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IT重説で不動産投資も変わる?!制度の背景とメリット・注意点を解説

IT重説, 不動産投資, 制度

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2023年10月に実施された宅地建物取引士試験で、突如「電磁的方法」についての問題が多数出題され、受験者に大きな動揺を与えました。

その要因となるのが、2022(令和4)年5月に宅地建物取引業法が一部改正され、電磁的方法による書面交付が可能となった点です。

聞き慣れない「電磁的方法」ですが、簡単に言うと電子メールやWebからのダウンロードなどによる、紙を使わずコンピューターを使用した情報のやり取りを指します。

不動産取引において「Web会議システムなどのITを活用した重要事項説明」、つまり「IT重説」はそれまでも運用されていました。

「電磁的方法による書面交付」は媒介契約やマンション管理委託なども対象であり、重要事項説明に限ったことではありません。

しかし「電磁的方法による書面交付」が可能となったことが、IT重説を大きく後押ししています。

本記事ではIT重説と電磁的方法での書面交付が可能となった背景と、IT重説による変化について解説します。不動産取引に関する大きな動きについて知っておきましょう。

IT重説の概要と経緯

長年対面かつ紙ベースで実施されてきた重要事項説明のデジタル化が可能となったのは、宅建業法の一部改正によります。この改正は、国の政策の一環としておこなわれたものでした。

IT重説とは?

冒頭にも述べていますが、「IT重説」とは「Web会議システムなどのITを活用した重要事項説明」です。

不動産取引には専門知識がない一般の人には理解しにくい事項も多くあります。

そのため、宅地建物取引士が取引内容や条件に関して契約前に重要事項説明を実施することが宅地建物取引業法(※以下宅建業法)第35条で義務として定められています。

国土交通省のガイドラインにより対面実施が定められていたため、これまで重要事項説明は対面でおこなわれるのが基本でした。

しかし近年のガイドラインの改定により、ZOOMやSkypeなどのWeb会議ツールを利用したIT重説が可能になりました。

とはいえIT重説の制度自体はあっても、重要事項説明の際に交付する書面を紙でやり取りするままではあまり利便性が向上したとはいえません。

それが2022(令和4)年5月の宅建業法の一部改正により、書面もメールやWebからのダウンロードといった電磁的方法での交付が可能になりました。それにより、重要事項説明の手続きすべてをオンライン上で完結することが可能になっています。

運用開始までの経緯

IT重説の運用開始決定までの流れを以下の表にまとめました。

2013(平成25)年 世界最先端IT国家創造宣言 世界最高水準のIT利活用社会の実現を目指し策定
2013(平成25)年 IT利活用の裾野拡大のための規制制度改革集中アクションプラン 重要事項説明についての対面以外の方法と書面の電磁的方法での提供の検討が方針として示される
2014(平成26)年 ITを活用した重要事項説明に係る社会実験に関する検証検討会の設置 本格運用の可否や活用方法について検討開始
2015(平成26)年~2017(平成28)年 賃貸契約を中心に社会実験の実施 大きな問題がなかったことから、先に賃貸契約に関して運用開始が決定
2019(令和元)年~
2020(令和2)年
売買契約での社会実験の実施 2,000件を超えるアンケートの結果、売買契約についても運用開始が決定

デジタル庁の「デジタル原則に照らした規制の一括見直しプラン」では、デジタル化の遅れが日本の実質GDPや所得の伸び率の低さにつながっていると指摘しています。

その要因となっているのがアナログ手法をルールとする「アナログ規制」であり、不動産業界においては対面が基本である重要事項説明もそのひとつとして検討対象となりました。

少子高齢化による今後の人手不足も踏まえて、国が各種手続きのIT化のための法整備を急速に進めているのがIT重説制度と交付書面の電子化の背景となっています。

IT重説はいつから始まった?

