【2024年最新版】不動産投資の利回りとは?計算方法や相場を完全解説
- 更新:
- 2024/10/08
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昨今、老後の備えや、万が一の際に家族に残すため、不動産投資を始めてみたいという人が増加中です。この社会情勢で不動産投資に成功するポイントは、良い物件を見つけて上手に経営すること。その前に必ず知っておきたいのは、利回りに関する正しい知識や目安感です。
本記事では、まず利回りの基本的な知識について解説します。次に、利回りの目安や期待利回りについて解説。最後に、低利回りでも検討したい物件や高利回りでも避けたい物件の特徴を紹介します。本記事を読むことで、不動産投資における利回りや、利回りを基準とした物件の選定方法が理解できるでしょう。
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- 不動産投資における3種類の利回りとその計算方法
- 不動産投資の利回りシミュレーション
- 投資用不動産の種類別平均利回りの目安と相場
- 利回りが低めでも購入を検討したい物件3選
- 利回りが高くても注意したい物件8選
- まとめ
不動産投資における3種類の利回りとその計算方法
不動産投資での「利回り」とは、投資額に対する収益の割合です。利回りは「表面利回り」「想定利回り」「実質利回り」の3種類。投資額に経費を含めるかどうかで分けられます。
表面利回りや想定利回りの高さだけで投資物件を選ぶのは失敗のもと。まずはそれぞれの意味や違いを理解しましょう。
1.表面利回り(グロス利回り)
表面利回りは、管理費や税金など、不動産投資にかかる経費を含めずに計算した利回りです。グロス利回りとも言います。計算方法はもっとも単純。年間の家賃収入を物件の購入価格で割り、100をかけます。
- 表面利回り(%)= 年間家賃収入 ÷ 物件購入価格 ✕ 100
例)年間家賃収入が100万円となる2,000万円の区分マンションを購入した場合
- 100万円 ÷ 2,000万円 ✕ 100 = 5%
⇒ 表面利回り5%
不動産会社の広告に掲載されている利回りは、この表面利回りか後述する想定利回りのいずれかです。理由は、以下の2点。
- 経費を考慮しない分、実質的な利回りよりも高くなること
- 計算がシンプルで説明しやすいこと
言い換えると、購入後の利回り(= 実質利回り)は広告に掲載された利回りを下回ります。不動産投資物件を購入する際、この点は必ず頭に入れておきましょう。
2.想定利回り
現在空室の物件や、売主が住んでいて賃貸に出していない物件の場合、家賃収入は相場家賃から想定します。想定した家賃収入をもとに計算した利回りが、想定利回りです。
表面利回りは実際の家賃収入で計算するのに対し、実質利回りは年間家賃収入の想定額を使って計算されます。
- 想定利回り(%)= 年間で想定される家賃収入 ÷ 物件購入価格 ✕ 100
想定利回りは、不動産会社の物件広告にのみ記載。広告に「想定(利回り)」と書かれている場合は、「現在は空室」で「現状の募集家賃で居住者がついた場合」の利回りです。想定利回りは、利回りを高く見せるために実際の相場よりも高い家賃で計算されていることがあります。その点にも注意しましょう。
3.実質利回り
実質利回りは、諸経費を含めて計算した利回りです。年間の家賃収入から管理費・保険料・税金などの経費を引いた実質的な家賃収入を、物件価格と諸経費を合算した購入費用総額で割って算出します。
- 実質利回り(%)=
(年間家賃収入 - 諸経費)÷ (物件価格 + 諸費用)✕ 100
例)家賃収入 = 70万円、管理費 = 10万円、物件価格 = 1,000万円、購入に際しての諸費用 = 50万円だった場合
- (70万円 - 10万円)÷(1,000万円 + 50万円)= 5.7%
⇒ 実質利回り5.7%
実質利回りは、3種類の中で最も正確に不動産投資の収益性を表します。実際にかかる費用は物件によって大きく変動。表面利回りや想定利回りが同じでも、実質利回りで計算してみると利回りに大きく差が出ることもよくあるケースです。「思っていたよりも利益が少ない」と購入後に後悔しないよう、事前に必ず実質利回りの計算をしておきましょう。
不動産投資の利回りシミュレーション
ここからは「年間家賃収入が100万円となる2,000万円の区分マンションを購入した場合」の例を使って、利回りの値を比較します。
