不動産価格は暴落する?現在の高騰要因とバブル崩壊・リーマンショックの下落事例まで徹底解説
- 更新:
- 2025/01/19

近年、特に都心のマンション価格は高騰を続け、2024年10月には首都圏の新築マンション1戸あたりの平均価格が9,000万円を超えました。これは前年同月比で約1.4倍であり、不動産価格の値上がりを象徴するデータといえるでしょう。
参考株式会社不動産研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2024年10月」
ここまで急激な値上がりが続くと、「今が不動産バブルで、ある日暴落するのではないか」という声も多く聞かれます。いっそ暴落待ちをして、安くなってから不動産を購入したいと考えている方も少なくありません。しかし、不確実な暴落を待っている間に、今のチャンスを逃すおそれもあります。
そこでこの記事では、過去の暴落事例と比較したコロナ禍での不動産価格や、現在の高騰要因、今後の予想などをまとめて解説致します。
- 目次
- 【2024年12月最新】不動産価格の現状
- 過去の不動産価格下落事例【バブル崩壊・リーマンショック】
- コロナ期間での不動産価格変動
- マンション投資は暴落待ちをするべきか?今後に備える方法
- 不動産価格がなかなか暴落しない理由
- 予想される不動産価格下落の原因
- 不動産価格に関するよくある質問
- まとめ
【2024年12月最新】不動産価格の現状
不動産価格が高騰しているのはご存じのとおりですが、ここでは実際にどのような価格推移となっているか、また、高騰している地域などの現状をご紹介します。
続く不動産価格の高騰
国土交通省が発表したグラフを見ると明らかなとおり、近年の不動産価格は高騰が続いています。特にマンションの高騰が突出しており、それに引っ張られるような形で住宅全体も値上がり傾向にあります。
このような価格推移から、近年は不動産売却によるキャピタルゲインで大きな利益を得た不動産投資家も多くいます。
不動産価格が高騰している地域
全国平均でも不動産価格が高騰を続けていますが、特に東京では富裕層に照準を合わせた新築マンションが増加傾向にあり、不動産の平均価格を押し上げています。しかし、不動産価格高騰は東京だけに留まりません。
ここでは、国土交通省が発表した2024年の公示地価を参照しましょう。東京・名古屋・大阪を中心とする三大都市圏では、前年比平均3.5%の上昇率で、前年(2.1%)よりも更に上昇幅が拡大しています。また、地方四市(札幌・仙台・広島・福岡)でも前年比平均7.7%と大きな上昇率を記録しています。
一方で、これ以外の地方では前年比で地価はやや上昇しているものの、まだコロナ前の水準には戻れていません。
過去の不動産価格下落事例【バブル崩壊・リーマンショック】
不動産価格の高騰が続くと、突然暴落するのではないかと不安視する声も多く聞かれます。そこで、今後の不動産価格の予想をするために、これまで不動産価格が暴落した事例や理由を解説します。
バブル崩壊
1980年代後半の日本では、不動産価格が急激に上昇するバブル経済が発生しました。しかし1991年のバブル崩壊により、不動産価格は大幅な下落に転じることとなります。
国土交通省の公示地価データによると、1991年をピークに1996年までの5年間で日本全国の平均地価の下落率は約7割を記録しました。この下落は2005年までの約15年間にわたって続き、現在でもピーク時から約6割、価格が低下しています。
このバブル崩壊により、多くの不動産投資家や金融機関が多額の損失を被り、日本経済は「失われた20年」と呼ばれる長期の停滞期に突入することになりました。
リーマンショック
バブル崩壊からようやく地価が上がり始めていた頃に起きた不動産価格の暴落は、リーマンショックによるものでした。リーマンショックとは、2008年にアメリカの大手投資銀行リーマン・ブラザーズの倒産をきっかけとした、世界的な金融危機のことです。この影響により、2007年から2008年にかけてマンション価格が、平均で2割程度の下落を記録しました。
ただし、バブル崩壊時と比較すると下落幅は小さく、回復も比較的早かったのが特徴です。2012年頃からは再び上昇傾向に転じ、特に都心部では急速な回復を見せました。
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コロナ期間での不動産価格変動
新しく発生した新型コロナウィルスによって、世界中が混乱に陥りました。日本では緊急事態宣言が出され、経済活動が停滞しました。しかし、不動産価格についてはそれほど大きく下落したとは言えません。
この首都圏新築マンションの価格推移からも分かるとおり、バブル崩壊やリーマンショックと比較しても、コロナショックがあっても不動産価格には影響を及ぼしていません。
出典経済産業省・マンション投資の動向をみる(住宅投資の動向2);新型コロナ感染症の拡大以降は
マンション売買仲介の件数も一時的な落ち込みはあったものの、すぐに回復しています。むしろ在宅時間が増えたことで住宅購入の需要は以前より高まっているという話もあります。
マンション投資は暴落待ちをするべきか?今後に備える方法
不動産の暴落待ちをして購入しようと考えている方は少なくありません。ここでは、不動産価格の下落の予測や、今後の状況に対応するための方法をご説明します。
暴落は正確には予測できない
確実に未来が分かっているのであれば暴落待ちをして、安くなってから不動産を購入した方が良いでしょう。しかし、暴落を正確に予測するのは専門家でも不可能だと言えます。
