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神戸市の「タワマン空室税」は本当に合理的なのか?導入の目的と課題まとめ

神戸市, タワマン空室税

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神戸市が全国で初めて「タワマン空室税」導入の検討をスタートしました。これは、一定期間以上空室になっているタワーマンションに課税し、住宅の有効活用と地域の活性化を図る試みです。しかし、その効果や合理性についてはさまざまな意見が飛び交っています。「的外れな愚策だ」と評価する声も少なくありません

そこで今回は、神戸市のタワマン空室税の概要や導入目的を解説し、考えられるメリット・デメリットを公平な視点から分析します。住民や投資家にどのような影響があるのか、そして本当にこの税制は合理的なのか、詳しくチェックしていきましょう。

神戸市が導入を検討する「タワマン空室税」とは?

まずは、神戸市が導入を検討している「タワマン空室税」の概要や目的を見ていきましょう。

「空室となっているタワマンの所有者」への課税を検討中

神戸市で検討中の「タワマン空室税」は、高層マンションの所有者が一定期間以上にわたって物件を使用せず空室状態のままにしている場合に、法定外税として課税されるものです。ただし2025年3月時点では、課税基準や税率、対象となる物件の条件などは決定していません。なお、空室税の税収は以下の用途で活用されます。

  • マンション管理の専門家派遣
  • 防災・防犯整備費用
  • 修繕費用の補助

この制度のメインターゲットは、外国人投資家や投資目的で複数の物件を所有する投資家です。空室のまま放置されているタワマンに税金を課すことで、居住や賃貸への活用を促せるとしています。

現状のタワマンの問題点は「キャピタルゲイン狙いの購入者」が多すぎること

神戸市をはじめとする日本の主要都市では、タワーマンションが投資対象として国内外から高い関心を集めています。将来の値上がり(キャピタルゲイン)を期待して購入し、実際には住まずに所有するケースが増えているのです。

神戸市の新築分譲マンション価格は、2013年比で1.4倍の約5,000万円まで上がっています。仮に今後10年間で同じように価格が上がったとすれば、何もせず持っているだけで1,000万円以上の利益を生んでしまうわけです。

参考神戸新聞NEXT

事実、神戸市内のタワーマンションにおいて、住民登録のない(=人が住んでいない)世帯は全体の16.6%人気の高階層ほど偏りが激しく、30〜39階では21.2%、40階以上では3分の1を超える33.7%にのぼります。

そのため、見かけ上は人が住んでいる高層マンションでも、実際には誰も住んでいない「ゴーストタワー」現象が生じています。本来「人が住む」ために建てたタワーマンションが、単なる「金融商品」のように取引されている現状は、たしかに好ましいとはいえません。

空室税の導入で「買って、ただ持っているだけ」を防ぐのがねらい

神戸市が検討するタワマン空室税の主な目的は、「投資のために買って、ただ持っているだけ」の好ましくない現状を改善し、住宅を有効活用することにあります。空室税による損失回避のために、キャピタルゲイン狙いの投資家に以下のようなアクションを起こさせるのがねらいです。

  • 自分で居住する
  • 賃貸に出す
  • 実際に住む意思のある人に売却する

こうした取り組みは、住宅の有効活用を促進するだけでなく、地域の人口維持や商業活性化にもつながる可能性があります。ただし、その効果やデメリットについて、さまざまな意見が飛び交っているのが現状です。

神戸市タワマン空室税の導入により考えられるメリット

タワマン空室税の導入には、いくつかのプラスの効果が期待されています。考えられる3つのメリットは以下のとおりです。

詳しく見ていきましょう。

管理費・修繕費不足による「廃墟化」のリスクを防止できる

タワーマンションの維持管理には、定期的な設備点検や修繕が不可欠です。しかし、空室率が高いと管理費や修繕積立金の徴収が十分に行われず、必要な修繕が先送りされるリスクが生まれます。これが長期間続くと、建物の老朽化が進行し、最悪の場合「廃墟化」してしまうおそれもあるわけです。

空室税の導入により「実際に人が住む」状態となれば、管理費・修繕費の安定的な徴収につながるでしょう。これにより、タワーマンションの長期的な資産価値と、健全な住環境の維持が期待できます。

