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賃貸(建物)の用途変更は自分でできる?手続き方法や法令上の注意点を解説

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「所有している賃貸物件の空室が埋まらない…用途を変更したら需要が増えるかも?」と、賃貸物件の空室対策として、建物の用途変更を考えているのではないでしょうか。ただし、用途変更には法律上の手続きが必要で、勝手に用途を変えると法令違反になる恐れがあります。

この記事では、賃貸物件の用途変更について、必要な手続きや法令上の注意点を詳しく解説します。用途変更が不要なケースや、具体的な変更事例も紹介するので、空室対策を検討している方はご一読ください。

賃貸(建物)の用途を変えるには「用途変更」が必要!

賃貸物件の用途を変更する際は、建築基準法に基づく手続きが必要です。まずは、用途変更の基本を理解しましょう。

建物の用途によって安全基準や遵守すべき法令が異なる

建築基準法では、建物の用途ごとに異なる安全基準や規制・法令が定められています。

建物の用途とは、その建物がどのような目的で使われるかを示すものです。たとえば、住宅、店舗、事務所、ホテル、病院など、さまざまな用途があります。用途が異なれば、求められる安全基準も変わってきます

具体的には、以下のような違いです。

  • 避難設備:ホテルや病院などの特殊建築物では、より厳しい避難設備の設置が求められる
  • 耐火性能:不特定多数の人が利用する建物では、高い耐火性能が必要になる
  • 換気設備:飲食店など火気を使用する建物では、適切な換気設備が義務付けられる
  • バリアフリー:高齢者や障害者が利用する施設では、バリアフリー対応が求められる

たとえば、住宅として建てられた建物を飲食店に変更する場合、厨房の換気設備や消防設備の設置が必要になります。また、不特定多数の人が出入りするようになるため、避難経路の確保や防火対策も強化しなければなりません。

こうした理由から、建物の用途を変更する際は、建築基準法に基づく「用途変更確認申請」を行います。変更後の用途に適合した建物であることを確認してもらう必要があるのです。

建築確認申請が必要な建築物の主な用途一覧

建築基準法では、用途変更の確認申請が必要になる「特殊建築物」が定められています。特殊建築物とは、不特定多数の人が利用する建物や、火災などが発生した際に避難が困難な建物のことです。主な特殊建築物の用途を以下にまとめました。

カテゴリ 主な用途
住宅・宿泊系 共同住宅(アパート、マンション)、寄宿舎、ホテル、旅館、下宿
商業系 百貨店、マーケット、物品販売店舗(一定規模以上)、飲食店、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場
文化・集会系 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場、展示場
医療・福祉系 病院、診療所、児童福祉施設、老人ホーム
教育系 学校、体育館
その他 公衆浴場、待合、料理店、倉庫、自動車車庫、自動車修理工場、危険物の貯蔵場

これらの特殊建築物へ用途変更する場合は、元の用途を問わず、原則として確認申請が必要です。

用途変更は専門家に依頼しよう

用途変更の手続きには建築基準法や消防法、バリアフリー法など、さまざまな法令の知識が必要です。また、図面の作成には専門的なスキルが求められます。素人が自分で手続きを進めようとすると、以下のようなリスクがあるでしょう。

  • 必要な書類が不足していて申請が受理されない
  • 法令に適合していない改修を行ってしまう
  • 審査で指摘を受け、何度もやり直しになる
  • 結果的に時間とコストが余計にかかる

建築士や行政書士などの専門家に依頼すれば、スムーズに手続きを進められます。専門家は法令を熟知しており、必要な書類も作成できるため、審査で問題が起こるリスクも少ないです。費用はかかりますが、トラブルを避けるためにも、専門家への依頼を検討することをおすすめします。

用途変更しなかった場合は建築基準法などの法令違反として罰則のリスクも

用途変更の手続きをせずに建物の用途を変えた場合は建築基準法違反となり、以下の罰則を受ける恐れがあります。

  • 是正命令:自治体から建物の使用停止や改修を命じられる
  • 罰金:最大で100万円以下の罰金が科される
  • 懲役:悪質な場合は3年以下の懲役が科される可能性もある

また、法令違反の状態で建物を使用していると、以下のようなリスクも発生します。

  • 火災や事故が発生した際、保険金が支払われない
  • 入居者や利用者から損害賠償を請求される
  • 建物の売却が困難になる
  • 金融機関からの融資が受けられなくなる

