積水ハウスのマンションが引き渡し直前に解体!理由は富士山?経緯を詳しく解説
- 更新:
- 2024/06/17
2024年6月4日、国立市の富士山が見える通り「富士見通り」に建設予定だったマンションについて、引き渡し1か月前にデベロッパーの積水ハウスが突然の解体を届出しました。もう「ほぼ引き渡すだけ」のマンションを解体するのは、業界では異例の事態です。
そこで今回はこの異例の積水ハウスのマンション解体トラブルについて、2024年6月13日時点で分かっている経緯をまとめました。また、そこから分かる今回のマンション建設の問題点を推察しています。今回の騒動の行方が気になる方は、ぜひチェックしてみてください。
積水ハウスの引き渡し直前マンション解体の経緯まとめ
積水ハウスが引き渡し直前にマンション解体を決定した今回の騒動について、経緯を詳しく見ていきましょう。
解体されるのは東京・国立市内に建設していた分譲マンション「グランドメゾン国立富士見通り」
解体されるのは、積水ハウスが東京都国立市中2丁目に建設していた分譲マンション「グランドメゾン国立富士見通り」です。地上10階建ての全18戸、価格は7,000万円台と決して極端に規模の大きいマンションではありません。しかし、積水ハウスの突然の自主的な解体届出に「なぜ?」と困惑の声が上がっています。
2023年1月着工・2024年7月の引き渡し直前だったが6月4日に事業中止を届出
「グランドメゾン国立富士見通り」は2023年に着工し、2024年7月の引き渡しを予定していました。そして今回、解体の届出がされたのは2024年6月4日です。引き渡しまで1ヶ月というところで、まさかの解体判断となりました。
国立市側が積水ハウスに対し問い合わせても、突然の解体理由についての明確な回答が得られないとのこと。市は6月12日、住民への詳細説明を求める要請書を積水ハウスに提出しており、同社はこれに対し「いただいた内容については今後検討していきます」と回答しています。
参考NHK
周辺住民から「景観が悪化する」と不安の声があがっていた
今回の「グランドメゾン国立富士見通り」の建設にあたっては、周辺の住民から「景観が悪化する」「富士山が見えなくなる」と不安の声が上がっていました。同マンションは名前のとおり富士山がよく見える「富士見通り」上に位置しており、「富士山が見えなくなる」問題は事実としてあったようです。
完成が近づいた2024年5月に積水ハウスは再調査を実施し、「景観への影響が不十分」と判断できたことから解体の決断に至っています。「富士見通りから富士山が見えない」のは、住民にとっては大きな問題だったかもしれません。しかし引き渡し直前の突然の解体に、反対していた住民すらも困惑しています。
11階建ての計画を10階建てに変更する修正も加えていたが解体に
実は住民の反対を受けて、2021年9月には「当初11階建てだった計画を10階建てに変更する」計画の修正をしていた経緯がありました。その後も住民から「さらに階数を低くして欲しい」と要望があったものの、積水ハウスは2022年1月の住民説明会で「さらなる階数の低減には応じられない」と回答しています。そして同年11月に市が建設を承認し、2023年1月に着工となりました。
このような経緯があったにもかかわらず突然の解体となったことで、住民含め関係者からは「住民からの要望があった時点で、景観への影響を再検討できなかったのか」と疑問の声が上がっています。
マンションの契約者には金銭補償を予定
このタイミングでの解体となると、当然マンションを購入する予定の人は決まっています。購入者には「手付金の2倍」の金銭的な補償をはじめ、できるかぎりの対応を行う予定です。
とはいえ自らの居住を目的として準備をしていた購入者については、すでに自宅を売却したり、今の家の契約を解除したりと準備を進めていたでしょう。そうした購入者への補償について詳細は未定です。しかしお見舞金やお詫びのような名目で補償が膨れ上がり、非常に大きな金額となるかもしれません。
積水ハウスのマンション解体は何が問題だった?
