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地役権とは?不動産を買うなら絶対に押さえておきたい3つのポイントと注意点を解説

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地役権とは「一定の目的の範囲内で、他人の土地を利用する権利」のことです。購入した土地に地役権が設定されていた場合、他人に利用されている部分の利用に制限がかかってしまうので、知らずに購入すると「予定していた通りに土地が使えない」というトラブルが起きてしまいます。

今回は絶対に押さえておきたい地役権の基本や、地役権がある土地を買う際に押さえておくべき3つのポイントについて解説します。また、注意すべきは地役権がすでに設定されている場合だけではありません。「時効取得」という民法上の制度により、地役権は不動産の購入を検討しているすべての方に影響しうるので、ぜひこの記事を読んで押さえておきましょう。

地役権とは「一定の目的の範囲内で、他人の土地を利用する権利」

民法第280条の記載を要約すると、地役権とは「一定の目的の範囲内で、他人の土地を利用する権利」のことです。

第二百八十条 地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利を有する。ただし、第三章第一節(所有権の限界)の規定(公の秩序に関するものに限る。)に違反しないものでなければならない。

参考e-GOV「民法」

たとえば「広い道路に出るのに、隣人の土地を横切らないといけない」といったケースで、通行の承諾を得るために使います。ただし、地役権にはさまざまなルールがあるので注意が必要です。順に見ていきましょう。

地役権を理解するために必要な「承役地」と「要役地」とは

地役権を理解するためには、まず「承役地」と「要役地」というふたつの言葉について知っておく必要があります。承役地は「利用される側の土地」で、要役地は「利用する側の土地」です。

SUUMO

引用SUUMO

上記の図では「他人の土地の通行」が目的なので承役地と要役地は隣り合っていますが、ルール上、離れていても問題はありません。たとえば送電のための鉄塔を建てるために、より離れた別の人の土地を承役地として使うケースもあります。具体的なケースについては、後ほど詳しく見ていきましょう。

地役権の行使には契約と登記が必要

地役権を行使するためには、当事者同士で合意したことを証明する「地役権設定契約」を結んだ後、地役権の登記が必要です。もし契約・登記を怠った場合、土地を不当利用されたとして損害賠償請求などのトラブルが発生するケースがあるので、忘れずに行ってください。なお地役権設定契約では、下記のような「地役権設定契約書」を使います。

松本市

引用松本市

上記の地役権設定契約書では、第5条に「設定された地役権地使用料は、無償とする」とありますが、当事者同士で使用料をやりとりすることも可能です。もし使用料をもらい受ける場合は、分離課税の譲渡所得となり申告が必要なので注意しましょう。また登記については下記の書類を用意して、司法書士に依頼するのが一般的です。

  • 登記原因証明情報(地役権設定契約書)
  • 登記識別情報または登記済証
  • 印鑑証明書
  • 地役権図面
  • 委任状

司法書士に依頼せずに登記する方法もありますが、素人にとっては書類や図面の作成が鬼門です。万が一ミスがあるとトラブルの原因にもなりえます。基本的には司法書士にすべてお任せしましょう。

地役権は相続・譲渡・売買後も適用される

地役権は相続や譲渡・売買があった後も引き継がれます。民法第281条により、地役権が所有権と同時に移転すると定められているからです。

第二百八十一条 地役権は、要役地(地役権者の土地であって、他人の土地から便益を受けるものをいう。以下同じ。)の所有権に従たるものとして、その所有権とともに移転し、又は要役地について存する他の権利の目的となるものとする。ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。

引用e-GOV「民法」

たとえば新しい承役地の所有者に「なぜ私の土地を勝手に通っているんだ」と言われても、地役権があれば合法的に通行して問題ありません。ただし地役権をしっかり登記していなければ、通行する権利は無効となる可能性があります。登記は忘れずに行いましょう。

地役権には時効がある

地役権は時効により消失するケースがあります。地役権を行使できる状態であるにもかかわらず、20年間行使しなかった場合は時効の対象です。

ただし、20年間で1度でも利用していれば、時効により消失することはありません。普通に生活していて勝手に地役権が消失する、というケースは基本的にあり得ないでしょう。

地役権が設定される主なケース

地役権は主に下記のようなケースで利用されます。

  • 通行
  • 送電設備の設置
  • 排水管の埋め込み

それぞれ、詳しく見ていきましょう。

通行

もっとも多いのは、通行のために「通行地役権」を設定するケースです。「他人の土地を通らないと大きい道路に出られない」「他人の土地を通れば大幅に駅が近くなる」といった場合によく通行地役権が設定されます。

