ChatGPTで不動産業界が劇的に変化!?3つの活用事例と今後の予想を紹介
- 更新:
- 2023/12/01
最近よく聞く自然言語対話サービス「ChatGPT」。書類作成や調べ物などの「定型業務」を中心に活用する企業が多くなってきました。もちろん不動産業界も例外ではなく、活用企業は増え続けています。
そこで今回は不動産業界におけるChatGPT活用の現状から活用事例、今後予想される活用方法について紹介。不動産業界のトレンドが気になる方はぜひチェックしておきましょう。
- 「不動産業界×ChatGPT」の活用が始まっている!
- 不動産業界におけるChatGPTの活用事例
- 不動産業界でChatGPTを活用する2つのメリット
- 不動産業界でChatGPTを活用する際の2つの注意点
- 今後予想される「不動産業界 ✕ ChatGPT」の活用方法
- まとめ
「不動産業界 ✕ ChatGPT」の活用が始まっている!
まずは不動産業界における「ChatGPT」活用の現状について見ていきましょう。
そもそも「ChatGPT」とは
「ChatGPTがどんなものか、正直良く分かっていない」という方のために、最初にChatGPTの概要を簡単に解説します。すでにChatGPTがどのようなサービスかある程度理解している人は、次の「不動産業の37.9%が活用中または活用予定!」まで読み飛ばしてください。
ChatGPTとはアメリカの企業「OpenAI」が開発・公開している、ユーザーの質問に対してごく自然な対話形式で答えてくれる「AIチャットサービス」です。実際にChatGPTに「ChatGPTとは何か教えてください」と質問したところ、具体的な答えが返ってきました。
引用ChatGPT
返ってきた答えに対する質問を再度投げかければ、まさに「対話」のイメージでテキストチャットが可能です。ChatGPTはインターネット上の豊富な情報をもとに回答を返しており、たとえば下記のように「賃貸借契約書のテンプレートを作ってもらう」こともできます。
引用ChatGPT
現状のChatGPTは「情報を集めている」にすぎないので、間違った情報を吐き出してしまうこともあります。しかし「書類作成」や「調べもの」など、さまざまな分野で役に立つツールであることは間違いないでしょう。
不動産業の37.9%が活用中または活用予定!
2023年9月、不動産テック7社と全国賃貸住宅新聞が不動産関連事業者1,436名に行った「不動産業界のDX推進状況調査」の結果によれば、現状37.9%の不動産事業者が「ChatGPTを活用している」または「活用を検討している」と回答しました。
引用PRTIMES
活用中の事業者は1割未満にとどまりますが、活用検討段階にある事業者は約3割にのぼります。今後、ChatGPTを活用する不動産事業者の増加はほぼ間違いないといえるでしょう。
「情報収集」や「物件紹介文作成」などの用途で活用
同調査では「ChatGPTを活用している・活用を検討している」と回答した不動産関連事業者の半数以上が、「情報収集」や「物件の紹介文などの作成」といった用途でChatGPTを活用していると分かりました。
引用PRTIMES
そのほかにも「書類作成」「Excelの確認」など、どちらかというと「定型的な業務」で多く活用されているのが分かります。とはいえ「広告クリエイティブの作成」「記事の作成」などの用途でも活用されているため、定型的でない応用業務に活用する事業者が徐々に増えてくるかもしれません。
不動産業界におけるChatGPTの活用事例
不動産業界における3つのChatGPT活用事例を紹介します。
- 入居者向けアプリへの組み込みで問い合わせ工数減
- 自然言語での住まい探しを実現
- 「AI営業担当」の設置で投資家ニーズにも対応
それぞれ見ていきましょう。
事例①:入居者向けアプリへの組み込みで問い合わせ工数減
東京都の不動産事業者「株式会社アンビション」では、入居者向けアプリにChatGPTを組み込んで問い合わせ工数の減少に成功しています。賃貸物件の解約や更新などの連絡、そしてその手続きまでアプリで完結できるようになりました。
書類の往復が多く、工数がかかる賃貸借契約書のやり取りがラクラク完結します。不動産事業者にとっての工数削減はもちろん、同時に顧客の手間も軽減できる優れた仕組みといえるでしょう。
事例②:自然言語での住まい探しを実現