空室率改善による地域の活性化が期待できる

タワーマンションの居住者が増えれば、以下のような面から地域経済の活性化につながります。

  • 周辺の商業施設の利用増加
  • 公共交通機関の乗客数増加
  • 地域イベントの開催

とくに商店街や飲食店の売上増加は、地域内で消費・生産が繰り返される好循環を生みます。「参加者が増える」ことで地区ごとのイベントが頻繁に企画されるようになれば、希薄化しつつある地域のコミュニティを再生する効果も見込めるはずです。

また、人の目が増えることで安全性が高まり、防犯面からも地域の実質的な価値向上に影響するでしょう。

海外投資家からも大きな税金を徴収できる

近年、日本の不動産市場、特に都市部の高級タワーマンションは海外投資家からの注目を集めています。当然、海外投資家の大半は実際に住むことはせず、単なる資産運用として物件を購入・保有するケースがほとんどです。

タワマン空室税の導入により、こうした海外投資家からも適切な税収を得ることが可能。税収を住環境の維持・改善に活用でき、結果として市民全体の生活の質向上に寄与するでしょう。

また「金融商品」としての不動産購入に一定の制約をかけることで、「実際に住む需要」にもとづいた、健全な不動産市場の形成を促進する効果も期待できます。

神戸市タワマン空室税のデメリット・課題点

一方で、タワマン空室税の導入には多くの課題やデメリットも指摘されています。

「空室税を導入したからといって、市場が健全に推移するわけではない」というのが、多くの専門家からの意見です。詳しく見ていきましょう。

「空室の定義」があいまい

タワマン空室税を公平に運用するための最大の課題のひとつが「空室」をどう定義するかです。どのような状態を「空室」とみなし、課税対象とするのかという基準が明確でなければ、不公平な税負担が生じてしまいます。たとえば、以下のようなケースの取り扱いが問題です。

  • 転勤や介護・長期出張などの事情で一時的に不在となっている
  • 別荘のように年間を通じて一定期間のみ使用する
  • リフォーム中で一時的に居住できない
  • 賃貸に出しているが入居者が見つからない

しかし、上記のようなケースを正確に調査・判定するのは、現実的に不可能でしょう。住民登録の情報や聞き取り調査だけでは、利用実態を把握するのが困難なためです。

「実際に使用しているのに、空室と判定されて税負担を強いられた」となれば、所有者からの反発は避けられません。「居住するはずがない外国人所有者のみに課税する」など、実現可能なラインが落としどころとなるのではないでしょうか。

不動産価格下落のリスクがある

空室税が導入されれば、投資目的で保有していた所有者が物件を手放す動きが増えるでしょう。この影響で一時的に「供給過多」の状態となり、結果として神戸市内の不動産価格が下落するリスクが考えられます。「損をする前に売る」動きが加速すれば、神戸市内の不動産価格は急激に下がってしまうかもしれません。

すでにタワーマンションを購入している居住者や投資家にとって、「資産価値(不動産価格)の低下」は事実上の損失です。これから買う・入居する人にとっては良いことですが、すでに入居している人にとっては「最悪の事態」といえるでしょう。

「投資家の神戸市離れ」が進みかねない

課税強化によって「神戸市に不動産投資するメリットが薄い」と判断されてしまうと、資金が他の都市や海外へ流出するリスクがあります。東京や大阪など大都市と比べて相対的に需要の低い神戸市では、この影響が顕著になりそうです。

投資家離れは新規のマンション開発を減少させ、長期的には住宅需要・人口の減少や建設業界への悪影響などの二次的な問題を生み出しかねません。人が住まず、お金が回らなくなれば、当然神戸市の経済そのものが衰退していきます。「投資家の神戸市離れ」が「国民・県民・市民の神戸市離れ」になってしまうリスクも否定できないでしょう。

「財産権」との背反が想定される

タワマン空室税は、所有者の財産権に一定の制約を課すものです。そのため、法的な観点からの慎重な検討も必要となってきます。憲法で保障された「財産権」との整合性を図りながら、「公共の福祉」との適切なバランスを取らなければいけません

とくに、健康上の理由や海外赴任など正当な理由があって一時的に居住できない所有者に対する免除規定の整備など、個別の事情を考慮した制度設計が重要になるでしょう。

結局、神戸市のタワマン空室税は合理的なのか

「タワマン空室税は合理的でない」と、複数の専門家や有識者から意見が挙がっています。先ほど「デメリット・課題点」で解説したとおり、空室税の導入にはマイナスの側面も多いです。以下で、「合理的でない」といわれる理由を詳しく解説します。

