妻や家族に内緒で不動産投資で離婚!?ある会社員が迎えた悲惨な末路とは?
- 更新:
- 2025/02/24
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不動産投資は投資の中でも非常に大きな金額を扱う投資手法です。サラリーマンが不動産投資を行う際は、多くの場合で投資用ローンを組むため、本人だけでなく家族にも大きな影響を及ぼす可能性があります。
しかし、妻に内緒で投資を始めようとする人や、両親への事後報告を考えている人も少なくありません。その理由は以下のようにさまざまです。
- 妻と金銭的な話がしづらい
- 財布を握られている
- 父親が不動産投資に否定的
本記事では、家族に内緒で不動産投資を行うことの危険性について、ある会社員Aさんの事例を紹介します。奥様に内緒で投資を始めたことで、新居購入の機会を失い、最終的に離婚に至った恐ろしいケースです。失敗から、大切な教訓を学んでいきましょう。
- 目次
- 妻に内緒で不動産投資をした、会社員Aさんのケースを見てみましょう
- なぜAさんはローンが通らなかったのか?
- Aさんはどうすれば良かったのか?
- そもそも、家族に内緒で不動産投資をしてバレない方法はあるの?
- まとめ
妻に内緒で不動産投資をした、会社員Aさんのケースを見てみましょう
家族に黙って不動産投資を行うことの危険性の一つに、住宅ローンが通らなくなってしまうことが挙げられます。実はこのリスクは、私が営業マンとして(家族に黙って投資しようとしている)お客様と面談をしている中で、最も質問される事項の一つでもあります。ある意味、多くの方に認識されているリスクであるかも知れません。
具体的には、奥様に黙って借入をして不動産投資を行った場合、個人の借入限度が一杯となり、結果的に住宅ローンの審査に通らなくなってしまう、というケースです。それでは、会社員Aさんの事例で見ていきましょう。
Aさんの家族構成と年収
32歳の会社員Aさんは年収600万円で、これまで借入をしたことはありませんでした。家庭には専業主婦の奥様と、1歳になる娘さんがいらっしゃいました。
Aさんは、お金の管理を全て奥様に任せていたために、毎月お小遣い制で生活をしていましたが、周囲の同じ年収レベルの独身男性が自由に遊び歩いている中で、自分だけ質素な生活をすることに嫌気が差してしまい、お小遣いを得るために、奥様に内緒で不動産投資を始めようと考えていました。
自己資金を使わない「オーバーローン」という選択肢
Aさんは投資用不動産を購入するにあたり、小遣い制であるためにほとんど自己資金を使えませんでしたが、ある不動産会社の営業マンから「あなたの勤務先であればオーバーローンが使えるかもしれない」と言われます。Aさんは、ある東証一部上場企業の総合職で、非常に属性が良かったのです。
不動産営業マンから決断を急かされたAさんは、「今ここで10万円払ってくれれば、頭金なしのオーバーローンで物件を購入できる」との甘言に乗せられ、奥様に黙って3,600万円の借入を行ってしまいました。
不動産投資がバレた原因は「新居の購入でローンが通らない」こと
購入から2年間、Aさんの投資物件は順調に運営され、毎月のキャッシュフローもプラスで推移していました。しかし、二人目の子どもが産まれる予定となり、このタイミングで奥様から「新居が欲しい」と相談されます。
それから2週間後、ある都心の新築マンションの見学を行ったAさんは、奥様からの「絶対ここが良い」という言葉の後押しもあり、すぐに申し込みを行うことに決めます。価格は6,000万円ほどでしたが、会社の同僚がつい先日同じくらいの価格帯の物件を購入していたことと、Aさん自信の年収が800万円に上がっていたことから問題ないと考え、6,000万円の新築マンションを申し込みました。
ところが2日後、家族で団らんしていたAさんのもとに、不動産会社の営業マンから「返済比率オーバーで融資否決」との連絡が。そう、Aさんは融資の審査が否決になってしまい、新居の購入が難しくなってしまったのです。
内緒で不動産投資を行っていたことが原因で、Aさんは妻と離婚
このマンションに住めるとばかり思っていた奥様は、既に自身の両親や友人にもこの物件の話をしており、好みのインテリアや間取りなどについて想いを巡らせていました。しかしそんな矢先に、ふと「融資の承認が下りなかった」と衝撃の事実を聞かされた奥様は、Aさんを徹底的に問い詰めました。
すると観念したAさんは、実は2年前に内緒で不動産投資を行っていたこと、その時の借入の影響で、今回ローンが通らなかったことを告げたのです。
気に入った物件が買えなかったこと以上に、信頼していた旦那から裏切られた気持ちになった奥様はすぐに実家に帰ることに決め、その後二人は離婚することとなりました。なぜAさんはローンが通らなかったのか?
