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不動産投資を法人化したほうがいいタイミングや節税効果について

執筆者:釜田晃利不動産投資コンサルタント

大学で4年間不動産について学び、老舗の投資不動産会社にて区分マンション販売の営業として10年間従事したのち、2015年にストレイトライドで不動産事業をスタートしました。取締役として経営に携わりながら、不動産投資コンサルタントとして営業活動を行っています。高校を卒業してから約15年(2018年1月現在)にわたり、不動産業界一筋で仕事に取り組み、もう不動産しか知らない、不動産のこと以外わからない、そんなキャリアになります。

不動産投資の事業規模が大きくなってくると、法人を設立して運用したほうが節税になります。これは「法人化」と呼ばれ、不動産投資を行ううえでの節税術として、是非知っておきたい知識です。

「事業規模が大きくなってくると」とは、具体的にはどのくらいなのでしょうか?また、メリットがあればデメリットがつきものですが、法人化することによるデメリットはあるのでしょうか?

ここでは、不動産投資の「法人化」について説明します。

なぜ法人化すると節税になるのか

そもそも、なぜ法人化することによって節税になるのでしょうか?

その理由は、個人と法人の税率の違いによります。不動産投資の利益にかかる税金は、個人は所得税、法人は法人税です。所得が少なければ個人のほうが税率は低いですが、一定以上になると法人のほうが低くなります

個人の所得税は、所得が増えれば増えるほど税率が上がっていく超過累進税率です。所得が少ないうちは税率が10%や20%程度なのですが、課税所得が1800万円を超えると40%、4000万円を超えると45%にまで上がります。
実際は住民税も加わるので、税率はこれよりも高くなります(住民税も累進課税)。

一方で法人税率は、23.4%です。資本金1億円以下の法人は、課税所得800万円以下だと軽減税率の15%になります。不動産投資のための法人設立であれば資本金1億円以下でしょうから、15%または最大で23.4%の税率です。個人の所得税の最大45%と比較すると、課税所得が高くなるほど法人のほうが節税になることがおわかりいただけることでしょう。
実際は法人住民税や事業税も加わるので、税率はこれよりも高くなります。

なお、法人税は下がっていく傾向にあります。2015年度の税制改革で25.5%から23.9%に下がり、さらに2016年度23.4%になりました。2018年度以前23.2%にまで下がることになっています。不動産事業を拡大していくのであれば、法人を設立したほうがますます特になるのです。

【所得税率】(2015年以降)
課税所得 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超~330万円以下 10% 97,500円
330万円超~695万円以下 20% 427,500円
695万円超~900万円以下 23% 636,000円
900万円超~1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円超~4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円
【法人税率】(資本金1億円以下の場合 2016年度以降)
課税所得 税率
800万円以下 15.0%
800万円超 23.4%*

*2018年度以降は23.2%に下がる

法人化したほうが得になる収入ラインは?

それでは、結局収入がいくら以上になったら法人化すればいいのでしょうか?

多くの場合、法人化したほうが節税になるは、課税所得900万円~1000万円以上が目安ラインです。この「課税所得」は不動産事業だけでなく給与所得も含まれますので、サラリーマンであれば年収1500万円前後が目安になります。

税金は様々な要素によって決まるので「課税所得◯◯万円以上なら」と簡単に言うことはできません。目安の収入に届きそうになってきたら、早めに税理士に相談することをお勧めします。

法人化によってできること

法人化すると、法人税率が適用されるだけでなく、個人ではできなかった様々な節税対策や融資対策を行うことができます。

より多くのものを経費にできる

個人は、事業に直接関係のある支出のみを経費にできますが、法人は、法人が行った業務行為を経費にできます

具体的には、個人はできず法人なら経費にできる主なものは、以下です。

家族を役員にして役員報酬を支払う

法人ですので、家族を役員にすることができます。そして仕事をしてもらえば、役員報酬を支払うことができます。
役員報酬にももちろん課税されますが、課税所得が分散されることによって、低い税率が適用されます。役員を増やすほど小さく分散され、節税効果は高まります。

