不動産投資は理想の利回りを求めすぎても失敗する
- 更新:
- 2021/09/10
利回りは、不動産投資における重要な指標のひとつです。投資用不動産は投資商品なので、利回りが高い方が投資効率はよくなることは間違いありません。
高利回りを求めるあまり「利回り○%以上でなければやる意味がない」というような声もよく聞かれます。このタイプは特に初心者の方に多いのですが、本当に、希望の利回り以上でなければ不動産投資はやる意味がないのでしょうか?
実は、理想とする利回りにこだわりすぎて、かえって不動産投資に失敗してしまっている人がたくさんいるのです。いい物件を求めすぎて逆に失敗することがないよう、利回りに関する大切な考え方を説明します。
経験者と未経験者には大きな差が出る
不動産投資に限らず、何事においても未経験者は経験者に勝てません。理想の利回りを求めすぎるとなかなか購入物件を決められず、いつまでも未経験者のままになってしまいます。
初心者の利回り最低ラインは今の市場に合っていない
冒頭で「利回り○%以上でなければやる意味がない」という考えを持っているのは初心者に多いと説明しました。この数値が現在の相場や市場を理解した上で、ギリギリあるかないかというラインの設定値であれば、不動産会社は腕の見せ所です。熱を入れて物件探しをしてくれることでしょう。
ですが、残念ながらその希望の利回りのほとんどは、インターネットや書籍に書かれていた、良い部分のみを元にした設定値です。そのため、今の市場にあわないような条件を必須としている傾向にあります。そうなると、いくら探してもそんな条件の物件はありません。ずっと探し続けても見つからず、時には数年にわたり探し続けても見つかっていないという方もいるほどです。
利回りの高さにこだわりすぎてしまうと、いつまでも物件を所有することができません。ある程度の妥協ラインを設定するか、または市場に合わせた目線を持つことができれば最初の1件を所有することができるのですが、何も妥協せず、市場に合わせることもしなければ、1件も所有できず未経験者のままです。
投資用不動産の所有者になることで得られる経験値
ずっと探し続けているということは、その間ずっと「未経験者」のままです。これは時間的にも機会的にも大きな損失です。どんなに長い期間をかけて検討したとしても、物件の所有者と未所有者とではその経験値に雲泥の差が出ます。
所有者と未所有者との差として代表的なものは、以下の3点です。
- 市場の正確な読み取り:今の市場における販売価格の相場観が自然とわかるようになります。この感覚は物件所有者になってしまえば、初心者の方でも勝手に身につきます。
- 購入までのフローの習得:流れを理解することで、2件目以降の購入においてスムーズに進められるようになります。後述しますが、いわゆる「良い物件」は誰が見ても良い物件なので非常に競争率が高く、スピード感がなければまず購入することはできません。
- 金融機関についての知識:自分が金融機関からいくら融資を受けることができるかについて理解することができます。手続きに関する流れを理解できることも強みです。
2に記載しましたが、知識も経験も乏しいビギナーでは、本当に条件の良い物件を購入することは非常に難しいです。まずは「悪くない物件」から始めて経験を積み、よりよい投資機会をつかめるようになることが投資成功への近道です。
利回りが最高水準でなくとも投資目的は果たせる
利回りばかりを追う前に、そもそも不動産投資を検討しようと思った動機に立ち戻ってみてください。
以下は、よくある投資の動機です。
- 将来、不労所得を得たい
- 現金をただ預金しておくよりは運用したい
- 他の金融商品と比べて安定しているから
動機に立ち戻って考えてみると、そこまで高い利回りにこだわらなくても目的は果たせるということに気づくのではないでしょうか。
1については、不動産投資をすれば、売却しない限りは将来の不労所得を必ず得られます。継続的かつ安定した不労所得を得るには、重要なのは利回りよりもむしろキャッシュフローです。
2については、得られる利益は銀行金利よりも当然高いです。投資物件さえ間違えなければ、この目的は簡単に達成できます。
