2024年3月1日、東京・お台場に「イマーシブ・フォート東京」がオープンして約1か月。各種報道や訪れた方の口コミにより、同パークの全貌が少しずつ見えてきました。

イマーシブ・フォート東京は、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンUSJや西武園ゆうえんちを再生させた「株式会社刀」が運営するテーマパークです。本記事では、イマーシブ・フォート東京を訪れる際に知っておきたい情報について解説します。さらに、開発までの経緯や不動産投資への影響についても解説。本記事を読むことで、イマーシブ・フォートへの理解が深まるでしょう。

イマーシブ・フォート東京に興味がある方、不動産投資への影響について知りたい方は、最後までご一読ください。

• 没入型テーマパーク「イマーシブ・フォート東京」とは？
  • イマーシブ・フォート東京の概要
  • コンセプトは「テーマパークを越える完全没入（イマーシブ）体験」
    • 従来のテーマパークとの違い
    • 完全没入の秘訣は「イマーシブシアター」
• アトラクションは10種類
  • チケット料金内で遊べるアトラクション
  • 別途料金が必要なアトラクション
• イマーシブ・フォート東京利用者の口コミ
• イマーシブ・フォート東京開発までの経緯
• 【過去の事例から考察】「イマーシブ・フォート東京」開業による不動産投資への影響
  • イマーシブ・フォート東京に近い開発の事例
    • 事例①：「お台場大江戸温泉物語」と豊洲「千客万来」
    • 事例②：東京ドームシティアトラクションズ
  • イマーシブ・フォート東京周辺における不動産投資への影響
• まとめ

没入型テーマパーク「イマーシブ・フォート東京」とは？

「イマーシブ・フォート東京」は、2022年3月に営業を終了した「ヴィーナスフォート」の建物を利用して開設されました。キャッチコピーは「人生、全とっかえ。」。イベントと現実の区別がつかないくらい世界や事件にのめり込む「完全没入体験 ＝ イマーシブ体験」ができることが大きな特徴です。

イマーシブ・フォート東京の概要

2024年3月末現在における、イマーシブ・フォート東京の施設概要は以下の通り。最新情報は、公式サイトをご確認ください。

参考イマーシブ・フォート東京

コンセプトは「テーマパークを越える完全没入（イマーシブ）体験」

イマーシブ・フォート東京のコンセプトは「テーマパークを越える完全没入体験 ＝ イマーシブ体験」。goo辞書によると、イマーシブ（immersive）は「没入感のあるさま。その状態にひたれるさま」と定義されています。

イマーシブ・フォート東京とはどのようなテーマパークなのか、「イマーシブ（没入）」を軸に掘り下げて行きましょう。

従来のテーマパークとの違い

イマーシブ・フォート東京と従来のテーマパークとの違いは、「完全没入（イマーシブ）体験」とされています。

従来のテーマパークでは、来場者は「第三者」として、舞台や映像を客席で傍観、鑑賞、体感してきました。「当事者」としてではなく「第三者」として参加している状況です。

イマーシブ・フォート東京では、来場者は「当事者」としてイベントを体験します。当事者となるポイントは「イマーシブシアター」です。イマーシブシアターにより、イベントを当事者として体験可能。リアルと非日常の境目がわからないほど没入する「完全没入体験」ができるのです。

完全没入の秘訣は「イマーシブシアター」

完全没入体験を呼び起こす「イマーシブシアター」について解説します。

イマーシブシアターは、2000年代にロンドンで誕生。以下のような特徴があります。

• 空間全体が舞台となる立体的な空間
• 観客と出演者との境界線がなく、観客も物語に参加
• 観客の振る舞いは自由、時に観客の言動でストーリーが変化

中でも「観客が物語に参加する」ことが最大の特徴。主体的に物語に参加することで各自異なる体験ができ、物語に没入できるのです。

日本では、2018年にユニバーサル・スタジオ・ジャパン（USJ）にて開催されました。当時イマーシブシアターを手がけたのは、イマーシブ・フォート東京を運営する株式会社刀です。イマーシブ・フォート東京でも、USJのイマーシブシアターを手がけていたメンバーが集結、大規模なイマーシブシアターを制作しました。

アトラクションは10種類

イマーシブ・フォート東京のアトラクションは全10種類。チケット料金内で遊べるアトラクションと、別途料金が必要なアトラクションがあります。

チケット料金内で遊べるアトラクション

イマーシブ・フォート東京では、入場する際にチケット（1dayイマーシブ・パス・カジュアル）を購入します。チケット料金内で遊べるアトラクションは、次の7つ。

• 第五人格 イマーシブ・チェイス
• 【推しの子】 イマーシブ・ラリー
• スパイ・アクション！
• ジャック・ザ・リッパ―
• パーティ・フェスタ！
• イマーシブ・ストーリーズ
• ザ・キャバレー

