マレーシア不動産投資は危ない!?利回りはどうなの?失敗リスクは?徹底解説
- 更新:
- 2025/06/22

海外不動産投資先として人気が高いマレーシア。アジアの中でも比較的安定した経済成長を続け、不動産市場も成長傾向にあるため、投資対象として注目を集めています。しかし「危ない」という意見もよく見かけるため「マレーシアの不動産投資は本当に安全なの?」「失敗するリスクはないの?」と疑問に思う方もいるでしょう。
この記事では、マレーシア不動産投資の実態やメリット・デメリットを徹底解説します。「投資すべきか迷っている」「手を出す前にリスクを把握しておきたい」という方はご一読ください。
- 目次
- 前提:マレーシアは「比較的自由に不動産投資できる」国
- マレーシアの不動産価格推移はどう?|2010年比で125%成長
- マレーシアに不動産投資する3つのメリット
- マレーシアの不動産投資は危ない!失敗リスクを上げる3つのデメリット
- 安定した不動産投資なら日本国内の都市部がおすすめ
- まとめ
前提:マレーシアは「比較的自由に不動産投資できる」国
マレーシアの不動産投資の特徴は、外国人でも比較的自由に不動産を購入できる点です。アジアの国々の中では珍しく、外国人の不動産所有に対する制限が比較的緩やかな国として知られています。
ただし、いくつかの規制や注意点もあるため、詳しく確認しておきましょう。
最低購入価格の規制はあるが不動産の購入はほぼ自由
マレーシアでは外国人による不動産購入に最低価格の規制が設けられています。この規制は州ごとに異なりますが、原則として60万リンギット(約2,000万円)以上です。
また、「ブミプトラ政策」と呼ばれるマレー系先住民族を優遇する政策により、新築物件には専用の枠が設けられています。この枠は外国人が購入できず、先住民族のみが購入可能です。
さらに、農地や低価格帯住宅なども外国人は購入できないケースがあります。ただし、こうした一部の規制を除けば、コンドミニアム(マンション)や商業用不動産など、外国人も多くの物件タイプを購入できます。
現地銀行のローンを組むことも可能
マレーシアでは外国人でも現地銀行から融資を受けることが可能です。以下に、マレーシアで外国人が組めるローンの状況をまとめました。
項目 | 詳細 |
---|---|
融資額上限 | 物件価格の最大70%程度 |
金利 | 一般的に4〜5%台(変動制が主流) |
審査期間 | 約2〜3週間 |
※あくまで目安であり、収入や物件の状態などの要素で変動します
日本の住宅ローン金利と比べるとやや高めですが、日本の銀行で海外物件への融資を受けるのは難しいため、現地でローンを組める点は大きなメリットです。
ただし審査基準は日本より厳しい傾向にあり、安定した収入や十分な資産証明が求められます。融資の可否や条件は個人の状況によって大きく異なるため、事前に複数の銀行に相談すると良いでしょう。
家賃への所得税やキャピタルゲイン税はかかる
マレーシアに不動産投資するとき、以下のように所得やキャピタルゲイン(売却益)には税金がかかります。
税金の種類 | 税率・特徴 |
---|---|
所得税(家賃収入) | 0〜30%(累進課税) |
不動産譲渡益税(売却益) | 5年以内:30% 6年目以降:10% |
印紙税(購入時) | 物件価格の1〜4% |
※いずれもマレーシア非居住者の場合の税率
所得税は家賃収入に対して課税され、居住者(マレーシア国内に182日以上滞在する人)と非居住者で税率が異なります。
また、不動産売却時には「不動産譲渡益税(RPGT)」が課されます。保有期間が5年以内だと高い税率が適用されるため、長期保有を前提とした投資計画が望ましいでしょう。
税金面だけを見れば日本より負担が大きいケースもあります。事前にしっかりと計算しておくのがおすすめです。
マレーシアの不動産価格推移はどう?|2010年比で125%成長
マレーシアの不動産市場は、過去10年間で安定した成長を続けてきました。国家不動産情報センター(NAPIC)のデータによると、マレーシア全土の住宅価格指数は2010年を基準(100)とした場合、2024年には約225ポイントまで上昇。約125%の成長を遂げたことになります。
参考NAPIC「Indeks Harga Rumah Malaysia」
都市部と地方での価格上昇率には明確な差があります。とくにシンガポールに隣接する「ジョホール州」や、クアラルンプール近郊の「ペナン州」「セランゴール州」の価格上昇が顕著です。都市部ではインフラ整備や経済発展が進み、外国人投資家からも高い関心を集めています。