「東京オリンピックを境に不動産価格は暴落するため、不動産はその後に購入した方が良い」という話を聞いたことはないでしょうか。オリンピック暴落説は広範囲で信じられており、実際に購入を躊躇する方が多くいらっしゃいました。
ところが、様々なデータからも分かるように、オリンピックにコロナショックまで重なっても不動産価格は暴落せず、高騰を続けています。今となっては、「あの時買っておけば」と後悔する方も少なくありません。
バブルやリーマンショックの教訓をもとに、コロナショックや2023年のシリコンバレー銀行の破綻などにおいても、各国の政府は迅速な対策を取ったため、それほど大きな混乱は起きませんでした。
今後の予想をすることは大切ですが、踏み切るべきタイミングを逃さないことも同じくらい重要でしょう。
リスクを正しく認識する
不動産購入においては、知識を吸収することが大切です。当時の経済企画庁が公開した資料では、投資家サイドへのバブルの教訓として、リスクの認識不足が指摘されています。
今後来るかもしれない暴落のリスクも踏まえたうえで、自身のリスク負担能力を見極めながら購入を検討する必要があります。「リスクなくしてリターンなし」という投資の鉄則を前提としたうえで、リスクを把握し、狙えるリターンを計算しましょう。
不動産価格がなかなか暴落しない理由
コロナ禍があっても不動産価格は上昇を続けています。ここではその主な理由を解説します。
「一括査定サイト」の流行
近年、特に都心部のマンション価格の高止まりには、一括査定サイトの普及が影響しています。一括査定サイトでは複数の不動産会社が競争しているため、より高値で売却したい売主のニーズと合致し、結果として価格上昇の圧力となっています。
また、一括査定サイトの登場で人気エリアの相場情報が広く共有されたことで、不当な価格叩きも起きにくくなりました。一括査定サイトを通じた情報の透明化は、特に都心部における不動産価格の下支え要因のひとつとなっているのです。
低金利
日本では低金利が続いています。2022年12月に日銀が長期金利の上限を引き上げたことが話題になりましたが、短期金利にはまだ影響はありません。今でも尚、低金利が続いていると言えるでしょう。
金利が低ければ融資を受けやすく、返済にも余裕が出来るため、不動産購入も容易になります。
例えば、返済期間35年で毎月10万円ずつの返済を前提とすると、金利1%の場合は3,542万円借りられますが、金利3%の場合は2,598万円しか借りられません。このように、金利の高さは不動産価格に直接的に影響します。
円安
2024年12月の日本は1ドル150円~155円前後で推移している円安の状況です。円安により海外投資家から日本国内の不動産需要が増え、不動産価格高騰の一因になっています。
例えば、1ドル100円から140円の円安になれば、ドルで同じ物を購入する場合には実質的に3割近く安くなったと感じるでしょう。この割安感もあって、海外投資家からの不動産需要が増えています。
新築マンションの供給減
マンションを購入したいという需要はあるにも関わらず、新築マンションの供給数は減少傾向にあります。こちらのグラフでは赤線が新築マンションの価格、青い棒グラフが供給戸数を表しています。人口減少や建築資材高騰、人件費の高騰などから、新築マンションの供給が大きく下がっているのが現状です。
少ない新築マンションに希少価値が高まり、不動産価格上昇にも繋がっていると考えられます。新築マンションの価格が上がったことで、中古マンション、ひいては一戸建ての価格も上昇傾向にあります。
予想される不動産価格下落の原因
いつか下がると言われながらも上昇を続けてきた不動産価格ですが、今後どのような状況で下落するのか、その原因を予想します。
金利上昇
短期的に不動産価格の下落に繋がりやすいのは金利の上昇です。金利が上昇すれば不動産購入可能金額も下がるため、自然と不動産価格も下落するでしょう。
直近だと2024年10月に、大手銀行が住宅ローンの変動金利を0.15%引き上げました。2024年10月現在で大きな影響は見られませんが、徐々に不動産価格の引き下げが起きるかもしれません。
参考日本経済新聞「住宅ローン変動金利上げ、大手行が0.15%程度 10月から」
少子化による人口減少
2023年7月26日付の日経新聞の記事によると、初めて全都道府県で日本人の人口減少が記録されたとのことです。人口が少なければ不動産の需要が減り、不動産価格の下落に繋がります。
ただし、外国人住民に関しては令和6年6月の時点で358万人以上と増加傾向。令和5年は322万人ほどだったことから、とてつもない勢いで増えており、東京などの大都市での外国人を含めた人口は増加傾向にあります。2067年には日本の総人口の10%以上が外国人になるという将来推計もあるように、今後は日本人以外も視野に入れた不動産投資が益々重要になりそうです。
参考入出国在留管理庁「令和5年6月末現在における在留外国人数について」
参考入出国在留管理庁「令和6年6月末現在における在留外国人数について」
空き家の増加
東京などの都市部に人口が集中することで、地方の過疎化が進んでいます。総務省統計によれば、1978年に268万戸だった空き家の総数は、2023年時点で3倍以上にのぼる900万件まで増加しました。
手入れされていない空き家によって景観が損なわれ、地域の資産価値も落としかねません。特に地方で放置された空き家が増加し、大きな社会問題となっています。
なおこの他にも、円高への転換による外国人投資家の日本撤退など、様々な要素が将来的な不動産価格の下落に繋がると考えられます。
不動産価格に関するよくある質問
不動産価格に関する以下のよくある質問について、その回答をまとめました。
この機会に疑問を解消しておきましょう。
「不動産市況がやばい」といわれる理由は?
