不動産投資TOKYOリスタイル

特許取得

不動産投資を投資家目線でアドバイス
東京23区・駅近・低価格帯

電子書籍13冊39800円相当が今なら無料

会員登録後にマイページトップから
すぐにお読みいただけます。

会員登録してダウンロード(無料)

東京科学大学はなぜ誕生!?統合の真の目的や、10兆円規模の大学ファンドとの関係性を紐解く

東京科学大学, 真の目的, 大学ファンド

開催間近のオンラインセミナー

セミナー一覧を見る

最近メディアにも取り上げられ話題になっていることからご存じの方も多いかと思いますが、東京工業大学と東京医科歯科大の2校が統合を発表しました。日本における指定国立大学同士の統合は、これが史上初の試みです。

統合の裏には「国際卓越研究大学制度の制定」と「10兆円規模の大学ファンド」の存在があります。今回「東京科学大学」を新設する狙いは、おそらく国際卓越研究大学制度の認定を受け、大学ファンドによる支援を受けることにあるものと推察されます。

そこで本記事では、今回の統合の概要や背景を解説するとともに、統合の大きな要因とみられる「国際卓越研究大学制度」や「10兆円規模の大学ファンド」についても詳しく見ていきたいと思います。

東京工業大学と東京医科歯科大学が統合を発表

2022年10月、東京工業大学と東京医科歯科大学の2校が、2024年度中の統合を目途とした「基本合意締結書」を締結しました。日本において指定国立大学同士の統合は史上初の試みであり、現在「2法人2大学」で運営されているところを「1法人1大学」の形にまとめる形になります。統合後は2028年頃までを「移行期間」とし、組織の改編や学位、教育課程などの見直しを5年ほどかけて行う見込みです。

なお新大学名は、公募による6,000件以上の提案の中から「東京科学大学」に決定されました。東京科学大学という新大学名には、日本の首都である東京に本拠地を置く大学であることを示しつつ、新たな大学の目指す姿や方向性を表すという意味が込められています。

統合の背景とは

今回の統合の最大の背景は「地球規模の社会課題の解決」を実現するためと発表されています。主に物理学や工学を活用して人類の科学や技術が発展していく中で、「地球温暖化による気温の上昇」「オゾン層の破壊による紫外線の増加」などの環境問題が発生し、地球環境は悪化していく一方です。

さらには昨今流行している「新型コロナウイルス」のような感染症問題や、「少子高齢化」のような各国の政策が引き起こした問題など、数えきれないほど多くのさまざまな問題が発生しています。こうした問題を解決するためには何が必要かと問われた時に、真っ先に挙げられるのが「教育」や「研究」の充実です。

統合する両大学はこれまでに数々の著名人を輩出し、産業の発展や医療の進歩を牽引してきました。そして今回の統合により、それぞれの大学が持つ「理工学」と「医歯学」の学識や技術を結集し、地球規模の社会課題の解決に貢献できるだけの人材を輩出する、というのが狙いです。

国家としても近年「国際卓越研究大学制度」を制定するなどこのような動きが活発化しており、まさに国家と両大学の法人における利害が一致する統合となっています。

東京科学大学の目標

統合後の新大学「東京科学大学」は、「新大学の目指す姿」として4つのことを掲げています。これらの4つを要約すると、下記の3つの目標にまとめられます。

  • 研究者が自由に研究を行える環境の構築
  • 社会課題を解決できる高度な専門人材の輩出
  • 多様な社会課題に立ち向かえる「コンバージョンサイエンス」の展開

それぞれ、概要を見ていきましょう。

目標①:研究者が自由に研究を行える環境の構築

1つ目は研究者が自由に研究を行える環境、つまり「時間」「金銭面」「環境」すべてにおいて不自由のない環境の構築です。

新たな知識や革新の創出には、失敗を恐れずに長期・短期のいかなる研究も行える環境が必要とされています。しかし学生が時間に縛られ、金銭面における余裕がなければ、本来使えるリソースを研究に割くことはできないでしょう。

もちろん、根本的な研究設備などの環境整備も必須事項です。これらすべてを実現するには、多額のお金が必要となるのは言うまでもありません。この財源については、記事の後半で解説する「国際卓越研究大学制度」や「大学ファンド」との関係に繋がります。

目標②:社会課題を解決できる高度な専門人材の輩出

2つ目は、社会における課題を解決できるだけの、高度な専門人材を輩出することです。社会の多様化が進む現代、社会における課題はどんどん複雑化しています。東京科学大学が求める高度な専門人材とは、この複雑化する課題の中から「真に解決すべき課題」を発見できる人材のことです。

しかし「真に解決すべき課題」の発見は、これまでのような単一化した学識の習得では実現できません。そこで分野の違う2大学を統合し、互いの専門性を尊重しつつもシナジーによる新たな学識・技術革新を創出するのが狙いとなっています。両大学の統合により、今までにない切り口での社会貢献が期待できるでしょう。