年間家賃収入が100万円となる2,000万円の区分マンションを購入した場合、表面利回りは100万円 ÷ 2,000万円 ✕ 100 = 5%となります。この区分マンションが現在空室で、家賃収入の見込みが年間120万円だった場合の想定利回りは、120万円 ÷ 2,000万円 = 6% です。
この例を実質利回りで考えてみましょう。年間家賃収入が100万円、管理費が15万円かかったとします。区分マンションの購入価格は2,000万円で、購入時の諸経費は100万円。これを実質利回りの計算式に当てはめると(100万円 - 15万円)÷ (2,000万円 + 100万円)✕ 100 = 約4%※となります。
※パーセントの小数第1位以下四捨五入
計算方法 | 利回り |
---|---|
表面利回り | 5% |
想定利回り | 6% |
実質利回り | 約4% |
このように、利回りの計算方法により、同じ物件でも利回りが変わることがお分かりいただけたのではないでしょうか。不動産投資においては、表面利回りや想定利回りだけでなく、必ず実質利回りも計算することが大切です。
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投資用不動産の種類別平均利回りの目安と相場
ここからは、投資用不動産の種類別に、利回りの目安や相場観を紹介します。不動産投資で多い、都心部の区分マンションと一棟アパートの場合を例にとり、それぞれ解説します。
①区分マンション
最初に、区分マンション全体における利回りの相場について解説します。
区分マンション全体での相場は、その立地条件や物件スペック等によって大きく変わります。都心部の区分マンションの場合、築20年くらいまでは表面利回り4% ~ 5%前後、築20年 〜 35年であれば5% 〜 8%であれば、購入を検討する価値のある物件と言えるでしょう。
築年数 | 建築年 | 表面利回り |
---|---|---|
築20年くらいまで | 2000年まで | 4 ~ 5% |
築20年 〜 35年 | 1985年 ~ 2000年まで | 5 ~ 8% |
中には、購入の判断基準を自分で決めている投資家もいます。例えば以下のような基準です。
- 築年数15年以内、実質利回り4%以上
- 固定資産税・都市計画税も考慮して実質利回り3%以上
- 固定資産税・都市計画税、購入諸費用も考慮して実質利回り3.5%以上
- 実質利回り4%以上
投資家たちは、基本的に実質利回りを基準としています。実質利回りは、諸経費だけでなく税金も考慮に入れる必要があるため、不動産投資初心者が基準とするにはやや難しい計算方法です。本記事では初心者の方にもわかりやすく理解してもらうため、表面利回りを使って解説します。
ワンルームマンション
区分マンションの中でも、ワンルームマンションは金額が比較的コンパクトであることから、人気が高い投資対象です。ワンルームマンションも、築20年くらいまでは表面利回り4% ~ 5%前後、築20年 〜 35年の場合5% 〜 8%であれば、購入を検討する価値のある物件と言えるでしょう。
都心部におけるワンルームマンションの平均利回り
築年別 | 平均利回り | ポイント |
---|---|---|
新築 | 3%後半 ~ 4%前後 | 利回りは低いが空室リスクも低い |
中古(築20年くらいまで) | 4% ~ 5%半ば | 利回り・リスクともに先々注意が必要 |
中古(築20年 ~ 築35年) | 5%半ば ~ 10% | 利回りは高いが空室リスクも高い |
古い物件ほど購入価格が低くなるので、表面利回りは高くなります。反面、築年数に比例して管理費や修繕費が高くなるため、実質的な収入も減少。築年数が上がることで空室リスクも高くなるため利回りのみでの比較は難しいですが、上記数値を目安にするといいでしょう。
一方で、都心部以外の投資用マンションにおいては、利回りの平均を考える意味があまりありません。空室のリスクが都心部よりも大きいので、満室を前提とした利回りが参考にならないためです。
都心部以外は都心よりも物件価格が安いので、都心部よりも利回りが高くなります。 横浜や川崎などの大規模な駅は、東京23区の都心部よりも物件価格が若干低いため、都心部の利回りにプラス1%するくらいの感覚でいるといいでしょう。
新築物件の利回りが低いのは、購入価格が割高になっているからです。購入価格は利回りに直接影響を与えることから、当社では、新築ではなく中古マンションの投資をおすすめしています。興味のある方は以下の記事を参考にしてください。
参考「不動産投資なら新築」はホント!?中古マンションとの違いを解説!