社会実験の結果を受けて、ガイドラインである「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」が一部改正されました。

この改正で「IT重説を、対面による重要事項説明と同様に取り扱うこととする」と定められたことで本格運用が可能になりました。

賃貸契約では2017(平成29)年、売買契約は2021(令和3)年からIT重説が本格運用されています。

IT重説に続き交付書面の電子化も検討されました。

その結果、2022(令和4年)に国土交通省による「重要事項説明書等の電磁的方法による提供およびITを活用した重要事項説明実施マニュアル」の策定と、宅建業法の一部改正により電子書面の交付が可能になりました。

したがって完全にオンラインで完結するIT重説は2022(令和4)年5月から開始されています。

IT重説の方法と流れ

IT重説の実施にあたっては細かいルールが定められています。

ここでは「重要事項説明書等の電磁的方法による提供およびITを活用した重要事項説明実施マニュアル」をもとに、電子書面を用いたIT重説の方法について解説します。

実施の条件

IT重説はすべての不動産契約について実施できるわけではありません。

まず、宅地建物取引業者(※以下宅建業者)は、契約者側のIT環境の整備状態と使用するソフトウェアへの対応の可否について確認が必要です。

次に、対面での重要事項説明と違い、IT重説の実施には宅建業者側、契約者側双方の同意が必要です。

承諾または拒否の意向を得るためにも必要な手順があります。意向を確認する際にも説明が必要となり、承諾を受ける、あるいは拒否する際の取得方法についても定められています。

これらの規定に沿った上でようやくIT重説の実施が可能になります。

IT重説をおこなう際の流れ

上の図はIT重説の具体的な流れですが、以下の表で具体的な手順をまとめています。色付きの部分が電子書面の交付によって追加された手続きです。

①IT重説ができる環境についての事前確認 端末は文字が確認できる状態で、必要な機能を有しているか
使用ソフトウェアによってはアカウントの有無も確認
②重要事項説明書の提供方法に関する説明 ・電子メール
・Webページからのダウンロード
・CD-ROMやUSBメモリなど
③承諾・拒否の取得方法 ・書面(紙)
・電子メール
・Webページ上で承諾
・CD-ROMやUSBメモリなど
④重要事項説明書(電子書面)の作成 ・紙で出力できること
・改変されていないか確認できる措置があるか
(電子署名やタイムスタンプ)
⑤実施前に実施環境が整っているかの確認 ・映像や音声が確認できるか
・書面は用意できているか
⑥宅建士証の提示 ・記載事項を読み上げてもらうなど、宅建士証がきちんと視認できているかを確認
⑦IT重説の実施 ・トラブルが起き、再開できない場合には中止して残りを対面への切り替えも可能

IT重説をおこなうメリット

電子書面を用いたIT重説には、不動産会社と契約者双方にとってスムーズな不動産契約が可能になるメリットがあります。

メリット①:利便性の向上

IT重説実施直後のアンケート結果」でも、IT重説を利用した目的に「店舗に行かなくて済む」点を挙げた人が76.6%にのぼっています。

インターネット接続環境さえあれば自分の希望する場所で、店舗までの往復の時間をかけずに重要事項説明を受けられる便利さはIT重説の大きなメリットです。

IT重説は店舗が遠方で時間や費用を節約したい人や、仕事や個人の事情で店舗に出向く時間の確保が難しい人に適しています。

メリット②:契約のスピード化

重要事項説明書等の 電磁的方法による交付に係る社会実験 【結果報告】」のアンケートでは、電子書面を用いたIT重説の利便性について「書面の郵送時間が不要となりスピーディーに契約できる」が1位となっています。

電子書面を利用すれば書面を郵送する手間や到着を待つ必要がなく、オンライン上で完結するためタイムロスが少ない点は宅建業者側、契約者側双方にとってIT重説のメリットです。

メリット③:高い保存性と検索性

IT重説では録画も可能です。

説明もデータに残せるため保存性が高く、トラブルが早期解決しやすくなります。記録が残っていれば、契約後にトラブルが起きたときに「言った言わない」で揉めることがないためです。

