インバウンド需要が過去最高に!2025年の見通しは?不動産市場への影響も解説
- 更新:
- 2025/04/25

日本を訪れる外国人観光客が急増し、インバウンド需要が過去最高水準に達しました。コロナ禍からの回復を遂げた2024年に続き、2025年も更なる成長が見込まれており、この動向は不動産市場にも大きな影響を与えています。
本記事では、最新のインバウンド需要データと2025年の見通しを解説。さらに、この急増する外国人観光客が、日本の不動産市場にどのような影響を与えているのか見ていきましょう。投資の観点から注目すべきエリアも紹介するので、不動産投資のチャンスを逃したくない方は必見です。
2024年「インバウンド需要」が過去最高に!
2024年、日本のインバウンド市場はめざましい回復と成長を遂げました。訪日外国人観光客数は過去最高水準に達し、1人あたりの消費額も大幅に増加しています。まずは、現状とこれからの見通しを見ていきましょう。
訪日外国人旅行消費額は前年比53.1%増の8兆1,257億円
観光庁の「インバウンド消費動向調査」によると、2024年の訪日外国人旅行消費額は8兆1,257億円に達し、前年比で53.1%増という大幅な伸びを記録しました。この数字は、コロナ禍前の2019年と比べても(4兆8,135億円)大きく上回っており、訪日観光市場の力強い回復を裏付けています。
国籍・地域別にみると、中国・台湾・韓国といった東アジア諸国・諸地域がおよそ半分を占めています。とくに台湾・韓国の伸びが顕著で、2019年と比較しおよそ2倍にまで成長しました。
米国が2019年の3,228億円から2024年には9,011億円と3倍近くに伸びるなど、アジア以外のインバウンド需要も大きく成長しています。続いて、観光客の消費動向を詳しく見ていきましょう。
物価上昇の流れで、1人あたりの旅行支出も増加傾向に
訪日外国人1人あたりの旅行支出も大幅に増加しています。2024年の平均支出額は22.7万円で、前年の21.3万円から約6.6%増加しました。日本国内では物価上昇が起きているものの、外国人観光客からすれば円安による「お買い得感」があることが、消費意欲を刺激している背景があります。
国籍・地域別に見ると、イギリスからの観光客の1人あたり支出額が38.1万円ともっとも高く、次いでオーストラリア(38万円)、スペイン(36.8万円)となっています。費目別に見たとき、欧米豪からの観光客の「宿泊費」が高めとなっていることから、長期滞在による旅行支出総額の押し上げがあるようです。
一方で「買物代」がもっとも高いのは中国、次いで台湾・韓国となっており、アジア諸国・諸地域からの観光客が短期滞在で多くのお金を落としている傾向もみられました。
2025年のインバウンド需要もさらに高まる見通し!「日本にお金が落ちる」か
JTBの「2025年(1月~12月)の旅行動向見通し」によれば、2025年の訪日外国人旅行者数は4,020万人(前年比108.9%、2019年比126.1%)に達するとの予測です。これは2024年の3,686万人をさらに上回る数字で、インバウンド市場の更なる拡大を示唆しています。
参考JNTO「訪日外客数(2024年12月および年間推計値)」
特に2025年は大阪・関西万博の開催により、世界中から観光客が集まることが予想されます。また、円安の継続も外国人観光客にとって日本旅行の魅力を高める要因となっており、しばらくは「日本にお金が落ちる」状況が続くと考えられるでしょう。
「インバウンド需要増加」が不動産市場に与える影響とは?
