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今注目される「大学債」とは?東大や東工大の不動産投資戦略はうまくいくのか

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2020年10月に東京大学(以下、東大)が200億円分の債権を発行したことで、「大学債」という新たな資金調達方法が注目されています。海外では当たり前のように行われていますが、日本では東大が初の発行です。大学債とはそもそもどんなものなのか、広がりを見せる「大学債」の現状、日本経済に与える影響を紹介します。

大学債で最新研究のための資金を調達

「大学債」とはその名の通り、学術研究や施設改修などを目的とした資金調達として大学が発行する債権のことです。国立大学の規制緩和などを議論する文部科学省の会議で東大が提案し、2020年6月の政令改正において全ての国立大で大学債が発行可能になりました。それまでは償還(証券取引において債権が満期を迎え、投資家にお金を返還すること)のための事業収入が確実な付属病院や寮などの事業に限って債権が発行できました。こうした縛りをなくし、国立大学は「運営」から「経営」にシフトする必要があると東大が訴え、規制緩和を求めた結果、関連法令改正に至ります。

国立大学は私立大学に比べて大学基金が浸透しておらず、国からの助成金や学生から収められる学費に頼らざるを得ない状態です。研究施設を充実させたり、研究費を拡充のために資金調達ができないと優秀な人材を集めることができません。日本国内で高い水準の研究開発や人材確保を充実させるには、いかにスピーディーに資金調達できるかが重要なポイントとなります。

海外では当たり前!世界の大学債発行事情とは?

欧米を中心に、寄付金を元手に投資を行って利益を上げたり、大学の研究開発力を売りに大学債を発行したりということは珍しくありません。世界の大学ランキングで1位を誇る名門・アメリカのハーバード大学は毎年800億円近い寄付金があります。総額4兆円以上の大学基金で設備投資を行ったり、投資運用で利益を上げて資産を増やしたりしています。 イギリスのオックスフォード大学は100年、ケンブリッジ大学は60年という長期運用の大学債を発行して資金調達を行っています。世界的な流れとしては、施設の充実を図る上で資産運用や資金調達は必要不可欠になっています。

日本国内では慶応大学の基金が有名ですが、2018年度末で総額約731億円と欧米の有名大学に比べると規模は少なくなっています。日本では基金を元手に大学が投資を行う慣習はなく、資金調達は国立私立問わず日本の大学全体の課題です。

東大の大学債発行の裏側

東大は利息を支払いながら40年間で返済する条件で、投資家から200億円を調達するという起債をしました。今後は10年間で1,000億円を超える調達を目指しています。当時の担当理事だった藤井輝夫総長は内部留保などで眠っている企業の資金を社会的な課題解決に取り組む大学の活動によって動かしたいと考えていると語りました。

最初の起債で投資表明した企業数は約50社です。初の試みだっただけに機関投資家の間でも意見は割れました。国立大学は利益を生む事業体ではないという懸念の声もありました。結果的に投資リターンを重視する株主重視の企業は離れ、社会的な課題解決に取り組む社会貢献としての姿勢に賛同する投資家が東大の大学債を購入しています。

購入希望額は発行額の6倍超となりました。通常なら多くても発行額の4倍程度なので、この購入希望額は証券会社の担当者が驚くほどです。ある生命保険会社は200億円の購入希望額を掲げましたが、実際の購入額は10分の1でした。これは多くの投資家に参加してもらいたかったという東大の意図があります。

東大は日本格付研究所から債務履行の確実性が最も高い信用格付け「AAA」を取得したとホームページ上で発表しました。AAAは同社の格付けではNTTドコモと同じランクです。購入希望額や信用格付けランクから東大への期待値の高さがうかがえます。

東大が集めた200億円の使い道の一つが、次世代のニュートリノ観測装置「ハイパーカミオカンデ」の整備です。宇宙研究の分野は国際競争が激しいので、先行投資で自助努力をすることで国の理解を高めたいと藤井総長は話しています。

