光熱費節約!節電アイデアと不動産投資における成功のカギ
- 更新:
- 2023/06/21

2023年6月1日の使用分より、家庭向け契約である「規制料金」について、大手電力7社が値上げを行うとNHKのニュースでも報道されたのをご存じの方も多いでしょう。
今回の値上げにより、平均的な使用量の家庭で最大2,700円あまり電気料金が値上がりすると見られています。ただでさえも光熱費が上がる本格的な夏前の値上げに、「光熱費、どこまで上がるの?!」といった不安におそわれる方も多いのではないでしょうか。
しかも東京電力のプレスリリースによると、値上げの主な理由は世界的な資源価格の高騰による財務体質の悪化であり、電気代が今後さらに上がらないとはいえません。
そこで今回は光熱費の中心である電気代について、「光熱費を節約できる節電方法」と電気代の高騰が不動産投資に与える影響について紹介します。
光熱費の増加による家計負担と節電の重要性
効率的な光熱費削減のためには、まずは現状と節電の重要なポイントについて知っておきましょう。
光熱費の平均額はどのくらい?
電気代は世帯人数だけでなく家族構成や年代、居住地域によっても変わりますが、自宅の光熱費と比較する目安として世帯人数ごとの光熱費の平均額について見ておきましょう。
2022年
世帯人数 | 水道光熱費 | 電気代 | ガス代 | 水道代 | その他 |
---|---|---|---|---|---|
1人 | 13,098 | 6,808 | 3,331 | 2,116 | 843 |
2人 | 22,037 | 11,307 | 4,900 | 4,229 | 1,600 |
3人 | 25,657 | 13,157 | 5,555 | 5,500 | 1,445 |
4人 | 26,577 | 13,948 | 5,427 | 6,196 | 1,005 |
引用e-stat 家計調査 家計収支編 単身世帯 /二人以上の世帯
上の表が2022年の、世帯人数別の水道光熱費の平均額です。このように水道光熱費で一番ウエイトが大きいのは電気代であり、電気代の削減 = 光熱費削減ともいえます。また、この表からは世帯人数が3人以上になると光熱費の伸び率が下がり、人数によってあまり差がなくなることがわかります。
2021年
世帯人数 | 水道光熱費 | 電気代 | ガス代 | 水道代 | その他 |
---|---|---|---|---|---|
1人 | 11,383 | 5,482 | 3,001 | 2,248 | 651 |
2人 | 19,168 | 9,183 | 4,330 | 4,344 | 1,311 |
3人 | 22,503 | 10,655 | 4,930 | 5,749 | 1,169 |
4人 | 23,477 | 11,376 | 4,882 | 6,465 | 754 |
参考e-stat 家計調査 家計収支編 単身世帯 /二人以上の世帯
次にこちらの表は2021年の水道光熱費の平均です。ガス代・水道代の変化が少ないのと比較して、わずか一年で電気代が大きく上昇していることがわかります。
2021年と2022年の差額
世帯人数 | 水道光熱費 | 電気代 | ガス代 | 水道代 | その他 |
---|---|---|---|---|---|
1人 | +1,715 | +1,326 | +330 | -132 | +192 |
2人 | +2,869 | +2,124 | +570 | -115 | +289 |
3人 | +3,154 | +2,502 | +625 | -249 | +276 |
4人 | +3,100 | +2,572 | +545 | -269 | +251 |
光熱費節約のポイントは?