今回の積水ハウスのマンション解体では何が問題点だったのか、2024年6月13日時点で分かっている事実や、過去の事例をもとにまとめています。解体の判断に疑問がある方はチェックしてみてください。
「建築基準法」や「都市景観形成条例」への違反はない
解体される「グランドメゾン国立富士見通り」において、「建築基準法」や「都市景観形成条例」への違反はありませんでした。これらの法律・条例は、簡単にいうと下記のことを定めたものです。
- 建築基準法:建築物の敷地や構造・設備などの最低基準
- 都市景観形成条例:景観に影響を及ぼし得る行為の届出に必要な事項
最近では都市景観形成条例が定められた、重要文化財「松江城天守」のある島根県松江市においても、天守とほぼ同じ高さの高層マンション建設をめぐる住民からの反対運動がありました。本件では景観破壊を抑止するために高さ変更などの要望が出ていたものの、明確な法令・条例違反がないことから対応しない形に。最終的に「外壁をグレーに塗り替える」のみで終わっています。
こうした流れもあることから「法令や条例への違反がないのに、反対の声が上がっていたからといって、それだけで解体の判断となるのはどうなのか」と疑問が呈されています。
「ブランドイメージを損ねること」を考慮しての決断と考えられる
結局のところ、積水ハウスがマンション解体に踏み切った主な要因は「富士見通りから富士山が見えなくなることによるブランドイメージの毀損」への対応とみられます。
積水ハウスの「グランドメゾン」は、街並みとの調和を売りにした高級マンションシリーズです。「グランドメゾンが街並みと調和できない」となれば、大きくブランドイメージを損ねることもあり得ます。積水ハウスが6月11日にリリースしたお知らせにも「富士見通りからの眺望を優先した」旨の記載がありました。
完成が近づき、建物の富士山に対する影響が現実的になり建物が実際の富士見通りからの富士山の眺望に与える影響を再認識し、改めて本社各部門を交えた広範囲な協議を行いました。その結果、現況は景観に著しい影響があると言わざるを得ず、富士見通りからの眺望を優先するという判断に至り、本事業の中止を自主的に決定いたしました。
一方で、18戸あった同マンションは、解体を判断した時点で数戸の売れ残りがあったようです。明確な積水ハウスからの説明はありませんが「売れ残りにより採算が取れなかったのではないか?」との意見もあります。
過去の国立市の14階建てマンションをめぐった行政訴訟では住民側が敗訴
過去にも国立市では1999年から10年以上にわたって、14階建ての新築マンションをめぐって住民とのトラブルがありました。概要は下記のとおりです。
- 1999年にある不動産会社(以下、A社)が20階建てのマンション建設計画を立てる
- 1国立市都市景観形成条例の制限にはあたらず、国立市は建設を許可する
- 1反対住民が景観破壊を訴え市に要望書を出したことから、A社はマンションを14階建てに減らすことを公表する
- 1以降も反対運動は続いたが、2000年にA社はそのままマンションを竣工させる
- 12001年に反対住民が都に対し撤去命令を求める行政訴訟を起こしたものの、最終的には住民が敗訴した
※A社が国立市に遅延損害の賠償を求める裁判を起こすなど、このトラブルは2017年ごろまで終結しませんでしたが、この件については割愛します。
つまりこの件では「違法性や条例違反がなかった」ことから、最終的にA社はマンションを建設するに至りました。今回の積水ハウスの解体騒動も、同様に違法性・条例違反はありません。それにもかかわらず解体の判断まで至ったことには、「富士山が見えない」以外の理由があったと推察できます。
着工前にストップを判断できなかったことには疑問も残る
違法性・条例違反は一切なかったものの、景観破壊の問題は着工までの時点である程度予想がつくもの。住民からの反発も激しく、何らかのトラブルが起きることは予想できたはずです。業界大手の積水ハウスが、着工の前段階でストップの判断ができなかったことには疑問が残ります。今後、なぜ直前のタイミングで解体の決断に至ったのか、より詳細な説明はあるのでしょうか。
積水ハウスのマンション解体騒動へのネットの反応まとめ
X(旧Twitter)から、今回の積水ハウスのマンション解体騒動への反応をまとめました。
本当に理由は富士山だけだったのか
富士見通りのマンション解体のニュースが出てから、テレビでも連日伝えられるけど、本当に富士山だけが理由なのかな?と思ってる人はたくさんいるだろうな。景観や日照なんて、計画の段階で充分にわかってるはずだもの。何か隠さなくてはいけない理由があるのだろうか。