土地の貸し付けによって45億円の収入を実現した東工大

東京工業大学(以下、東工大)は財源を生み出すために国立大学が保有する土地の規制緩和を活用しました。東工大の田町キャンパスの土地を利用して複合施設の建設を行います。東工大は土地の貸し付けで年間45億円の収入が入ります。税金や本学持ち分のメンテナンス料を差し引いても約30億円が2026年から75年間続くと試算しています。

東工大は当初、土地の貸付料収入を10億円と見込んでいましたが、JR田町駅周辺での大規模再開発と重なり、収入額が年45億円に跳ね上がりました。これは2,000億円の大学基金を設立し、年率2%で運用して得られる年40億円と同等です。雑誌「東洋経済」の調査によると、寄付金が多い国立大学ランキング(2017年度)第1位の東大でさえ、年間受入額は132億4,200万円です。寄付基金による資金運用は多くの大学が取り組んでいますが、寄付金で2,000億円を集めるのは至難の業なので、大学債による資金調達の規模の大きさが分かります。

東工大は再開発の不動産収入が償還原資になるため、一度に100億円規模の大学債を起債できます。大学債で得た資金を活用して世界と引けを取らない研究力をつけるためのキャンパス整備を一気に進めようと考えています。

参考【2021年最新版】利回りの目安は何%?不動産投資の平均利回り相場や計算について

ブランドイメージや財務状況の開示など大学債の懸念点

幅広い資金調達が可能になる「大学債」ですが、気を付けておくべき点もあります。
AAやAといった大学債の信用格付けがそのまま大学のブランドイメージと直結してしまう可能性があります。大学の規模や理工学系の分野での実績の有無によって格付けランクが決まり、そのイメージが定着してしまう危険性があるのです。資金力のある大学は問題ありませんが、そうでないと資金調達が不利になってしまうでしょう。

また、大学債の保有者である投資家への信頼を獲得するために、大学債の発行者である国立大学は、財務内容等を積極的に開示する必要があります。特に償還計画や資金の運用状況、資金使途である収益対象事業の収支状況等を公表することで信頼が高まります。株式を公開している企業同様に投資家向けの専用窓口の設置や説明会などを開催して情報開示を行うことも必要となることが予想されます。

万が一、デフォルト(債務不履行)になった場合に国がその償還を国費で肩代わりするのかなどこれから考えていかないといけない問題もあります。

今後どこまで普及するか

東大の大学債発行に他の国立大学は高い関心を示しています。大阪大学(以下、阪大)と東工大は2021年3月に格付投資情報センターから信用格付けの「AA+(ダブルAプラス)」をそれぞれ取得しました。阪大はこれを機に大学債の発行を含む多様な資金調達手段を検討しています。

現在、大学債で集めた資金の使途は土地や施設・設備などハードの固定資産に限定されています。しかし、大学側としては若手研究者支援などソフトでも活用したいというニーズが根強い。最近ではデジタル変革(DX)やバーチャルな知的価値が大学をはじめとする研究機関で重要度を増しています。複数の国立大学、私立大学も大学債を発行するようになれば、新たな金融市場が誕生するとともに、社会変革に繋がります。

東大は第2弾の大学債の発行を検討する傍ら、他の国立大学からの問い合わせに積極的に応じています。大学への交付金や補助金が減る中、自由度の高い資金の調達は共通の課題となっているので、これから国立大学や私立大学にも大学債は広がりを見せるでしょう。新型コロナウイルスによる経済混乱もあるので、国に頼らずに資金調達をする必要があります。大学自体が多額の資金を調達できるようになれば、資金を研究費に充てて、海外に遅れをとっている科学研究を強化することができます。今回の大学債発行の動きが日本の研究開発促進に繋がるでしょう。

この記事の監修: 不動産投資コンサルタント 釜田晃利

老舗不動産投資会社にて投資用区分マンションの営業マンとして約10年間従事したのち、2015年にストレイトライド株式会社にて不動産事業をスタートしました。現在は取締役として会社経営に携わりながら、コンサルタントとしてもお客様へ最適な投資プランの提案をしています。過去の経験と実績をもとに、お客様としっかりと向き合い、ご希望以上の提案が出来るよう心がけています。

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