インバウンド需要の急増は、日本の不動産市場に多くの影響を与えています。主な3つの影響を詳しく見ていきましょう。
「ホテル・商業施設の建設ラッシュ」で物件価格相場・地価が上昇
訪日外国人観光客の急増に伴い、全国的にホテルの建設ラッシュが続いています。特に東京、大阪、京都といった主要観光地では、新規ホテル・商業施設の開発が加速しており、これが地価や不動産価格の上昇を後押ししています。たとえば大阪の主要観光地である北区エリアでは、梅田駅周辺エリアの地価が軒並み前年比10%以上も上昇しました。
引用土地代データ
大阪は2025年大阪万博の準備が進められており、地価を押し上げている要因はインバウンド需要のみではないでしょう。しかし、多くの観光地が同様に地価上昇の傾向を見せており、ホテルや商業施設の建設がひとつの要因となっていることは間違いありません。
ただし、この状況は商業不動産への投資チャンスを生み出す一方で、地元住民向けの住宅供給が相対的に減少する(=高くて手が出しづらくなる)ジレンマも生じさせています。
「外国人労働者の増加」で住宅需要が増加
インバウンド需要の高まりは、観光業を中心としたサービス業における外国人の労働需要も増加させました。出入国在留管理庁の統計によれば、2024年6月時点での在留外国人数は約358万8,956人と過去最高を記録し、その多くが東京・愛知・大阪などの都市部・観光地に集中しています。
参考出入国在留管理庁「令和6年6月末現在における在留外国人数について」
外国人労働者が増加したことにより、住宅市場には以下のような影響が見られました。
- 都市部・観光地の単身者向け賃貸住宅の需要増加
- 外国人向けシェアハウスなど新しい住居形態の普及
- 多言語対応・Wi-Fiなどのサービス・設備を備えた物件の価値上昇
- 観光地周辺の長期滞在向け物件の需要拡大
外国人労働者をターゲットとすることで、不動産投資家は新たな入居者層の獲得につながるチャンスを見つけられるでしょう。
「旅行ついでに内覧しやすくなった」ことでマンション価格が高騰
コロナ禍を終え来日に制限がかからなくなり、「旅行のついでに、検討中の物件を内覧しに行こう」と考える外国人投資家が増えています。これまでよりも物件を比較検討しやすくなったため、最終的に購入に至るケースが増え、都心部や観光地のマンション価格高騰に影響しているようです。また、続く円安の傾向も、購買意欲の高まりを後押ししています。
こうした状況から、インバウンド需要の増加は単に観光業だけでなく、日本の不動産市場全体に大きな影響をもたらしているといえるでしょう。投資家にとっては、早く行動するほど「チャンス」になり得ます。「どこに、どうやって投資しよう」とお悩みの方は、お気軽に当社の専門不動産投資コンサルタントへの無料相談をお試しください。
都道府県別訪問率ランキングから見る!不動産投資の「狙い目」エリア
観光庁の統計によると、訪日外国人の旅行先は特定の都道府県に集中する傾向があります。以下が2023年における、都道府県別訪問率のランキングです。
都府県名 | 訪問率(%) |
---|---|
東京都 | 52.9 |
大阪府 | 39.6 |
千葉県 | 37.5 |
京都府 | 29.8 |
福岡県 | 12.2 |
参考観光庁「インバウンド消費動向調査(2023年年間【参考】都道府県別集計表)」
これらの都府県は、不動産投資の観点からも注目すべきエリアといえるでしょう。ここからは、この5つの都道府県が外国人にとってなぜ魅力的なのか、とくにどのエリアの需要が高いのか詳しく解説します。
1位:東京都
日本の首都である東京都はインバウンド需要においても圧倒的な存在感を示しており、訪日外国人の半数以上が訪れています。その魅力は多岐にわたりますが、とくに外国人観光客を惹きつける要素として以下が考えられるでしょう。
- 浅草のような「伝統」と原宿のような「最先端カルチャー」が共存する都市景観
- 食からアクティビティまで、あらゆる体験施設が集約
- 公共交通機関による優れたアクセス性
とくに需要が高いエリアとしては、新宿・渋谷・池袋などのターミナル駅周辺、観光名所が集中する浅草・上野エリア、そして外国人居住者も多い六本木・麻布・広尾などの港区エリアが挙げられます。
不動産市場データを見ると、東京都心部の商業用不動産価格は2013年頃から軒並み上昇傾向です。とくに「オフィス」は、2022年時点で2010年比225.9%にまで成長しています。
また、住宅不動産価格も2013年頃から右肩上がり。2024年11月時点で、区分マンションの不動産価格は2010年比212.2%まで成長しました。
参考国土交通省「不動産価格指数(令和6年11月・令和6年第3四半期分)」
訪日外国人の長期滞在ニーズに応えた区分マンションなら、安定した賃貸需要と高い収益性に期待できるでしょう。当社では東京23区を中心に、4,000件以上の豊富な物件データを保有しています。無料会員になると見られる非公開の優良物件データもあるので、まずは無料会員登録してチェックしてみてください。
2位:大阪府
