競売物件で不動産投資はやめたほうがいい?やばい理由や7つのトラブル事例を紹介
- 更新:
- 2025/03/25

「相場より安く物件が手に入る」と聞き、競売物件での不動産投資に興味を持つ方は少なくありません。たしかに、市場価格より2~3割ほど安く購入できるケースもあり、魅力的な投資対象に見えます。
しかし、多くの不動産投資家は競売物件を避けています。それは「安い物件だから大丈夫」と安易に競売物件に手を出して、大きなトラブルに巻き込まれるケースが非常に多いためです。
この記事では、競売物件での不動産投資をやめたほうがいい理由と、実際に起きた7つのトラブル事例を詳しく解説していきます。リスクを知ることで「安いから」という理由だけで競売物件に手を出すことを避け、安全な不動産投資を実現できるでしょう。
- 目次
- 「競売物件での不動産投資はやめたほうがいい」といわれる4つの理由
- 競売物件での不動産投資でよくある7つのトラブル事例
- 競売物件での不動産投資にメリットはあるのか?
- 競売物件は安く買えないことも多い!やっぱり不動産会社の仲介が正攻法
- まとめ
「競売物件での不動産投資はやめたほうがいい」といわれる4つの理由
競売物件での不動産投資には、一般的な不動産取引にはない独特なリスクがあります。以下で4つの理由を詳しく見ていきましょう。
裁判所に契約不適合責任がなく契約後の事故がすべて自己責任になる
競売物件の最大のリスクは、契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)が適用されない点です。普通の不動産取引であれば物件に重大な欠陥が見つかった場合、購入後でも売主に修繕費用を請求できます。
しかし競売物件の場合、いかなる問題が発生しても、裁判所は一切の責任を負いません。購入後に雨漏りやシロアリ被害が発覚したり、耐震性に問題があることが判明したりしても、すべて購入者の自己責任となってしまいます。予期せぬ多額の修繕費用が必要になるリスクは、競売物件では避けられません。
仲介業者がいないため、すべての手続きを自分で行わなければならない
競売物件の場合は仲介業者が介入しないため、入札手続きから引き渡しまですべて自分で行う必要があります。一般的な不動産取引では、仲介業者が物件の調査や契約書の作成、金銭の受け渡しなどを代行してくれますが、競売物件ではそういったサポートは一切ありません。
不動産の取引経験が豊富なベテラン投資家を除き、専門知識の不足が原因で思わぬトラブルに巻き込まれる可能性が高くなってしまいます。一般的な仲介取引と比べ、圧倒的にリスキーなのが競売物件です。
入札に必要な保証金が高すぎる
競売物件は入札制度を採用しており、入札に参加する際は保証金の納付が必要です。入札時に必要な保証金は、売却基準価額の2割相当となっています。売却基準価格は不動産鑑定士が競売物件を調査して定めるもので、一般的には「市場価格の4~5割」程度の金額です。
たとえば売却基準価額が2,000万円の物件であれば、400万円もの保証金がかかります。購入できなかった場合に保証金は返還されますが、一時的とはいえ高額な資金を準備しなければいけません。
ローンを組みづらい
近年は制度変更により競売物件でもローンを組めるようにはなりましたが、金融機関はいまだ融資に消極的です。競売物件は「何らかの問題があって競売にかけられている」ことから、担保としての価値が評価されにくいのが原因として挙げられます。そのため、結局は現金一括で購入せざるを得ないケースも少なくありません。
また、入札から代金納付までの期間が約1ヶ月しかないため、短期間でローンの手続きを完了させなければいけないのもデメリット。時間的な制約でローンを組めないリスクも高くなっています。
競売物件での不動産投資でよくある7つのトラブル事例
「安く競売物件を買って、賃貸して儲けを出したい」と考える不動産投資家は多くいます。しかし、競売物件での不動産投資には「トラブル」がつきまとうのが現実です。以下では、よくある7つのトラブル事例を紹介します。
事例①多額のリフォーム費用が必要になった
一見問題なく見えた物件でも、入居後に次々と不具合が発覚するケースが多くあります。通常の不動産取引では事前に内覧ができる一方で、まだ債務者が住んでいる競売物件ではできないためです。あくまで「敷地の外」から土地や建物の状況を確認することしかできません。
たとえば1,500万円ほどで物件を落札したものの、雨漏りや配管の劣化、電気設備の不具合などが発覚し、追加で500万円以上のリフォーム費用が発生するようなケースも多いです。
