【2025年最新】不動産投資(賃貸業)に使える助成金・補助金まとめ
- 更新:
- 2025/06/22

近年の不動産価格高騰により、新築マンションの平均価格は1億円を超える状況となりました。助成金や補助金の活用が、不動産投資の収益性を左右する重要なポイントとなっています。とくに省エネに関連する補助制度は充実しており、条件に合致すれば数百万円規模の支援を受けることも可能です。
本記事では、2025年に使える不動産投資(賃貸業)向けの助成金・補助金を、物件の取得段階と運用段階に分けて紹介。国の制度から地域限定の支援まで幅広く紹介し、それぞれの条件や活用方法を詳しく解説します。使える助成金・補助金がないかチェックしていきましょう。
- 目次
- 不動産投資における「物件の新築・購入やリフォーム」の資金調達に使える助成金・補助金
- 不動産投資における「物件運用中」に使える助成金・補助金
- 地域・自治体によって使える不動産投資用の助成金・補助金
- まとめ
不動産投資における「物件の新築・購入やリフォーム」の資金調達に使える助成金・補助金
物件の取得やリフォーム段階では、多額の初期投資が必要になります。ここでは、新築・購入・改修工事に活用できる主要な助成制度を紹介。省エネ性能の向上による物件価値アップと、お得な不動産投資のスタートを同時に狙える助成金・補助金が多いです。
長期優良住宅化リフォーム推進事業
「長期優良住宅認定」を取得する、もしくは取得できずとも一定の性能向上を目指してリフォームをする物件には、国から補助金が支給されます。
項目 | 内容 |
---|---|
助成金・補助金の名称 | 令和7年度長期優良住宅化リフォーム推進事業 |
助成率・助成金額 | 最大160万円/戸 |
助成対象の不動産取引 | 住宅・共同住宅のリフォーム リフォームに必要なインスペクション等の費用 |
条件 | 長期優良住宅認定の取得を目指したリフォーム |
期間 | 交付申請:令和7年12月22日まで |
対象となるのは耐震性、省エネ性、劣化対策、維持管理・更新の容易性などの性能をリフォームでアップさせる住宅全般です。「長期優良住宅」の認定を受けられなくても、一定の水準まで性能がアップすれば最大80万円の補助を受けることが可能。もし「長期優良住宅」の基準を満たすなら、補助上限は160万円にアップします。
本補助金は事業者に交付されるため、リフォームの依頼者に直接補助が行われるわけではありません。ただし、事業者が依頼者へ補助金を利用していることを伝えることが要件となっています。本補助金の登録事業者を何社か探して、相見積もりを取るとお得にリフォームを進められるでしょう。
また、長期優良住宅認定の取得は、入居者にとっても光熱費削減や快適な住環境などのメリットがあります。賃貸需要の向上と優位な家賃設定にもつながるでしょう。
参考国土交通省「令和7年度長期優良住宅化リフォーム推進事業」
先進的窓リノベ2025補助金
窓の断熱性能を向上させるリフォームに対して、国から補助金が支給される制度です。
項目 | 内容 |
---|---|
助成金・補助金の名称 | 先進的窓リノベ2025補助金 |
助成率・助成金額 | 最大200万円/戸 |
助成対象の不動産取引 | 既存住宅の窓断熱改修工事(内窓設置、外窓交換、ガラス交換、ドア交換) |
条件 | 登録事業者による工事 対象製品の使用 一定の断熱性能基準をクリア |
期間 | 交付申請:令和7年12月31日まで(予算達成次第終了) |
対象となるのは内窓設置、外窓交換、ガラス交換、ドア交換の4つの工事タイプで、使用した製品の性能ごとに補助額が詳細に定められています。例として内窓設置なら1箇所あたり12,000円〜106,000円、外窓交換なら46,000円〜266,000円が目安です。
申請は工事を行う登録事業者が代理で手続きするため、依頼者自身が直接申請する必要はありません。事前に登録事業者であることを確認し、補助金を活用した見積もりを取得することで、工事費用を大幅に削減できます。
窓の断熱性能向上により入居者の光熱費負担が軽減されるため、物件の競争力アップと長期入居の促進効果が期待できるでしょう。
賃貸集合給湯省エネ2025事業
賃貸集合住宅における給湯設備を高効率なものに更新する際に、国から補助金が支給される制度です。
項目 | 内容 |
---|---|
助成金・補助金の名称 | 賃貸集合給湯省エネ2025事業 |
助成率・助成金額 | 最大7万円/戸 ※ガイド・配管の工事が必要な場合、さらに3万円/台の追加補助あり。 ただし、給湯器本体の補助は1戸1台まで |
助成対象の不動産取引 | 賃貸集合住宅の給湯設備更新工事 |
条件 | 登録事業者による工事 対象のエコジョーズ・エコフィールへの交換 賃貸集合住宅であること |
