不動産投資では税理士に税務を依頼すべき?必要性やメリット、費用まで完全解説!
- 更新:
- 2023/10/25
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不動産投資では所得税や固定資産税、不動産取得税などさまざまな税金が発生します。家賃収入や経費などを正確に記録し、確定申告を行うのはやはり面倒です。これらの作業は、税理士に依頼すると自分で行う手間が省けます。
しかし、すべての方に税理士への依頼をおすすめできるわけではありません。本記事では、不動産投資で税理士に依頼すべき人の特徴や、依頼するメリットやデメリットについて解説します。さらに、税理士の費用相場、不動産投資に強い税理士の選び方や選ぶポイントについても解説。記事を読むことで、不動産投資で税理士に依頼するとどうなるかが一気に理解できるでしょう。
不動産投資の税務を税理士に依頼すべきか迷っている方は、本記事をご一読ください。
- 不動産投資の税務を税理士に依頼すべき人の特徴
- 不動産投資で税理士に税務を依頼する2つのメリット
- 不動産投資で税理士に税務を依頼するデメリット3選
- 税理士に依頼した場合の費用相場
- 不動産投資に強い税理士の選び方
- 不動産投資に強い税理士を選ぶポイント
- 依頼前にセルフチェック!不動産投資における税務の基礎知識
- まとめ
不動産投資の税務を税理士に依頼すべき人の特徴
不動産投資を行う方の中には、税理士に依頼しなくても大丈夫な方もいます。では、どのような方が税理士に依頼すべきなのでしょうか。
本業が忙しい
本業が忙しい方は、不動産投資の税務を税理士に依頼することをおすすめします。
不動産投資を副業で行う場合、不動産所得が20万円以上になると確定申告をしなければなりません。確定申告をする場合、日々の記帳だけでなく、請求書や領収書の管理が必須です。日常の作業に加えて、確定申告書類の作成にも時間が取られてしまいます。
平日フルタイムで働く会社員の場合、時間があるのは夜や土日です。残業や休日出勤が多い場合、貴重な自分の時間を税務関係に費やさなければいけません。特に、初めての不動産投資で確定申告をする場合、書類作成にそれなりの時間が必要となるでしょう。
勤務外の時間をすべて書類作成に使った場合、休みがなくなり、本業に支障を来す可能性があります。しかも、初心者が不慣れな手続きをすることで、計算や記入ミスが発生することもあるでしょう。計算を間違えたままで確定申告書類を出した結果、追徴課税となる可能性もあります。
慣れない作業は、精神的にも負担となります。本業が忙しい場合、なおさらです。自分のライフスタイルを変えずに不動産投資を行いたい場合は、最初から税務を税理士にお任せすることがおすすめです。
節税効果を最大限に生かしたい
不動産投資での節税効果を最大限に生かしたい場合も、税理士への依頼をおすすめします。
本業のかたわら不動産投資で節税したい場合、方法は2種類。投資で得た収入から必要経費を引く方法と、不動産投資で赤字が出た場合に、確定申告時で給与所得から赤字分を差し引く「損益通算」です。
しかし、何が必要経費となるのかわからないと、収入額や赤字額がきちんと算出できません。さらに損益通算を行う場合は確定申告が必須です。不動産投資の赤字額が給与所得から勝手に引かれることはありません。
必要経費や損益通算の仕方などは自分でも学習できます。しかし、それなりの時間が必要です。仮に間違った計算で確定申告をしてしまった場合、追徴課税となる可能性もあります。
このような事態を避けつつ節税効果を最大にするためには、最初から税務の専門家である税理士に依頼することがおすすめです。
不動産投資で税理士に税務を依頼する2つのメリット
不動産投資で税理士に依頼する大きなメリットは、次の2点。
- 確定申告の負担が軽減される
- 節税効果を最大限にできる
最近では不動産業専門の税理士もいるので、依頼を検討する価値は十分あると言えるでしょう。
以下、税理士に依頼するメリットを解説します。
メリット①:確定申告の負担が軽減される
不動産投資の税務を税理士に依頼することで、確定申告の負担が軽減されます。
不動産投資で賃貸収入を得るようになると、確定申告が必要になる場合があります。確定申告では、家賃収入を得た日付や金額、経費などを漏れなく記載しなければいけません。収入や支出を証明する領収書や請求書の管理も必須です。
区分マンション1室のみといった小規模な投資や、サブリースで物件管理を行っている場合は、収支はそれほど複雑にはならないため、自分で確定申告を行うことも可能です。しかし、複数物件を所有する場合は、計算や書類管理、帳簿作成に時間がかかってしまいます。それだけではなく、申告漏れがあると、追徴課税の対象になる恐れがあります。
不動産投資の税務を税理士に依頼すると、収支関係書類の管理から確定申告書類の作成までお任せすることが可能。申告漏れによる追徴課税の危険も回避できるため、不動産経営や自分の本業に集中しやすくなるでしょう。
参考ここで差がつく!不動産投資における確定申告の手順とポイント
メリット②:節税効果を最大限にできる
