なぜ不動産会社の営業マンは、自分で物件を買わないのか?
- 更新:
- 2023/07/12
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この記事を読まれている方の中に、「不動産投資を始めたくて営業マンに会ってみたけど、なぜかあまり信頼できない」と感じられた人はいらっしゃいませんか?特に、営業マンからお奨めの物件を紹介された人であれば、「そんなにお奨めならあなたが買えばいいじゃないか」と考える方もいるかもしれません。
実はこの問題は、昔から営業マンがずっと悩まされてきた課題でもあります。どれだけ心から商品をお奨めしても、逆にお客様には不審がられ、最終的に「君が買えば?」と言われてしまうというケースも少なからず実際にあります。
確かにお客様の立場で考えると、そのように営業マンに対して疑心暗鬼になってしまう理由はとてもよく分かります。初めて営業マンに会った時は、「変な物件を売りつけられたらどうしよう」と不安になったり、「この場で無理やり契約させられたりしたらどうしよう」と悩まれる方もいらっしゃるでしょう。実際、中には本当に悪い営業マンがいて、良くない物件を押し付けるといったケースも残念ながら存在しています。
一方で、多くの良心的な営業マンは、商品について真剣に考え、お客様に対して心からお奨めできる物を紹介しています。不動産会社の営業マンも同じで、お奨めできる物件だからこそ、お客様に会った際に自信を持って紹介することができています。
では、どうして不動産営業マンは、お奨めの投資用物件を自分で買わず、お客様にご紹介するのでしょうか。実は、その理由は大きく分けて3つ存在しています。本記事では、多くの不動産投資家が一度は考えるであろうこの疑問に、不動産営業マンの視点からお答えしていきたいと思います。
理由①:融資付けが難しい
不動産営業マンがお奨め物件を買わない最大の理由の一つは、自身の融資付けが非常に難しいということにあります。こちらの理由に関しては、買わないというよりも買えないと言った方が正確かもしれません。これは、不動産営業マンの給与体系と、金融機関の審査基準に深く関係します。
おそらく不動産投資に関わったことのある方であれば、一度は「属性」という言葉を聞いたことがあるかと思います。属性とは、言うなればお客様のプロフィールのようなもので、年齢や年収、勤務先や勤続年数といった各種情報のことを指しています。この「属性」は、不動産を購入する際の融資付けにおいて非常に重要な意味を有しており、上場企業に長く勤める会社員や、給料の安定している公務員の方などはいわゆる「高属性」と呼ばれ、融資もひきやすくなります。
反対に、自営業やアルバイトの方は、一般的に「低属性」と呼ばれ、金融機関の評価があまり良くないという特徴があります。
なぜ自営業やアルバイトの方の金融機関評価が良くないかというと、毎月の給料が安定せず、収入が自身の働き方によって変動してしまうからです。不動産投資において融資を利用して物件を購入した場合、毎月一定額を金融機関に返済しなければなりません。金融機関からすると、例え物件が空室になっても、給料の安定しているお客様であれば毎月問題なく返済できるという見込みが立てられる一方で、自営業やアルバイトの方であれば怪我や病気などで給料が入らず、毎月の返済が滞るという危険性も十分にあるのです。
実は、不動産営業マンの場合もいわゆる「低属性」と呼ばれる立場にいることが多いです。なぜなら、多くの不動産営業マンは歩合制の給与体系を取っており、毎月の収入額が安定しないからです。つまり、不動産営業マンは自営業やアルバイトの方と同じく金融機関の評価が良くないため、例え物件を購入しようとしても融資が引きにくくなってしまうという問題を抱えているのです。
このような不動産営業マンの属性の低さが、お客様へのお奨め物件を自分で購入することのできない最大の障壁となっています。
理由②:物件を見る目が厳しすぎる
不動産投資営業マンが、お奨め物件を自分で買わない理由の2つ目は「物件を見る目が厳しすぎる」という点にあります。この問題は、仕事上多くの物件を見てきた営業マンの一種の職業病と言えるかもしれません。
基本的に営業の仕事をしていると、毎日100枚以上の販売図面に目を通すこととなります。これは、自身の物件を見る目を養う目的のほか、お客様にご紹介出来そうな良い物件はないかという考えのためです。
しかし、これを数年間続けていると物件を見る目がかなり厳しくなっていきます。区分マンション一つとっても、価格の相場観、立地の良し悪し、物件のグレードなど多くのことについて目を光らせ、投資家の方があまり気にされないようなところまで調べ尽くします。
こうした作業を繰り返していくと、良い物件かどうかが感覚値でわかってくる一方で、どうしても物件のマイナスポイントにも気づくようになってしまいます。その結果、自分で物件を買おうにも、少しでも良くない点があると他の物件に目移りしてしまうのです。
もちろん、お客様にご紹介するお奨め物件は、営業マンが心からお奨めできると考えているというのは事実です。営業マンは、「100点満点」だと自信をもって言い切れる物件をお客様に紹介しています。一方で、営業マンは仕事柄どうしても、「他にも良い物件があるのではないか」という考えが浮かんでしまい、結果として一つの物件に絞ることができなくなってしまいます。
以上のように、営業マンの物件評価基準が高すぎるため、お奨め物件であっても自身で購入できないという結果になってしまうのです。
理由③:自分で買うより紹介した方がメリットになる
投資用不動産営業マンが、お奨め物件を自分で買わない3つ目の理由は、ズバリ「自分で買うよりも、お客様にご紹介した方がメリットになる」と考えるからです。自分で買うよりもメリットになる、とはどういうことでしょうか?
例えば、不動産営業マンがある日、100点満点に近い物件を見つけたとします。この時どのように考えるかというと「この前会ったお客様のAさんは、上場企業に勤務していて属性も良く、購入意欲も高かったので紹介してみよう」とか、「投資家のBさんは物件を見る目がとても厳しいが、良い物件であればすぐに現金購入してくれるから紹介してみたい」といった風になります。つまり、そもそも「この物件は素晴らしいから、自分で買いたい」という思考回路が存在していないのです。
また、例え良い物件を自分で買おうとしても、融資の手配を自分で行わなければいけないなど手間がかかるほか、自分の売上成績には全く関係ありません。売上が給料に直結するのが営業マンの給与体系ですから、できればお客様に紹介して仲介手数料を頂く方が、営業マンにとってメリットになるのです。
そのほかにも、素晴らしい物件をお客様にご紹介するメリットが存在します。それは、お客様に満足してもらうことで、今後の取引を任せてもらえたり、ほかのお客様を紹介してもらえるといったケースです。自分を信頼してくれるお客様が多ければ、それだけ営業マンの成績も伸びるわけですから、そういった意味で強力なメリットとなるのです。
以上のように、良い物件を見つけた時の不動産営業マンの心理と、お客様にご紹介することの大きなメリットを考えれば、お奨め物件を自分で買わない理由が分かっていただけるのではないでしょうか。
まとめ
ここまで、「不動産営業マンが、自分でお奨め物件を買わない理由」について解説してきました。「お奨めならどうしてあなたが買わないの?」という疑問には、営業マン自身での融資付けが難しかったり、物件を見る目が厳しすぎたり、他のお客様に紹介した方がメリットになるという理由が隠されていることが分かっていただけたと思います。
不動産投資において、営業マンとのコミュニケーションは投資を成功させる上で最も大切な要素の一つです。彼らと良好な関係を築き、よりよい不動産投資を行う上でも、営業マンの状況や心理を深く理解することはあなたにとってプラスとなることでしょう。
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