不動産投資の有料セミナーは危険?不動産投資会社から見たリスクを解説します!
- 更新:
- 2023/10/09
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ここ数年で、不動産投資への熱意が世間的に高まってきたこともあり、有料でセミナーや勉強会を開催する業者や投資会社が増加しています。
2018年には、いわゆる「かぼちゃの馬車事件」や株式会社TATERU(当時)による預金通帳改ざんなど、不動産投資にまつわる多くの不祥事がありました。この報道がまだ記憶に新しいことから「不動産投資を始める前に基礎知識を身に付けておこう」と考える方が増えるのは当然の流れとも言えるでしょう。
一方で、不動産投資を始めたい方の学習意欲や知識の少なさにつけこんで、高い受講料を取って利益を上げようとするセミナー主催者がいるのも事実です。
本記事では、まず有料の不動産投資セミナーや勉強会でどのようなことが行われているのかを解説します。そして、有料のセミナーや勉強会が持つ顕著な特徴や参加するリスクを詳しく解説。最後に、セミナーや勉強会以外で不動産投資について学べる方法を紹介します。
有料の不動産投資セミナーや勉強会の安全性が気になっている方や、不動産投資について学びたいと考えている方は、最後までご一読ください。
- 有料不動産投資セミナーの内容
- ここに注意!怪しい不動産投資セミナーの特徴3選
- 有料の不動産投資セミナーに参加することで想定される3つのリスク
- 不動産投資セミナーを通じて物件を購入し裁判となったケース
- 不動産投資のセミナーや勉強会に参加しなくても学ぶ方法
- まとめ
有料不動産投資セミナーの内容
不動産投資の有料セミナーや勉強会では、どのような内容が行われているのでしょうか。セミナーや勉強会の内容を受講したことがない方にもわかるように、一つずつ解説します。
①有名講師による授業
不動産投資の有料セミナーや勉強会では、不動産投資の有名講師によるセミナー形式の授業が実施されます。ある意味セミナーや勉強会の「目玉」とも言える内容です。授業は数人 〜 十人程度の少人数制で行われることがほとんど。講師との質疑応答もあり、双方向でコミュニケーションを取れる点が人気です。
不動産投資を始めようとする人であれば「どうせなら、実際に不動産投資で成功している有名講師の話を聞きたい」という方も多いことでしょう。特に、ネットで名前が出ていたり、本を書いている講師が登壇する場合、さらに人気が上昇します。
②オリジナルシミュレーションツールの配布
不動産投資の有料セミナーや勉強会では、主催企業が作成したオリジナルのシミュレーションツールが配布されます。このツールを目当てに、セミナーに参加する方もいるくらいです。
不動産投資を検討している方にとって、実際に物件を持つことでどれだけ利益が出るか、どれだけの税金を軽減できるかが、最も気になるところです。そこで、勉強会では主催者オリジナルのシミュレーションを特典として参加者に渡し、その使い方についての講座を併せて開催します。
実際、参加者のほとんどが、紹介された物件のキャッシュフローを自身でシミュレーションするためにツールを活用しています。
③講師による個別相談会
不動産投資セミナーや勉強会の大きな柱となるのが、「個別相談会」です。
基本的に、この相談会は全員参加ではありません。「希望者の方には勉強会後に個別相談会を実施いたします」といった表現で勧誘がなされます。しかし、高い料金を支払ってわざわざセミナーや勉強会に参加するのは、熱意のある受講者ばかり。主催者側も、ほぼ全員が個別相談会を希望することに期待して個別相談会を開いています。
個別相談会では、受講者の年収や勤務先、利用可能な資金状況に合わせて、オーダーメイドで融資プランと物件の紹介などが行われます。個別相談会を受けることで、講師のアドバイスの元、具体的な物件の購入に向けたやりとりが開始される流れです。
ここに注意!怪しい不動産投資セミナーの特徴3選
では、怪しい不動産投資セミナーや勉強会を見抜くにはどうすればいいのでしょうか。
怪しい不動産投資セミナーや勉強会には、以下のような特徴があります。
- メリットをやたら強調する
- 自己資金ゼロで購入できる点を強くアピールする