通行地役権を設定せず口約束で他人の土地を利用するケースもよくありますが、相続・売買により突然所有者が変わり、利用を拒否されるケースは少なくありません。口約束ではなく、しっかりと契約・登記を行っておくのが良いでしょう。

送電設備の設置

送電設備を設置するために「送電線路施敷地役権」を設定するケースがあります。基本的に送電線路施敷地役権が設定されるのは、電力会社が送電線を引くための鉄塔などを建設する場合のみです。

鉄塔などの建設により土地の用途が著しく制限されてしまうので、基本的には電力会社からそれなりの使用料をもらい受けます。また一般的に土地の評価額が大きく下がり固定資産税や相続税の節税につながるので、悪いことばかりではないと覚えておきましょう。

水道管の埋め込み

宅地の立地によっては、自分の土地の地下だけでは水道の本管と接続できません。このケースでは地役権を設定して、導管を他人の土地の地下に埋め込みます。

地下に埋め込むので生活に影響がないとはいえ、埋め込みのために工事が発生します。また災害により導管が破損して、浸水などの二次災害が起きるかもしれません。地下だからといって口約束で済ませず、しっかりと契約・登記を行っておきましょう。

地役権とよく似た2つの権利

地役権とよく似た権利が2つあります。よく混同されるので、ぜひ下記2つの権利との違いを押さえておきましょう。

  • 地上権
  • 囲繞地通行権

それぞれ違いを詳しく解説します。

地役権と地上権の違い

地上権とは、建築物や竹林などの設置のために、他人の土地を利用する権利のことです。地役権はあくまで土地を利用するのに対し、地上権は土地の上に設置したものを利用する点が根本的に異なります。

また地役権で行えるのが特定目的での土地の利用であるのに対し、地上権では利用目的の制限が特に発生しません。売買等も可能なため、まったく違うものとして覚えておきましょう。

地役権と囲繞地通行権の違い

囲繞地通行権とは、公道に接する部分がない土地(=袋地)を持っている人が、周囲の土地を通行できる権利のことです。通行地役権は「すでに公道に面している部分はあるが、利便性を上げるために他人の土地を通る」場合に設定するケースがほとんど。対して囲繞地通行権は、そもそも他人の土地を通らないと出られない場合に設定します。

また通行地役権が当事者の合意のもと設定されるのに対して、囲繞地通行権は袋地の所有者に自動的に発生します。登記の必要はなく、期間の制限もありません。また通行地役権は使用料無料で契約するケースが多い一方、囲繞地通行権の場合は通行の対価として使用料を請求するのが一般的です。

地役権がある土地を買う際に押さえておくべき3つのポイント

地役権がある土地を買う際には、下記の3つのポイントを必ず押さえておきましょう。

  • 建物を建てられる範囲が制限されている
  • 特定の高さ以上の建物が建てられないことがある
  • 権利金・負担金が交付される可能性がある

なお上記の制限等の内容については、購入の際の「重要事項説明」で提示される「登記事項証明書」にすべて、必ず記載があるので覚えておきましょう。それでは、それぞれ詳しく解説します。

建物を建てられる範囲が制限されている

購入した土地に地役権が設定されている場合、基本的に要役地の所有者に利用されている部分には建物などを設置できません。建物などを設置してしまうと、要役地の所有者の通行が困難になったり、既存の鉄塔等の稼働に影響を与えてしまったりするからです。

知らずに購入してしまうと、「思ったより使える範囲が狭くて、イメージ通りの建物を建てられなかった…」ということになりかねません。建物を建てられる範囲が制限されており、購入する土地は全面を使えないのでしっかり押さえておきましょう。

特定の高さ以上の建物が建てられないことがある

地役権の中には、利用されている部分に「特定の高さ以上の建物を建ててはいけない」という制限をかけている場合があります。送電線の配線のために、邪魔になる建物を建てられないよう高さを制限しているケースが多いです。つまり、こちらも知らずに購入すると「3階建ての一軒家を建てようと思ったのに、高さ制限があったから不可能となってしまった…」ということになりえます。

また地上における高さだけでなく、地下における深さを制限されているケースもあります。このケースは、排水管の埋め込みのために地役権を設定した場合に多いです。地下室を作ろうと思っている方は、地下における制限がないかどうかも確認しておきましょう。