いずれも1回10分 ～ 20分程度で、1日数回の開催です。

アトラクションによっては待ち時間が発生します。待ち状況は公式X（旧Twitter）にて随時更新。当日空いているアトラクションを知りたい場合は、公式Xをチェックしておきましょう。

別途料金が必要なアトラクション

以下の3アトラクションは、チケット料金とは別に料金が必要です。

• ザ・シャーロック
• 江戸花魁奇譚
• 東京リベンジャーズ イマーシブ・エスケープ

上演回数は、いずれも1日3回程度。1回1時間以上あるため、より深い没入体験が期待できるでしょう。

上映時間ごとに人数制限があります。当日の飛び入り参加はできないので、必ずチケットを事前に購入しておきましょう。

イマーシブ・フォート東京利用者の口コミ

実際にイマーシブ・フォート東京を利用した方の口コミを紹介します。

口コミサイト「たびかつ」によると、2024年3月末時点におけるイマーシブ・フォート東京の総合得点は、5点満点中「2.40」。中でも総合評価と施設・設備の充実度が1.86と低い結果になっていました。低評価の理由として多かったのは「没入できない」「価格が高い」といった点です。

一方、X（旧Twitter）では好評の声も多く挙がっています。

先ほど紹介した「たびかつ」でも、「オープンしたばかりなので今後に期待」という意見が挙がっていました。イマーシブ・フォート東京が来訪者すべてが楽しめる施設となるには、もう少し時間が必要かもしれません。

イマーシブ・フォート東京開発までの経緯

イマーシブ・フォート東京がなぜ「お台場」にできたのか、気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここで、イマーシブ・フォート東京の開発経緯を簡単に解説します。

そもそもの発端は、東京都がお台場の土地に「事業用定期借地権」を付与して民間業者に貸与したことでした。定期借地権の期限は10年。イマーシブ・フォート東京の前身であるパレットタウンは、当時大人気でした。人気施設であっても10年で解体することに、世間から疑問の声が挙がります。世論を受けた結果、東京都は、2008年にパレットタウンの土地を森ビルとトヨタ自動車に売却しました。

土地売却により、定期借地権の問題は解決しました。しかし、2022年8月にパレットタウンは閉館してしまいます。跡地の開発が計画される中、森ビルが株式会社刀に旧パレットタウンの土地と建物を貸与、ヴィーナスフォートにてイマーシブ・フォート東京を開業することが決定しました。

株式会社刀は、USJや西武園ゆうえんちの再建を手がけた森岡毅氏が設立した、マーケター集団です。過去に大きな成功例があることから、イマーシブ・フォート東京も今後人気施設となることに期待が持てるでしょう。

株式会社刀が手がけた事例の1つに、沖縄のテーマパーク「JANGLIA（ジャングリア）」があります。「JANGLIA」の概要や今後の展望、森岡氏や株式会社刀の手腕が気になる方は、こちらの記事も合わせてお読みください。

参考沖縄に大規模テーマパーク「JANGLIA」が誕生！不動産投資にもチャンス到来！？

【過去の事例から考察】「イマーシブ・フォート東京」開業による不動産投資への影響

不動産投資で物件を選ぶ際は、国土交通省が毎年公表している地価公示価格が参考になります。公示価格が上昇している地域の物件を選ぶことで、空室リスクを抑えるだけでなく、将来高値で物件を売却できる可能性が高まるからです。

イマーシブ・フォート東京の開業は、少なからず不動産投資にも影響を与えます。本項目では、過去に開発が行われた事例での不動産投資への影響を2つ紹介。開発前後の地価推移から需要がどう変化したかを見たうえで、イマーシブ・フォート東京の開発が不動産投資にどのような影響を与えるかを予測します。

イマーシブ・フォート東京に近い開発の事例

イマーシブ・フォート東京に近い開発事例として、以下の2つを紹介します。

• お台場大江戸温泉物語と豊洲「千客万来」
• 東京ドームシティアトラクションズ

どちらも、イマーシブ・フォート東京と同様、施設の老朽化や地域の再開発を理由にした開発です。

事例①：「お台場大江戸温泉物語」と豊洲「千客万来」

「お台場大江戸温泉物語」は、青海にあった温浴施設です。パレットタウンと同じく、事業用定期借地権により貸与された土地で営業していました。2021年9月、定期借地権の終了に伴い閉館。建物は解体され、現在も土地の売却や再利用がなされていません。2024年3月末現在のGoogleマップでも、お台場大江戸温泉物語の跡地は更地となっています。

一方、豊洲には、2023年に商業施設「千客万来」が完成しました。大江戸温泉物語が閉館したのは、お台場にほど近い豊洲の「千客万来」に温浴施設ができたことが理由とも言われています。では、豊洲市場に近い、豊洲4-11-30の地価と変動率を見ていきましょう。

豊洲4丁目の地価は、市場や関連施設の影響で複数回上昇が見られています。2020年は、千客万来の前身である「江戸前城下町」がオープンした年です。2022年は豊洲市場開場、2023年は「千客万来」の開設が報じられた時期です。