「空室率」が改善されるのは中心部のみの可能性が高い

タワマン空室税による空室率の改善効果は、神戸市内すべてのエリアで均等に現れるとは限りません。たしかに、とくに利便性・需要の高い「三ノ宮駅周辺」のようなエリアでは、空いた部屋に住みたい人がすぐに集まるでしょう。

一方で、少し外れたエリアでは大きな変化が見られず、空室問題を解決するどころか「所有者のいない空き部屋」となってしまうリスクがあります。「税負担を避けるために投資家が売却する」「しかし利便性の割に価格が高く、誰も購入しない・住まない」という負のループに陥ってしまうためです。「課税すれば空室がなくなる」という簡単な問題ではないことが分かります。

投資目的で購入される物件で「廃墟化」は起こり得ない

タワマン空室税導入の主な理由のひとつが「廃墟化」の防止です。しかし、投資目的で購入された高級タワーマンションが本当に廃墟化するリスクがあるのか、という点には疑問の声があります。とりわけ「キャピタルゲインを得たい投資家」にとって、物件の資産価値の維持は最優先事項のはずだからです。

また、万が一市場価値が下がれば売却する選択肢もあるため、放置による極端な劣化は考えにくいという意見もあります。「空室税の導入で住環境を長期的に維持・改善する」方針そのものが、そもそも的外れなのかもしれません。

令和5年の法改正で実質増税となった「低廉な空き家」とは性質が違う

近年、全国的に問題となっている「空き家」と、タワーマンションの「空室」は本質的に異なります。とくに令和5年の法改正で課税強化された「低廉な空き家」は、老朽化や管理不全により周辺の住環境に悪影響を及ぼすリスクが高いものでした。

一方、タワーマンションの空室は共用部分の管理が継続され、外観上の問題はほとんどありません。たとえ所有者が変わったとしても、すぐに人が住める状態が維持されています。つまり「そもそもタワマンが空き室になること自体、住環境には何の問題もない」と考えるのが妥当です。

空き家はれっきとした社会問題として認識されていますが、果たしてタワーマンションの空室も同様に扱い、同じように課税強化をすべきなのでしょうか。どうにも「マイナスの影響のほうが強い」ように感じられます。本当に空室税が導入されるのか、今後の動向に注目です。

まとめ

神戸市が検討中の「タワマン空室税」は、主に投資目的で購入され空室となっているタワーマンションに課税する全国初の試みです。この税制が導入されれば、管理費・修繕費不足による「廃墟化」の防止や地域の活性化、海外投資家からの適切な税収確保などのメリットが期待できます。

一方で「空室の定義」のあいまいさや不動産価格下落のリスク、投資家の神戸市離れが進む懸念など、多くのデメリットや課題も指摘されています。「空室税」の導入が神戸市の住環境向上や持続可能な発展につながるかどうかは、現時点での判断が難しい状況です。今後の動向をチェックしておきましょう。

この「空室税」のニュースを受け、不動産投資の方針にお悩みがある方は、当社の不動産投資コンサルタントへの無料相談をお気軽にご利用ください。最新のニュースやトレンドを押さえた専門家の視点から、適切な投資方針のアドバイスをいたします。

この記事の執筆: 及川颯

プロフィール:不動産・副業・IT・買取など、幅広いジャンルを得意とする専業Webライター。大谷翔平と同じ岩手県奥州市出身。累計900本以上の執筆実績を誇り、大手クラウドソーシングサイトでは契約金額で個人ライターTOPを記録するなど、著しい活躍を見せる大人気ライター。元IT企業の営業マンという経歴から来るユーザー目線の執筆力と、綿密なリサーチ力に定評がある。保有資格はMOS Specialist、ビジネス英語検定など。

ブログ等:はやてのブログ

この記事の監修: 不動産投資コンサルタント 釜田晃利

老舗不動産投資会社にて投資用区分マンションの営業マンとして約10年間従事したのち、2015年にストレイトライド株式会社にて不動産事業をスタートしました。現在は取締役として会社経営に携わりながら、コンサルタントとしてもお客様へ最適な投資プランの提案をしています。過去の経験と実績をもとに、お客様としっかりと向き合い、ご希望以上の提案が出来るよう心がけています。

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