IT重説実施6か月後のアンケート結果」で「IT重説のほうが対面重説よりトラブルを解決しやすい」と考える人が半数を超えるのも、この保存性の高さからと考えられます。

また、電子書面は紙の書面と比べて紛失しにくい上に、必要な情報をすぐに検索できる点もメリットです。

IT重説の注意点

契約の利便性と効率化に役立つIT重説ですが、実施にあたっては注意すべき点もいくつかあります。

注意点①:同意を得るステップが必要

前提として、電子書面を用いたIT重説の実施には以下のステップを踏んだ上で承諾を得る必要があります。

  • IT環境の確認
  • 電磁的方法による書面の提供方法についての説明
  • 意向の確認
  • 紙・電子書面での承諾

重要事項説明のために店舗に行かずに済み省力化できる反面、手続きが実施マニュアルに細かく定められているため承諾までの手続きが煩わしく感じる可能性もあります。

注意点②:不十分な理解のまま進む可能性

対面での実施と違い、IT重説では自宅や仕事場などで重要事項説明を受けるため、環境によっては説明に集中しにくいケースも考えられます。

録画可能な点はメリットではありますが、逆に「あとで録画を観ればいいか」と疑問点をそのまま受け流してしまう可能性もないとは言えません。

ほかにも画面越しに説明をするため、説明側が受け手側の理解が不十分だという細かい反応を見落とす可能性があります。

しかし「IT重説実施直後のアンケート結果」では、87.8%の人が理解状況が伝えられたとしています。

そのなかで注目したいのが「取引士が説明の合間に理解状況を確認してくれたので伝えられた」という割合の多さです。IT重説の際には特に、説明側は常に受け手側の理解状況の確認を怠らないことが欠かせません

注意点③:ITリテラシーの格差

最後に注意したいのが、関係者すべてがITの利用に慣れているとは限らない点です。

以下の図のとおり、IT重説の社会実験で用いられたWeb会議ツールは不動産業界専用のツールも含めさまざまです。

Web会議システムは、IT利用に慣れている人でも使用ツールが違うと手間取るものです。実施にあたっては事前に操作に慣れておく必要があります。

また、電子書面についても人によって大きく操作の難易度が違います。

不慣れな操作や、機器トラブル時に対応が上手くできず実施がスムーズに進まない、あるいは操作への抵抗感からIT重説の実施自体を拒否されるケースも考えられるでしょう。

IT重説で何が変わる?!不動産投資への影響

売買契約におけるIT重説の社会実験のなかで注目したいのが、「投資目的」で対象不動産を購入した人が6割を超えていた点です。

居住用と異なり不動産投資では複数物件を所有することもよくあるため、契約の回数も多くなります。そのため、不動産投資家が利便性の高いIT重説に強い関心を持った表れではないでしょうか。

特に本業のかたわらに不動産投資をおこなうような投資家にとっては、書類もデジタル化され、店舗まで出向く必要もない電子書面を用いたIT重説は大きく省力化と効率化が図れます。

電子書面を用いたIT重説が可能になったことで、物件検索から内見、周辺調査、契約にいたるまでオンライン上で完結することも不可能ではありません。そのため本業があり忙しい人でも、近隣だけでなく遠方の物件への投資もしやすい環境が整ってきたといえます。

まとめ

今回は「電磁的方法による提供」、つまり電子書面を用いたIT重説について解説しました。

IT重説、特に書面の電子化に関する認知度は今はまだ高いとは言えませんが、今後認知度の向上により普及していくと予想されます。

IT重説をはじめとするデジタル化で、今後さらに不動産取引がスムーズになっていきます。

「時間がない」「契約のために遠方まで足を運べない」という点が不動産投資のネックになっていた人にとってはチャンスともいえます。

これを機に、居住地にとらわれない不動産投資を検討してみてはどうでしょうか。少しでも不動産投資について知りたいと思った方は、まずは無料会員登録をすると読める電子書籍で不動産投資に役立つ有益情報をチェックしてみてください。

この記事の執筆: ひらかわまつり

プロフィール:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士資格を有するママさんライター。親族が保有するマンションの管理業務経験を有するなど、理論・実務の両面から不動産分野に高い知見を持つ。また、自身でも日本株・米国株や積立NISAなどを行っていることから、副業や投資系ジャンルの執筆も得意としている。解像度の高い分析力と温かみのある読みやすい文章に定評がある。不動産関連資格以外にも、FP2級、日商簿記検定2級、建築CAD検定3級、TOEIC815点、MOSエキスパートなど多くの専門資格を持つ。

ブログ等:ひらかわまつり

この記事の監修: 不動産投資コンサルタント 釜田晃利

老舗不動産投資会社にて投資用区分マンションの営業マンとして約10年間従事したのち、2015年にストレイトライド株式会社にて不動産事業をスタートしました。現在は取締役として会社経営に携わりながら、コンサルタントとしてもお客様へ最適な投資プランの提案をしています。過去の経験と実績をもとに、お客様としっかりと向き合い、ご希望以上の提案が出来るよう心がけています。

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