光熱費で大きなウエイトを占める電気代を効率的に節約するポイントは、「使用電力の大きいものから削減する」ことです。
上のグラフによると、夏季・冬季とも電力消費割合が大きいのは「エアコン」「冷蔵庫」「照明」の順となっており、これらの電力消費をできるだけ抑えるのが節電には重要です。
また、上の図のような電力使用量の高い調理機器の使用時間を短縮するのも電気代節約には効果的です。
光熱費節約術!家計を助ける節電アイデア
2人以上の世帯では、電気代を10%抑えられれば1ヶ月で1,000円以上、1年では1万円以上光熱費の節約になります。ここでは基本の節電方法からちょっと珍しい節電方法まで紹介します。
日常生活でできる!基本の節電で光熱費を節約
まずは日常生活で身に付けたい基本の節電習慣をおさえておきましょう。ひとつひとつの節約額は小さくても、一度習慣づけば長期的な節電効果が期待できます。
節電方法 | 補足 |
---|---|
トイレの便座の温度設定 | 便座の温度設定を「弱」にすると年間約820円の節約 |
炊飯器の保温時間の短縮 | 炊き上がり後に保温機能を切ることで、無駄な電力消費を避ける |
冷蔵庫・冷凍庫の適切な温度設定 | 中身の量や季節によって設定を変える 冷蔵室に入れるものを半分にすると年間約1,360円の節約 |
エアコンのフィルター清掃 | フィルターを月1、2回清掃すると年間約990円の節約 |
エアコンの設定温度 | 冷房を1度下げると年間約940円、暖房を21℃から20℃にすると年間約1,650円の節約 |
テレビを観ない | 視聴時間を1日1時間減らすと年間約520円の節約 |
加熱の要らないメニューや同時調理の活用 | 缶詰や刺身、豆腐など火を使わずできるメニューは時短にもなる |
生活時間帯の見直し | 夏は朝型の生活にして夜に照明をなるべく使わない |
アンペア・契約プランの見直し | 東京電力のHPで最適なアンペア数がチェックできる |
初期投資で長期的に光熱費を節約
最初から節電効果のある家電や設備を導入すれば、初期投資はかかりますが頑張らなくても自動的に節電になり長期的に見てお得です。
節電方法 | 補足 |
---|---|
最新省エネ家電の購入 | 環境庁によると、省エネ家電の導入で冷蔵庫は10年前と比べて約47%、テレビは約29%の節電効果がある |
電力使用状況のモニタリング | スマートフォンアプリから家電や照明の使用状況を監視し、無駄な消費を把握 |
電源タップ・コンセントタイマーの使用 | 必要な時間だけ電気を供給し、待機電力や消し忘れをなくす |
照明をLEDに交換 | 環境庁によるとLEDランプの消費電力は一般電球の約1/6、約9ヶ月程度で元が取れる |
断熱窓・ドアの設置 | 熱は窓から伝わりやすい。国も普及に力を入れており東京都では助成金事業もある |
太陽光発電パネルの設置 | 東京都では新築で1kWあたり12万円(上限36万円)、既存住宅で1kWあたり15万円(上限45万円)の補助金が出る |
窓に断熱フィルムを貼る・遮熱カーテンの取り付け | エアコンの効きが良くなる 断熱窓より気軽に導入できるのが魅力 |
グリーンカーテン・ベランダシェードの設置 | 直射日光を遮るほか、オープンリビングとしても活用できる |
アイデア節電で光熱費を節約
次に紹介するのは、一般的な節電とは少し違う節電方法です。
節電方法 | 補足 |
---|---|
家具の配置の見直し | 家具を減らす、あるいは移動して風通しと冷房効率を良くする |
省エネ効果のある壁紙への変更 | 光の反射・拡散効果のある壁紙で少ない照明でも部屋を明るくする |
遮熱・断熱効果のある塗料での塗装 | 屋根や外壁に使用でき、日光を反射させ節電効果がある |
風力発電の設置 | 住宅用風力発電が設置可能、太陽光より発電量は少ないが陽当たりが悪い季節・場所でも使用できるメリットがある |
自分で発電 | 運動や防災にも役立つ発電グッズで「ながら発電」 |
また、ファミリーの場合は「過ごす空間」と「生活時間」をなるべく一緒にすることで照明とエアコン代の節約につながります。勉強や仕事の気が散る、といった場合はリビングをパーテーションや家具で仕切って個々のスペースを作るのも良いですね。
光熱費節約を自然にできる節電グッズ9個
毎日節電を意識するのは大変ですが、節電効果のあるグッズを使えば「節約」を意識せずとも自然に電気代を節約できます。
冷暖房の電気代を節約するグッズ
「帰って来るときに暑いから冷房付けたままにしておこう」こういった不在時間の冷暖房費を抑えるのがスマートリモコンです。一般的な赤外線リモコンで操作できる照明・家電であれば外出先から好きな時に操作できます。
「室内ペットのためにエアコンを付けっぱなしで冷暖房代がかかる」そんな家庭には、床冷暖房による温度調節機能付きのペットハウスはどうでしょうか。