期間 | 交付申請:令和7年12月31日まで(予算達成次第終了) |
従来の給湯器から、対象のエコジョーズ・エコフィールへ交換する工事が補助対象です。補助額は追い炊き機能がない場合は5万円、ある場合は7万円。また、ガイド・配管の工事が発生した場合の追加補助も用意されています。
申請手続きは登録事業者が代行するため、依頼者側での複雑な手続きは不要です。ただし、工事前に必ず登録事業者かどうかを確認し、補助金適用後の見積もりを取得しましょう。
給湯費は光熱費の大きな割合を占めるため、高効率給湯器への更新により入居者の家計負担を大幅に軽減できます。結果として入居率向上や家賃設定での優位性確保につながり、長期的な収益性の改善が期待できるでしょう。
子育て支援型共同住宅推進事業
子育て世帯が安心して暮らせる環境整備を目的とした賃貸マンション・アパートの新築・改修に対して、国から補助金が支給される制度です。少子化対策の一環として創設され、子育て世帯向け賃貸住宅の供給促進を図っています。
項目 | 内容 |
---|---|
助成金・補助金の名称 | 子育て支援型共同住宅推進事業 |
助成率・助成金額 | 安全・安心確保のための設備:最大100万円/戸 キッズルームなど子育て世帯の交流を促す取り組み:最大500万円/棟 ※新築は1/10、リフォームは1/3が上限 |
助成対象の不動産取引 | 共同住宅(アパート・マンション)の新築・リフォーム |
条件 | 子育て支援を目的とした、対象物件の新築・改修工事を行う |
期間 | 令和7年4月1日~令和8年2月27日 |
安全・安心確保のための設備では、ドアストッパー設置や指詰め防止工事、占有部分床の段差解消、安全装置がついた調理器の設置などが対象です。交流機会創出のための設備では、キッズルームなどの設置により、子育て世帯同士のコミュニティ形成を支援する必要があります。
また、2024年1月からは「宅配ボックス」の設置も補助対象となりました。入居者の1/3以上が子育て世帯でなければいけませんが、宅配ボックスを安く設置してさらなる差別化も見込めます。
子育て世帯にとって安全で快適な住環境の提供により、長期入居の促進と安定した賃貸需要の確保が実現可能です。また、コミュニティ形成により入居者満足度が向上すれば、口コミによる新規入居者獲得にもつながるでしょう。
不動産投資における「物件運用中」に使える助成金・補助金
物件を取得した後の運用段階でも、さまざまな助成金や補助金を活用できます。賃貸管理の効率化や事業拡大、スキルアップなど、運用面での課題解決に役立つ制度を見ていきます。
IT導入補助金
不動産賃貸における業務効率化を目的としたITツール導入に対して、国から補助金が支給される制度です。
項目 | 内容 |
---|---|
助成金・補助金の名称 | IT導入補助金 |
助成率・助成金額 | 最大450万円(補助率1/2〜3/4) |
助成対象の不動産取引 | ITツール・ソフトウェアの導入費用 |
条件 | 中小企業・小規模事業者 IT導入支援事業者による申請 |
期間 | 複数回に分けて実施 2025年度の最終は2025年7月18日17:00予定 |
対象となるのは賃貸管理システム、会計ソフト、顧客管理ツールなど。事前に登録されたITツールのみが補助対象です。入居者管理、家賃管理、修繕管理などの業務をデジタル化することで、業務効率化が期待できます。
補助金事業のパートナーである「IT導入支援事業者」により、導入から補助金申請まで一貫したサポートを受けることが可能です。ただし、補助金額や補助率は事業規模や導入するツールの種類によって異なるため、事前の詳細な相談が欠かせません。
IT導入補助金の恩恵を受けられるのは「複数戸・複数棟にわたる大規模な不動産投資を行っている人」です。少ない金銭負担で面倒な管理業務をカットして時間を作り、事業拡大の基盤づくりにつなげられるでしょう。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者の販路開拓や生産性向上を支援する制度で、不動産賃貸業においても一部の取り組みが対象となります。
項目 | 内容 |
---|---|
助成金・補助金の名称 | 小規模事業者持続化補助金 |
助成率・助成金額 | 最大100万円(補助率2/3) |
助成対象の不動産取引 | ホームページ・チラシ制作 ポータルサイトへの物件掲載費用 室内設備の更新費用 など |
条件 | 直近過去3年分の各年または各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超えていない |
期間 | 申請受付締切日:2025年6月13日 |
不動産賃貸業では入居者募集のためのホームページやチラシ制作、ポータルサイトへの物件掲載費用、室内設備の更新費用などが補助対象となります。空室対策や物件の競争力向上につながる取り組みに幅広く活用することが可能です。
