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不動産投資とアスベスト!?その影響やリスク、過去の事例まで解説

アスベスト, 影響, リスク

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不動産投資において、「元々の販売価格が安いため運用次第では高い利回りが期待できる」「すでに高い賃貸需要があり、安定した賃料収入が見込める」というメリットから、築年数の経った中古物件の購入を検討することもあるでしょう。

しかし建物の建築基準は時代によって変化しており、昔は当たり前に行われていた工事でも現在は問題になる場合があります。

その最たる例の一つが「アスベスト(石綿)」の使用です。

アスベストというと漠然と「危険」というイメージを持っている方も多いと思います。しかし現代ではあまり耳にしないため、なぜ、どのように危険なのかについては知らない人が多いのではないでしょうか。

不動産投資の中でも、中古物件の購入を検討する際には特にアスベストについて知っておく必要があります。本記事では、アスベストの影響や過去の事例、使用の見分け方について解説します。

アスベストと健康リスク

そもそもなぜアスベストは昔の建物に使用され、その後問題となったのでしょうか。アスベスト使用の経緯と、現状について見ていきましょう。

アスベストとはどんなもの?

アスベストとは「天然にできた鉱物繊維」であり、日本で使用されたのは以下のうちクリソタイル・アモサイト・クロシドライトの3種類です。

アスベストは「曲げや引っ張りに強い」「耐久性が高い」「熱に強く燃えにくい」という、特に建材使用に最適な特徴を兼ね備えている上に安価なため、さまざまな建築物を中心に用いられました。

独立行政法人環境再生保全機構によるとアスベスト使用の8割は建材であり、最も問題となっているのが防火・耐火・吸音目的で壁や天井などに使用された「吹付けアスベスト」です。

吹付けアスベストとはアスベストとセメントに水を加えて混合し吹き付けたもので、アスベスト含有率は60% 〜 70%にもなります。そのため吹付け作業時の作業員の健康被害が危険視され、1975年に原則禁止となっています。

このほかにも吹付けアスベスト禁止後に代替となった吹付けロックウール、アスベストを含有した建材が配管などの保温材や建物の内外装・屋根・煙突・天井板などに幅広く使用されました。

アスベストが引き起こす病気

では「アスベストが使用されている建物はすべて直ちに危険」なのかというと、そうではありません。

アスベストは使用されているだけで危険なのではなく「飛び散ること」「吸い込むこと」が問題となります。空気中にただようアスベストの繊維は人間の髪の毛の1,000分の1程度の細さであり、吸い込んだアスベストが排出されない場合、肺の中に蓄積し健康被害を引き起こします。

独立行政法人環境再生保全機構によると、アスベストを吸い込んだことが原因で引き起こされる主な疾患は以下の3つです。

  • 中皮腫:肺を取り囲む胸膜などにできる悪性腫瘍
  • 肺がん:気管支あるいは肺胞を覆う上皮に発生する悪性腫瘍
  • 石綿(アスベスト)肺:肺が線維化してしまい呼吸困難が生じる

これらアスベストを原因とする疾患は潜伏期間が15年から50年と長いのが特徴であり、近年になって健康被害が急増している実態があります。

アスベスト対策に関する現在の取組み

アスベストの危険性が明らかになって以降、法整備と対策が進んだ結果、現在はアスベストの危険性のある建物はほとんどなくなりました。

法制度の強化

アスベストによる健康被害を受けて、1975年の吹付けアスベスト禁止以降さまざまな法整備がされてきました。

1975(昭和50)年 アスベスト含有率5%を超える吹付け作業の禁止
1995(平成7)年 クロシドライト・アモサイトの輸入・使用禁止
2006(平成18)年 0.1%を超えて含有する物の製造・使用等が全面禁止
2021(令和3)年 全ての石綿含有建材が規制対象となる
2022(令和4)年 解体・改修工事を行う際のアスベスト事前調査実施(一定規模以上は結果の報告)の義務化

法整備により近年の建物にはアスベストの心配はほぼないですが、完全に脅威がなくなったわけではありません。ビルなどの建物の耐用年数はおおむね30年 〜 50年程度であり、アスベストを使用した年代の建物の解体がこれから2028年頃にかけてピークを迎えます。

