なぜ無料にできる?仲介手数料に潜むカラクリとは!?
- 更新:
- 2023/06/06
不動産仲介手数料とは、不動産物件の賃貸や売買をする際に仲介した不動産仲介業者に対して支払う「手数料」のことです。当たり前のように支払っている不動産仲介手数料ですが、実はその金額に上限が定められています。この記事では、不動産仲介手数料についての基礎や計算方法、そして早見表を通して正しい知識を解説します。手数料を高額に取る悪徳業者やから不当な不動産仲介手数料を請求されても支払わなくていいように、しっかりと理解しておきましょう。
不動産売買における仲介手数料の仕組みとは
前述した通り、不動産物件を仲介した業者に対して支払う手数料を不動産仲介手数料と呼びます。売買契約自体は売主と買主の間で締結されますが、双方の間を仲介した業者はそれぞれから仲介手数料を得ることができる仕組みです。
不動産売買は不動産物件を売りたいと思っている売主と、不動産仲介会社を通して物件を買いたい買主がマッチングするのが一般的な流れです。不動産の賃借と売買は仲介手数料に差はありますが、仕組みとしては同様となります。
不動産仲介業者の業務範囲とは
不動産投資を始めたばかりの人の中には、仲介業者がどの様な業務をこなしてくれるか分からない人も多いでしょう。ここでは仲介業者の仕事内容に関して解説していきます。
簡単に言うと仲介業者は「契約相手の紹介」「交渉」「契約に関わる書類の作成」など、幅広い業務となります。また、その仕事内容は依頼主によって変わるのも特徴です。
依頼主が「売主」「貸主」の場合
仲介業者の顧客が「売主」や「貸主」の際、不動産仲介業者は下記のような仕事を行います。
- 賃貸条件や売買における希望条件の聞き取りや物件査定
- 売買価格・家賃の提案
- 宣伝や広告
- 物件資料の作成
- 売買までの出口戦略の提案
- 下見の日程調整
- 物件を案内する
- 契約書の作成のための調査
- 契約書などの書類作成
- 決済対応
このように、物件に借主がつくまでの一連の業務を行います。即日の仕事ではなく、時間を要してしっかりと信頼関係を結び、オーナーから信頼を得ることも重要です。
依頼主が「買主」「借主」の仕事内容
依頼主が「買主」「借主」の際の不動産仲介業者の仕事内容を解説します。
- 購入や賃貸における希望条件の物件紹介
- 物件購入後の出口戦略の提案
- 物件下見の日程調整
- 現地案内
- 諸条件の交渉
- 契約書等の書類作成
- 決済対応
このように、仲介業者は依頼主によって仕事内容が変わってくることが特徴です。
特に仲介業者のポイントとして、物件を購入する際にきちんと「出口戦略」まで提案してくれる業者かどうかは確認しましょう。
一般的に良くないと言われる業者の中には「物件を購入させて終わり」という人がいます。残念ながらそのような仲介業者がいることも事実なので、きちんと見極める目を養いましょう。
参考状況次第?不動産投資の仲介業者の選び方は自分のスタイルに合わせて変えよう
不動産仲介手数料の計算方法
手数料の計算方法に関して解説します。
売買の場合の不動産仲介手数料は、その金額が宅地建物取引業法によって規定されています。
- (税抜き価格が)200万円以下までの部分についての仲介手数料上限は5%
- (税抜き価格が)200万円超400万円未満までの部分は4%、400万円超の部分は3%
このようになります。つまり、1,000万円の物件を購入しようとした場合、不動産仲介手数料は、39万6,000円となります。
計算式を図で示してみましょう。
区分 | 計算式 | 手数料 |
---|---|---|
200万までの部分 | 200万円 ✕ 5% | 10万円 |
400万円超 1,000万円までの部分 | 600万円 ✕ 3% | 18万円 |
合計 | 36万円 | |
消費税(10%) | 3万6,000円 | |
不動産仲介手数料 | 39万6,000円 |
図を見てわかるように「39万6,000円」が不動産仲介手数料の上限となります。高額過ぎる手数料を取られることはない為、ここで改めて理解しておきましょう。