申請には「経営計画」および「補助事業計画」の作成が必要となっています。ただし、電子申請システムの専用フォームへの入力で作成できるため、さほど手間はかかりません。小規模な不動産投資であっても、広告強化や設備改善により収益性を高められます。限られた予算でも戦略的な投資が実現できるでしょう。
住宅セーフティネット制度
住宅確保要配慮者(高齢者、障害者、子育て世帯、低額所得者など)向けの賃貸住宅として登録することで、改修費補助の支援を受けられる制度です。
項目 | 内容 |
---|---|
助成金・補助金の名称 | 住宅セーフティネット制度 |
助成率・助成金額 | 改修費最大100万円/戸 |
助成対象の不動産取引 | セーフティネット住宅の耐震化・間取り変更・バリアフリー化などのリフォーム費用 |
条件 | 自治体への住宅セーフティネット登録 10年間は住宅セーフティネットとして登録を継続すること |
期間 | 2025年12月12日17:00まで |
耐震化やバリアフリー化などのリフォームに対し、最大100万円もの高額補助を受けられるのがポイント。登録には住宅の面積や設備に関する一定の基準を満たす必要がありますが、既存物件でも比較的軽微な改修で対応できるケースが多いです。入居者募集についても自治体や居住支援法人のサポートを受けられます。
さらに、相場どおりの家賃が払えない困窮者の入居時には、最大4万円の家賃減額補助制度も用意されています。つまり、あえて困窮者をターゲットとすれば、安定して入居者を確保することが可能です。費用を抑えてリフォームしながら、途切れない家賃収入が同時に狙えるでしょう。
教育訓練給付制度
不動産投資に関する知識やスキル向上のための教育訓練を受講する際に、厚生労働省から給付金が支給される制度です。
項目 | 内容 |
---|---|
助成金・補助金の名称 | 教育訓練給付制度 |
助成率・助成金額 | 最大64万円(受講費用の20〜80%) |
助成対象の不動産取引 | 指定教育訓練講座の受講費用 |
条件 | 雇用保険加入期間が1年以上 |
期間 | 通年 |
対象となるのは厚生労働大臣が指定した教育訓練講座で、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士などの不動産関連資格も含まれます。残念ながら、不動産投資そのものに補助が受けられるわけではありません。しかし、収益性アップや空室改善などのスキルを身につければ、結果として不動産投資の成功率が上がるでしょう。
申請はハローワークで行い、受講開始前には「訓練前キャリアコンサルティング」を受けなければいけません。また、受講期間中は出席確認があり、修了要件を満たすことが給付の条件となります。
地域・自治体によって使える不動産投資用の助成金・補助金
国の制度に加えて、各自治体が独自に実施している助成金・補助金も多くあります。お住まいの地域に助成金・補助金があれば積極的に活用を検討しましょう。以下では、代表的なものを紹介していきます。
全国の一部市町村:創業支援補助金・リフォーム補助金
多くの市町村では地域活性化や定住促進を目的として、創業支援やリフォームに対する独自の補助金制度を設けています。とくに物件のリフォームで活用できる補助金が多いです。
たとえば大阪市の「民間マンションの耐震診断・改修補助制度」では、3階建て以上マンションの耐震改修工事に最大3,000万円(補助率23%)が補助されます。
地域によっては区分マンション一戸のリフォームからでも活用できる補助金が用意されているので、住宅リフォーム推進協議会の「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト」で、お住まいの自治体を検索してみると良いでしょう。
東京都:災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業
東京都が独自に実施している省エネ改修支援制度で、既存賃貸住宅の断熱性能向上や省エネ設備導入に対して補助金が支給されます。
項目 | 内容 |
---|---|
助成金・補助金の名称 | 災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業 |
助成率・助成金額 | ケースにより異なる 参考:2階建て戸建住宅の窓(11枚)を外窓にする改修ケースでは自己負担が1/6に |
助成対象の不動産取引 | 高断熱窓などの設置 太陽熱利用システム、地中熱利用システムの設置 エコキュート等の設置 蓄電池システムの設置 など |
条件 | 対象の設備設置・リフォームを行う都内の住宅 ※内容によっては戸建に限定 |
期間 | 令和9年度まで予定 |