- 講師に不動産投資経験がない
このような特徴を押さえておけば、怪しい不動産投資セミナーや勉強会を回避できる確率が高まるでしょう。
特徴①:メリットをやたら強調する
不動産投資は、必ず利益がでるとは限りません。入居者がいなければ赤字となります。そのリスクを説明せず、「節税できる」「老後の資金にもなる」「いざとなったら売却すればいい」とメリットばかりを強調する不動産投資セミナーや勉強会には注意が必要です。
不動産投資には、確かに一定の節税効果があります。しかし、家賃収入による利益が出ないと、節税どころか赤字です。
このように、不動産投資におけるリスクを説明せずメリットばかり伝えてくるセミナーや勉強会は、避けた方が無難でしょう。
特徴②:自己資金ゼロで購入できる点を強くアピールする
不動産投資においては「自己資金ゼロ」でも物件を購入できるとうたう業者が後を絶ちません。不動産投資セミナーや勉強会でも同様です。自己資金ゼロでの物件購入は一見魅力的に聞こえます。しかし、実はとても危険です。
例えば1千万の物件を自己資金ゼロで購入したと仮定しましょう。1千万をすべてローンにして、家賃収入がなくなったとしても毎月返済できるでしょうか。会社員の副業として不動産投資をする場合は、自分が働けなくなり、支払いが困難になる可能性もあります。そのときに自己資金がなければ、ローンの支払いも難しいでしょう。
さらに、不動産投資では、急に不動産の修繕が必要となる場合もあります。自己資金がないと、そのときに支払いができません。
自己資金ゼロで物件を購入する際のリスクを伝えないセミナーや勉強会は、残念ながら「物件を売って自社の利益を上げたいだけ」。物件購入者の利益や損失より、自社の利益を優先している業者です。このようなセミナーや勉強会への参加はやめておきましょう。
特徴③:講師に不動産関係の資格や投資経験がない
不動産投資セミナーや勉強会において、不動産関係の資格がない講師のセミナーは、内容の信頼性に欠けると言えます。
不動産投資セミナーや勉強会では、講師の話や講師への質疑応答ができます。しかし、登壇する講師の経歴はさまざまです。中には、不動産投資経験があっても、宅地建物取引士や不動産鑑定士といった不動産関係の資格を持っていない講師もいます。
また、不動産投資経験がない講師が登壇する場合も散見されます。例えば、ファイナンシャルプランナーが登壇する場合です。ファイナンシャルプランナーは、不動産取引に関する法制度や税金の計算方法に対する知識は豊富にあります。しかし、法制面や計算方法の説明はできたとしても、不動産投資の経験がなければ実際の体験談や現状に即した話はできないでしょう。
このように、不動産関係の資格や投資経験がない講師に登壇させるセミナーや勉強会も、実情に即した話を聞けない可能性があるため要注意です。
有料の不動産投資セミナーに参加することで想定される3つのリスク
有料の不動産投資セミナーや勉強会には、上で述べたメリットがあるのは事実です。
しかしながら、有料の不動産投資セミナーや勉強会にはいくつかのリスクが潜んでいます。有料セミナーや勉強会に参加するリスクは、大きく以下の3点です。
- 不動産投資で得られる数年分の利益が吹き飛ぶ
- 目線が高くなりすぎる
- 業者の売りたい物件を提案される
リスク①:不動産投資で得られる数年分の利益が吹き飛ぶ
有料の不動産投資セミナーや勉強会に参加する最初のリスクは、参加料が異様に高いことが挙げられます。中には、1回2時間の勉強会に数回参加するだけで、10万円以上かかる場合もあります。
主催する団体によっては、かなり質の高い授業を行ったり、購入後のアフターフォローがあったりします。なので、高い料金のセミナーや勉強会がすべて怪しいわけではありません。
とはいえ、その数十万円もする授業料を自己資金に回せば、物件購入の足しにできると言えるでしょう。不動産投資においてフルローンを組んだ場合、キャッシュフロー(手取り額)は概ね1ヵ月で数千円 ~ 1万円前後。数十万円のセミナー参加料は、数年間分のキャッシュフローに相当します。つまり、高額のセミナーや勉強会に参加することにより、この先不動産投資で得られるであろう利益が吹き飛んでしまうのです。
単に不動産投資について学ぶためだけにセミナーや勉強会を受講するのであれば、数十万円の支払はかなり投資効率が悪いと言えるでしょう。