火災などの事故が発生した場合に、用途変更の手続きをしていないことが原因で被害が拡大したと判断されれば、オーナーの責任が問われます。最悪の場合、刑事責任を追及される可能性もあるでしょう。

「バレなければ大丈夫」と考えるのは非常にリスキーです。用途変更する際は、必ず法令に従って適切に手続きしてください。

賃貸の「用途変更確認申請」が不要なケース

すべての用途変更に確認申請が必要なわけではありません。以下の2つの条件を両方とも満たす場合には、用途変更確認申請が不要になります。

以下で詳しく解説します。

参考国土交通省「建築基準法改正リーフレット」

参考e-Gov法令検索「建築基準法(6条、87条ほか)」

①「特殊建築物」以外に用途変更する

「特殊建築物」以外への用途変更であれば、確認申請が不要になる可能性があります。

特殊建築物とは、前述のとおり「共同住宅」「百貨店」「学校」といった不特定多数の人が利用する施設です。一方、特殊建築物に該当しない用途としては以下があります。

  • 一戸建て住宅
  • 事務所
  • 工場(危険物を扱わないもの)

たとえば、共同住宅(アパート)から事務所への用途変更は、「特殊建築物から特殊建築物以外」への変更になるため、この条件①を満たします

②用途変更する床面積が200㎡以下である

用途変更する部分の床面積が200㎡以下であれば、確認申請が不要になる可能性があります。

2019年の建築基準法改正により、用途変更確認申請が不要となる床面積が100㎡以下から200㎡以下に緩和されました。小規模な用途変更は、より柔軟に行えるようになっています。

注意したいのは、建物全体の面積ではなく「用途変更する部分の床面積」が基準になる点です。たとえば、以下のようなケースが考えられます。

  • 建物全体:500㎡
  • 用途変更する部分:150㎡
  • この場合、用途変更する部分が200㎡以下なので、条件②を満たす

一方、建物全体500㎡に対し、250㎡を用途変更する場合は、この250㎡が対象となるため申請が必要です。

【注意】「申請不要なケース」だと思っても自治体に確認しよう

上記の2つの条件を満たしていても、自治体によっては、条例により建築基準法よりも厳しい基準を設けていたり、届出を求めていたりするケースがあります。また、消防法や保健所の許可など、建築基準法以外の法令による規制も存在します。用途変更を検討する際は、以下のような確認を行いましょう。

  • 自治体の担当部署(建築指導課など)に確認する
  • 消防署に届出が必要か確認する
  • 保健所に営業許可が必要か確認する
  • マンションの場合、管理規約を確認する

「申請不要だと思っていたのに、実は必要だった」というケースが十分にあり得るため、事前の確認は必須です。まずは自治体の担当部署に確認を取ってみましょう。

【事例紹介】賃貸の空室対策として用途変更を考えている方へ

賃貸物件の空室対策として用途変更を考えている方に向けて、具体的な事例をご紹介します。それぞれのケースでの用途変更確認申請の必要性や、注意すべき点をチェックしていきましょう。

SOHO(事務所)への用途変更

SOHO(Small Office Home Office)とは、住居兼事務所として利用する形態です。入居者が自宅で仕事をするスタイルで、フリーランスや小規模事業者に人気があります。

SOHOとして貸し出す場合、契約形態は「住居」のままで問題ありません。入居者が自宅で仕事をするだけであり、不特定多数の人が出入りするわけではないためです。したがって、用途変更確認申請は不要で、法令上の制限もほとんどありません募集広告や賃貸借契約書に「SOHO利用可」などと記載すればOKです。

SOHOは、大きな改修工事も不要で、手軽に始められる空室対策といえるでしょう。

コワーキングスペースへの用途変更

コワーキングスペースとは、複数の利用者が共同で作業できるスペースのこと。フリーランスやリモートワーカーが集まり、デスクやWi-Fi環境を共有します。

コワーキングスペースへの用途変更は、運営形態によって扱いが異なります。

  • 住民専用の場合:建物の入居者だけが利用できる共用施設として扱われ、用途変更は不要なケースが多い
  • 一般開放する場合:不特定多数の人が利用するため、「共同住宅と共用施設の複合建築物」として扱われ、用途変更確認申請が必要になる可能性が高い