こうしたリスクを少しでも軽減するには、入札前に外観からでも判断できる建物の状態(外壁のひび割れ、サッシの状態など)を慎重に確認しましょう。修繕費用を見込んだ入札価格の設定がポイントとなります。
事例②債務者(=前の住人)がなかなか退去してくれない
競売物件特有の深刻な問題として、債務者(前の住人)の居座りがあります。前の住人が退去を拒否して居座り続けるケースが多く、その追い出しは非常に困難です。
かつては暴力団が関与するケースも多く、新しい所有者が自力で交渉することは危険を伴うこともありました。最近は暴力団絡みのケースは減少していますが、それでも立ち退き交渉には時間と労力が必要になりがちです。なかには最終的に法的な「強制執行」の手続きが必要になるケースもあり、その場合は弁護士費用など数十万円の費用が追加で発生します。
このトラブルを避けるには、実際に物件を外から確認し、居住者の有無を事前に把握するのがポイントです。明らかに居住者がいる物件は避けるのが良いでしょう。
事例③債務者の滞納金を負担する羽目になった
競売物件を落札したあと、前の住人が滞納していた管理費や修繕積立金などを引き継がなければならないケースがあります。管理規約によっては、新しい所有者に滞納金の支払い義務が発生するためです。
たとえば前所有者が数年分の管理費を滞納していると、百万円を超える高額な支払いを求められることも。このような費用は物件価格の査定に反映されていないため、想定外の出費となってしまいます。
管理組合などに確認しても、プライバシーの観点から滞納金の有無や金額は基本的に教えてもらえません。最初からリスクを想定した価格を設定するしかないでしょう。
事例④入札で勝ちを狙いすぎて高値掴みしてしまった
競売物件における入札は、言ってしまえば「物件を買いたい複数の人による競争」です。市場価格に近い、あるいは市場価格を上回る価格で落札してしまうケースがあります。「絶対にこの物件を手に入れたい」という思いが強すぎると、高値で入札してしまいがちです。
高値で買ったからといって、家賃の設定は周辺の相場を考慮して決める必要があります。想定していた利回りは確保できなくなってしまうでしょう。
このリスクを避けるには、入札前に周辺相場をしっかりと調査しつつ、「これ以上は入札しない」という上限額を決めておくのがポイントです。また「BIT(不動産競売物件情報サイト)」で過去の競売物件の販売価格データを確認し、購入したい物件の入札価格を予測する方法もおすすめします。
事例⑤シロアリなどの隠れた瑕疵があり費用負担が増えた
「事例①多額のリフォーム費用が必要になった」では、主に「内覧できれば確認できる範囲」の瑕疵についてお伝えしました。一方でシロアリのような「目に見えない欠陥」も落札後に発覚することがあります。前述のとおり、競売物件には契約不適合責任がないため、これらの修繕費用はすべて購入者負担です。
こうしたリスクへの対策として、競売物件では3点セット(現況調査報告書、物件明細書、評価書)が提供されます。しかし、これらはあくまで表面的な調査に基づくもの。シロアリをはじめとする目に見えない欠陥をすべて把握するのは困難です。そのため、やはり修繕費用の余裕を持った入札価格の設定が重要になります。
事例⑥残置物をめぐって債務者と揉めてしまった
競売物件には前の住人の家具や家電などの残置物が残されていることが多く、その処分をめぐってトラブルになるケースがあります。法律上、残置物は前の住人の「動産」として扱われますが、この「動産」を新しい所有者が勝手に処分することはできません。もし処分してしまうと、「貴重品を捨てられた」と損害賠償を請求されるリスクがあります。
一方で、残置物の処分を前の住人に任せると、「思い出の品を取りに来る」などの名目で何度も物件に出入りされ、スムーズな引き渡しができないケースも多いです。さらに、処分費用の負担をめぐって揉めることも少なくありません。
引き渡し後の残置物処分で揉めそうになったら、弁護士などの専門家に相談しながら法的手続きを踏んで進めましょう。
事例⑦入札価格のケタを間違えてしまった
入札金額は自分で記入する必要があり、単純なケタの間違いでも取り返しがつかないトラブルになります。たとえば「2,000万円」のつもりが「20,000万円」と記入してしまい、その金額で落札が決まった場合、その金額を支払う義務が生じてしまいます。
もし入札金額を支払えない場合には、保証金が没収されてしまうルールです。次回以降の入札に参加できなくなるペナルティも科せられる場合があります。できれば入札書の作成時には、信頼できる第三者にもチェックしてもらいましょう。
競売物件での不動産投資にメリットはあるのか?