3については、バブルやリーマンショックといった大きな経済状況の変化を受けたときを思い出せばおわかりいただけます。大暴落した株は多数ありましたが、家賃が半額になることはありませんでした。株や債権のような他の金融商品と比較しても、賃料収入をメインとする不動産投資は安定しているといえます。
このように、まずは「所有する」ことで、不動産投資を検討した当初の目的を満たすことができます。利回りが最高水準であることは必須条件ではないのです。そして投資用不動産の所有者になれるので、経験値も上がっていきます。最初の1歩を踏み出すことで、その後どんどん進んでいきます。
「良い物件」はあっという間になくなる
上述したとおり、いわゆる「良い物件」は誰が見ても良い物件なので、あっという間になくなります。不動産投資ビギナーはその購入競争に参加することすらできません。
昨今の不動産投資の市場は、売り手市場です。物件購入を行っているのは個人投資家だけではなく、不動産会社も行っています。投資物件の販売を行っている不動産会社は仕入れとして多くの物件の買い付けをしているので、常にプロがライバルです。それだけではありません。買い手は日本人に限らず、外国人もたくさんいます。
購入検討者が多いのに対し、中古物件はその数が決まっています。物件購入の競争は、本当に激しいのです。
それだけ競争が激しい環境下で、不動産投資の初心者が慎重に慎重を重ねて検討していたら、購入することはできません。一日でも検討日を設けた時点で、判断の早いライバルが買い付けを完了してしまいます。
良い物件を購入するために重要なのは、以下の2点です。
- いかに早く情報を仕入れられるか
- いかに早く購入判断ができるか
不動産業者はそれぞれ独自のコミュニティを持っていて、市場の全てとは行かずとも、ある一角での情報は川上で知ることができるようになっています。この時点で買い手がつくことがほとんどなので、「誰が見ても良い物件」はビギナーに情報がいく前になくなってしまいます。
即買い手がつかなかった場合には情報が回ります。その間に購入判断ができれば良いのですが、「誰が見ても良い物件」は30分もあれば買い付けが入ることもあります。不動産投資初心者で、30分や1時間といった短い時間で購入判断をするのはほぼ不可能でしょう。
このように、良い物件は不動産業者やプロ投資家が獲得しやすい構造になっています。最初から「良い物件」を所有するというのは、極めて難しいのです。
まずはしっかりと上記の内容を理解した上で、不動産投資を行いましょう。不動産投資家として成功するためには「経験」と「知識」を養う必要があります。そして最新の情報を提供してくれる、信頼できる不動産業者との付き合いが必要不可欠です。
特に不動産投資初心者は営業マンの言葉を鵜呑みにしてしまう傾向があります。営業マンに言葉巧みに「良い物件」だと力説されても、その場で購入するなどの安易な行動は得策ではありません。
弊社には他社で物件購入後にトラブルがあり、その解決相談に来る方も多いのですが、多くのみなさんは「不動産業者に丸投げ」状態の人がほとんどです。初期投資に多額の費用がかかる不動産投資において、他人に丸投げするほど高いリスクはありません。返済額や返済シミュレーションも理解していない人もいるほどです。これでは成功するとは思えません。不動産投資を自らの実業と捉え、経営者意識を持って取り組むことが重要です。
まずは失敗を恐れずに調べて尽くして試す
不動産投資を成功させるためには、経験と知識を養うことが大切です。そのためにも「最初の物件購入」が大切だと考えています。不動産投資を始めようと思っている人は多いのですが、最初の一歩を踏み出す人は、とても少ないのが現状です。
その理由としては、初期投資の高さや幅広い知識が必要なため、ハードルが高いことが考えられます。
不動産投資は初期費用に多額の金額がかかる投資であり、自己資金だけでは始められない人がほとんどです。そのため銀行で融資を受ける必要があります。銀行から融資を受けるためには、返済計画や収益シミュレーションも必要です。長期的な目線で、物件購入の道筋を経てなくてはなりません。
その他に法律、税金関連、ランニングコストの計算など、幅広い分野の知識が必要です。