不動産投資の税務を税理士に依頼するもうひとつのメリットは、節税効果を最大限にできることです。
税理士は税務の専門家ですので、節税に関する知識も持ち合わせています。不動産投資に掛かった費用のうち、どこまでを経費計上できるのかについても根拠のあるアドバイスが可能。ルールに則り正しく経費を計上することで、節税効果を最大限にすることが期待できます。
また、不動産投資の収支が赤字であれば、給与所得や事業所得などと相殺することで黒字額を減らし、所得税を減らす「損益通算」の処理ができます。損益通算を行う場合、相殺できる所得は限られています。税理士に確定申告を任せることで、損益通算を正確に行い、所得や所得税を減らすことも可能となるのです。
参考ローンの利息分だけが経費?不動産投資の必要経費を正しく理解して賢く節税しよう
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不動産投資で税理士に税務を依頼するデメリット3選
不動産投資で税理士に税務を依頼する場合、メリットだけでなくもちろんデメリットも存在します。
不動産投資で税理士に税務を依頼するデメリットは、次の3点。
- 費用がかかる
- 税に関する知識が身につかない
- 税理士によって対応に差がある
それぞれ、詳しく解説します。
デメリット①:費用がかかる
不動産投資で税理士に税務を依頼するデメリットは、費用がかかることです。
税理士はただで業務を行ってはくれません。当たり前ですが、依頼するときは費用が必要となります。不動産投資の税務を税理士に依頼する場合、不動産投資での収入の何割かを、税理士への依頼費用に回す必要があります。
家賃収入がコンスタントに入ってくるうちは、税理士への依頼費用も支払えるでしょう。しかし、税理士への依頼費用は、家賃収入がなくなっても支払わなければいけません。不動産投資の税務を税理士へ依頼する際は、税務に関する業務を一任できる反面、費用が収入を圧迫する可能性があることは覚えておきましょう。
依頼費用については、「税理士に依頼した場合の費用相場」の項目にて詳しく解説します。
デメリット②:税に関する知識が身につかない
税に関する知識が身につかない点も、税理士に依頼するデメリットといえるでしょう。
税理士は税務の専門家であるため、確定申告関係の処理を「丸投げ」することも可能です。丸投げすることで、税務に関する処理を一任できます。反面、自分で処理をしないため、税に関する知識を身につけられません。
税理士は、投資家から受け取った資料をベースに経費を計算し、確定申告書類を作成します。投資家側も何が費用となるかある程度知っておかないと、資料を渡す段階で漏れが発生。そうなると計上可能な費用を計上できなくなってしまいます。
計上し忘れがちな費用として、下記の例が考えられます。
- 遠方の物件を見に行った際の交通費も必要経費に算入可能だが、それを知らずに数千円経費計上ができなかった
- 業者との打ち合わせでかかった飲み物代のレシートをもらいそびれて、経費計上できなかった
信頼できる税理士に一任できるのは、とても素晴らしいことです。反面、一任することで税に関して学ぶ機会を無くし、結果損をしてしまう可能性があることも頭に入れておきましょう。
デメリット③:税理士によって対応に差がある
税理士に税務を依頼する最後のデメリットは、税理士によって対応に差があることです。
税理士にも、それぞれ得意分野があります。中には、不動産投資の確定申告をあまり行っていない税理士もいます。不動産投資の確定申告が得意分野ではない税理士に依頼した場合、こちらが望むサポートが受けられない可能性があります。
税理士によっては、サービスで経営相談やコンサルティング業務まで引き受けてくれる事務所もあります。これらは、あくまで「サービス」です。本来の業務である税務関係以外の業務は行わない税理士もいます。前者がいいか後者が悪いかではなく、スタンスの問題です。
さらに、自分に合わないアドバイスを押しつけられる、返信が遅いなど、税理士の対応自体がよくない場合も考えられます。税理士すべてが自分が望む対応をしてくれるわけではない点にも注意しましょう。
税理士に依頼した場合の費用相場
年間を通して税理士に税務を依頼した場合、費用相場はおおむね次のようになっています。顧問料を支払うことで、毎月の帳簿作成やチェック、確定申告を行ってもらえます。
年間総額 | 約20万円 ~ 50万円 |
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内訳 | ・顧問料年間額:約12万円 ~ 36万円 ・決算手続費用:約5万円 ~ 10万円 |
確定申告だけを依頼する場合は、3万円から10万円程度です。
こちらのデータは、あくまでも目安です。実際の金額は、物件数や事業規模等によって異なります。
不動産投資に強い税理士の選び方
不動産投資に強い税理士の選び方として、下記2つを紹介します。
- インターネットで探す
- 知人や業者に紹介してもらう
①インターネットで探す
インターネットで「不動産投資 税理士」と検索すると、不動産投資に強い税理士事務所のホームページが出てきます。税理士を紹介する仲介サイト(マッチングサイト)でも、検索可能です。
