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TSMCはなぜ熊本に新工場を建設? 半導体需要や経済の変化について解説!

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台湾の半導体メーカーTSMC(台湾積体電路製造)が、熊本に新たな工場を建設することで話題となりました。投資額は約9,800億円で、ソニーグループ・デンソーグループと連携して熊本県の菊陽町に工場を建てる計画です。

世界的に半導体不足が問題となった中で、日本の中でも熊本が進出先に選ばれたことを不思議に思う方も居るのではないでしょうか。また、この工場設立が日本経済に及ぼす影響が気になる方も居ると思います。

そこでこの記事では、半導体メーカーのTSMCについての基礎的な情報から、熊本進出の背景と日本経済に与える変化を解説します。ぜひご一読ください。

半導体メーカーTSMCとは

半導体の製造専門会社であるTSMC(台湾積体電路製造)は、時価総額93兆円で世界9位に位置する巨大企業です。半導体の受注生産を行う企業がなぜここまで躍進したのか、急増した半導体需要と合わせて見ていきましょう。

TSMCが躍進した背景

半導体の先端技術は「いかに小型化するか」の追求であり、10年前は20nm台だった半導体のサイズは現在3nm〜5nmまで縮小しています。小型化のプロセスにあたり、競合であるインテルに技術力で打ち勝ったのがTSMCでした。

TSMCは請負生産型の企業であるため、発注元の企業があって仕事が成り立ちます。実際にTSMCはAppleやNVIDIAといった大企業が顧客となっており、iPhoneやパソコンのGPUに必要な半導体をTSMCに製造委託してきた背景があります。

やや専門的な話となりますが、半導体産業は販売・材料開発・製造装置の開発と管理・本体の設計・本体の製造という工程に分かれます。

同じ半導体メーカーとして知られるNVIDIAやAMDは半導体の設計を行う「ファブレス企業」であり、TSMCはファブレス企業に委託されて製造を行う「ファウンドリ企業」です。

Intel・NVIDIA・TSMCは半導体業界でどんな役割を果たしているのか?

Intel・NVIDIA・TSMCは半導体業界でどんな役割を果たしているのか?

出典同上

また、設計と製造の双方を行う企業は「IDM」と呼ばれ、先述のintelはこちらに分類されます。

Intel・NVIDIA・TSMCは半導体業界でどんな役割を果たしているのか?

出典同上

すなわち、製造専門であるファウンドリ企業として半導体産業で躍進したのがTSMCです。

TSMCと半導体需要

スマートフォンやGPUをはじめとして、半導体は我々が日常で用いる多くの電子機器にとって必須の部品となっています。新型ウイルスの影響によるスマートフォンやパソコンの需要の増加と半導体生産ラインの滞りが相まって、世界的な半導体不足に見舞われました。

ただし、「2022年も半導体不足は続く」と予想された一方で、2022年下半期には半導体不足は解消の動きが見られました。世界半導体統計(WSTS)は「2022年秋季半導体市場予測」にて、2022年の半導体市場は前年比4.4%増だったものの、2023年は前年比4.1%減となる見通しを発表しています。

縮小の理由としては、電子機器の集積回路(IC)用途での半導体需要の低迷が挙げられます。特にPCやスマートフォンのメモリー部分は前年比ー12.6%減となっており、コロナ禍でのテレワークによる半導体需要の加熱が収束したことが伺えます。

一方、ディスクリートやオプトエレクトロニクスといった自動車や産業機器用途での半導体需要は堅実で、2023年も市場拡大の見通しであることが上記の表から分かります。バブル的な半導体需要は一旦の収束を迎えるものの、依然として半導体需要が継続すると予測されます。

TSMCは世界の半導体生産の約半分を担うとされており、2023年以降も継続的で安定した半導体生産を世界中から求められています。

TSMCが熊本に進出した理由

既に本社のある台湾を中心に半導体の生産ラインを持つTSMCですが、2022年には熊本への工場進出が話題となりました。TSMCがなぜ新たな工場として熊本を選んだのか、その理由を見ていきましょう。

熊本の地理的な強み

TSMCのある台湾では、2021年の大干ばつにより深刻な水不足が起こりました。雨期の短さやラニーニャ現象による降雨量不足で、特に台湾北部ではダムの貯蓄量が5%台まで減少する地域もありました。

半導体生産には大量の水が必要であるため、2021年の干ばつは半導体市場への影響が懸念されました。実際には10万エーカーに渡る農地の灌漑用水を止めることで、家庭や工場に必要な水を確保できましたが、農業にしわ寄せが来る形となったため問題の根本解決が急務となりました。

こうして水不足が問題化する中で、台湾と距離的に近く、水資源が豊富な熊本が注目されました。熊本は生活用水の8割が地下水であり、特に水道水の100%が地下水でまかなわれています。熊本の地下水は阿蘇の外輪山から20年掛けて地下を流れているとされ、環境省の「名水百選」に選ばれた4つの水源と相まって、豊富な水の供給が可能です。