リスク②:物件の理想像が高くなり現実的なシミュレーションが組めなくなる
有料の不動産投資セミナーや勉強会に参加することにより、物件の理想像が高くなり現実的なシミュレーションが組めなくなる危険性もあります。原因は、配布されるシミュレーションツールです。
セミナーや勉強会で配布されるシミュレーションツールは、多くの場合非常に細かく複雑な内容です。そして、前提となる家賃下落率や空室率なども、現実にそぐわないほど厳しく設定されている場合もあります。
セミナーや勉強会で話を聞いた参加者からすると「このシミュレーションでプラスになる物件で無ければ買いたくない」という気持ちになるのは、ある意味当然でしょう。しかし、実際には、厳しいシミュレーションツールの条件を満たす物件はほとんど存在しません。このように、現実から大きくかけ離れたシミュレーションツールの結果を信じるあまり、永遠に物件を探し続けてしまうケースが発生してしまうのです。
もちろん、不動産投資においては、事前のシミュレーションは非常に重要。しかし、あまりにも現実からかけ離れたシミュレーションは、投資家の理想像を高くしすぎてしまい、結果物件を購入できなくなるリスクもあります。
実際に当社にいらしたお客様の中にも、勉強会でもらったシミュレーションに合致する物件を探し続けた結果、5年間一件も買えてない方がいらっしゃいました。こちらのお客様が5年前に物件を買えていたら、今頃どれくらいのキャッシュフローが出ていたのでしょうか。そう考えると、現実離れしたシミュレーションツールの結果が正しいと信じ込んでしまうのは、とてももったいないことです。
リスク③:業者の売りたい物件を提案される
有料の不動産投資セミナーや勉強会に参加するリスク3点目は、業者の売りたい物件を提案される可能性があることです。業者の売りたい物件がたまたま受講者のニーズにぴったりとはまったケースであれば、メリットともなり得ます。
その一方で、無料相談会などでは、セミナーや勉強会で紹介するニーズやメリットを業者側の売りたい物件に寄せ、その物件を購入するよう誘導する手法が用いられる場合もあります。
さらに、物件を紹介した流れで、その場の雰囲気を利用して融資審査や契約を勧める場合もあります。セミナーや勉強会の雰囲気に流された結果、意に沿わない契約を結んでしまうリスクもあるのです。
また、セミナーや勉強会でよくある話として、参加者した会員全員にくじを引かせて、当たりを引いた数名だけに特別に物件を紹介する手法があります。
くじに当たった方がどのような感情を抱くのかは、容易に想像できるでしょう。元々購入する予定がなかったとしても、参加者がたくさんいる中で自分にチャンスが巡ってきた。この機会を逃すわけにはいかないと、目の色を変えて申し込みをしてしまうのではないでしょうか。参加者の心理をうまく突いた、巧妙な手法と言えます。
もちろん、すべてのセミナーや勉強会に当てはまる話ではありません。しかし、有料のセミナーや勉強会でこのような可能性があることは、事前に知っておいた方がいいでしょう。
不動産投資セミナーを通じて物件を購入し裁判となったケース
ここで、不動産投資セミナーにまつわる判例を紹介します。悪質な不動産投資セミナーや勉強会に参加したことによるトラブル例として、参考にしていただければ幸いです。
事件の概要
平成29年、原告はとある不動産投資セミナーに参加しました。そして、セミナー講師を通じて、不動産投資業者Aを紹介されます。原告は業者Aでローンの仮審査手続きを実施。本審査の手続きは業者Bで行いました。
平成30年4月、原告は売主と物件の売買契約を締結。業者Bにて融資を申請します。その際、業者Bより「5月より当該物件に居住すると伝えるように」と事前に言われ、融資申請の際に居住の意思を伝えました。
原告は、業者Bにて住宅金融支援機構が取り扱うフラット35のローン契約を締結、借入を開始します。しかし、フラット35は「居住用住宅の購入」を対象とした住宅ローン。投資用不動産は対象外です。
令和元年11月、原告は、住宅金融支援機構からフラット35残金と利息の一括返済と物件の競売を申し立てられました。当該物件が投資用不動産だったことから「貸付条件違反」と認定されたのです。