②一棟アパート・戸建て
次に、木造一棟アパートの平均利回りについて解説します。都心部における木造一棟アパートの平均利回りは以下のとおり。
新築 | 5% ~ 6%前後 |
---|---|
中古 | 6% ~ 8% |
木造一棟アパートは、中古で利回りが8%あれば十分高いと考えて差し支えありません。鉄筋コンクリート(RC)の一棟アパートは地方が多く、総じて7% 〜 8%程度。しかし、個人投資家の投資対象となってからまだ日が浅く、売却の事例はそれほど多くありません。
戸建ての場合は購入してそのまま運用するのではなく、リフォーム・リノベーションにより賃料を上げ、利回りを向上させる手法が増加中です。それなりの立地であれば、10%以上の利回りが確保できるでしょう。
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利回りが低めでも購入を検討したい物件3選
利回りは、あくまでも不動産の購入を検討する基準のひとつです。高いに越したことはないですが、利回りだけを判断基準に見ていると優良物件を見逃してしまうことがあります。
以下のような物件は、投資対象として価値が高くなる傾向があります。数値化されないポイントでもあるので、利回りや他の条件と合わせて総合的に検討しましょう。
①好立地かつ築年数が浅め
好立地で築年数が浅い物件は、比較的価値が高めです。
好立地の例は、港区の田町・白金・麻布・六本木や目黒区の目黒、中目黒など。これらの好立地でかつ駅から徒歩5分以内だと、不動産の価値が相場より高くなるでしょう。
上記立地条件で築年数が比較的浅いと、不動産の価値はさらに高くなります。
②売買価格が相場と同等もしくは相場より低い
好立地で築年数が浅めでありながら、売買価格が相場と同等かそれ以下である場合も、不動産の価値は上昇。通常高めの価格である築年数が浅い物件が相場価格と同等であることから、「お買い得」と考えられることが理由です。
③差別化できるポイントがある
他の物件にないポイントがあると、さらに価値が上昇します。他の物件にないことから差別化できるポイントは、上層階や角部屋などです。差別化できるポイントにより物件に付加価値がつき、不動産の価値がさらに高まることが考えられます。
築年数が経過した物件でも条件次第で資産価値は上がる
築年数が経過した物件でも、立地が良ければ、不動産の価値が上昇する場合もあります。リフォーム済み物件や設備に投資されている物件など、価値を感じられる物件も同様です。
利回りが高くても注意したい物件8選
「利回りが低くても購入したい物件があるなら、その反対もあるの?」と疑問に思った方もいらっしゃるでしょう。まさにそのとおりで、利回りが高いからと即購入せず、熟考した方がいい物件がいくつかあります。
利回りが高くても注意したい物件は、次の8つ。
- 借地権物件
- 旧耐震基準で建てられた物件
- 管理状態が良くない物件
- 管理費・修繕積立金が高すぎる物件
- 地方物件や駅から遠い物件
- 最終的に売却することをイメージできない物件
- 家賃が相場よりも高い物件
- 想定利回りは高いのに空室が続いている物件
それぞれについて、詳しく解説します。
①借地権物件
借地権とは、地代を払って他人の土地を借りることのできる権利です。建物は購入して所有できますが、土地は借りるだけになります。借地権物件は地主がいるため、毎月の土地代や土地賃貸借契約更新時の更新料が必要です。
借地権物件は売却する際に苦労します。理由は次の2点。
まず売却時には地主から譲渡承諾を得る必要があり、名義変更料(譲渡承諾料)がかかります。そして借地権物件は融資がつきづらいので、購入希望者は自己資金で購入しなければなりません。従って、売却価格を自己資金で購入できる程度にまで下げなければ購入者が見つからない場合があるため、売却時に苦労しがちです。
