バレると終了!住宅ローンで不動産投資を行うのは超危険!理由や不正事例を解説
- 更新:
- 2024/08/30
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不動産投資は一般的に融資を受けて行うものですが、その時に利用するのは「不動産投資ローン」です。マイホームを購入するための「住宅ローン」は利用できません。
ところが近年、住宅ローンを利用しての投資物件購入(不正利用)を勧める不動産営業マンが増えてきています。この記事では住宅ローンで不動産投資ができない理由や、住宅ローンの不正利用を勧める営業マンが増えた背景とその営業手法、騙されるとどうなってしまうのかについて説明します。
- 目次
- 住宅ローンで不動産投資ができない理由
- 住宅ローンと不動産投資ローンの4つの違い
- 住宅ローンを勧める投資物件の営業に要注意
- 住宅ローンを使った不動産投資がバレる4つの理由
- なぜ住宅ローン利用の投資営業が増えたのか
- 不動産投資に住宅ローンが使える特例2ケース
- 不表面的な「うまい話」に騙されてはいけない
- 住宅ローンを使った不動産投資がバレる4つの理由
- まとめ
住宅ローンで不動産投資ができない理由
住宅ローンで不動産投資ができない一番の理由は、あくまで住宅ローンの利用目的が「自己が居住する住宅の購入や増改築」だからです。不動産投資はローンを組んだ物件に自分で住むことはせず、第3者に住居を貸し出すもの。この「利用目的」から逸脱することにより使用が禁止されています。
詳しくは後述しますが、住宅ローンを不動産投資に不正利用すると全額の一括返済を要求されるリスクが高いです。そのため不動産投資をする際には、不動産投資のために用意された「不動産投資ローン」を使わなければいけません。
ここからは、具体的な「住宅ローンと不動産投資ローンの違い」を詳しく見ていきましょう。
なお「住宅ローンが不動産投資に使えないのは分かったから、どんなローンを組めばいいのか知りたい」という方は、当社の無料相談をお気軽にご利用ください。予算やあなたのご職業・収入などの条件から、物件のタイプやローンについて最適なご提案をいたします。
住宅ローンと不動産投資ローンの4つの違い
住宅ローンと不動産投資ローンには、主に下記4つの違いがあります。
- 利用目的
- 金利
- 融資基準
- 返済年数の上限
それぞれ詳しく見ていきましょう。
違い①利用目的
住宅ローンと不動産投資ローンの利用目的は下記のように異なります。
- 住宅ローン:自分が住む住宅の購入や増改築
- 不動産投資ローン:賃貸利用を目的とした物件の購入
転勤などのやむを得ない事情がある場合を除き、住宅ローンで購入した物件は他人に賃貸できません。また不動産投資ローンで購入した物件に自分で住むことも契約違反にあたります(※)。「自分が住むなら住宅ローン、他人に貸すなら不動産投資ローン」という点は必ず押さえておきましょう。
※金融機関の許可を得られれば自分で住むことが可能です。
違い②金利
住宅ローンと不動産投資ローンでは、下記のように金利の条件が異なります。
ローンの種類 | 金利の相場 |
---|---|
住宅ローン | 0.3~2.0% |
不動産投資ローン | 1.0~4.0% |
収入や保有資産などの条件が同じの場合、金利は住宅ローンの方が圧倒的に安いです。仮に住宅ローンが0.3%、不動産投資ローンが1.0%の金利として、3,000万円の物件で35年のローンを組んだら、総返済額は不動産投資ローンの方が約400万円も大きくなります。
「住宅ローンで不動産投資をすればお得」という話題が上がるのは、これだけ大きな金利差があるためです。しかし先述のとおり利用目的が異なることから、バレれば全額を一括返済する羽目になりかねません。
人生を棒に振りかねないほどリスクの高い行為のため、住宅ローンで不動産投資をするのは絶対にやめましょう。
違い③融資基準(審査)
住宅ローンと不動産投資ローンでは、下記のように融資(審査)の基準も異なります。
ローンの種類 | 融資(審査)基準 |
---|---|
住宅ローン |
|
不動産投資ローン |
|
一目瞭然ですが、不動産投資ローンの方がさまざまな項目をチェックされます。つまり、不動産投資ローンは住宅ローンより審査が厳しいです。「住宅ローンは通るけど不動産投資ローンは通らない」ケースはあり得るので覚えておきましょう。
違い④返済年数の上限
住宅ローンと不動産投資ローンは、返済年数の上限の決まり方にも下記の違いがあります。
- 住宅ローン:基本的に申込者の年齢によって決める
- 不動産投資ローン:建物の法定耐用年数によって決める
一般的に住宅ローンは完済のタイミングで申込者が何歳になっているか、という点を見て返済年数を決定します。そのため、申し込み時の年齢が高ければ短期間でのローンを組まなければいけません。
一方で不動産投資ローンの返済年数の上限は、建物の法定耐用年数を基準とするのが一般的です。建物の法定耐用年数は、構造別に下記のとおり定められています。