一般開放する場合は避難・消防設備の強化など、確認申請以外の法令対応も必要になります。コワーキングスペースは需要がある一方で、法令上の制約も多いため、慎重に検討しましょう。

民泊への用途変更

民泊とは、住宅を旅行者などに短期間貸し出す宿泊サービスです。Airbnbなどの民泊プラットフォームを利用すれば、比較的簡単に始められます。

年間提供日数が180日以内であれば住宅としての扱いが維持されるため、用途変更確認申請は原則不要です。

参考国土交通省「住宅宿泊事業法(民泊新法)とは?」

ただし、以下の点には注意が必要です。

  • 年間提供日数が180日を超える場合は、旅館業法の許可が必要になる
  • 複数人を複数部屋に泊める場合は「簡易宿所」として扱われ、用途変更確認申請が必要になる
  • マンションの場合、管理規約や都市計画条例で民泊が禁止されているケースがほとんど

また、外国人宿泊者が多い場合、言葉の壁やマナーの違いでトラブルになるケースが多くあります。利用のルールをしっかりと定めて、多言語に対応する方法で周知することが必須です。

民泊は、うまくいかなかった場合に他の用途に戻しやすいメリットもあります。空室対策のひとつとして検討する価値はあるでしょう。

飲食店など店舗への用途変更(※店舗兼用住宅の場合も含む)

飲食店は「特殊建築物」に該当するため、原則として用途変更確認申請が必須です。たとえ床面積が200㎡以下であっても、特殊建築物への変更には申請が必要になります。また、飲食店への用途変更には、以下のような対応が必要です。

  • 厨房設備の設置
  • 換気設備の強化
  • 消防設備の追加
  • 保健所への営業許可申請

なお、店舗兼用住宅(1階が店舗、2階が住宅など)の場合も、店舗部分が特殊建築物に該当すれば、用途変更確認申請が必要となります。

飲食店は法令上のハードルが高く、マンション等の共同住宅からの用途変更は現実的ではありません。一戸建てや低層アパートであれば可能性がありますが、ルールへの対応に漏れがないかしっかり確認しながら進めましょう

まとめ

賃貸物件の用途変更には、建築基準法に基づく手続きが必要です。建物の用途によって安全基準や法令が異なるため、勝手に用途を変えると法令違反となり、罰則を受ける恐れがあります。用途変更確認申請が不要になるのは、以下の2つの条件を両方とも満たす場合です。

  • 特殊建築物以外に用途変更する
  • 用途変更する床面積が200㎡以下である

ただし、自治体によっては独自に規制されている場合もあるため、用途変更確認申請が不要なケースでも事前に確認しましょう。

また、空室対策として用途変更を検討する場合は以下のような選択肢があります。

  • SOHO(事務所):比較的簡単に実現できる
  • コワーキングスペース:運営形態によっては申請が必要
  • 民泊:民泊新法の範囲内(180日以内の営業かつ1人のみの宿泊)なら申請不要
  • 飲食店など店舗:原則申請が必要でハードルが高いが、一戸建て等の場合は選択肢

用途変更の手続きは専門的な知識が必要なため、建築士や行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。不動産のプロである当社も無料でご相談に乗ることは可能ですので、お気軽にお問い合わせください。

執筆者:及川颯

この記事の執筆: 及川颯

プロフィール:不動産・副業・IT・買取など、幅広いジャンルを得意とする専業Webライター。大谷翔平と同じ岩手県奥州市出身。累計900本以上の執筆実績を誇り、大手クラウドソーシングサイトでは契約金額で個人ライターTOPを記録するなど、著しい活躍を見せる大人気ライター。元IT企業の営業マンという経歴から来るユーザー目線の執筆力と、綿密なリサーチ力に定評がある。保有資格はMOS Specialist、ビジネス英語検定など。

ブログ等:はやてのブログ

監修者:釜田晃利

この記事の監修: 不動産投資コンサルタント 釜田晃利

老舗不動産投資会社にて投資用区分マンションの営業マンとして約10年間従事したのち、2015年にストレイトライド株式会社にて不動産事業をスタートしました。現在は取締役として会社経営に携わりながら、コンサルタントとしてもお客様へ最適な投資プランの提案をしています。過去の経験と実績をもとに、お客様としっかりと向き合い、ご希望以上の提案が出来るよう心がけています。

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