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自民党ちんたい議連が「ちんたい重点政策要望2024」を決議!新規・継続要望事項まとめ

ちんたい議連, 自民党, 重点政策要望2024

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自民党ちんたい議連(自由民主党賃貸住宅対策議員連盟)は6月7日に2024年度総会を開催し、今年度の重点政策要望をまとめた「ちんたい重点政策要望2024」を決議しました。

本記事ではこの「ちんたい重点政策要望2024」について、2024年6月14日時点で判明している内容を詳細にまとめています。不動産賃貸業界の動向が気になる方はチェックしておきましょう。

そもそもちんたい議連とは

最初に、そもそも「自民党ちんたい議連」がどのような組織なのか紹介します。すでにご存じの方は【「ちんたい重点政策要望2024」の新規要望事項まとめ】まで読み飛ばしてください。

石破茂会長率いる自民党国会議員計333人の議員連盟

自民党ちんたい議連は、2024年現在防衛庁長官の「石破茂」会長が率いる、自民党国会議員333名にのぼる議員連盟です。昭和46年5月に、全国共同住宅協会(現:全国賃貸住宅経営者協会連合会)の要請により発足されました。

ちんたい議連は不動産賃貸の領域において、貸し主(家主)・借り主のどちらかに傾倒することなく、双方のバランスを維持できる法案・制度を可決できるよう監視する役目を果たしています。

「家賃・共益費に対する消費税非課税化」などさまざまな制度の制定を推進

自民党ちんたい議連は、今ではもはや当たり前となっている「家賃や共益費にかかる消費税の非課税化」など、不動産賃貸にかかわるさまざまな制度の制定を推進してきました。消費税非課税化のほか、下記のような法案・制度の制定にもちんたい議連が関わっています。

定期借家権制度 半永久的に自動更新される仕組みだった賃貸借契約を、期間満了時に解約できる制度
みなし仮設住宅 災害で自宅に住めなくなった場合に、民間の賃貸型応急住宅が使える制度
住宅宿泊事業法(民泊新法) セカンドハウスや相続した空き家などを、年間180日まで民泊として貸し出せる法律

たとえば「定期借家権制度」の制定により、かつては不可能だった「期間を完全に決めての賃貸借契約」が可能になりました。一定期間だけ貸し出して以降は自分で住んだり、改修を加えて再度貸し出したりすることができます。立退料も不要になったため、かつてのように家主が一方的に不利にならない制度です。

このようにちんたい議連は、不動産賃貸のバランスを保つ役目を果たしてきました。毎年総会を開催し国への要望事項をまとめ、「ちんたい重点政策要望」として議題にかけています。

前提として目指すのは「人口減少に伴う空き家のストック活用」ができる施策展開

近年のちんたい議連が前提として目指すのは「人口減少に伴う空き家のストック活用」が円滑に進められるような施策を展開することです。ここ数年の「ちんたい重点政策要望」には、下記のとおり空き家活用に関する内容が冒頭に記載されています。

少子高齢社会の到来、人口減少が加速している現状、空き家・空き室 (約846万戸)の優良なストックを積極的に活用できる施策を講じること

引用ちんたい議連「2024年度予算編成及び税制改正等における要望事項」

少子高齢化により、相続した空き家を「ただ持っているだけ」のケースが増えてきました。国土交通省の資料によれば、空き家数は1993年から2023年の30年間で約2倍に増加しているのが事実です。

空き家が増えると防災性の低下や景観の悪化などさまざまな問題が生じます。また、住宅確保が難しい高齢者を収容する「公営住宅」の数にも限りがあるため、積極的に空き家を賃貸物件として活用していかなければ少子高齢化に対応できません

こうした「空き家問題」を解決しつつ、家主を不利にしない条件で高齢者向けの住まいを確保することを、近年のちんたい議連は目指しています。

「ちんたい重点政策要望2024」の新規要望事項まとめ

「ちんたい重点政策要望2024」の新規要望事項は下記の2つです。

  • 賃貸借契約の仲介手数料上限引き上げ
  • 悪質な家賃滞納者情報データベース創設の法整備

2024年6月13日時点で判明している情報をまとめています。

賃貸借契約の仲介手数料上限引き上げ

1つ目の新規要望事項は「賃貸借契約における仲介手数料の上限引き上げ」です。2024年6月現在、貸し主・借り主の双方から受け取る仲介手数料の合計金額は、宅建業法46条により「家賃1ヶ月分(+消費税)」の上限が設定されています。具体的な数値はオープンにされていないものの、この上限を引き上げてほしいという要求です。