ただし、2020年以降はコロナ禍の影響もあり、価格上昇ペースはやや鈍化。2023年〜2024年にかけては横ばいから微増という状況になっています。今後も安定した成長が期待できるものの、以前のような急激な価格上昇は見込みにくい状況です。地域による差も大きいため、投資対象エリアの選定には十分な事前調査が欠かせません。
マレーシアに不動産投資する3つのメリット
マレーシアへの不動産投資には、日本国内への投資と比較していくつかのメリットがあります。主な3つのメリットを見ていきましょう。
物件価格が安く、国内よりも手を出しやすい
マレーシアの不動産は、日本の都市部と比較すると物件価格が比較的安価です。以下でマンションの㎡価格を比較しました。
地域 | ㎡単価 |
---|---|
日本の首都県 (東京・神奈川・千葉・埼玉) |
76.97万円 |
クアラルンプール | 約37万円 |
参考東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2024)」
参考Global Property Guide「Malaysia」
首都クアラルンプールでも、1㎡あたりの価格は37万円程度。日本の首都圏の半分以下です。東京のような都心と比較すると、その差はさらに大きくなります。
少ない資金で投資を始められるのが、マレーシア不動産投資の魅力です。複数の物件に投資し、リスクを分散する戦略も取りやすいでしょう。
人口が右肩上がりに増加しており、住宅需要が高い
マレーシアは人口増加が続いている国で、住宅需要が安定しています。以下にマレーシアの人口推移をまとめました。
年 | 人口 | 1990年比 |
---|---|---|
1990 | 約1,752万人 | - |
2000 | 約2,300万人 | +31% |
2010 | 約2,900万人 | +66% |
2021 | 約3,357万人 | +92% |
1990年に約1,752万人だった人口は、2021年には約3,357万人と約192%まで増加。国の経済発展で中間所得層がとくに拡大し、中級〜高級マンションの需要を押し上げています。長期的な視点で見ても、人口増加が続く限り不動産需要は底堅いでしょう。
地震や台風などの天災がほとんどなく、被災リスクが低い
マレーシアは地理的に自然災害の少ない国として知られています。活断層がほとんどないため地震のリスクは極めて低く、火山活動もありません。また、台風の発生ルートからも外れており、大型台風による直接的な被害も少ないです。
日本では地震や台風による物件の損傷リスクが常にありますが、マレーシアではその心配がほとんどありません。保険料の負担も軽減され、長期的な収益性にプラスに働きます。また、物件の資産価値が自然災害で大きく下がるリスクも低いため、安定感のある投資を実現しやすいでしょう。
マレーシアの不動産投資は危ない!失敗リスクを上げる3つのデメリット
マレーシア不動産投資には見過ごせないリスクもあります。結論からいえば、これから紹介する3つのデメリットが理由で、マレーシアへの不動産投資はあまりおすすめしません。以下で詳しく解説します。
「利回り保証」「買取保証」をダシに悪質な契約を結ばせる業者が多い
マレーシア不動産投資の最大のリスクのひとつが、悪質な業者の存在です。悪質な業者に当たってしまうだけで、マレーシアへの不動産投資はほぼ間違いなく失敗します。典型的な手口をまとめました。
- 「年利10%以上の利回り保証」「5年後に購入価格の1.5倍で買取保証」など現実離れした条件を提示してくる
- 「実は価格を後から変更できる」など、契約書の細かい条件に抜け穴を設ける
- 保証会社と販売会社が実質的に同一グループで、保証の信頼性がほとんどない
- 日本語対応可能とうたいながら、トラブル発生時には現地スタッフのみの対応となる
このようなトラブルを避けるためには、まず「利回り保証」や「買取保証」をうたう業者を避けましょう。そして、契約書の内容や保証会社・販売会社の実態をくまなくチェックすることが重要です。必要に応じて、現地の信頼できる弁護士などに相談することをおすすめします。
そもそも高い利回りが狙いづらい
マレーシアの不動産投資における家賃利回りは、実際には思ったほど高くないケースが多いです。最低購入価格の規制があることにより、全体的な不動産価格が引き上げられています。一方で家賃のつり上げはあまり起きていないため、利回りが低めのまま推移しているわけです。
とくに首都クアラルンプールのような都市部では、「3,000万円で購入した100㎡のコンドミニアム(マンション)の月額家賃が10万円程度」といった利回り3%前後のケースが一般的。どちらかといえば「家賃収入と将来の売却益」の両方を狙った投資戦略が必要になります。