権利金・負担金が交付される可能性がある

購入した土地に地役権が設定されており、自分が承役地側(土地利用を承諾する側)だった場合は、権利金や負担金(いわゆる使用料)が交付されるケースがあります。主に下記の2つのケースが該当します。

  • 使用料をもらい受ける契約で地役権を設定した
  • 送電線路施敷地役権が設定してある

契約の時点で使用料をもらい受けることになっていれば、その土地の購入者にも同様の権利が発生するので覚えておきましょう。また送電線路施敷地役権が設定してある場合は、鉄塔などが設置されており利用範囲が著しく制限されるため、ほぼ100%使用料をもらう契約となっています。

そもそも承役地側の土地を購入すること自体、損のように感じてしまう方もいるかもしれません。ですが「高さ制限があるけど高い建物を建てる予定はない」「地下の利用制限があるけど地下室を作る気はない」といった場合には、ほとんどデメリットがないものの使用料の分得をする可能性があります。「地役権があるからといって、必ずしも損ではない」ということはぜひ押さえておきましょう。

通行地役権の「時効取得」に注意!

記事の前半で「地役権は時効で消失することがある」と解説しましたが、反対に時効により通行地役権を取得するケースもあるので注意が必要です。民法162条・163条・283条によって、特に過失なく善意で通行していた場合には「10年」で、もし悪意を持って通行していた場合でも「20年」で地役権の時効取得が認められています。

第百六十二条 二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
2 十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。

引用民法

ここからは時効取得が発生してしまった場合の影響や、対処方法について詳しく見ていきましょう。

時効取得が発生した場合の影響

もともと地役権がない承役地を購入した場合でも、土地の利用に制限がかかってしまう場合があります。要役地側の所有者に地役権の時効取得が認められれば、通行に利用している部分に建物などを建てられなくなってしまうからです。とはいえ制限がかかること自体は損ですが、下記2つの点はメリットにもなりうるでしょう。

  • 土地の評価が下がって節税になる
  • 交渉次第では使用料がもらえる

一般に地役権が設定されると、承役地側の土地の評価額が下がります。どの程度下がるかはエリアや条件によりますが、大幅な節税となる可能性もあるでしょう。また当事者同士の合意があれば地役権の契約・登記内容は後から変えられるので、交渉次第で使用料をもらって収入にできるのもポイントです。

時効取得が発生してしまったらすぐに登記をしよう

もし購入した土地に地役権の時効取得が発生している場合は、速やかに地役権の契約・登記を行いましょう。そのまま放置すると、将来的に土地の利用に関するトラブルが起きてしまう可能性があります。

また、そもそも購入した土地に他者による地役権の時効取得が発生しないよう、購入前に現地調査をしておくことが大切です。もし可能であれば、周辺住民に通行しているかどうかの確認を取ると良いでしょう。

まとめ

地役権とは「一定の目的の範囲内で、他人の土地を利用する権利」のことです。たとえば他人の土地を通行する「通行地役権」を設定すれば、土地利用する側(要役地側)の利便性が大きく向上します。地役権の行使には、契約・登記による設定が必要です。

地役権がある土地は、土地を利用される側(承役地側)の利用範囲や地上・地下における高さ・深さを制限されている可能性があります。制限の内容や使用料については、「登記事項証明書」にすべて記載があるので、土地を購入する際にはしっかり確認しておきましょう。

また土地の購入時点で地役権の登記がなくても、時効取得により土地の利用を制限されてしまう場合があります。本記事の内容を押さえておけば地役権に関するトラブルは避けられるので、ぜひ土地の購入時には読み返してみてください。

この記事の執筆: 及川颯

プロフィール:不動産・副業・IT・買取など、幅広いジャンルを得意とする専業Webライター。大谷翔平と同じ岩手県奥州市出身。累計900本以上の執筆実績を誇り、大手クラウドソーシングサイトでは契約金額で個人ライターTOPを記録するなど、著しい活躍を見せる大人気ライター。元IT企業の営業マンという経歴から来るユーザー目線の執筆力と、綿密なリサーチ力に定評がある。保有資格はMOS Specialist、ビジネス英語検定など。

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この記事の監修: 不動産投資コンサルタント 釜田晃利

老舗不動産投資会社にて投資用区分マンションの営業マンとして約10年間従事したのち、2015年にストレイトライド株式会社にて不動産事業をスタートしました。現在は取締役として会社経営に携わりながら、コンサルタントとしてもお客様へ最適な投資プランの提案をしています。過去の経験と実績をもとに、お客様としっかりと向き合い、ご希望以上の提案が出来るよう心がけています。

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