対象となるのは外壁・屋根・窓の断熱改修や、太陽光発電設備の設置などです。光熱費削減効果による差別化で、長期的な空室率の改善が期待できます。非常に対象が幅広いので、検討時には事業の公式ホームページから問い合わせて、補助対象となるか確認すると良いでしょう。
参考クール・ネット東京「災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業」
大阪府大阪市:建替建設費補助制度
大阪市が実施している老朽化した住宅の建替えを支援する制度で、良質な賃貸住宅の供給促進を目的としています。既存建物の解体から設計・新築まで一貫した支援を受けられるのが特徴です。
項目 | 内容 |
---|---|
助成金・補助金の名称 | 建替建設費補助制度 |
助成率・助成金額 | 設計費:2/3以内 解体費等:2/3以内 共同施設整備費:2/3以内 ※項目ごとに上限あり。詳細は要問い合わせ |
助成対象の不動産取引 | 昭和56年5月31日以前に建てられた住宅の解体・設計・建替 ※マンション・アパートへの建て替えが前提 |
条件 | ・昭和56年5月31日以前に建てられた住宅であること ・「重点対策地区」に該当すること ・建て替え後に以下の要件を満たすこと 敷地面積:100平方メートル以上 階数:3階建て以上 住戸規模:35平方メートル以上120平方メートル以下 空地・緑地の整備:接道部の周辺に敷地面積の5%以上の空地(緑地含む)を設置 |
期間 | 令和7年度中(大阪市都市整備局HP参照) |
対象となる「重点対策地区」は、生野区・東成区・西成区・阿倍野区の一部地域です。
「あえて老朽物件を取得して、補助事業を活用することで安くマンションを建てる」といった戦略を取ることも可能になります。ただし補助を受けられるとはいえ、解体と新築が前提であるためある程度の自己資金が必要です。自己資金を用意できる人なら、大幅に費用を抑えて有利に不動産投資のスタートダッシュを切れるでしょう。
大分県竹田市:竹田市民間賃貸住宅建設促進事業補助金
竹田市が定住促進と地域活性化を目的として実施している賃貸住宅建設支援制度です。人口減少対策の一環として、良質な賃貸住宅の供給を促進し、移住・定住希望者の受け皿づくりを支援しています。
項目 | 内容 |
---|---|
助成金・補助金の名称 | 竹田市民間賃貸住宅建設促進事業補助金 |
助成率・助成金額 | 〇新築の場合 ・1戸当たり補助額:建設費の1/10 床面積25㎡以上55㎡未満:最大100万円/戸 床面積55㎡以上:最大150万円 ・合計1,000万円まで 〇リフォームの場合 ・補助対象経費の1/2 1戸あたり最大100万円 1棟あたり最大500万円 |
助成対象の不動産取引 | 民間賃貸住宅の新築またはリフォーム |
条件 | 市内での賃貸住宅の新築・リフォーム 10年間、建設した住宅の用途変更や住宅の売却または取り壊しをしないこと 10年間は賃貸として出すこと 火災保険・自然災害保険に加入すること |
期間 | 期限の定めなし |
対象となるのは市内における民間賃貸住宅の新築またはリフォームで、新築の場合は床面積25㎡以上55㎡未満で最大100万円、床面積55㎡以上で最大150万円の補助が受けられます。リフォームの場合は補助対象経費の1/2で、1戸あたり最大100万円、1棟あたり最大500万円が上限です。
補助金額が大きいため、かなり有利に不動産投資をスタートできます。地域は限られますが、もし優良物件を見つけたら活用してみても良いでしょう。
まとめ
国や自治体により、不動産投資で使える助成金・補助金は幅広く用意されています。単に費用を抑えるだけでなく、差別化による空室リスクの軽減も実現できるでしょう。ただし、多くの助成金・補助金制度は予算枠や申請期限が設定されているため、早めの情報収集と計画的な準備が欠かせません。
東京23区内の中古マンション投資物件を豊富に取り扱っている当社では、各種補助金制度を活用した効率的な投資戦略をサポートしています。助成金・補助金を活用して有利に不動産投資を進めたい方は、当社の無料相談をお気軽にご利用ください。専門の不動産投資コンサルタントが、あなたの投資目標に合わせた最適な助成金・補助金の活用プランをご提案いたします。

この記事の執筆: 及川颯
プロフィール:不動産・副業・IT・買取など、幅広いジャンルを得意とする専業Webライター。大谷翔平と同じ岩手県奥州市出身。累計900本以上の執筆実績を誇り、大手クラウドソーシングサイトでは契約金額で個人ライターTOPを記録するなど、著しい活躍を見せる大人気ライター。元IT企業の営業マンという経歴から来るユーザー目線の執筆力と、綿密なリサーチ力に定評がある。保有資格はMOS Specialist、ビジネス英語検定など。
ブログ等:はやてのブログ