日本の不動産のように参照できる情報が少ないため、家賃が安定し将来の値上がりも期待できる物件をピンポイントで見つけるのは、とくに初心者には難しいかもしれません。
実は「供給過多」が起きており空室リスクが高い
マレーシアの不動産市場、とくに都市部のコンドミニアム市場では、ここ数年「供給過多」の状態が続き社会問題となっています。人口増加により住宅需要こそ伸びているものの、それ以上に供給が増えすぎてしまったのが実情です。
供給過多の原因は、主に中国資本のデベロッパーが外国人投資家向けに高級物件の建設を拡大したことにあります。しかし、実際の需要はそこまで高くなく、結果として空室率が上昇。少し古い資料にもとづくデータですが、2022年のクアラルンプールの空室率は27.9%を記録しています。実に3割近い物件に誰も住んでいない状況です。
参考NAPIC「Property Report PH2022 - Press Release(2022)」
安くて高利回りの物件を購入できたとしても、賃貸需要が低ければ家賃収入が得られず、実際の利回りが大幅に低下してしまいます。また、空室が続くと管理費などの経費だけがかさみ、キャッシュフローが悪化。最悪の場合、毎月の持ち出しが必要になる「赤字物件」となってしまう可能性も否定できません。
しっかりと物件選びをサポートできる業者は少ないため、自信がないならマレーシアへの不動産投資は避けることをおすすめします。
安定した不動産投資なら日本国内の都市部がおすすめ
マレーシア不動産投資にはさまざまなリスクがあることがわかりました。より安定した不動産投資を目指すなら、実は日本国内、とくに東京や大阪などの都市部への投資がおすすめです。
日本の不動産市場は世界的に見ても透明性が高く、法整備もしっかりしています。海外では言葉の壁や法律の違いによるトラブルが発生しやすいですが、日本ならそうした心配はほとんどありません。
また、東京や大阪、名古屋といった大都市では、人口減少が進む日本においても安定した賃貸需要があります。とくに人口が集中する東京23区内や大阪市中心部の物件は空室リスクが低く、安定した家賃収入が期待できるでしょう。
不動産投資初心者やリスクを最小限に抑えたい方は、まずは国内の安定した都市部への投資からスタートすることをおすすめします。経験を積んでから海外投資に挑戦する、段階的なアプローチも検討してみてください。
なお当社では東京23区・大阪エリアを中心とした中古マンションを豊富に取り扱っています。安定した利回りと、将来の売却益が期待できる物件も豊富です。まずは無料会員登録して、非公開の優良物件情報をチェックしてみましょう。
まとめ
マレーシア不動産投資のメリット・デメリットを以下にまとめました。
メリット | ・日本と比べて物件価格が安く、少ない資金で始められる ・人口増加による長期的な需要が期待できる ・地震や台風などの自然災害リスクが低い ・外国人でも比較的自由に不動産が購入できる |
---|---|
デメリット | ・「利回り保証」「買取保証」をうたう悪質業者が存在する ・実際の家賃利回りは3〜5%程度と高くない ・供給過多による空室リスクが高い ・言葉の壁や法律・税制の違いによるリスクがある |
とくに初めての海外不動産投資を検討している方は、言葉の壁や現地の法律・税制度の違いなどが原因で、想定外のトラブルに見舞われる可能性は否定できません。「高利回り」「値上がり確実」といった甘い言葉に惑わされない、冷静な判断が求められます。
結論として、安全性と収益性のバランスを考えるなら、まずは日本国内の都市部の不動産に投資するのがおすすめです。とくにニーズが高い「中古マンション投資」は、初期費用を抑えつつ安定した家賃収入が期待できます。
当社では、東京23区内や大阪市を中心とした優良中古マンションの情報を豊富にご用意しています。不動産投資にご興味の方は無料相談をご利用ください。経験豊富な不動産投資コンサルタントが、あなたの目的に合った物件選びをサポートいたします。

この記事の執筆: 及川颯
プロフィール:不動産・副業・IT・買取など、幅広いジャンルを得意とする専業Webライター。大谷翔平と同じ岩手県奥州市出身。累計900本以上の執筆実績を誇り、大手クラウドソーシングサイトでは契約金額で個人ライターTOPを記録するなど、著しい活躍を見せる大人気ライター。元IT企業の営業マンという経歴から来るユーザー目線の執筆力と、綿密なリサーチ力に定評がある。保有資格はMOS Specialist、ビジネス英語検定など。
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