を収めている人に還元するべき、と考える人が現れるのは不自然ではないでしょう。

非課税世帯にも恩恵がある消費税を減税すべき

収入の少ない人は所得税を払わないから彼らにとっては所得税の減税が無意味だ。ただ彼らは欠かせないものを買うと消費税を払う。その消費税の分は少なくない。その消費税の分の減税だけ意味がある。

参考X(旧Twitter)

消費税を減税すれば、可処分所得に応じて平等に国民の負担を減らせます。大きく稼いでいる人には大きな負担減が見込めるため、「還元策」としては非常に有効です。非課税世帯・低所得世帯も普段の買い物でしっかりと恩恵を受けられるでしょう。

子育て世代に恩恵のある年少扶養控除を復活させるべき

そんなよく分からん減税だの給付金だのより、なんで年少扶養控除せんの?
税金取りすぎたなら年少扶養控除の分をまず返せよ。

参考X(旧Twitter)

2010年の税制改正により廃止された「年少扶養控除」の復活を求める声が、今回の減税案をきっかけに増えています。年少扶養控除が廃止された主な理由は「財源不足」であったため、手厚い子育て支援策が求められる中でこのような声が上がるのもおかしくありません。物価ばかりが上がる中、余剰の財源を子育て支援に回さなければ子どもをもつ世帯はより減っていくでしょう。

検討するだけで実行しないのでは

出た!
また検討するだけでしょ?

参考X(旧Twitter)

これまで何度も「検討使」と揶揄されてきた岸田首相。今回も「検討するだけでやらないのだろう」という声が上がっています。

とはいえ今回は「選挙を目的としたバラマキ減税」なのは明らか。このまま秋の補正予算案を可決させ、早急に減税・給付に進む見立てが有力です。

まとめ

今回の減税案では納税者1人につき4万円、扶養の人数 ✕ 3万円が減税される見込みです。期間はおそらく2023年の1年間のみ。増え続ける家計支出を一時的にカバーし、消費活動を加速・回復させる効果が期待できます。

しかし今回の減税は「1回限りでは給付と同じ」「明らかに選挙を狙ったバラマキ」という問題点も指摘されています。非課税世帯・低所得世帯への給付額よりも、まっとうに所得税を納税している1 ~ 2人世帯の減税額が少ないのも問題でしょう。

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この記事の執筆: 及川颯

プロフィール:不動産・副業・IT・買取など、幅広いジャンルを得意とする専業Webライター。大谷翔平と同じ岩手県奥州市出身。累計900本以上の執筆実績を誇り、大手クラウドソーシングサイトでは契約金額で個人ライターTOPを記録するなど、著しい活躍を見せる大人気ライター。元IT企業の営業マンという経歴から来るユーザー目線の執筆力と、綿密なリサーチ力に定評がある。保有資格はMOS Specialist、ビジネス英語検定など。

ブログ等:はやてのブログ

この記事の監修: 不動産投資コンサルタント 釜田晃利

老舗不動産投資会社にて投資用区分マンションの営業マンとして約10年間従事したのち、2015年にストレイトライド株式会社にて不動産事業をスタートしました。現在は取締役として会社経営に携わりながら、コンサルタントとしてもお客様へ最適な投資プランの提案をしています。過去の経験と実績をもとに、お客様としっかりと向き合い、ご希望以上の提案が出来るよう心がけています。

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