また、アメリカー中国間の緊張が熊本進出の後押しとなったとの見方もあります。台湾の半導体産業はアメリカの台湾攻撃を抑制する「シリコンの盾」と呼ばれ、台湾人からTSMCは「聖なる山」と呼ばれています。

アメリカのIT企業がTSMCに半導体の製造を依拠しているのは、先述のようにTSMCが半導体メーカーに委託されて製造を行うファウンドリ企業であるためです。この製造の委託先をアメリカ国内で代替し、サプライチェーンがアメリカ国内で完結すれば、台湾への半導体依存が解消され「シリコンの盾」は効力を失います。

そうした台湾リスクを考慮した結果、中立的国家である日本に工場を設けるのは地政学的なリスクヘッジとして頷けるものです。日本は国際的に複雑な立ち位置ですが、経済的には他国の管理下にない自由があります。そうした国にTSMCの生産工場を設けることは、アメリカに半導体シェアを根こそぎ奪われないための牽制球のようにも受け取れます。

日本の半導体メーカーとの連携

豊富な水源と台湾リスクに加え、日本の半導体メーカーの存在も熊本進出の理由と見られます。

先述のように、半導体生産には材料メーカーや製造装置の開発・管理企業が必要で、TSMC単体では半導体の生産を行えません。九州には多くの半導体関連企業があるため、半導体の生産ラインとして九州が選ばれたと考えられます。

九州北部は半導体生産拠点として「シリコンアイランド」と呼ばれた歴史があり、現在でも多くの半導体関連企業が事務所や工場を構えています。九州経済産業局の「九州半導体関連企業サプライチェーンマップ」からは、九州一帯に半導体の主要企業や工場が分布していることが分かります。中でも熊本と福岡に集中傾向にあり、福岡には今回のTSMCの熊本進出をサポートするソニーグループの半導体企業も存在します。

TSMC進出による日本経済の変化

TSMCの熊本進出にあたり、9,800億円の投資額が動きます。半導体工場の新設に伴い人員不足が予測されており、雇用や教育の面でも経済的な波及効果が予想されます。TSMCの熊本進出が日本経済に与える影響をご紹介します。

日本政府による約4,000億円の補助金

投資額の約半分は日本政府からの補助金となります。政府は日本の半導体産業の復活に協力的であり、岸田首相も「経済安全保障にとって大変重要」と述べています。

経済産業省は過去に半導体工場の誘致を目指してきた背景があり、2020年にはTSMCとIntelの双方に工場誘致の交渉を行ったことが明らかとなっています。ソニーとTSMCが台湾の工場にて共同生産しようと計画していたイメージセンサーチップの生産を、日本で進めるよう経産省が促したとの見立てもあります。先述の熊本進出の理由には、経産省の交渉も含まれるかもしれません。

いずれにしても、日本政府は半導体産業の復活を日本の経済を支える一つの要と見なしており、協力を惜しまない姿勢であることが分かります。4,000億円の補助金を含む半導体産業支援の予算は、8,000億円に及ぶとされています。また、経済効果は1.3兆円との予測もあります。日本経済に少なからず変化を及ぼす土壌は、日本政府主導で整備されていると言えるでしょう。

半導体工場での雇用の創出

半導体工場の新設により、短中期的に6,000人もの雇用が創出されると言われています。工場の安定した操業と先端技術の研究開発のために多くの人材が必要であり、関連企業の雇用が促進される見通しです。

熊本大学は半導体人材の教育に向け、新たな学部の設立を発表しました。工学部半導体デバイス工学課程は、令和6年度に開設される予定となっています。

他の半導体メーカーも追従

TSMCの進出を皮切りに、国内の半導体関連企業の九州への進出が相次いでいます。

半導体の製造設備の保守管理を行うジャパンマテリアルは、TSMCにガス設備を供給するため熊本に工場を取得しました。半導体製造の温度調節装置を開発する伸和コントロールズは、修理サービスを行う拠点を長崎に新設しています。TSMC進出をきっかけに肥後銀行が台湾の玉山銀行との提携を発表しており、日台における金融サービスのシナジー効果が見込まれます。

国際的な緊張が危惧される2022年となりましたが、半導体産業が日台の交流促進と経済活性化の一手を担うことが予想されます。

まとめ

今回の記事では、TSMCの熊本進出について解説しました。一企業の工場新設が日本経済に少なからず影響を与えるという出来事は、経済に興味のある方には今後の展開も含めて要チェックのトピックです。

当サイトでは今後も投資や経済に関するトピックの解説記事を記載しますので、引き続き新たな記事でもお会いできれば幸いです。

この記事の監修: 不動産投資コンサルタント 釜田晃利

老舗不動産投資会社にて投資用区分マンションの営業マンとして約10年間従事したのち、2015年にストレイトライド株式会社にて不動産事業をスタートしました。現在は取締役として会社経営に携わりながら、コンサルタントとしてもお客様へ最適な投資プランの提案をしています。過去の経験と実績をもとに、お客様としっかりと向き合い、ご希望以上の提案が出来るよう心がけています。

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