建物の構造 | 法定耐用年数 |
---|---|
木造 | 22年 |
鉄骨造(S造) | 34年 |
鉄筋コンクリート造(RC造) | 47年 |
たとえば築年数20年の鉄筋コンクリート造(RC造)マンションで不動産投資ローンを組むケースでは、返済年数の上限は「法定耐用年数47年ー築年数20年=27年」です。
ただし、多くの銀行では住宅ローン・不動産投資ローンともに最長の返済年数を35年としています。銀行により条件が異なるので、何年までローンを組めるか事前に確認しておくと良いでしょう。
住宅ローンを勧める投資物件の営業に要注意
このように、住宅ローンと不動産投資ローンはその目的が異なるので、不動産投資では住宅ローンを使用することができません。ところが、住宅ローンのほうが不動産投資ローンよりも金利や融資などにおいて有利なことから、不動産投資用に住宅ローンを勧める営業が増えています。特に住宅ローンの「フラット35」を利用した不動産投資の営業には、要注意です。
売り文句は「フラット35でセカンドハウス」
フラット35とは、公的ローンと民間ローンの中間的な要素をもったローンです。「長期固定金利(※)」という、非常に安定していて返済しやすい特徴があります。フラット35を借りるには、国の建築基準法や住宅金融支援機構が定めた一定の基準をクリアする必要があります。
※契約期間中に金利が変動しないこと
フラット35を不動産投資用に紹介する業者は、セカンドハウスローンの利用で30㎡以上の物件をメインとして紹介してきます。セカンドハウスとは、生活する住宅とは別のもう1つの住宅(いわゆる別荘)のことですが、このセカンドハウスとして、つまり自己使用物件として購入しておいて、こっそり賃貸に出すという仕組みです。
このフラット35のセカンドハウスローンの金利は0.6~1%前後と、不動産投資ローンに比べて安く、一見すると非常に良い案件に見えます。しかし前述のとおり、フラット35は本来自己使用する物件のための融資です。不動産投資に利用するのは本来の使い道ではありません。不動産業者が、裏技的な表現を用いて勧誘しているに過ぎないのです。
ばれると金融機関へ一括返済することに
金融機関は、申し込みの通りセカンドハウスとして自己使用するからこそ、35年の返済で0.6~1%前後の低金利で貸しています。本当は不動産投資に使っているとばれた場合、金融機関からローンの一括返済を求められます。
つまり、不動産投資業者が裏技的な表現を用いて勧めた「フラット35でセカンドハウス」という売り文句に乗ることは、極めてリスキーなのです。
住宅ローンを使った不動産投資がバレる4つの理由
前提として、住宅ローンを使った不動産投資はほぼ100%バレます。その理由は下記の4つです。
- 郵便物が届かない
- 金融機関の営業訪問がある
- 不動産会社への全件調査が入ることがある
- 確定申告の内容を怪しまれて税務調査が入る
そのため、絶対に住宅ローンを不動産投資に使ってはいけません。気になる方は理由の詳細までチェックしておきましょう。
理由①郵便物が届かない
住宅ローンを組んでいると、金融機関から郵便物が送られることがあります。このときの宛先が「ローン対象の物件の住所」になるので、自分が住んでいないと郵便物を受け取れません。郵便物が届かない原因を調べる過程で、ほぼ間違いなく住宅ローンの不正利用がバレます。
理由②金融機関の営業訪問がある
セールスやサービスの案内を目的に、金融機関の営業担当が物件を訪問してくるケースがあります。事前のアポイントがあるわけではないので、契約者が物件に住んでいない(=不正利用)とすぐにバレてしまうでしょう。
理由③不動産会社への全件調査が入ることがある
金融機関と契約する不動産会社が住宅ローンの不正利用を行っていたことが判明すると、その金融機関におけるすべての住宅ローン契約について詳細な調査を行うことがあります。契約者や居住の実態をくまなくチェックされるので、全件調査が入ればほぼ100%不正利用がバレてしまいます。
理由④確定申告の内容を怪しまれて税務調査が入る
不動産投資で家賃収入を得ている場合、所得の確定申告をしなければいけません。このとき「不動産所得が増えた年に住宅ローンの控除を受け始めている」ことが発覚する可能性があります。
確定申告の内容が怪しまれると税務調査の対象となり、抜き打ちで自宅に税務署の調査官が来ます。所得の内訳やローンの状況を洗い出されるので、不正利用は確実にバレてしまうでしょう。
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なぜ住宅ローン利用の投資営業が増えたのか
では、なぜフラット35を用いた不動産投資の営業が増えたのでしょうか。その発端は、2018年3月に発覚したスルガ銀行の「かぼちゃの馬車」事件にあります。
発端はスルガ銀行の「かぼちゃの馬車」事件