大阪府は訪日外国人の約4割が訪れる人気観光地。2025年の大阪・関西万博の開催により、さらなる注目を集めることが予想されるでしょう。外国人観光客にとっての大阪の魅力としては、以下のような点が挙げられます。
- 「食い倒れの街」として知られる豊かな食文化(たこ焼き、お好み焼きなど)
- ユニバーサル・スタジオ・ジャパンをはじめとする魅力的な観光施設
- 京都、奈良、神戸など周辺観光地へのアクセスの良さ
- 東京よりも比較的リーズナブルな物価
とくに需要が高いエリアは、難波・心斎橋などの通称「ミナミエリア」大阪駅・梅田周辺の「キタエリア」そして新世界・天王寺といった観光スポットの周辺です。
大阪の不動産市場データを見ると、2024年11月時点の区分マンション価格は、2010年比で202.8%。もともとの価格差があるため東京都よりはリーズナブルですが、伸び率はほとんど変わりません。
参考国土交通省「不動産価格指数(令和6年11月・令和6年第3四半期分)」
ホテルや民泊のような「インバウンド需要」をダイレクトにとらえた投資はもちろん、手が出しやすく安定性の高い区分マンション投資も一考の価値アリです。当社では大阪の物件も豊富に取り扱っておりますので、物件情報が見たい方、自分に合った投資のスタイルを知りたい方はお気軽に無料相談をご利用ください。
3位:千葉県
千葉県が訪日外国人の37.5%という高い訪問率を誇る理由としては、主に以下が考えられます。
- 成田国際空港へのアクセスが良好
- 東京ディズニーリゾートの存在
- 都心へのアクセスの良さと比較的安価な宿泊施設
- 自然豊かな観光地が豊富(鴨川シーワールド、房総半島など)
外国人観光客に特に人気が高いエリアは、東京ディズニーリゾートがある舞浜周辺と、成田国際空港周辺です。また、東京へのアクセスが良くリーズナブルに宿泊できる千葉市や船橋市なども、東京観光の拠点として利用されることが多くなっています。
ただし地価推移をみると、千葉県の全体平均はさほど上がっていません。投資対象は、東京都心へのアクセスが良い千葉市・船橋市などのエリアに絞り込んだ方が良いでしょう。
引用土地代データ
ほかに、リーズナブルに泊まれる民泊の運営なども検討する価値があるかもしれません。
4位:京都府
京都府は訪日外国人の29.8%が訪れる、日本文化や歴史体験の中心地です。以下のような点が、外国人観光客から魅力に映っています。
- 寺社仏閣や日本庭園などの豊富な文化遺産
- 伝統工芸や茶道、舞妓・芸妓文化などの体験
- 和食からマチャ(抹茶)スイーツまで幅広い食文化
とくに人気が高いエリアは、京都市内の中心部(四条河原町・祇園周辺)、世界遺産が集中する東山エリア、金閣寺・銀閣寺などがある北西部です。
京都では歴史的な町家や古民家を改修した宿泊施設(町家ステイ)の人気が高まっています。安価な物件を購入して適切に改修することで、想像以上の需要を生み出すかもしれません。とくに欧米からの観光客に人気の「古都の風情を味わえる」物件は、投資価値が高いでしょう。
5位:福岡県
福岡県はアジアからの玄関口として、訪日外国人の12.2%が訪れています。福岡が外国人観光客を惹きつける主な要素は以下の通りです。
- 上海から飛行機でわずか2時間程度のアクセス性
- 博多ラーメン、もつ鍋、水炊きなど独自の食文化
- 開発が進む天神、博多駅周辺を中心とした買い物スポットの充実
とくに近年大規模な再開発が進む「博多」「天神」エリアの需要が大きく伸びています。同エリアを含む福岡市の2025年地価変動率は、住宅地が9.0%、商業地が11.3%。地方圏平均の1.0%・1.6%と比較し圧倒的な伸び率となりました。
博多・天神エリアの再開発は2030年ごろまで続きます。少なくとも2030年までは地価の上昇も続くとみられるため、早めに物件を押さえておけばキャピタルゲイン(売却益)を狙える可能性も十分にあるでしょう。
まとめ
日本のインバウンド需要は2024年に過去最高を記録し、2025年はさらなる成長が見込まれています。訪日外国人の旅行消費額は8兆1,395億円と前年比53.4%増、1人あたりの旅行支出も22.7万円と6.6%増加。2025年は大阪・関西万博の開催もあり、訪日外国人数は前年より多い4,020万人に達すると予測されています。
インバウンド需要の拡大は、賃貸需要の増加や不動産価値の上昇につながるチャンスです。この波に乗るには、早めの行動がポイントとなるでしょう。「どのエリアに投資すべきか」「どんな物件が良いのか」とお悩みの方は、当社の不動産投資コンサルタントへの無料相談をご利用ください。専門家の視点から、最適な投資戦略をアドバイスいたします。

この記事の執筆: 及川颯
プロフィール:不動産・副業・IT・買取など、幅広いジャンルを得意とする専業Webライター。大谷翔平と同じ岩手県奥州市出身。累計900本以上の執筆実績を誇り、大手クラウドソーシングサイトでは契約金額で個人ライターTOPを記録するなど、著しい活躍を見せる大人気ライター。元IT企業の営業マンという経歴から来るユーザー目線の執筆力と、綿密なリサーチ力に定評がある。保有資格はMOS Specialist、ビジネス英語検定など。
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