借地権物件を購入する3つのメリット
借地権物件には、不動産投資を行う上でのメリットもあります。
最初のメリットは、そもそもの販売価格が安く抑えられている点です。価格が抑えられることで利回りが上がる効果もあります。
2つ目のメリットは、固定資産税・不動産取得税が抑えられる点です。借地権物件では、土地の所有者は地主のまま。従って、建物の持ち主は土地の固定資産税や不動産取得税を支払う必要がありません。税金は収支に大きく影響を及ぼすため、土地に関係する税金を支払う必要がないのはかなりメリットになるでしょう。
3つ目のメリットは、減価償却を大きく取れる可能性がある点です。借地権物件の場合、借地権物件の場合、土地の価値は本来の60% 〜 80%程度。つまり、借地権物件だと販売価格の中で土地が占める割合が少なくなります。
土地には減価償却費がかかりません。従って、土地の割合が少なくなることで建物の割合が相対的に増加し、結果として減価償却費が大きくなるのです。
借地権物件は、しっかりとリスクを理解し対処することで、リスク以上のメリットを享受できる可能性もあります。リスク対策を十分に講じたうえで購入しましょう。
まとめ:借地権物件は土地代と更新料がかかり、売却に苦労する。一方で割安であり、税額を押さえて購入ができ、減価償却の対象も大きくできるメリットもある。
②旧耐震基準で建てられた物件
1981年6月に耐震基準の大幅な見直しが行われました。見直し以前の基準を「旧耐震基準」、見直し以降の基準を「新耐震基準」と呼びます。
旧耐震基準で建てられた物件は、売却時に融資がつかないかもしれません。ついたとしてもかなりの高金利となってしまうことから、購入者層が狭まるでしょう。
旧耐震基準の物件は1981年6月以前に建てられました。見た目は良さそうに見えても、耐震性・耐久性に不安が残ります。売却以前に入居者がつくかどうかも心配です。
とはいえ、旧耐震基準の建築であっても管理状況が良好な物件は多くあります。例えばライオンズマンションシリーズは、管理組合と管理会社がしっかりと機能。修繕積立金も計画的に貯蓄されていることから、今でも高い資産価値を有しています。
旧耐震基準の物件には、耐震補強工事によって新耐震物件と同等の耐震性能を保持するマンションもあります。耐震基準工事によって、安価でかつ十分な耐震性能がついた物件を買える可能性がある点も、頭に入れておくといいでしょう。
まとめ:旧耐震基準の物件は、売却時に融資がつかないか高金利となることや、耐震性や耐久性に不安が残るため注意が必要。しかし、管理状況が良好であったり耐震補強工事をしたりして、今でも高い資産価値を保つ物件も存在する。
③管理状態が良くない物件
管理状態が良くない物件は空室リスクに直結するので、選ばない方が無難です。管理状態の良し悪しは数値には反映されません。しかし、見るからに古い物件は管理状態が良くない確たる証拠。物件選びの際は、管理状態の良し悪しを見落とさないようにしましょう。
戸建てやアパートの場合は、古い物件を修繕した上で賃貸し売却益も出す投資戦略もあります。これは、区分マンションでは難しい戦略です。区分マンションの場合、建物の管理や修繕は、基本的に全て管理組合や管理会社が行い、オーナーが自分で修繕できないからです。
上記の理由から、やはり区分マンションに関しては、最初から管理状況の良い物件を見つけることが重要と言えるでしょう。
まとめ:区分マンションは管理状態の良い物件が重要
④管理費や修繕積立金が高すぎる物件