発端は2018年に起きた、女性専用シェアハウス(1棟RC物件)「かぼちゃの馬車」をめぐる700人以上が巻き込まれたトラブルです。そしてこの事件の背景にあったのが、スルガ銀行の融資でした。
一棟RC物件への投資は、不動産会社が物件を買い入れて、スルガ銀行を利用してオーバーローン(※)で融資付けをします。買主は自己資金を一切出さなくても、一棟RC物件を所有できるというスキームです。
※物件の価格よりも、ローンの借入金額(残高)が多い状態のこと
このスキームにおいてスマートデイズとスルガ銀行が結託し、下記の不正をはたらいていたことが問題視されました。
- スマートデイズがローンを通すために購入希望者の資産状況を改ざんし、スルガ銀行が黙認していた
- 通常1億円以上の取引に必要となる1,000万円の頭金をスルガ銀行が不要にしていた(見かけ上頭金を支払ったかのような状態にしていた)
これにより契約者は本来組めない高額なローンを組むことが可能となっていました。しかし「かぼちゃの馬車」の立地が良くない、などの理由で大半の運営が悪化。多くの契約者が自己破産に追い込まれています。
そしてかぼちゃの馬車事件以降、スルガ銀行の一棟RC物件への融資が実現不可能に近い状態となりました。
一棟RCを扱えなくなった業者が区分マンションに参入
一棟RC物件を扱えなくなった不動産業者は、区分マンション市場に参入し始めました。区分マンション市場に参入すること自体に問題はありませんが、上述したように住宅ローンであるフラット35を利用した、裏技的な営業手法をとっているため、問題が起こっています。
これが、住宅ローンを利用する不動産投資営業が増えた理由です。一見すると金利が安く、優良案件に見えることから、知識の少ない投資初心者が騙される事例が発生しています。
住宅ローンの不正事例:2023年のオープンハウス社営業マン
最近では2023年に、不動産会社「オープンハウス」の営業マンが顧客に住宅ローンの不正利用をそそのかしていたとして問題になりました。「審査がゆるい・金利が安い・減税になる、私も店長もやっているから大丈夫」というトークで、顧客に住宅ローンを使った不動産投資をさせようとするものです。
一見、このケースでは「不正利用をそそのかしたオープンハウス」にだけ非があるように思えます。しかし、もし不正利用がバレた場合に、一括返済を求められるのは契約者です。「知らなかった」では済まされないのが、住宅ローン不正利用の危うさといえます。
なお、このオープンハウス社の不祥事は下記記事で詳しくまとめているので、気になる方は参照ください。
参考オープンハウスの営業マンによる住宅ローン不正利用指示は何がやばい?4つの問題点を詳しく解説
不動産投資に住宅ローンが使える特例2ケース
実は例外的に住宅ローンを不動産投資に使える特例が2ケースあります。
- 賃貸と居住の両方に使う物件でローンを組むケース
- 急な転勤などやむを得ない事情が発生したケース
それぞれ見ていきましょう。
賃貸と居住の両方に使う物件でローンを組むケース
賃貸と居住の両方に使う「賃貸併用住宅」でローンを組む際、住宅ローンを使うことが可能です。ただし賃貸併用住宅と認められるには、面積の50%以上を自宅として使う必要があります。
よく使われるのが「2階建ての物件で、2階を自宅・1階を賃貸として活用する」ケース。自宅として使っている割合に限りますが、住宅ローン控除を活用することも可能です。
ただし入居者から頻繁にクレームが来たり、将来の売却が難しかったりとデメリットも多く、あまりおすすめする方法ではありません。
急な転勤などやむを得ない事情が発生したケース
「住宅ローンを組んで自宅を買ったけど、急に転勤が決まり空き家になってしまう」などのやむを得ない事情が発生したケースでは、住宅ローンで買った物件を賃貸に転用するのが認められる可能性があります。
ただし、どのような事情があっても必ず「金融機関の許可」を得なければいけません。許可なしで賃貸に転用すると、不正利用とみなされ一括返済を求められるので注意してください。
表面的な「うまい話」に騙されてはいけない
不動産投資において投資効果を高める努力をするのは当然であり、節税対策などは、ルールに則った工夫です。しかし、住宅ローンを不動産投資利用に用いることは「裏技」ではなく「違反行為」です。
一棟RC物件の事例も、自己資金が不要でキャッシュフローが回りやすいという売りやすい商品でした。しかし、これもエビデンス等について改ざんが当たり前の取引ですので、完全にルールを逸脱しています。
不動産投資に長く携わるまっとうな会社や営業マンは、このような事案を決して取り扱いません。おそらくこのスキームも長くは続かないでしょうし、そのような安易な営業手法を行う会社はアフターフォローなどにも期待できません。不動産を一旦売ってしまえばあとは購入者のことなどお構いなし、という可能性は非常に高いでしょう。このような不動産業者の甘い勧誘には、決して騙されてはいけません。
参考不動産投資ローンと住宅ローン(マイホーム融資)を両立することはできるのか?重要なのは順番!