現在のアスベスト使用状況

それでは、現在アスベストの危険性はどのくらいあるのでしょうか。

国土交通省で令和3年度に調査が行われた1956(昭和31)年から1989(平成元)年までに施工された民間の大規模建築物のうち、アスベストが使用されていない、あるいは対策が済んでいる建物は95.2%となっています。

また、環境省は平成17年度より、全国で大気中のアスベスト濃度を調査しています。令和4年度アスベスト大気濃度調査結果によると、調査を行った全国40地点のうち、一部の解体現場以外で大気中に総繊維数濃度が1本/Lを超過した地域はありませんでした。

法整備に加えて国によりアスベストの調査と対策が行われていることもあり、現在の建物は基本的に安心と言えます。

過去のアスベストによる健康被害の事例

国が長年にわたりここまでアスベスト対策に力を入れるのは、過去に起きたアスベストによる数々の健康被害が元となっています。

事例①:アスベスト使用業種の従事者に対する労災支給

下のグラフは平成29年度の「石綿による疾病に関する労災保険法に基づく保険給付業種別の支給決定状況」です。

アスベストによる健康被害で労災が認められた人の9割は建築業または製造業です。

アスベストの吹き付け・貼り付け等作業のほかにも、アスベストやアスベスト製品の運搬・倉庫内作業、配管・ボイラー関連の作業、建築物解体作業などさまざまな作業でアスベストにさらされた結果、多くの健康被害が生まれました。

厚生労働省「石綿による疾病の労災認定」のリーフレットでは、以下のような労災認定事例が紹介されています。

  • 造船所において約7か月間アスベスト含有の断熱材取り付け作業に従事した結果、高濃度のアスベスト粉じんにより「悪性胸膜中皮腫」と診断
  • 約13年間アスベスト含有ブレーキライニングなどの製造作業に従事し、後に肺がんを発症
  • 約18年間パッキンなどのアスベスト含有製品の製造作業に従事した後、肺がんを発症、同時期に同一作業に従事したほかの労働者も同様に肺がんを発症

事例②:保育園・学校でのアスベスト飛散による健康被害

建築業や製造業に従事していた労働者たちだけでなく、アスベストを使用した室内で長時間働いていた人たちにも健康被害は起こりました。

1987(昭和62)年に、全国の学校の教室で使用されているアスベストが報道で取り上げられ、いわゆる「学校パニック」として社会問題化しました。

その後学校パニックは沈静化したものの、アスベストを使用した校内で長時間指導をしていた教員が健康被害を受けています。環境再生保全機構のアンケート回答数によると、「石綿健康被害救済制度」に、2006(平成18)年から2018(平成30)年の間に医療費・弔意金を申請した教員の人数は123人、教育・学習支援業従事者まで含めると226人となっています。

事例③:アスベスト使用施設の周辺住民への健康被害

2006(平成18)年のアスベスト全面禁止のきっかけとなったのが、その前年に起きた「クボタショック」です。

発端は大手機械メーカーである「株式会社クボタ」の旧神崎工場の従業員や周辺住民がアスベスト疾患を発症したことです。この事件の報道を契機に、全国でアスベスト使用施設の関係者の健康被害とアスベスト被害の危険性が明らかになり大きな影響を与えました。

この事件でクボタは被害を認め周辺住民へ見舞金を支払い、神戸新聞によると救済金を請求した住民、労災認定された従業員ら関係者は合わせて600人を超える事態となりました。

これを受けて政府は「石綿による健康被害の救済に関する法律」を制定し、アスベストの全面禁止につながりました。

保有している不動産にアスベストが出たら?

建物の老朽化やそれにともなう改修などによって、新たにアスベストが発見される可能性もあります。もし保有する不動産でアスベストが使用されていた場合どうしたらよいのでしょうか。

アスベストを使用しているかどうしたらわかる?