ここまで、奥様に内緒で不動産投資を行った結果、新居のローンが通らずに離婚にまで至ったAさんの事例を見ていきました。では、そもそもなぜAさんは住宅ローンが通らなかったのでしょうか。
ローン否決の原因は「返済比率」にあります。返済比率とは年収に対する年間の借入金返済額の割合のことです。たとえば、年収が500万円でローンの年間返済額が120万円なら、120万円÷500万円×100で返済比率は24%になります。
銀行から融資を受けるためには、一般に返済比率が「35%」を下回っていなければいけない、といわれています。Aさんの場合、返済比率は以下のようになっていました。
〇投資用不動産購入時(2年前)
- 借入額:3,600万円(35年ローン、金利2.0%)
- 毎月の返済額:約11.9万円
- 年収:600万円
- 返済比率:23.8%(年間返済額143万円÷年収600万円)
〇新居購入検討時(現在)
- 投資用物件の返済比率:17.8%(年収800万円に上昇したため改善)
- 新居の借入希望額:6,000万円(35年、金利0.6%)
- 新居の年間返済額:約190万円
- 新居の返済比率:23.7%
- 新居の返済比率+投資用物件の返済比率:41.5%
結果として、投資用物件(17.8%)と新居(23.7%)を合わせた返済比率は41.5%となり、銀行の基準である35%を大きく上回ってしまったわけです。このため、新居の融資は否決となってしまいました。
Aさんはどうすれば良かったのか?
ここで大きな疑問が浮かびます。それは、「結局Aさんはどうすれば良かったのか」という事です。これには大きく3パターンほどの解決策があると思われます。それは、①投資用不動産の借入額を抑える、②新居の予算を下げる、③世帯年収を上げるの3つです。それぞれ数字を見ながら比較していきましょう。
解決策①:投資用不動産の借入額を抑える
もし2年前の投資用不動産の借入額を抑えていれば、今回の新居購入も可能でした。具体的な計算を見てみましょう。まずは新居購入により、何%の返済比率が使えたのか計算していきます。
〇新居購入に必要な返済比率
- 物件価格:6,000万円
- 返済比率:23.7%
- 銀行の基準:35%
- 投資用物件に使える返済比率:11.3%(35%ー23.7%)
この「11.3%」を、不動産投資ローンの借入可能額に換算していきましょう。
〇不動産投資ローンの借入可能額
- 年収800万円の11.3%:約90万円のため、月額約7.5万円が返済限度
- 金利2.0%、35年ローンで計算
- 借入可能額:2,264万円
つまり、投資用不動産の借入を2,264万円以下に抑えていれば、今回の新居購入も可能だったわけです。ただし、これは2年後の年収上昇や希望物件の価格を正確に予測できていた場合の話。実際にはそこまでの予測は困難だったでしょう。あくまで「こうしていれば解決したかも」という希望的観測にもとづいたお話です。
解決策②:新居の予算を下げる
もしAさんが事前に投資について相談していれば、以下のように現実的な新居の予算設定ができたはずです。
- 投資用物件の返済比率:17.8%
- 新居購入に使える返済比率:17.2%(35%-17.8%)
- 年収800万円での可能月額返済:約11.4万円
- 借入可能額:4,317万円(住宅ローン金利0.6%、35年で想定)
4,317万円の予算内で物件を探していれば、無事に融資も通った可能性が高かったでしょう。ではもし「どうしても6,000万円の新居に住みたい」とAさん夫妻が考えていた場合には、どのようにすれば良かったのでしょうか。それが、3つ目の解決策です。
解決策③:世帯年収を増やす
すでに投資用物件を購入している状態で、新居の借入可能額を増やす。これには「世帯年収を増やす」しか解決策がありません。しかし、東証一部上場企業の総合職であるAさんは副業が難しい立場だったため、専業主婦である奥様の協力が必要不可欠でした。では具体的に、どの程度の収入増加が必要だったのでしょうか。
投資用物件の年間返済額143万円と新居の年間返済額190万円を合わせると、年間返済額は333万円となります。これを銀行の基準である返済比率35%以内に収めるために、必要な世帯年収は以下のとおりです。
- 必要な世帯年収:950万円
- Aさんの年収:800万円
- 不足分(奥さんの必要年収):150万円(月12.5万円)
- 奥さん具体的な勤務例:時給1,000円で1日6時間、月20日勤務
不足年収は150万円。決して非現実的な金額ではなく、パートタイムでも十分に達成可能な収入額でした。もし事前に家族で話し合う機会があれば、新居購入に向けて具体的な計画を立てることができたのかもしれません。
そもそも、家族に内緒で不動産投資をしてバレない方法はあるの?