目標③:多様な社会課題に立ち向かえる「コンバージョンサイエンス」の展開

3つ目は、多様化した社会課題に立ち向かえる「コンバージョンサイエンス」の展開です。
コンバージョンサイエンスとは、複数の学問の融合により、身近な課題や地球規模の課題を自由な発想で解決していくことを指します。

コンバージョンサイエンスは、「コンバージェンス1.0」「2.0」「3.0」の3段階に分けられますが、分かりやすい成果物は物理学と工学を融合する「1.0」によって生み出された「原子力」「インターネット」「スマホ」のような技術や製品です。「2.0」では工学と生物学を融合し、「水チャネル」を活用した高度な「浄水フィルター」や、脳波と機械を連動させる「BMI」などの技術が生まれています。

今回の統合では、理工学・医歯学・情報学・人文社会科学を融合した「コンバージェンス3.0」により、50年スパンで「個々のウェルビーイング実現」「脱炭素社会」「トータルヘルスケア」をはじめとする課題解決が成果として想定されています。

東京科学大学が認定を目指す「国際卓越研究大学制度」とは

今回の統合で生まれる東京科学大学は、「国際卓越研究大学制度」の認定を視野に入れています。国際卓越研究大学制度とは、2022年5月18日に参議院本会議で可決された「国際卓越研究大学の研究および研究成果の活用のための体制の強化に関する法律案」(略称:国際卓越研究大学法)により制定された制度です。この制度はどのような制度なのか、詳しく見ていきましょう。

国際卓越研究大学制度の目的

国際卓越研究大学制度の認定を受けた大学は、認定校の合計で約3,000億円の支援が受けられる見込みがあります。これだけの支援をする最大の目的は、海外トップの大学との差を縮めることです。海外トップの大学の例として挙げられるのは、米国のスタンフォード大学やハーバード大学のような名門大学でしょう。

米国の大学と日本の大学の差は、大学の年間収入に大きく表れています。スタンフォード大学やハーバード大学の卒業生の年間収入は5,000億円超なのに対し、日本トップの東京大の年間収入は1,800億円程度と大きく劣っているのです。

大学の年間収入の差は、研究や設備への投資額や、学生や教授に割けるリソース量を大きく変化させます。昨今日本の大学における研究論文が、質を見ても量を見ても低調な状況にあることが問題視されているのはご存じでしょうか。この流れを断ち切るには、大学にかける財源のあり方を改めて考え直す必要があるでしょう。

米国をはじめとする諸外国の名門大学において年間収入が高まっている理由として、公的支援や企業連携、資産運用による財源確保が好循環で行われていることが挙げられます。日本でも諸外国と同様の試みで「世界最高水準の研究大学」を生み出そうとしているのです。これが「国際卓越研究大学制度」と後述する「大学ファンド」との関係に繋がります。

どのような大学が認定されるのか

認定の可否はこれまでの実績等で判断するだけでなく、「世界最高水準の研究大学の実現に向けた変革の意思があるか」という点も考慮するとされています。認可大学は数校程度に限定するとみられ、大学としてどれだけの研究体制の確保や教育課程の見直しに取り組む姿勢があるかが、認定のポイントとなってくるでしょう。

いつから始まるのか

国際卓越研究大学制度は、2022年12月からすでに公募が始まっています。2023年3月には公募を締め切り、同年5月には審査を開始する見込みです。予定通り進行すれば、2024年6月には認定校への支援が開始される見込みとなっています。

国際卓越研究大学は「大学ファンド」の運用益によって支援される

先述したように、国際卓越研究大学制度認定された大学は、認定校の合計で約3,000億円の支援が受けられる見込みがあります。この3,000億円の財源は何かというと、「大学ファンド」の運用益として想定される金額です。

大学ファンドは2020年12月の追加経済対策に盛り込まれた、国内トップクラスの大学を支援する目的で科学技術振興機構(JST)に設けた10兆円規模のファンドのことを指します。2022年5月に成立した国際卓越研究大学法により、このファンドの運用益で国際卓越研究大学の支援をまかなうことが決定されました。

ではこの運用益についてのより詳しい情報や、東京科学大学との関係性について見てみましょう。

運用益による支援は年間3,000億円が目標

大学ファンドの運用益による支援は、年間3,000億円ほどが想定されています。10兆円規模のファンドのため、利回りで言うと3%ほどです。

仮に国際卓越研究大学制度認定校が5校だとすると、1校あたりの支援額は600億円となります。600億円ともなると、現在の国立大学運営費交付金の交付金額第2位の、京都大学に交付されている580億円よりも大きい金額です。

参考旺文社教育情報センター「22年度 国立大学法人運営費交付金」

つまり認定校は、日本におけるトップクラスの大学をまるごともう1つ運営できるほどの財源を確保できる可能性があります。世界でも最高水準の環境を整備し、より高度な専門性を持つ人材の確保が実現できるでしょう。