管理費と修繕積立金が高すぎる物件にも注意しましょう。一見高利回りに見えても、管理費や修繕積立金が高額で実質的な収益性が低いケースがあるからです。
管理費・修繕積立金の適正金額については、全体の総戸数や広さから判断します。例えば、総戸数20戸・部屋の広さ18㎡の場合、管理費・修繕積立金の合計で1万5千円程度。合計で2万円以上する場合は、明らかに高すぎと言えるでしょう。
とはいえ、あまりにも修繕積立金が少ない物件も考えものです。積立金が足りていない状況になると、いつかは積立金を値上げすることになります。そうなると、毎月の支払いが増えるだけでなく、売却がしづらくなるかもしれません。
特に新築の場合、当初の物件価格が割高なことから、管理費と修繕積立金が少なめに設定されているケースが多くあります。費用の値上げが計画的に行われていないと、10年 〜 20年に一度行われる大規模修繕工事が実施できません。そうなると、マンションの資産価値が大きく下落する恐れもあります。
このようなリスクを避けるには、管理費や修繕積立金のバランスが取れた物件を選ぶことが大切です。
まとめ:相場より管理費・修繕積立金が高過ぎたり安過ぎたりする物件は注意が必要
⑤地方物件や駅から遠い物件
地方の物件や駅から遠い物件は、物件価格が低くなるため表面利回りが高くなりますが、入居者が来てくれること(= 入居付け)に対する不安があります。入居者がいなければ、どんなに表面利回りが高くても収入はゼロとなるからです。
もちろん、その場所の賃貸ニーズが高いことを知っていれば話は別ですが、あまり多くないケースでしょう。従って、投資用マンションを購入する際には、賃貸ニーズの高い「都心、駅近」のほうが確実に入居付けができて安心です。
まとめ:投資用マンションを購入する際には、賃貸ニーズの高い「都心、駅近」から選定する
⑥最終的に売却することをイメージできない物件
不動産投資では、最終的に不動産をどう売却するかを「出口戦略」と呼びます。出口戦略が取りづらい = 最終的にどう売却できるかイメージできない物件は、あまりおすすめできません。
不動産は他の投資と比べて長期保有が原則です。それでも、投資である以上は出口を常に意識しておく必要があります。
不動産経営は常にうまくいくわけではありません。お金を生まない不動産は、税金がかかるだけの「負債」です。不動産を売りたくても売れない状況になってしまうと、負債を抱え続けることになってしまいます。
出口がイメージしにくい物件として「土地の利用価値がない物件」と「RC一棟アパート」が挙げられます。
土地の利用価値が見出せない
公道に接しておらず再建築ができない土地や細い路地の奥に建物がある旗竿地のように土地の利用価値が見出せない物件は、売却が非常に難しいです。
木造一棟アパートを例にして説明しましょう。木造一棟アパートの場合、老朽化してくると「古アパート付き土地」として売却するケースがあります。この土地が再建築不可の場合、アパートを取り壊すと二度と建物が立てられません。土地も公道に面していないことから、個人投資家はほぼ売買対象から外してしまいます。
旗竿地も、使い道が少ないことから買い手をみつけにくい土地のひとつです。
RC一棟アパート
RC一棟アパートとは、鉄筋コンクリートで建てられたアパートを指します。RC一棟アパートに関しては、事例が少なく今後が読みづらいため、最終的な出口が見えづらい状況です。
個人投資家にRC一棟アパートが浸透し始めてから、まだ数年。中には、すでに売り抜けた方もいらっしゃいますが、RC一棟アパートの扱いが今後どうなるかは全く読めません。
RC一棟アパートは通常、オーバーローンで購入されます。オーバーローンは、物件の時価よりも借入金残高が多い状態。従って、売却したときに、残債が売却価格を上回る可能性が高まります。