となると、どうしても最初の一歩が踏み出しにくいと考えるのは当然だと思います。
そこで、最初の一歩として信頼できるパートナーを探しましょう。パートナーとは信頼できる不動産業者のことです。
信頼できる不動産屋から情報を得る
不動産投資は、投資家の知識が左右する投資と言っても過言ではありません。日々、最新の情報を得ながら投資を行うのですが、多くの不動産投資家は副業で取り組む人が多いため、どうしても情報が遅れがちです。そんな時は、不動産業者から情報を得ることが重要です。不動産業者としても、投資家に物件を購入してもらうことで利益を得るため、良い不動産投資家と繋がりたいと思っています。
不動産投資家として成功するために、お互いにウィンウィンの関係となるパートナー作りを意識すると良いでしょう。不動産投資は1人でやるものだと思っている人も多いかもしれませんが、周囲の力を借り、多馬力で成功に向かう方が近道といえます。
最初から高額な物件は購入しない
不動産投資初心者に多いのは「一棟マンションを購入すべきか」「それとも区分マンションを購入すべき」かという悩みです。これは結論から言えば「区分中古マンション」から検討すべきです。そもそも一棟マンションは、購入ハードルが高いため初心者が買うことは難しいと考えます。
一棟マンションを購入するためには、高い融資額も必要です。そのために
- 預貯金が2000万円以上
- 年収が800万以上
という条件も必要なことから、この時点で購入のハードルが高いことも分かると思います。
また都心の良い立地にある一棟マンションを購入することは、初心者はほど出来ないといえるでしょう。地方の一棟マンションに関しても「土地勘」であったり、物件の選定をかなり慎重にしなくてはいけなかったりと、労力を考えれば区分中古マンションを買い増ししていく方が得策といえるでしょう。
不動産投資は物件数を買い増ししながら資産を増やす投資です。まずは最初の一歩を踏み出すこと。安価でも十分に利益が見込める物件もたくさんあるため、まずは手が出しやすい物件を購入し、経験を積みながら物件選定の目を養い、買い増ししていきましょう。
まとめ
いかがでしたでょうか。利回りは重要な指標であり、高いに越したことはないものの、不動産投資の初心者が高利回りを追求するのは無謀なことだということがお分かりいただけたのではないかと思います。
そもそも利回りにばかり目がいってしまうのは、初心者にとって最もわかりやすい指標だからだと思われます。物件を購入する時には、その価格や立地、築年数など指標が多岐にわたり、対象となる物件数もたくさんあるので、「何を基準に選んだらいいの?」と混乱してしまいがちです。その中で利回りは数字で示されているので、シンプルです。インターネットや書籍、セミナー等で利回りを取り上げることが多いのも、これが理由なのではないでしょうか。
とはいえ、初めから最上級のものを手に入れるのはとても難しいです。投資家にも、ビギナー、セミプロ、プロ(本業投資家)といるのですが、いきなりプロと同等の水準になるのは難しいですよね。まずは所有者になってみて経験値を高め、よりよい物件を手に入れやすい状況を作っていくのがお勧めです。
そして「信頼できる不動産会社」と密な関係になることを意識しましょう。不動産投資家は副業で取り組む人も多いため、彼らの情報源の多くは不動産会社です。不動産投資家として成功している人達は、軒並み信頼できる不動産会社が近くにいることがあります。
不動産会社にとっても、信頼できる不動産投資家と繋がることは互いにとってプラスになります。そのためにも、基本的な不動産投資の知識を得て、不動産会社と対等に話せるようになりましょう。それが互いにとって最も利益を出す方法です。
まずは不動産会社に出向き、話を聞くことから始めてみてはいかがでしょうか。
当サイトでも、不動産会社として良い物件の情報を川上でつかむコミュニティを持っています。また、そこで即決されなかった物件情報をいち早く探すノウハウもあります。一つめの物件を探しているビギナーの方にも、さらによい物件を探しているセミプロの方にも、お力添えすることが可能です。是非、不動産コンサルタントの無料相談をご利用ください。