どちらにしても、自分のニーズに応えてもらえそうか、税理士の活動内容や実績をよく見てから連絡を取りましょう。いい税理士が見つかった場合でも、いきなり申込することはおすすめしません。内容や価格のすり合わせの意味も含めて、最初は相談から始めることがおすすめです。
②知人や業者に紹介してもらう
税理士や弁護士などの士業は、知人からの紹介で顧問になるケースは一定数存在します。不動産投資家どうしのつながりや、友人知人の紹介を活用することで、信頼のおける税理士と巡り会うことができるでしょう。
特に知人から紹介を受ける場合、評判や仕事ぶりを事前に確認することができるため、信頼できる税理士に出会う可能性が高まります。
不動産投資に強い税理士を選ぶポイント
一口に「税理士」と言っても、得意とする分野はそれぞれは異なります。ここからは、不動産投資に強い弁護士を選ぶ際のポイントを解説します。
「資産税」に詳しい税理士を選ぶ
資産税とは、資産に関して課税される税金の総称です。「資産税」という税金があるわけではありません。資産税に該当するのは、以下の税金です。
- 相続税
- 贈与税
- 固定資産税
- 都市計画税
資産税に詳しい弁護士に依頼することで、資産税に関する適切なアドバイスを受けられます。将来的に物件の売買を検討している場合や、相続でマンションを家族に引き継ぎたい場合も、正しい税務処理や資産価値の計上を行ってくれるでしょう。
自身でも不動産投資を行っている
税理士が自分で不動産投資を行っているケースもあります。自ら不動産投資を行っている税理士であれば、専門家としての観点に加え、投資家としての体験も踏まえた実践的な税務アドバイスが期待できるでしょう。
ただし、不動産投資経験の有無は、あくまで補足的なポイントです。自身で不動産投資を行っている税理士しか信頼できないわけではありません。あくまでもプラスアルファの観点として捉えて頂ければ幸いです。
依頼前にセルフチェック!不動産投資における税務の基礎知識
最後に、不動産投資における税務の基礎知識を紹介します。自分が確定申告や税理士への依頼が必要か、こちらを参考にチェックしてみましょう。
不動産投資で確定申告が必要なのは原則「所得20万円以上」
不動産投資では、原則として、給与以外の所得合計が年間で20万円を超えた場合に確定申告が必要です。この「20万円」には、一時所得(満期や解約などで受け取った保険金、競馬や競輪の当選金など)や雑所得(公的年金、事業以外の副業所得)など不動産投資以外の所得も含まれます。
所得は、収入から必要経費を差し引いて算出します。
不動産投資で「必要経費」にできる出費
不動産投資では、収入から必要経費を差し引いた「所得」が課税対象となります。しかし、かかった費用がすべて必要経費となるわけではありません。
必要経費とできる費用は次のとおり。
- 減価償却費
- 仲介手数料
- 所得税、住民税、相続税以外の各種税金
- 投資用物件にかかる損害保険料
- 管理費
- 修繕費、修繕積立金
- 賃貸管理代行手数料
- 借入金の利息
- 税理士費用
- 交通費
- 通信費
- 新聞図書費
- 会議費
- 交際費
- 消耗品費
不動産投資で計上可能な費用については、こちらの記事もご覧ください。
参考ローンの利息分だけが経費?不動産投資の必要経費を正しく理解して賢く節税しよう
損益通算したい場合は確定申告が必要
不動産投資で赤字を出してしまった場合、会社員の収入と相殺できる「損益通算」が利用できます。損益通算をしたい場合は、不動産投資での所得が20万円以下であっても、確定申告が必要です。
所得名 | 投資対象 | 相殺可能な所得 |
---|---|---|
不動産所得 | 所有数が5棟10室未満 | 給与所得、事業所得等 |
事業所得 | 所有数が5棟10室以上 | 給与所得、不動産所得等 |
ただし、不動産所得の中でも、民泊や食事つきの下宿を経営した収益は「雑所得」として計上します。雑所得は給与所得との相殺ができないので、注意しましょう。
まとめ
不動産投資では、税理士に税務を依頼することで、税務知識の勉強や会計処理の時間を節約できることに加えて、より確実に節税を行うことが可能です。特に、資産税に詳しい税理士に依頼できれば、心強い味方となってもらえるでしょう。もちろん、税理士への依頼は費用が必須です。支払う費用と得られるメリットを比較し、税理士への依頼を検討することをおすすめします。
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この記事の執筆: 堀乃けいか
プロフィール:法律・ビジネスジャンルを得意とする元教員ライター。現役作家noteの構成・原案の担当や、長野県木曽おんたけ観光局認定「#キソリポーター」として現地の魅力を発信するなど、その活躍は多岐に亘る。大学および大学院で法律や経営学を専攻した経験(経済学部経営法学科出身)から、根拠に基づいた正確性の高いライティングと、ユーザーのニーズに的確に応えるきめ細やかさを強みとしている。保有資格は日商簿記検定2級、日商ワープロ検定(日本語文書処理技能検定)1級、FP2級など。
ブログ等:堀乃けいか