東京科学大学の設立は支援を狙った動きとみられる

今回の統合により「東京科学大学」を設立する流れは、間違いなく国際卓越研究大学制度の認定を取得し、多額の支援を受けることを狙った動きとみられています。医歯学と理工学の連携により、研究力が強化されることを前面にアピールしているのでしょう。

先ほど解説したように、認定可否の判断に含まれる要件として「世界最高水準の研究大学の実現に向けた変革への意思」があります。両校が発表したプレスリリースには「本統合を通じて、我が国の大学改革を牽引する」との記載があり、いち早く認定を取得する意図があると思われます。

参考東京医科歯科大学および東京工業大学「法人統合及び大学統合について」

国際卓越研究大学の目指す姿とは

国際卓越研究大学が最終的に目指す姿は、「次世代の社会構造への転換と地球規模の課題解決への貢献」ができる大学です。現時点で表面化された課題には、脱炭素社会やDX化などがあります。この課題は東京科学大学の統合の背景とも合致するでしょう。

課題解決には世界レベルの知識で、新たな「イノベーション」(技術革新)を創出しなければいけません。そのためには、下記の「3つの将来像」の実現が必要不可欠です。

  • 国境や分野を越えた人材や知識の好循環
  • 世界中の多様な学生を受け入れられる包括性のある環境
  • 設備や人材に充てる資金の好循環

それぞれ詳しく見ていきましょう。

将来像①:国境や分野を越えた人材や知識の好循環

イノベーションの創出には、各分野のトップクラスの研究者や学生が集まり、分野を横断したシナジーを引き起こして研究を発展させることが重要です。そのためには待遇や研究設備、サポート体制を充実させ、未来あるトップクラスの人材が自ら集まりたいと思える大学を目指す必要があります。

将来像②:世界中の多様な学生を受け入れられる包括性のある環境

世界最高水準の研究大学の実現には、日常的に海外トップの大学と連携し、世界標準の教育研究環境となることが必要不可欠です。そのためには世界レベルの研究支援体制を確立させ、世界中の多様な学生を受け入れ交流できる環境の構築を目指すことが重要とされています。

将来像③:設備や人材に充てる資金の好循環

国際卓越研究大学で理想とされるのは、「授業料が免除され、生活費支給を受けつつ、最高の設備で好きなだけ研究して博士号を取得できる環境」です。こうした待遇やサポート体制、研究設備の充実にはそれだけの財源が必要となります。

財源確保には企業との共同研究を実施し卒業生の所属企業からの寄付を受けたり、大学独自の基金を拡充したりといった財源確保の動きです。またこの財源には、先述した大学ファンドによる運用益も加わってきます。

「世界最高水準の研究大学」を実現し、企業の寄付や世界中のトップクラスの人材が集まり、この財源確保のサイクルを好循環させられる状態が、国際卓越研究大学の最終的に目指す姿であるともいえるでしょう。

まとめ

大学ファンドの設立や国際卓越研究大学制度の制定には、海外トップの大学との差を縮め、日本の大学を「次世代の社会構造への転換と地球規模の課題解決への貢献」ができる、世界最高水準の研究大学にする目的がありました。今回の東京工業大学と東京医科歯科大学の統合も、ほぼ間違いなくこの制度の認定を受け、ファンドの運用益による多額の支援を受けることが目的でしょう。

今後大学の競争は激化し、日本から優秀な人材が輩出されたり、海外から優秀な人材が集まったりという流れが期待されます。しかし巨額なファンドの運用益による支援に見合った成果を定量的に検証できるかという部分も課題となっており、認定される大学が確定し支援が始まってからの動向が非常に気になるところです。

この記事の執筆: 及川颯

プロフィール:不動産・副業・IT・買取など、幅広いジャンルを得意とする専業Webライター。大谷翔平と同じ岩手県奥州市出身。累計900本以上の執筆実績を誇り、大手クラウドソーシングサイトでは契約金額で個人ライターTOPを記録するなど、著しい活躍を見せる大人気ライター。元IT企業の営業マンという経歴から来るユーザー目線の執筆力と、綿密なリサーチ力に定評がある。保有資格はMOS Specialist、ビジネス英語検定など。

ブログ等:はやてのブログ

この記事の監修: 不動産投資コンサルタント 釜田晃利

老舗不動産投資会社にて投資用区分マンションの営業マンとして約10年間従事したのち、2015年にストレイトライド株式会社にて不動産事業をスタートしました。現在は取締役として会社経営に携わりながら、コンサルタントとしてもお客様へ最適な投資プランの提案をしています。過去の経験と実績をもとに、お客様としっかりと向き合い、ご希望以上の提案が出来るよう心がけています。

経験豊富なコンサルタントが
投資家目線で課題をヒアリングし、
中立の観点でアドバイスを行います。

不動産投資で成功するためのアドバイスですので、お客様のご状況によっては不動産投資をあきらめていただくようおすすめする場合もございます。あらかじめご了承ください。

初回面談でQUOカード10,000円分をもれなくプレゼント お申し込みはこちら
あなたが選んだ物件を プロの目利きで数値化! MIKATAイズムとは