アスベストは吹付け以外にも板状に固めたスレートボードなどがあり、素人が一見して使用の有無を判断するのは難しいでしょう。

アスベストは1975(昭和50)年に含有率5%以上、1995(平成7)年には含有率1%以上の使用が禁止されています。また、アスベストの輸入量は1965(昭和40)年ごろから急激に増加しています。このことから、1965(昭和40)年 〜 1995(平成7)年までに建築工事が行われた建物にはアスベストが使用されている可能性を考慮すべきです。

東京都環境局によるとマンションの場合、アスベストはビルの機械室・ボイラー室・地下駐車場・外壁・屋根、内壁や天井で使用されている可能性があります。ただしアスベストをセメントなどで固めたスレートボードは飛散の可能性が低いため、注意すべきは吹付けアスベストになります。

建物にアスベストが使用されているかどうかは、設計図書に記載されている材料表で確認できます。設計図書が存在しない場合には、検査機関に依頼して数万円の費用で検査をおこなう必要があるでしょう。

アスベストが発見された場合の影響

もし実際に保有しているマンションでアスベストの使用が判明した場合、以下のような影響が考えられます。

健康リスク アスベスト使用部分が劣化している場合、健康被害を引き起こす可能性があります。また、飛散の可能性が低い場合でも住民が不安から精神的ダメージを受ける場合があるでしょう。
住宅価値の低下 アスベストに対する適切な措置が完了するまで、住宅価値と賃貸需要の低下が考えられます。
修繕・改修費用の増加 アスベストに対する適切な措置や該当エリアの封鎖など、対応にコストがかかり管理費・修繕費に転嫁される可能性があります。
入居者の退去や訴訟の可能性 アスベストの発見が住民に不安を引き起こし、退去が増える可能性があります。また、実際の因果関係に関わらず、健康被害を訴える訴訟が発生する可能性もあります。

アスベストが発見された場合の対策

アスベストによる悪影響を最小限におさえるためにも、発見された場合には早期の対応が必要です。

対策としては、以下のような「除去」「封じ込め」「囲い込み」の3種類があります。

また、建築基準法では、吹付けアスベストとアスベスト含有吹付けロックウールの2種類が規制対象となっています。この2種類についての調査と対策について国は補助金制度を創設しており、アスベスト除去の場合、自治体によってはかかった費用の最大2/3が補助されます。

不動産投資におけるアスベストに関する留意点

それでは、アスベストに関して不動産取引の際に気を付けておく点は何があるでしょうか。

「知らずにアスベストが使用されている建物の物件を購入してしまった」

不動産取引において買主がこのような不利益を受けないように、過去のアスベスト被害を踏まえ2006(平成18)年に宅地建物取引業法が改正されています。

この改正によって、契約時に行われる重要事項説明において「アスベストの使用の有無の調査の結果が記録されているときはその内容」を説明する義務が定められました。

ただし気を付けておきたいのは、「記録されているときは」という部分です。調査が行われていなければ「行われていない」という説明でよいことになっており、使用の有無が必ずわかるわけではない点に注意が必要です。

まとめ

不動産投資において、特に古い建物を購入する際にはアスベストのリスクを念頭に置いておくべきでしょう。しかしアスベスト問題はすでに対策も進んでいる上、種類や製品によって含有率や危険度も異なります。また、万一使用されていても適切な対策が行われていれば危険性は少なく、過剰に心配する必要はありません。

今回取り上げたのはアスベスト問題ですが、時代の進化と共に建物の工法や関連法令も変化していきます。そのため、この先ほかの工法や材料に何か問題が見つかる可能性も0ではありません。

そのため、過去の事例からさまざまなリスクを知っておき、必要に応じて専門家に相談する体制を整えておくのもおすすめです。不動産投資について気になることがございましたら、ぜひ当社コンサルタントにご相談ください。

この記事の執筆: ひらかわまつり

プロフィール:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士資格を有するママさんライター。親族が保有するマンションの管理業務経験を有するなど、理論・実務の両面から不動産分野に高い知見を持つ。また、自身でも日本株・米国株や積立NISAなどを行っていることから、副業や投資系ジャンルの執筆も得意としている。解像度の高い分析力と温かみのある読みやすい文章に定評がある。不動産関連資格以外にも、FP2級、日商簿記検定2級、建築CAD検定3級、TOEIC815点、MOSエキスパートなど多くの専門資格を持つ。

ブログ等:ひらかわまつり

この記事の監修: 不動産投資コンサルタント 釜田晃利

老舗不動産投資会社にて投資用区分マンションの営業マンとして約10年間従事したのち、2015年にストレイトライド株式会社にて不動産事業をスタートしました。現在は取締役として会社経営に携わりながら、コンサルタントとしてもお客様へ最適な投資プランの提案をしています。過去の経験と実績をもとに、お客様としっかりと向き合い、ご希望以上の提案が出来るよう心がけています。

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