引用X
「本当に解体の理由は富士山だけだったのか」と疑問を呈する声がもっとも多くみられる印象です。住民からの反対の声が上がっていたとはいえ、グランドメゾン国立富士見通りは建築基準法や都市景観形成条例の条件をクリアし、あくまで合法的に建設されています。
事実、同マンションは18戸のうち数戸が売れ残っていた背景があり、それが「富士山」以外の理由ではないのかと推察できます。資金力のある積水ハウス的には「解体で丸く収まった」のかもしれませんが、業界への影響を考慮して、詳細な事情の説明が必要でしょう。
業界のマンション建設にマイナスの影響を与えてしまう
積水ハウスは業界全体の影響も考えるべきだったな。
完成間近のマンション解体なんて前例を作ったらマンション建設にどれだけ影響が出る事か。近隣にマンションができるのは誰だって嫌。
でも土地を買う時に近隣環境が変わるのはわかってて買ってるから仕方ない。
引用X
「異例の引き渡し直前の解体は、マンションの建設に少なからずマイナスの影響を与えてしまう」との声も多くありました。
今回の事例は「住民が強く反対すれば、無理矢理に開発行為をストップさせられる」前例を作ってしまったといえます。国立市内はもちろん、景観破壊が懸念される地域へのマンション建設で「積水ハウスは解体してくれたんだけど……」と同様のトラブルが起こり得るでしょう。
そうなれば、そもそもマンションデベロッパーがリスクのある地域に手出しをしづらくなります。さらに、その地域の人口収容力を落としてしまい、将来の発展が見込めなくなってしまう可能性も否定できないでしょう。マンションデベロッパーのリスク増大が、地域経済にもマイナスの影響を与えてしまうかもしれません。
この事例が許されたら「住民説明会で合意があったか」がマンションの価値に影響してしまう
例の新築マンション解体の件
この件によって住民説明会の開催が重要性を帯びてくるとしたら
市場がてぇへんなことになりますわ
マンデベは仕入時に住民説明会の可決を停止条件にせざるをえませんし
区分でも一棟でも購入するエンドからしたら住民説明会を開いたかで商品価値が変動しますわ
引用X
今回のような事例が許されるなら、「マンションデベロッパーがしっかりと住民説明会で住民への合意を取っている」ことが、買い手にとっての判断材料になります。「住民説明会での合意がない=解体リスクがある」と判断できるためです。今回の事例では住民説明会こそ複数回開いていたものの、着工時点でも住民から反対の声が多く上がっており、合意が取れていたとはいえない状況でした。
今後の新築マンション選びでは、表面的な物件の条件だけでなく「マンション建設の背景」も懸念点になってくるでしょう。このことから不動産投資においてリスクを回避するには、すでに入居者がいる「中古マンション」を選ぶのが得策です。
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まとめ
今回の引き渡し直前のマンション解体騒動は、業界では異例の事態です。「富士山が見えない」こと以外の理由は発表されておらず、積水ハウスによる詳しい説明が求められています。このままでは今後「住民の反対による解体リスク」を懸念して、都市景観形成条例がある地域での開発行為を検討するデベロッパーが減ってしまうかもしれません。
なお当社でも不動産投資用のマンションを取り扱っていますが、ほとんどの物件が「中古マンション」です。すでに建設されており人が住んでいる中古マンションなら、今回のような解体トラブルに巻き込まれる心配は「ほぼ0」といっても過言ではないでしょう。
もし「不動産投資を始めようと思っていたけど、今回のようなトラブルが不安で手を出せない……」とお悩みなら、当社の無料相談をご利用ください。当社が保有する数千件の物件情報から、あなたに合ったリスクの低い物件をご提案します。

この記事の執筆: 及川颯
プロフィール:不動産・副業・IT・買取など、幅広いジャンルを得意とする専業Webライター。大谷翔平と同じ岩手県奥州市出身。累計900本以上の執筆実績を誇り、大手クラウドソーシングサイトでは契約金額で個人ライターTOPを記録するなど、著しい活躍を見せる大人気ライター。元IT企業の営業マンという経歴から来るユーザー目線の執筆力と、綿密なリサーチ力に定評がある。保有資格はMOS Specialist、ビジネス英語検定など。
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