原告は、各業者やその従業員などが共謀してフラット35による投資物件購入を行わせたとして、計1,766万円余の損害賠償を求める訴訟を起こしました。
判決
本判決の争点は「使途が限定されているフラット35を投資用物件でも利用できることを誤信させたかどうか」でした。被告である3業者と個人2名のうち、実際に誤信させたことを認められたのは、フラット35の審査書類を提示した社員のみでした。その他3社と1名については、原告の主張する「黙示の虚偽説明(利用できないフラット35を利用させることを黙認していた)」には問えないとされています。
1,766万円余の損害賠償は、1名分のみ請求認容。他の部分については棄却となりました。
不動産投資セミナーや勉強会に参加すると、本件のように悪質な不動産投資業者につながり、結果として自分が損してしまう可能性もあります。このこともしっかり覚えておきましょう。
参考買主に住宅ローンでの投資物件購入を誤信させたとして不動産業者への不法行為による損害賠償請求が認められた事例
不動産投資のセミナーや勉強会に参加しなくても学ぶ方法
有料の不動産投資セミナーや勉強会に行かなくても、質のいい学びを得られる方法はたくさんあります。セミナー以外で学べる方法として、次の3つを紹介します。
- 書籍
- インターネット
- MIKATAイズム™
①書籍
不動産投資は、書籍でも学ぶことが可能です。不動産投資の専門家や、投資家が書いた書籍は、わかりやすくかつ必要な情報がまとめられています。
紙の書籍だけでなく、電子書籍も有効です。当社でも無料会員登録で読める無料書籍を用意しています。不動産投資で必要な知識を網羅した、全13冊の書籍です。こちらから登録の上ご一読ください。
②インターネット
不動産投資においては、インターネットでの情報や投資家のブログも参考になります。更新頻度が高いため、常に新しい情報を入手できる点も魅力です。
不動産投資を実際に行っている方の声は、不動産投資をするうえで大切な情報となります。当社のコラムも、情報源のひとつ。不動産投資を学ぶ際に、大いに活用していただけたら幸いです。
③MIKATAイズム™
MIKATAイズム™は「不動産屋である自分自身が買いたいか」に着目して開発した、当社独自の不動産評価・シミュレーションツールです。2019年に特許を取得しました。
MIKATAイズム™では、徹底した現地調査に基づき、20種類以上の観点から物件を分析。投資する妥当性をオートマティックに数値化します。
MIKATAイズム™は、無料会員登録により、追加料金なくご利用いただけます。完全無料で、熟練したプロの不動産営業と同等のシミュレーションをいつでも使える点が魅力です。
参考「プロの目利き」情報を数値化!当社が独自開発した収益物件選定システム『MIKATAイズム™』
まとめ
不動産投資セミナーや勉強会には、自社の売りたい物件を押し付ける悪徳業者がいる危険性もあります。
不動産投資は、高額のセミナーや勉強会に行かなくても、勉強する手段が豊富です。当社でも、無料で学べる電子書籍やツールをご用意しています。中でも、物件選定システムである「MIKATAイズム™」は、特許を取得した唯一無二のツールです。良い物件を見つける際は、心強いパートナーとなってくれるでしょう。
また、当社では、不動産投資コンサルタントによる無料の個別相談会も実施しています。「自分で勉強したけれど、わからないことがある」「MIKATAイズム™のここについて詳しく聞きたい」など、不動産投資についてであれば何でも構いません。中立的な立場でアドバイスいたします。強引な勧誘やダイレクトメールもありません。どんなことでも、お気軽にご連絡いただければ幸いです。

この記事の執筆: 堀乃けいか
プロフィール:法律・ビジネスジャンルを得意とする元教員ライター。現役作家noteの構成・原案の担当や、長野県木曽おんたけ観光局認定「#キソリポーター」として現地の魅力を発信するなど、その活躍は多岐に亘る。大学および大学院で法律や経営学を専攻した経験(経済学部経営法学科出身)から、根拠に基づいた正確性の高いライティングと、ユーザーのニーズに的確に応えるきめ細やかさを強みとしている。保有資格は日商簿記検定2級、日商ワープロ検定(日本語文書処理技能検定)1級、FP2級など。
ブログ等:堀乃けいか