不動産仲介手数料の早見表
不動産仲介手数料は上限が決まっているので、毎回計算する必要はありません。早見表にまとめましたので参考にしてみてください。ただしここでご紹介しているのは売買の場合であり、賃貸の場合とは異なっているため注意しましょう。
売買価格 | 売買の仲手上限 |
---|---|
100万円 | 55,000円 + 実費 |
200万円 | 110,000円 + 実費 |
300万円 | 154,000円 + 実費 |
400万円 | 198,000円 |
500万円 | 231,000円 |
600万円 | 264,000円 |
700万円 | 297,000円 |
800万円 | 330,000円 |
900万円 | 363,000円 |
1,000万円 | 396,000円 |
1,500万円 | 561,000円 |
2,000万円 | 726,000円 |
2,500万円 | 891,000円 |
3,000万円 | 1,056,000円 |
4,000万円 | 1,386,000円 |
4,500万円 | 1,551,000円 |
5,000万円 | 1,716,000円 |
5,500万円 | 1,881,000円 |
6,000万円 | 2,046,000円 |
6,500万円 | 2,211,000円 |
7,000万円 | 2,376,000円 |
7,500万円 | 2,541,000円 |
8,000万円 | 2,706,000円 |
8,500万円 | 2,871,000円 |
9,000万円 | 3,036,000円 |
9,500万円 | 3,201,000円 |
1億円 | 3,366,000円 |
不動産仲介手数料を下げる方法
不動産仲介手数料は高額なため、仲介手数料を出来るだけ小額で抑えたいと思っている人も多いでしょう。
しかし賃貸の場合は「不動産仲介手数料1ヶ月半額」等のキャンペーンもあるため、値引きできるようなイメージがあるのですが実はあまりオススメしません。
金額の端数くらいは交渉の余地があるかもしれませんが、基本的には値引きしないと思っておく方がいいでしょう。その理由には仲介手数料の背景があります。例えば半額の場合、なぜ半額になるかというと、貸主からその分得ている場合があるのです。キャンペーン等の多くは、貸主と借主双方から不動産仲介手数料を受け取っているか、どちらか片方から受け取っているかの違いです。
例えば貸主が負担することになると、その分家賃を上げていたり、敷金礼金が変わるという場合もあるため、仲介手数料は払っておいた方が良いといえるでしょう。
不動産仲介手数料無料って本当に大丈夫?
実際に様々な場所で見かける「不動産仲介手数料無料」という触れ込みですが、本当に無料となるのか不安に思う方も多いでしょう。
本来は「仲介手数料」というのは仲介業者の収入ですから、それが無料というだけで心配になって当然です。ではなぜ無料にできるのか、その仕組みをさらに詳しく解説していきましょう。実は、本来かかるはずの仲介手数料を無料にしているわけではなく、その仲介手数料がかからないから無料なのです。分かりやすく言うと、売主が不動産会社の場合は仲介がない為、仲介手数料そのものが発生しません。
そのため「仲介手数料無料」でも全く問題ないのです。これだけ聞けば「仲介手数料無料」はメリットしか感じませんが、デメリットもあります。通常通り仲介で依頼すれば、売主が誰であっても仲介手数料が発生しますが、仮に売主が不動産会社自身だった場合は、物件が売れないと一銭も利益が発生しません。
売れないと儲からないため、不動産会社としてはその物件をなんとかして売ろうとします。酷い場合は無理矢理契約させるという場合や、他の物件と比較させないように良い物件を提案してくれず選択肢が狭くなる、なんてことまであります。
運良く理想の条件で求めていた物件に出会えたとするなら、手数料がかからない分リーズナブルに購入することができますが、実際のところそうした幸運に恵まれることは少ないのが現状です。