これまでデメリットやリスクを中心に解説してきましたが、競売物件にもいくつかのメリットがあります。詳しく見ていきましょう。
メリット①市場より安く買えるチャンスがある
競売物件は、一般的な同条件の物件より2~3割ほど安く手に入れられることがあります。多くの人が「安く買いたい」という思いで入札に参加するため、市場価格より低い金額で決着することが多いです。
また、入札の最低価格も市場価格より低めに設定されているため、価格を抑えやすい環境が整っています。
メリット②「3点セット」と呼ばれる調査報告書を見ながら物件を選べる
競売物件を買うときには、物件情報を確認できる「3点セット」と呼ばれる資料がもらえます。
- 現況調査報告書:今の建物の使われ方や外からみた状態がわかる
- 物件明細書:権利関係や法律の制限、登記の内容などがわかる
- 評価書:物件の詳しい説明や、なぜその価格になったのかがわかる
これらの資料があれば、普通の中古物件では手に入らない細かい情報まで確認できます。ただし、一方で内覧により物件の実態を確認することはできません。あくまで、この「3点セット」を基準として物件の価値を判断することになります。
メリット③司法書士など専門家とのやり取りが必要ない
競売は裁判所が行う手続きなので、所有権の移転なども自動的に進みます。通常の不動産取引で必要な司法書士への依頼や手数料が不要なため、手間がかからず諸経費も抑えることが可能です。
一方で、そもそも専門家が介在せず、通常なら仲介業者が対応する書類作成なども自分で行わなければいけません。「不動産取引をしたことがない」人の場合、なにをすればよいか分からず不安に感じてしまうでしょう。
競売物件は安く買えないことも多い!やっぱり不動産会社の仲介が正攻法
実際、競売は「入札者による競争」のため、大して安くならないことも少なくありません。リフォームや残置物の処理など、余計な費用もかかってしまうケースが多くあります。抑えられる司法書士報酬なども含めて「ちょっと安い」くらいに落ち着くことが多いのが現状です。
やはり不動産投資をするなら、リスクを抑えられる「不動産会社の仲介」が正攻法といえます。仲介で不動産投資をはじめるメリットを見ていきましょう。
仲介なら「居座り」のトラブルはない
競売物件では購入後に前の住人の居座ってしまい、追い出しに多額の費用と時間がかかってしまうケースが少なくありません。一方、不動産会社の仲介物件では、所有者の退去が前提となっています。万が一のトラブルでも、仲介会社が責任を持って対応してくれるため、購入者が直接揉め事に巻き込まれる心配はありません。
物件の瑕疵があっても売主に責任を負ってもらえる
競売物件では建物の詳細な調査ができず、購入後に見つかった問題はすべてあなたの負担です。一方で仲介物件では事前に内覧や建物診断(インスペクション)を実施でき、契約後に欠陥が見つかったら売主に修繕費用を請求できます。仲介なら、安心して物件を購入することが可能です。
資産価値が保たれた物件ならローンも比較的容易に組める
競売物件は金融機関の審査が厳しく、ローンの承認を得るのが実情として難しいです。さらに承認が得られたとしても、支払期限の1ヶ月後までにローンの手続きをすべて完了させなければいけません。
一方で仲介物件なら、以下の理由でローンを組むのは比較的容易です。
- 物件の資産価値がしっかりと保たれているので、担保価値が高くなりやすい
- 不動産会社のサポートを受けながら、ローンを組むのに有利になる書類を揃えられる
- 期限が決まっていないので、余裕をもってローンの手続きができる
とくに初めて不動産投資に取り組む人にとって、ややこしい「ローン」の仕組みは不動産投資の高いハードルになり得ます。しっかりと不動産会社のサポートを受けながら進めるのが良いでしょう。
当社では、専門の不動産投資コンサルタントが、物件選びのコツやローンの基礎をしっかりとお伝えしながら、初めての不動産投資をしっかりとサポートします。過度な勧誘はいたしませんので、お気軽に無料相談をご利用ください。
まとめ
競売物件は一見安く購入できそうに見えますが、実際には多くのリスクとトラブルが潜んでいます。とくに「契約不適合責任がない」「居座りのリスクがある」「ローンが組みにくい」といった問題は、投資の成功率を下げてしまう要因になりかねません。
リスクを抑えた不動産投資を実現するには、実績のある不動産会社を通じた取引がお勧めです。当社では、東京23区や大阪など成長中のエリアを中心とした優良物件を厳選してご紹介しています。不動産投資をお考えの方は、お気軽に無料相談をご利用ください。

この記事の執筆: 及川颯
プロフィール:不動産・副業・IT・買取など、幅広いジャンルを得意とする専業Webライター。大谷翔平と同じ岩手県奥州市出身。累計900本以上の執筆実績を誇り、大手クラウドソーシングサイトでは契約金額で個人ライターTOPを記録するなど、著しい活躍を見せる大人気ライター。元IT企業の営業マンという経歴から来るユーザー目線の執筆力と、綿密なリサーチ力に定評がある。保有資格はMOS Specialist、ビジネス英語検定など。
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