東京都の不動産事業者「株式会社LIFULL」では、2023年6月10日よりChatGPT向けプラグインの提供をスタートしています。自社ではこのプラグインを活用し、LINEで住まいの相談ができる「AIホームズくんBETA LINE版」をリリース。消費者は24時間・365日いつでも自然言語で住まい探しができるようになりました。
参考PRTIMES
たとえば「○○駅付近のワンルームで家賃〇円以内、ユニットバスでない物件を探したい」とチャットで送れば、条件に合致した物件を返してくれます。思いついた条件を追加で送り、さらに物件を絞り込んでいくことも可能です。ChatGPTの活用により、理想の住まい探しはより一層便利になっていくでしょう。
事例③:「AI営業担当」の設置で投資家ニーズにも対応
札幌市の不動産マーケティング事業者「株式会社RealtyBank」では、不動産事業者向けのChatGPTを搭載したAIチャットボットサービス「不動産AIチャット」を提供しています。「不動産AIチャット」を使えば、知識がなくても企業独自のAIチャットボットを設置可能です。
賃貸物件を探す消費者のお部屋探しを手伝えるのはもちろん、チャットボットの作り方次第では投資家の収益物件探しや利回り計算などもアシスタントできます。知識・経験が豊富な社員のノウハウを詰め込み、その社員の分身的な存在を作り上げることも不可能ではありません。
不動産業界でChatGPTを活用する2つのメリット
不動産業界でのChatGPTの活用には、下記2つのメリットがあります。
- 顧客満足度の向上
- 効率化による働き方改革の実現
それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
メリット①:顧客満足度の向上
ChatGPTを活用すれば今までにない下記のようなサービスを提供し、顧客満足度を向上できます。
- 24時間・365日のAI問い合わせ対応
- 賃貸・収益物件のAI検索
- オンライン内見時のAI接客
企業独自のAIチャットボットの設置により、24時間・365日対応のきめ細かい問い合わせ対応サービスを容易に提供できるようになります。AIを駆使した今までより高機能な検索機能の提供や、現地に行かずに物件の中を見られる「オンライン内見」時のAI接客も可能です。
つまりChatGPTの活用で顧客の利便性・安心感アップが実現し、総じて顧客満足度向上につながる可能性が高いでしょう。
メリット②:効率化による働き方改革の実現
ChatGPTの活用により、下記のような「定型業務」は大幅に圧縮できる可能性があります。
- 情報収集・検索
- 書類作成
- メール作成
- 営業リスト精査
簡単な検索や普段の書類作成のような業務は、ChatGPTの使い方に慣れればほとんど手間がかかりません。特別な要件でないメールの返信なども、ChatGPTに指示を出せばあらかた完成します。エクセルで作った営業リストのCSVデータを読み込ませ、情報の誤りがないか確認してもらうことも可能です。
ChatGPTを使えば、先ほどのような「人がやると手間がかかる業務」の多くを省略できます。結果的に従業員の労働時間は減り「働き方改革」の実現に近づけるでしょう。
不動産業界でChatGPTを活用する際の2つの注意点
顧客満足度の向上や効率化による働き方改革の実現など、メリットの多いChatGPTの活用ですが、下記2つの注意点があることも押さえておきましょう。
- ChatGPTの情報は古いことがある
- 知識がないと情報漏洩のリスクがある
ChatGPTを業務で活用しようと考えている方は確認しておいてください。
注意点①:ChatGPTの情報は古いことがある
ChatGPTは自分でデータを読み込ませない限り、ある特定の時点までに得られる情報しか返してくれません。無料版の「GPT-3.5」で「ChatGPTのデータはいつのものですか」と質問したところ、「2022年1月」という返答がありました。
引用ChatGPT
有料版の場合はより現在に近い情報を返してくれます(※)が、それでも時差がある学習データをベースとした返答となっています。最新の情報は返してくれない点を念頭に置いてChatGPTを使いましょう。
※2023年11月22日現在、有料版の学習データは2023年4月までのもの。
注意点②:知識がないと情報漏洩のリスクがある
ChatGPTは使い方の知識がないと情報漏洩を引き起こすリスクがあります。デフォルトの設定で無料版のChatGPTを使うと、下記のことが起きるからです。