こうしたリスクを考えると、手数料を支払っても仲介会社に一枚噛んでもらったほうがうまくいく場合があるということを覚えておきましょう。先ほど解説した通り仲介手数料は貴重な収入源ですから、それを無料にするということは仲介業者としてはタダ働きにしかなりませんから、慈善事業でもない限りはありえないことです。もし相手からそのような内容を持ちかけられた場合は、背景もあるため一旦疑った方が良いかもしれません。
買い手が付かない物件の場合
売却の仲介依頼を受けていながら買手が全然つかない物件があったと仮定しましょう。そこに、たまたま現れた念願の購入希望者から手数料の値引きを求められた場合、仲介業者としては売手側に売却価格値下げの提案をする場合もあります。
売手側としても、売れないまま抱えておくわけにもいかないので、その提案を受け入れてしまったとします。
このとき仲介業者が値下げした金額を購入者に伝えることなく、値下げ前の金額で仲介すると、差額がまるまる仲介業者の手元に残ることになりますよね。それを仲介手数料の代わりに得てしまうというものです。これは買手側としては表面上値切ったように感じているものの、裏ではしっかりと仲介手数料を支払っているという仕組みになります。
このような手口に騙されないようにするためには、自分自身でその物件の相場を理解しておく必要が重要です。相場さえ理解できていれば、仲介手数料を物件価格に上乗せするような安易な手口に気付くことができるでしょう。
物件相場は、国土交通大臣指定の不動産流通機構の運営する「レインズマーケットインフォメーション」や、国土交通省が運営する「土地総合情報システム」といったデータベースで検索して、あらかじめ調べておくことをオススメします。
参考一般公開されないレインズの問題点とは?個人で閲覧・利用する方法も解説
ここまで解説してきてお分かりかと思いますが、特例的な場合を除いて仲介業者が「本当の意味での手数料無料」で仲介することはほぼありません。
少しでも安く買いたいからといって「無料」という言葉に飛びついてしまったことで、余計な金額を払わされる可能性を避ける意味でも、法律で定められた上限額に従ってしか仲介手数料を取ることができない仲介業者に依頼するのが無難と言えるでしょう。
参考“自己資金0円”って、どんな仕組み?「元手なし」は信用して大丈夫?
仲介業者に悩んだ場合の最後の決め方
ここまでは仲介業者の計算方法や仕組みに関して解説してきました。「不動産仲介料無料」という言葉は借り手や購入者にとっては大きなメリットのように感じますがその背景も理解しておきましょう。
では多数いる仲介業者の中から一体どんな仲介業者を選べば良いのでしょうか?もちろん「多数の実績がある」「不動産の知識が豊富」というのは当然重要なポイントですが、「フィーリングが合う」という部分も重要な点と言えます。
不動産業者として多くのお客様や、同業者を見ていますが、長く続くお客様というのは自分との「フィーリング」や「相性」だったりするものです。
- なんとなく信頼できる
- 話していて分かりやすい
- フィーリングがあう
という感覚的な部分を信用するのも大切。もちろん、基礎的な不動産知識があるかはしっかりと判断することが大切です。そのために、自分自身も不動産投資家として成功するためにまずは知識を養うことが重要。あくまでもその上でフィーリングも判断材料の一つに役立ててはいかがでしょうか?
まとめ
不動産は賃貸でも売買でも、自分の力だけで成功することは難しいのが事実です。多くの不動産投資家は不動産仲介会社の力を借りています。不動産投資家として力を借りる以上は、その対価として不動産仲介手数料支払うことは当然である、という考えをまず持つようにしましょう。双方にとってメリットのある選択が重要といえるでしょう。
その上で、不動産仲介手数料の知識や適正価格をしっかりと理解しておくことで、対等な立場で交渉が出来るというもの。余計な出費も防ぐことができるようになります。この記事の内容を参考に、正しい知識を持って不動産投資を行いましょう。