不動産投資を家族に内緒で行うことは、実は想像以上に難しいものです。結論からいうと、家族にバレずに不動産投資をするのはほぼ不可能といえます。
ここでは、バレやすいポイントと、なぜ家族の承諾を得ることが重要なのかを見ていきましょう。
自宅に届く書類でバレるケースが多い
不動産投資を始めると、自宅にはさまざまな書類が届くようになります。以下のような書類は、家族の目に触れる可能性が非常に高いです。
- 税務署からの確定申告関連書類
- 管理会社からの収支報告書
- 銀行からの融資関連書類
- 火災保険の更新案内
- 修繕工事の案内
これらの書類を別の住所に送付するよう依頼することは、現実的ではありません。どうしても自宅に届いてしまうので、最初はうまく中身をごまかしたり目を盗んだりできていても、いずれはバレてしまうでしょう。
Aさんのように住宅ローンの申請でバレることも
住宅ローンの審査では、申込者の借入状況が金融機関の信用情報機関を通じて細かくチェックされます。過去の借入状況や返済履歴まで徹底的に調査されるため、投資用ローンの存在を隠すことは不可能です。「別の金融機関なら大丈夫」「申告しなければバレない」と考える方もいますが、信用情報は金融機関間で共有されているため、必ず発覚します。
結局のところ、将来的な住宅購入を考えている場合、不動産投資を家族に内緒で進めることはできないのです。むしろ計画段階から情報を共有し、将来の資金計画を一緒に立てていくことが、不動産投資を成功させる近道といえるでしょう。
一生バレないのはほぼ不可能!家族の承諾をとってから不動産投資をはじめるのがベター
書類の到着や銀行審査だけでなく、将来的な相続の問題なども考えると、家族に内緒で不動産投資を続けるのはほぼ不可能といえます。むしろ最初から家族と情報を共有し、理解を得ながら進めることで、以下のようなメリットが得られるでしょう。
- 家族で将来の資産形成について話し合える
- 万が一の際にも家族がリスクを理解している
- 収支や返済計画を共有できる
- 物件の維持管理を協力して行える
- 将来の相続対策にもつながる
不動産投資は家族の協力が必要な場面が必ず訪れます。最初は反対されるかもしれませんが、きちんと計画を説明し家族の理解を得ることが、長期的な成功への近道といえるでしょう。
まとめ
本記事では、ある会社員Aさんのケースを通じて、ご家族に無断で不動産投資を行うことの危険性について見ていきました。前章でも述べたように、もし仮にAさんが奥様と投資用不動産の購入について少しでも話し合っていれば、新居の購入に向けて様々な対応が取れていたにも関わらず、ただ黙っていたばかりに、悲惨な結末となってしまいました。
もし読者の方々の中で、今まさにご家族に無断で不動産投資を行おうと考えている方がいらっしゃれば、是非一度冷静になって、ご家族に話す方向で考えて頂ければと思います。
参考「不動産投資なんて反対!」の心理と、タイプ別説得法まとめ
弊社では、経験豊富なコンサルタントが、お客様と共に、ご家族を説得する方法について考え、様々な提案をしております。もしお困りのことがございましたら、お気軽にご連絡を頂けますと幸いでございます。

この記事の執筆: 及川颯
プロフィール:不動産・副業・IT・買取など、幅広いジャンルを得意とする専業Webライター。大谷翔平と同じ岩手県奥州市出身。累計900本以上の執筆実績を誇り、大手クラウドソーシングサイトでは契約金額で個人ライターTOPを記録するなど、著しい活躍を見せる大人気ライター。元IT企業の営業マンという経歴から来るユーザー目線の執筆力と、綿密なリサーチ力に定評がある。保有資格はMOS Specialist、ビジネス英語検定など。
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