不動産市況が「やばい」と言われる主な理由は、近年の急激な価格高騰にあります。建築資材や人件費の高騰により、結果として不動産価格が押し上げられているのが実情です。たとえば首都圏新築マンションでは、2024年10月に1戸あたりの平均成約価格が9,239万円に到達し、一般消費者の手に届きにくい価格帯が増加しました。
参考株式会社不動産研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2024年10月」
ただし、この「一般にやばいといわれる状況」は、不動産をすでに持っている人にとっては嬉しい状況となっています。安い時期に購入した物件の価格が大きく上昇しているためです。いまだ価格が上昇傾向にある首都圏では、今のうちに不動産を持っておけば恩恵を受けられるかもしれません。
マンション価格の下落を待って購入するのは得ですか?
価格下落を待つことは、必ずしも得とはいえません。たとえば「東京オリンピック後に暴落する」という予測が広まっていた時期に購入を見送った人が、現在では価格が上昇し「あの時に買っておけば良かった」と後悔しているケースがあります。
確実な将来を予測するのは困難です。仮に価格が下がっても、金利の上昇により負担が変わらない……といったケースもあり得ます。そのため、自身の資金計画や将来設計に基づいて購入のタイミングを決めるのが良いでしょう。
金利が上昇すると不動産価格も下落しますか?
金利上昇は不動産価格の下落要因となり得ます。
例えば、3,000万円を35年返済で借りた場合、金利1%なら月々の返済額は約8.6万円。一方で金利3%では約11.4万円と、同じ借入額でも返済負担が約3割増加し、購入者の借入可能額は制限されます。その結果、市場全体の購買力が低下し、売主側は価格を下げざるを得なくなるのが、金利上昇が不動産価格の下落につながり得る理由です。
ただし、物件の立地など個別の要因により、価格への影響は異なります。また、金利の上昇とともに賃金の相場も上がってきた場合、不動産価格への影響はほとんど発生しないかもしれません。
不動産価格は今後下がると思いますか?
不動産価格は今後、下記の要因により緩やかに下がっていく可能性があります。
- 金融政策の転換による金利の上昇
- 少子高齢化に伴う人口減少
- 建築資材価格高騰の反動による供給回復の可能性
- 地方での空き家増加による需給バランスの崩れ
ただし、都心部では依然として賃貸需要が高く、外国人投資家の需要も継続していることから、地域による二極化が進むと考えられます。全体的な大暴落というよりも、地域や物件特性による差が広がる可能性が高いでしょう。
なお当社では、今後も不動産価格の上昇が期待される「東京」や「大阪」を中心に、幅広い物件の情報を保有しています。「将来の値上がりに期待して、不動産で資産形成したい」「家賃収入で手取りを増やしたい」という方は、当社コンサルタントの無料相談をお気軽にご利用ください。
まとめ
高騰を続ける不動産価格の今後の予測などをご説明しました。いつ暴落するかを確実に知るのは難しいですが、政府の金融政策などをもとに、ある程度の予測をすることは可能です。
株価や不動産価格の急激な下落を防ぐために、各国の政府も過去の反省を活かし、対応が改善されています。それでも暴落の可能性は無いとは言い切れませんが、リターンを狙うのであればリスクを取るべき場面を見逃さない思い切りも重要です。
リスクとリターンのバランスや、今後の詳しい予想についてお悩みの方は、ぜひ当社コンサルタントまでお気軽にご相談ください。

この記事の執筆: 及川颯
プロフィール:不動産・副業・IT・買取など、幅広いジャンルを得意とする専業Webライター。大谷翔平と同じ岩手県奥州市出身。累計900本以上の執筆実績を誇り、大手クラウドソーシングサイトでは契約金額で個人ライターTOPを記録するなど、著しい活躍を見せる大人気ライター。元IT企業の営業マンという経歴から来るユーザー目線の執筆力と、綿密なリサーチ力に定評がある。保有資格はMOS Specialist、ビジネス英語検定など。
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