参考e-Gov法令検索「宅建業法」

一消費者からすれば「なぜそんな要望を出すんだ」と思うかもしれません。しかし少子高齢化により、賃貸需要の低下による空室の増加や家賃相場の下落など、宅建事業者は複数のリスクを抱えています。それにもかかわらず、賃貸物件の仲介手数料は1970年から一度も変わっていません

2018年には増え続ける「空き家」への対策のため、400万円以下の物件売買における仲介手数料の上限額が「最大10万円+税」から「最大18万円+税」に引き上げられました。宅建事業者がこれからも健全な事業を続けていくためには、賃貸物件における仲介手数料の見直しも必須といえるでしょう。

悪質な家賃滞納者情報データベース創設の法整備

2つ目の新規要望事項は「悪質な家賃滞納者情報をデータベースで共有できる法律の整備」です。家賃滞納トラブルを回避するためには、そもそも滞納歴のある悪質な入居者と契約しないのがポイントになります。しかし現状、入居者の滞納歴を家主が明確にチェックする手段はありません

その一方で、もし家賃を滞納されてしまっても、今の日本の法律ではすぐに入居者を強制退去させられないのが大きな問題点です。そこで今回、悪質な家賃滞納者の情報をデータベースで共有できるようにし、家主を守れる体制を確立することを求めています。

ちなみに直近では2020年に「民事執行法」が改正され、悪質な家賃滞納者への財産差し押さえが容易になりました。財産開示請求に従わなかった場合の罰則を「30万円の過料」から「6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金」の刑事罰に変更したのが主な改正内容です。改正の背景には、下記のトラブルが頻発していたことが挙げられます。

  • 家主が滞納者に対し「財産開示手続き」を行う
  • 過料で済むことから滞納者が出頭せず、結局財産が分からない
  • 財産が分からないため、滞納者への差し押さえ(=家賃の損失の回収)ができない

とはいえ差し押さえが容易になったものの、滞納者に財産がなく、結局家主が泣き寝入りせざるを得ないケースは少なくありません。今回の新規要望事項により、そもそも滞納歴のある人をチェックできるようになれば、家主が損をするケースは減ってくるでしょう。

「ちんたい重点政策要望2024」の継続要望事項まとめ

「ちんたい重点政策要望2024」には、昨年2023年から続く「継続要望事項」も含まれています。継続要望事項は主に下記の7つです。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

民間賃貸住宅を住宅セーフティネットとして活用するにあたり必要な支援の拡充

少子高齢化および高齢単身世帯の増加に伴い、将来的に公営住宅だけでは住宅確保要配慮者(主に高齢者)の住まい確保が難しくなります。そこで2017年から、民間の空き家を賃貸住宅化しセーフティネットとして活用する「住宅セーフティネット制度」が始まりました。しかし下記のような問題があるため、無償で家主に住宅確保要配慮者を受け入れてもらうわけにはいきません

  • 家主に入居者死亡・家賃滞納による高い減収リスクを抱えさせてしまう
  • 万が一の入居者死亡時の残置物処分に手間がかかる

上記のような問題を解決し、家主にとって負担とならない形で住宅確保要配慮者の住まいを確保できるようにする、というのが本項目の内容です。すでに家主への住宅改修費補助など支援策が始まっていますが、この維持や内容の拡充が求められています。

家賃滞納者への明渡しに係る指針の明示

「家賃滞納者への明渡しに係る指針の明示」には、下記の内容が含まれています。

  • 公営住宅法には「入居者が3ヶ月以上家賃を滞納したら、契約を解除して退去させられる」旨の条項がある
  • 民間賃貸住宅についても、同様の内容を国がガイドライン等で示してほしい

上記における「民間賃貸住宅」は、住宅セーフティネットに活用される住宅確保要配慮者が入居する賃貸住宅を想定しています。公営住宅には「3ヶ月の滞納で退去」と明確に法律がある一方で、民間賃貸住宅にはありません。賃貸借契約の契約条項がケースバイケースであることから本項目の対応は難しいとされていますが、ちんたい議連は引き続き国に対応を求めています

家賃・共益費への消費税非課税の継続

1991年から、賃貸住宅の家賃・共益費は消費税非課税とすることが定められています。賃貸住宅居住者の多くが年金生活者や学生であり、その6割が平均所得以下であることから、今後の非課税の継続を求めているのが本項目です。2024年時点では家賃・共益費にかかる消費税についての言及はないため、引き続き非課税が続くとみられます。

円滑な建替え促進のための借地借家法の正当事由の見直し

建物を所有する目的で土地または建物を借りる際に適用される「借地借家法」は、戦前・戦後の住宅不足が起きていた時代にできた法律です。その背景もあって、同法は「入居者の保護」に重きを置いています。何度か改正された経緯はあるものの、現在も「家賃の滞納が続いている」などの正当事由がない限り、家主側からの一方的な賃貸借契約解約ができません。また、解約できても高額な立退料を支払わなければいけないことがほとんどです。