ここ数年でRC一棟物件が新たな投資カテゴリとして注目され、一気に広がりました。これにより、金融機関の融資条件も徐々に厳格化。買い手を見つけづらくなることや、買い手が見つからないことによりローンを支払えなくなることも懸念されます。
まとめ:出口を見据えられない物件は購入を避ける
⑦家賃が相場よりも高い物件
家賃が相場よりも高い物件にも、気をつけましょう。特に初心者の方は、表面利回りを優先するあまり、相場よりも高額な家賃の物件を選びがちです。しかし、家賃が相場よりも高い物件は、そのままの家賃では新規の入居者が決まらないケースもあります。
現在の入居者が支払っているのは、入居当時の物件価値から導き出された家賃です。特に新築物件では、周辺エリアよりも家賃が上昇します。例えば前の入居者が10年以上住んでから退去した場合、新築当時と同様の家賃では新規の入居希望者が来ない可能性があります。
表面利回りと実質利回りが双方いい物件であっても、一度退去者が出ると計算が成立しなくなる可能性がある点は押さえておきましょう。
サクラを雇って高い家賃で空室へ一時的に入居させることで、入居者のいる高利回りの物件として売り出すケースもあります。こうした物件を契約してしまうと、契約後まもなくサクラが退去し、その後の入居付けが困難です。利回りと空室率のみでなく、物件を扱う不動産会社が信頼できるかもチェック項目に入れるようにしましょう。
まとめ:家賃が相場より高い物件は、一度退去者が出ると新規の入居者が入りづらくなる
⑧想定利回りが高いのに空室が続く物件
不動産投資において経費が0円になることはあり得ないため、実質利回りは表面利回りから確実に低下します。
一方で、想定利回りを「満室時の年間収入 ÷ 物件購入価格 ✕ 100」として計算している場合、空室率を考慮していないことから表面利回りとも差が発生。つまり、「想定利回り > 表面利回り > 実質利回り」です。この計算によって想定利回りを算出した場合、想定利回りと実質利回りに大きな差が生じることになります。
想定利回りが良好でも空室が続いている場合は、実際の収益が想定利回りから乖離している可能性があります。物件を購入するときは、想定利回りだけでなく、その物件が入居者の需要を満たす立地・設備・管理状況を備えているかも合わせてチェックしましょう。
まとめ:想定利回りが高くても、空室続きの物件は実質利回りが下がるリスクが高い
まとめ
不動産投資において、利回りを考えるには実に多くの要素を並行して考える必要があります。表示されている表面利回りだけを追求してしまうと、落とし穴にはまってしまうケースも少なくありません。「利回りの計算が難しい」「本当にお得かわからない」など困ったことがあれば、不動産投資について完全網羅した以下の記事がおすすめです。
参考【初心者必見】不動産投資を始めるなら絶対に押さえておくべき基本事項や失敗事例を完全解説
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この記事の執筆: 堀乃けいか
プロフィール:法律・ビジネスジャンルを得意とする元教員ライター。現役作家noteの構成・原案の担当や、長野県木曽おんたけ観光局認定「#キソリポーター」として現地の魅力を発信するなど、その活躍は多岐に亘る。大学および大学院で法律や経営学を専攻した経験(経済学部経営法学科出身)から、根拠に基づいた正確性の高いライティングと、ユーザーのニーズに的確に応えるきめ細やかさを強みとしている。保有資格は日商簿記検定2級、日商ワープロ検定(日本語文書処理技能検定)1級、FP2級など。
ブログ等:堀乃けいか