豊洲は、市場や関連施設の影響を大きく受けている地域です。豊洲に近いお台場にイマーシブ・フォート東京ができることで、2024年以降も地価の上昇が期待できるでしょう。

事例②：東京ドームシティアトラクションズ

2000年代初頭の地価下落を押しとどめた例として、東京ドームシティアトラクションズの地価と変動率を紹介します。

東京ドームシティアトラクションズは、後楽園ゆうえんちが老朽化したことを機に改装されました。2003年、スパ施設「ラクーア」が開業。都心で働く30歳前後の女性をターゲットにしたことで新たな客層を開拓し、賑わう施設となりました。

東京ドームシティアトラクションズ周辺の地価推移を見ていきましょう。文京区本郷5-19-6は、東京ドームシティアトラクションズの最寄り駅（後楽園駅と春日駅）の隣にある本郷三丁目駅の近隣となります。文京区小石川2-9-13は、春日駅近隣です。

東京ドームシティアトラクションズが完成した2003年の地価は、小石川は前年と同額、本郷は下落しています。

2000年代初頭は、バブル崩壊の影響で地価がどんどん下落していった時期です。東京ドームシティアトラクションズ開設の影響を見るために、ターミナル駅である池袋と新宿に近い駅の推移と比較してみましょう。

今回取り上げるのは、西武池袋線椎名町駅近くの豊島区西池袋と、京王新線初台駅近くの渋谷区本町です。

1999年から2000年は後楽園周辺、池袋・渋谷ともに急激に下落していますが、後楽園周辺はその後緩やかに地価が回復しています。東京ドームシティアトラクションズができた2003年には、池袋と渋谷では見られない地価の上昇が見られる点も違いです。

2000年代は全体的に地価が下落傾向であることから、両者に大きな違いはないように見えます。しかし、後楽園周辺には大きな地価の下落がなく、かすかに上昇傾向が見て取れるのは、東京ドームシティアトラクションズの恩恵を受けているからといえるでしょう。

イマーシブ・フォート東京周辺における不動産投資への影響

過去の開発事例を見たところで、イマーシブ・フォート東京に話を戻しましょう。

イマーシブ・フォート東京のあるパレットタウン跡地は、2025年まで再開発が続きます。東京都からパレットタウンの土地を買い取った森ビルは、株式会社刀だけでなく株式会社トムスにも土地を貸与。同社は、2024年11月にEVカートサーキット「CITY CIRCUIT TOKYO BAY（シティサーキット東京ベイ）」を開業する予定です。

他には、トヨタ自動車やトヨタ不動産が大型複合アリーナ「トヨタアリーナ東京（TOYOTA ARENA TOKYO）」を建設中。2025年秋に開業予定です。

パレットタウン跡地では再開発が続くことから、お台場近辺の不動産市場にさらに影響を与える可能性があります。ここで、お台場地区となる有明1丁目の地価推移を見てみましょう。

有明では、2023年にイマーシブ・フォート東京の開業が発表されたことを契機に地価が上昇。パレットタウンの再開発が続く2024年以降も、地価が上昇する可能性があります。

パレットタウンの再開発は、通勤圏となる地域にも影響を及ぼすかもしれません。ここからは、パレットタウンの最寄り駅である青海駅を通るゆりかもめ沿線とりんかい線沿線の地価推移を参考に、イマーシブ・フォート東京が与える影響を解説します。

ゆりかもめ沿線は、先ほどと同じ豊洲4丁目（豊洲駅）を、りんかい線沿線は、天王洲アイル駅周辺の東品川1丁目を取り上げます。

両地域とも、2022年から2023年にかけて地価が大きく上昇している点が特徴的です。豊洲の地価上昇には、市場や「千客万来」の影響も含まれています。2023年に品川駅周辺での再開発計画が発表。天王洲アイルのある東品川1丁目も、影響を受けた可能性があります。

お台場の施設が豊洲に何らかの影響を及ぼすことは明らかです。イマーシブ・フォート東京の開業は、ゆりかもめやりんかい線沿線地域にも、さらなる需要を呼び起こす可能性を秘めているといえるでしょう。

まとめ

イマーシブ・フォート東京は開業したばかりで、その可能性は未知数です。数々のテーマパークを手がけ、業績をV字回復に導いた森岡毅氏の手腕にも、期待が高まっています。イマーシブ・フォート東京が位置する旧パレットタウン跡地も、まだまだ再開発中。お台場だけでなく近隣も、不動産投資において注目のエリアといえるでしょう。

イマーシブ・フォート東京が不動産投資に与える影響については、無料相談でも詳しくお伝えしております。イマーシブ・フォート東京に近い地域で不動産投資を検討している方は、ぜひ一度詳しくお話をお聞かせください。経験豊富なコンサルタントが、中立の投資家目線でアドバイスいたします。