「単に老朽化したから建て替えたい」という理由での解約もできないことから、築年数の経った物件が増えてきました。この流れを食い止め建て替えを促進するために、解約にかかる正当事由の見直しや、立退料の助成を求めています。

中古住宅に改修工事等を施した場合に金融機関による適正な担保評価がなされるような制度の創設

現在の法律では、木造中古住宅は築20年ほどが経過すると「一律担保評価額0円」の扱いになってしまいます。これでは改修しても担保評価額が0円であることから、家主が「積極的に空き家を活用しよう」と思えないのが現状の問題点です。そこで改修工事を施した場合に、その価値を適正に評価する新制度の創設を求めています。

入居者の行方不明時の遺留品等が処分できる施策の推進

2022年に国土交通省が「残置物の処理等に関するモデル契約条項」を公開し、賃貸借契約時にあわせて締結する「残置物の処理等に関する契約」について定めています。これにより万が一入居者が孤独死しても、推定相続人または事前に指定した第三者により、円滑に残置物を処理することが可能になりました。

一方でこのモデル条項には「入居者が行方不明になった場合」が含まれていません。そのため「誰も入居者と連絡がつかない状態が続き残置物を処分したが、あとから入居者が戻ってきた」というケースが違法になってしまう問題点があります。こうなると、処分した残置物の時価総額や慰謝料などを負担しなければいけません。

認知症の単身高齢入居者が増えてくれば、長期間行方をくらまし、フラッと戻ってくるような事態が想定できます。そこで本項目では、入居者が行方不明になっても残置物等が処分できる施策の制定を求めている、というわけです。

共済掛金として全額損金処理できる大規模修繕費用の適用範囲拡大

全国賃貸住宅修繕共済協同組合により、2022年から「賃貸住宅修繕共済」の運用が始まりました。同共済により、賃貸住宅における下記の部分の大規模修繕にかかる共済掛金(積立金)が全額損金(経費)として処理できるようになったため、家主の負担が軽減しています。

  • 外壁
  • 屋根
  • 共用部

一方で居住環境の向上につながるキッチンやバスなどの「水回り設備」にかかる費用が対象でないことが懸念事項として挙げられていました。そこで水回り設備の交換・解体費用も共済掛金に含めることを求めています。家主の負担をより軽減し、空き家活用をさらに促進させるのが本項目の狙いです。

まとめ

「ちんたい重点政策要望2024」には、賃貸借契約の仲介手数料上限引き上げ悪質な家賃滞納者情報データベース創設の法整備が新たに重点政策として盛り込まれました。少子高齢化で賃貸需要が低下していく中、家主や宅建事業者を守りつつ、空き家問題や高齢者の住まい確保を進めていくことがちんたい議連の急務です。

今後見込まれる賃貸需要の低下により全国的に家賃相場も下落傾向にありますが、東京・大阪などの人口増加エリアはこの限りではありません。今後も高い賃貸需要を維持し、高めの家賃と将来の物件価値上昇が見込まれるでしょう。

当社ではこうした東京・大阪のワンルームマンションを中心とした収益物件情報を数千件保有しています。不動産投資は、エリアと物件選びさえ間違えなければ堅実な資産形成の手段です。「老後2,000万問題」など将来に不安のある方は、一度当社のコンサルタントへ気軽に無料相談ください。

この記事の執筆: 及川颯

プロフィール:不動産・副業・IT・買取など、幅広いジャンルを得意とする専業Webライター。大谷翔平と同じ岩手県奥州市出身。累計900本以上の執筆実績を誇り、大手クラウドソーシングサイトでは契約金額で個人ライターTOPを記録するなど、著しい活躍を見せる大人気ライター。元IT企業の営業マンという経歴から来るユーザー目線の執筆力と、綿密なリサーチ力に定評がある。保有資格はMOS Specialist、ビジネス英語検定など。

ブログ等:はやてのブログ

この記事の監修: 不動産投資コンサルタント 釜田晃利

老舗不動産投資会社にて投資用区分マンションの営業マンとして約10年間従事したのち、2015年にストレイトライド株式会社にて不動産事業をスタートしました。現在は取締役として会社経営に携わりながら、コンサルタントとしてもお客様へ最適な投資プランの提案をしています。過去の経験と実績をもとに、お客様としっかりと向き合い、ご希望以上の提案が出来るよう心がけています。

経験豊富なコンサルタントが
投資家目線で課題をヒアリングし、
中立の観点でアドバイスを行います。

不動産投資で成功するためのアドバイスですので、お客様のご状況によっては不動産投資をあきらめていただくようおすすめする場合もございます。あらかじめご了承ください。

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