住宅ローンと不動産投資に関するQ&A
住宅ローンはと不動産投資に関する、よくあるQ&Aを4つまとめています。
- セカンドハウスローンを組んで賃貸や民泊にしたらバレる?
- 住宅ローンで不動産投資をする裏ワザはある?
- 投資用マンションを持っていると住宅ローンは組めない?
- フラット35の不正利用には調査が入るの?
ローンに関する疑問をなくしておきましょう。
セカンドハウスローンを組んで賃貸や民泊にしたらバレる?
別荘などに使う「セカンドハウスローン」を組んで賃貸や民泊にしたらバレます。
セカンドハウスローンも、通常の住宅ローンと同じく「自分が住む住宅の購入や増改築」が利用目的です。「郵便物が届かない」「金融機関の営業訪問があった」などの理由でバレれば不正利用として扱われ、全額の一括返済を求められるので注意しましょう。
住宅ローンで不動産投資をする裏ワザはある?
住宅ローンで不動産投資をする裏ワザはありません。強いていえば、住宅ローンを組んでから転勤する方法があります。転勤は「止むを得ない事業」とみなされ、例外的に住宅ローンで購入した物件でも賃貸に転用できる可能性があるためです。
ただし、転勤が会社都合によるものではなく、自らの希望であったと発覚した場合には賃貸に転用できない場合があります。
投資用マンションを持っていると住宅ローンは組めない?
投資用マンションを持っていると、新たに住宅ローンを組めなくなるわけではありません。ただし借り入れの総額が大きくなるため、返済能力が不足していると金融機関に判断されれば住宅ローンは組めない可能性があります。
とはいえ、自宅と投資用マンションの両方を持つつもりなら、先に「投資用マンション」を購入してください。これは不動産投資ローンの審査が住宅ローンより厳しく、自宅が先だと審査に通らない可能性が上がるためです。
投資用マンションの家賃収入により住宅ローンの条件がさらに良くなることもあるので「投資用マンション⇒自宅」の順で購入しましょう。
フラット35の不正利用には調査が入るの?
フラット35を取り扱う「住宅金融支援機構」では、定期的に融資後の利用状況調査を行っています。
- 融資後の利用状況調査
融資実行後、定期的に融資住宅のご利用状況を調査しています。当該調査により不適正利用の懸念があった場合は、より詳細な調査を実施しています。
引用住宅金融支援機構
この利用状況調査により、多くのフラット35の不正利用はバレます。絶対に不動産投資への転用をしてはいけません。
まとめ
いかがでしょうか。住宅ローンは不動産投資ローンと比べて金利も低いなど融資条件も悪くないことから、不動産業者が住宅ローンを勧誘するケースが増えています。しかし、住宅ローンは自己使用のためのものであり、投資目的で使うのはルール違反です。
不動産投資でローンを検討されている方は、金利や融資条件といった表面的な情報に騙されないよう、十分に注意してください。実際にそのような営業を受けた場合は、当社の不動産コンサルタントが無料でご相談に乗ります。ルール違反にならない優良物件をご紹介いたしますので、お気軽にご連絡ください。
この記事の執筆: 及川颯
プロフィール:不動産・副業・IT・買取など、幅広いジャンルを得意とする専業Webライター。大谷翔平と同じ岩手県奥州市出身。累計900本以上の執筆実績を誇り、大手クラウドソーシングサイトでは契約金額で個人ライターTOPを記録するなど、著しい活躍を見せる大人気ライター。元IT企業の営業マンという経歴から来るユーザー目線の執筆力と、綿密なリサーチ力に定評がある。保有資格はMOS Specialist、ビジネス英語検定など。
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