退職金を積み立てる

法人は、代表取締役や役員への退職金を支払うために積み立てることができます。この積立金はすべてが損金扱いになるので、法人の課税所得を圧縮することができます。
退職金を受け取れば個人の所得税の対象ですが、退職金は控除額が大きいので、二重の節税効果を生みます。

より多くの保険料を経費にできる

個人は保険の支払いのうち経費にできるのは最大12万円までです(生命保険、個人年金保険、介護医療保険それぞれ4万円まで)。一方で、法人は保険を経費計上するのに上限はありません。保険料が大きくなればなるほど経費計上できる金額も大きくなり、節税できます。

減価償却費の調整ができる

減価償却とは、不動産の取得費用を数年間に分割して経費計上することです。仮に1500万円の物件を10年間で減価償却する場合、1年あたりの経費は150万円です。減価償却費は不動産事業の経費の中でも金額が大きく、時に会計上の赤字・黒字を左右するほどの影響力があります。

個人の場合、減価償却費は計算式にのっとった金額を全額計上することになりますが、法人の場合はその金額を上限として調整することができます
これがなぜ節税になるのかについて、例をあげて説明します。減価償却費が100万円の物件で、年間家賃収入が70万円だったとします。個人だと-30万円の赤字になりますが、法人なら焼却費を50万円などにして黒字にすることができます。黒字のほうが金融機関への印象が良くなるので、その後の融資に有利な影響を与えます。

損失の繰越が9年間になる

個人でも法人でも、年間の収支がマイナスであれば赤字分を翌年に繰り越し、次年度以降の利益から差し引くことができます。この繰り越し年数は、個人だと3年間なのですが、法人だと9年間もの期間、繰り越すことができます。

法人化のデメリット

見てきたように、法人化することによってできる範囲が広がり、多くのメリットがありますが、逆にデメリットもあります。

費用負担が増える

法人化すると、様々なコストがかかります。法人設立には約25万円~30万円の費用がかかりますし、赤字の年でも法人住民税が7万円かかります。それ以外にも税理士費用など、個人では発生しなかった費用が出てきます。

そして、個人で購入した不動産は、法人への所有権移転時に、再び不動産取得税を支払う必要があります。同じ税金を二重に支払うことになるわけです。

また、費用負担とは異なりますが、青色申告の所得税控除65万円は個人だけなので、法人はこの控除は適用されません。

法人のお金は個人で勝手に使えない

法人として上げた税引き後利益は、法人の余剰金であり、社長であるあなたのものではありません。そのため、個人事業のように自由に使うことはできません。使えるのは、あくまでも役員報酬として支払われた金額だけです。

それならば役員報酬を多く設定すればいいのかというと、そうもいきません。役員報酬が多くなればあなたの個人所得が増え、所得税率が高くなってしまいます。節税目的で法人化したのに、税金が高くなるのは本末転倒です。

長期保有後の売却益にかかる税金が高くなる

売却益にかかる税金(譲渡税)の税率は、法人は30%前後なのですが、個人は物件の保有年数により変化します。そして、5年以上保有した場合、法人のほうが個人よりも税率が高くなります

個人の場合、所有期間が5年以内だと短期譲渡となり、税率は約39%です。これが5年を超えると長期譲渡となり、税率は約20%にまで下がります。法人の30%よりも低く、長期保湯後の売却は個人のほうが得です。

まとめ

いかがでしょうか。課税所得が900万円~1000万円くらいになったら法人を設立した方が税率を低くすることができ、個人ではできなかった経費計上や融資対策が行えるようになります。
一方で費用負担は増え、事業収入を自由に使えなくなるという制限も出てきます。不動産取得税を二重に支払うのも、抵抗感があるでしょう。

とはいえ、不動産事業を拡大していくのであれば、所得税の超過累進税率と法人税率との差はどんどん開いていきますので、法人化によるデメリットなど大したものではなくなります。どのタイミングで法人を設立するかを検討しつつ、不動産投資を進めていってください。

【参考記事:初めてのワンルームマンション投資で失敗しないための基礎知識

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