また、「リビングが広くてなかなか冷暖房が効きにくい」といった家庭にはサーキュレーターの使用がおすすめです。下に集まる冷たい空気、上に集まる暖かい空気をサーキュレーターで攪拌すると冷暖房効率が上がります。
照明の電気代を節約するグッズ
下の商品はボタン式のスイッチ部分に設置するとオン・オフを操作できる「ボット(左)」とリモコン類をまとめてスマートフォンから操作できる「ハブミニ(右)」のセットです。照明などのボタン式のスイッチも含め、簡単にスマートホーム化が叶います。
夜間に付けっぱなしになりやすいトイレや廊下の節電に効果的なのが、人感センサー付きのLEDライトです。設置場所を選ばない上、乾電池式なので防災にも役立ちます。
1人暮らしなどで自分のいる場所だけ明るければよい、という場合はソーラーランタンはどうでしょうか。光量の大きいものはもちろん、下の商品のような可愛らしくて持ち運びやすいソーラーランタンであれば自宅やキャンプで癒しと節電が両立できるかもしれません。
面積が広くて照明を付けている時間が多いリビングには、室内を明るくする壁紙もおすすめです。下の商品は光の反射により部屋を明るくするため、少ない照明でも明るくなったり、日中電気を付けないで過ごせる時間が伸びたりという効果が期待できます。
電力使用量を節約する発電グッズ
使用量を減らすだけでなく、自分で発電するという方法もあります。
ソーラーパネル付きポータブル電源であればアウトドアにも、発電ペダルであれば運動としても活用できるほか、どちらも防災グッズとして役立ちます。
光熱費の高騰がもたらす不動産投資への影響
高騰する光熱費は、家計だけでなく不動産投資にも影響を与えます。ここでは光熱費の上昇が続いた場合、賃貸市場と不動産投資にどのような影響が考えられるか考察します。
管理コストの増大
区分マンションへの投資では電気代は入居者側が支払うため、光熱費の増大は一見関係ないように思えるかもしれません。
しかしマンションには廊下やエントランス、エレベーターなどの共用部分があります。共用部分にかかる光熱費の増大が管理費や修繕積立金に転嫁され、値上げされる可能性も高いでしょう。管理費や修繕積立金の値上がりによりコストが増加すれば、不動産投資の利益減少につながります。
区分所有のオーナーが直接共用部分のコスト削減に関与するのは難しいため、今後不動産投資を検討する際にはマンションの節電対策もチェックすべきポイントになるかもしれません。
「角部屋・最上階」とほかの部屋での家賃差の縮小
HOME'Sによると、角部屋は人気があり、家賃に1,000円 〜 3,000円程度の差がつくとされています。また、同じく最上階も「日当たり良好」「上の階がないため物音が気になりにくい」といったメリットから人気があり、家賃が高く設定されるケースが多いです。
しかし、角部屋・最上階共に外気温の影響を受けやすいため、冷暖房費が中間の部屋よりも高くなる場合が多いでしょう。
そのため電気代の高騰により、「角部屋・最上階 = 光熱費がかかる」といったイメージが強まり、それ以外の部屋との家賃差が小さくなる可能性が考えられます。
エコ賃貸物件の人気上昇
また、すでに新築戸建てや分譲マンションでは「省エネ住宅」がアピールポイントとなっていますが、今後賃貸物件に関してもその流れが起こる可能性があります。
特にZEH-Mと呼ばれる、断熱効果の高い断熱材や窓・ドアの使用、太陽光発電設備を保有しているようなマンション、いわゆる「エコ賃貸」のニーズが増える可能性があります。
光熱費が節約できるエコ賃貸は、アピールポイントとして周辺物件より競争力が高まることも考えられます。
まとめ
本記事ではさまざまな節電方法や節電グッズについて紹介しましたが、当然「知っている」だけでは節電にはなりません。
光熱費の高騰は個人だけでなく不動産投資家にとっても負担が大きいものですが、逆に言えば今回の値上げをきっかけに漫然とした消費を見直し、「コスト意識」を持つきっかけにもなるのではないでしょうか。
給料収入でも不動産収入でも、収入ばかりに目が行きがちですが、「利益」を残すためには「コスト削減」が重要です。光熱費に関わらずコスト削減の工夫をして、利益を減らさないようにしていきましょう。

この記事の執筆: ひらかわまつり
プロフィール:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士資格を有するママさんライター。親族が保有するマンションの管理業務経験を有するなど、理論・実務の両面から不動産分野に高い知見を持つ。また、自身でも日本株・米国株や積立NISAなどを行っていることから、副業や投資系ジャンルの執筆も得意としている。解像度の高い分析力と温かみのある読みやすい文章に定評がある。不動産関連資格以外にも、FP2級、日商簿記検定2級、建築CAD検定3級、TOEIC815点、MOSエキスパートなど多くの専門資格を持つ。
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