- 入力した内容を運営(OpenAI)に送信
- AIの学習に活用
- 学習した内容を他のユーザーに出力
情報漏洩を引き起こさないためには、設定の「Data controls」を開くと一番上に出てくる「Chat history & training」をオフにする必要があります。
引用ChatGPT
上記の設定により、入力した内容は「同一のアカウント内」でのみ活用できるようになります。個人情報を多く取り扱う不動産業界では、情報漏洩を引き起こさないようにしっかりと確認しておきましょう。
今後予想される「不動産業界 ✕ ChatGPT」の活用方法
今後の不動産業界におけるChatGPTの主な活用方法として予想されるのは、下記の3つです。
- 外国人向けAIチャットボット
- 企業独自の「AIチャットボット」提供
- マーケティングオートメーションのさらなる効率化
それぞれ見ていきましょう。
活用方法①:外国人向けAIチャットボット
今後の日本では移民を中心とした外国人の増加が予想されます。不動産業界では、外国人向けのAIチャットボットサービスが展開される可能性が高いでしょう。なぜならChatGPTは日本語・英語だけでなく、他のあらゆる言語での対話を得意としているからです。
外国人がそれぞれの言語で「住みたい物件の条件」を伝えれば、AIチャットボットがあてはまる物件を返してくれます。翻訳ツールを活用したり翻訳者を採用したりしなければ難しかった外国人の接客が、ChatGPTの活用により容易になるでしょう。
活用方法②:企業独自の「AIチャットボット」提供
2023年11月に情報公開された最新の「GPTs」により、個人・企業が独自のAIチャットボットを作成するのが容易になりそうです。「事例③」で紹介したような専用のサービスを使わずに、自社の情報を組み込んだオリジナルのAIチャットボットを展開する企業が出てきてもおかしくないでしょう。
オリジナルのAIチャットボットを使えば基本的な物件情報の提供などはもちろん、独自の知識を蓄積させたAIスタッフの設置も実現可能です。もしかすると、非常に高度で顧客のニーズに対応するチャットボットを作成し、ほぼ1人で事業を切り盛りする「ひとり不動産屋エンジニア」のような存在が現れるかもしれません。
活用方法③:マーケティングオートメーションのさらなる効率化
ChatGPTは不動産業界における「マーケティングオートメーション(マーケティング活動の自動化・効率化)」の分野でも活用されるでしょう。賃貸業者の場合は受付・接客から内見までのフローをオンラインで完結させる、仲介不動産業者の場合は物件情報の提供から収益物件の運用アドバイスまでAIに対応させる、などの活用が予想されます。
もしかすると専門家によるやり取りが必要な「契約」などのフローを除き、AIですべてを完結させる企業が出てくるかもしれません。そうなれば、人間はAIが対応しきれない業務をスポット的に処理する役目を果たすことになるでしょう。
まとめ
不動産業界でもChatGPTの活用が始まっています。現状、活用している不動産事業者は1割未満にとどまりますが、活用検討中の企業が3割近いことを考慮すると、今後ChatGPTを使いこなして業務の効率化や顧客満足度の向上を図る企業が増えてくるでしょう。
現時点での不動産業界におけるChatGPTの主な用途は「情報収集」や「物件紹介文作成」のような「どちらかといえば定型的な業務」です。しかし大手不動産事業者を中心に「入居者向けアプリへの組み込み」など応用的な活用も始まっており、今後さらなる使い方の広がりが予想されます。
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この記事の執筆: 及川颯
プロフィール:不動産・副業・IT・買取など、幅広いジャンルを得意とする専業Webライター。大谷翔平と同じ岩手県奥州市出身。累計900本以上の執筆実績を誇り、大手クラウドソーシングサイトでは契約金額で個人ライターTOPを記録するなど、著しい活躍を見せる大人気ライター。元IT企業の営業マンという経歴から来るユーザー目線の執筆力と、綿密なリサーチ力に定評がある。保有資格はMOS Specialist、ビジネス英語検定など。
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