不動産投資の空室リスクを下げられる設備やサービスとは?単身・ファミリーなどターゲット別に解説
- 更新:
- 2023/06/19
不動産投資でもっとも怖いのは、空室が発生してしまい家賃収入がなくなるリスクです。空室リスクを下げるためには、入居者のニーズを押さえた設備やサービスの導入が必要不可欠でしょう。
今回は多くの入居者が「この設備がなければ入居しない」と考えているものや、単身者・ファミリーなどターゲット別のおすすめ設備・サービスを紹介します。これから投資をスタートする方も、すでに物件を所有している方も、リスクを避けるためにぜひ最後までご覧ください。記事の最後には、最近増えてきている独特なサービス・ユニークな設備の物件も紹介します。
- 目次
- 不動産投資でもっとも怖いのは空室リスク!
- 不動産投資をするなら絶対に押さえておきたい「この設備がなければ入居が決まらない」TOP10
- 不動産投資の物件選びはターゲット層に合わせた設備・サービスの有無がポイント!
- 独特なサービス・ユニークな設備
- まとめ
不動産投資でもっとも怖いのは空室リスク!
不動産投資においてもっとも怖いのは、空室が発生するリスクです。入居者を確保できず空室が発生してしまうと、家賃収入がなくなり、ローンや維持管理費だけを支払う羽目になるため損失が出てしまいます。
平成30年の国勢調査によると、東京23区における空室・空き家率は13.7%。大阪では20.7%にものぼります。そのため対策を講じなければ、空室による損失が出てしまう可能性は低くないといえるでしょう。
そもそも空室が発生する主な原因は、下記の4つです。
- 立地が悪い
- 築年数が古い
- 家賃が高い
- 設備やサービスが充実していない
このうち「立地」や「築年数」の問題は、購入後にどうにかできる問題ではありません。家賃についても一度下げてしまうと再度上げるのは困難なため、慎重に検討する必要があります。
もっとも取り組みやすいのは「設備やサービスを充実させること」です。「この設備がないと、そもそも選択肢に入らない」という人も少なくありません。部屋内に人気の設備を導入すれば、すぐに長期の空室が改善されるケースも。空室リスクが発生しにくい物件選びや、空室が発生してしまった際の対策のために、ぜひどんな設備やサービスが人気なのか押さえておきましょう。
不動産投資をするなら絶対に押さえておきたい「この設備がなければ入居が決まらない」TOP10
全国賃貸住宅新聞では、国内大手不動産会社のデータをもとに「2022年この設備がなければ入居が決まらないランキングTOP10」を作成しています。まずは単身者・ファミリー向けの物件に分けて、重要な設備・サービスを一覧で見てみましょう。
順位 | 単身者向け | ファミリー向け |
---|---|---|
1 | 室内洗濯機置場 | 追い炊き機能 |
2 | TVモニター付きインターホン | 室内洗濯機置場 |
3 | インターネット無料 | TVモニター付きインターネット |
4 | 温水洗浄便座 | 独立洗面台 |
5 | 独立洗面台 | 温水洗浄便座 |
6 | エントランスのオートロック | インターネット無料 |
7 | 備え付け証明 | システムキッチン |
8 | 宅配ボックス | ガスコンロ |
9 | 高速インターネット | エントランスのオートロック |
10 | ガスコンロ | 宅配ボックス |
参考全国賃貸住宅新聞
「インターネット関連設備」「防犯設備」「日常生活で頻繁に使う設備」を中心にランクイン。特に昨今、下記5つの設備がついていない物件は、単身・ファミリー向け問わず空室リスクが高まるといえます。
- インターネット無料・高速インターネット
- 室内洗濯機置場
- TVモニター付きインターホン
- 独立洗面台
- 温水洗浄便座
どのような物件を購入する場合でも、上記5つの設備は絶対に押さえておくべきでしょう。すでに物件を所有していて、上記のうち1つでも欠けている場合は、空室が発生した段階で導入するのがおすすめです。
不動産投資の物件選びはターゲット層に合わせた設備・サービスの有無がポイント!
ここまでほぼ必須ともいえる設備やサービスを紹介してきました。実際に物件を選ぶ際には、間取り・立地などによるターゲット層に合わせた設備・サービスの有無が重要です。そこで、下記の3パターンの物件に分けておすすめの設備・サービスを紹介します。
- 単身者向け
- ファミリー向け
- 女性向け物件
それぞれ見ていきましょう。
単身者向け物件におすすめの設備・サービス5選
単身者向け物件では、下記5つの設備やサービスがおすすめです。
- インターネット無料・高速インターネット
- 浴室換気乾燥機
- 宅配ボックス
- オートロック・防犯カメラ
- 24時間利用可能ゴミ置き場
インターネット無料・高速インターネット
インターネット環境がすでに整っている「インターネット無料」「高速インターネット」の有無は、単身者がもっとも気にする条件です。テレワークやゲーム・動画視聴などインターネットの使途が多い単身者にとって、これらのサービスはもはや必須でしょう。
「高速インターネット」と記載しながらも、「ADSL」などの高速とはいえないインターネット設備を導入している物件もあります。「光回線を引いている」というのが分かる状態にしておくと、入居者にとっても好印象です。
浴室換気乾燥機
浴室換気乾燥機とは、浴室を乾燥させるのはもちろん、温風・冷風の送風や洗濯物の乾燥ができる設備です。単身者に人気の理由は、スーツの中に着るワイシャツを乾かせるから。洗濯乾燥機ではシワシワになってしまうワイシャツも、浴室換気乾燥機なら比較的短時間でシワなく乾かせます。
浴室換気乾燥機は安くないので、導入すれば周辺よりも家賃相場を上げざるを得ません。しかし「一度浴室換気乾燥機のある部屋に住んだら、もう二度とない物件には住めない」といわれているほど効果があります。確実に需要があるため、多少家賃を上げても入居者が集まるでしょう。
宅配ボックス
コロナの影響もあってか、留守中の荷受け用として玄関前に設置する宅配ボックスも人気です。特に単身者は自分が外出すれば留守にせざるを得ないため、宅配ボックス設置による利便性向上は間違いなし。数千円 ~ 数万円程度で買えるので、ぜひ単身者向けのワンルーム物件などを購入したら設置しておきましょう。
オートロック・防犯カメラ
オートロックや防犯カメラの有無で、住む物件を決める単身者は少なくありません。マンションにおけるオートロックとは、共用部分のエントランスが自動で施錠される仕組みのこと。入るときは鍵や暗証番号などを使います。
特に1人暮らしの場合は、自分が鍵をかけ忘れた際に代わりに鍵をかけてくれる人がいません。そのため自動で鍵をかけてくれるオートロックは、単身者にとってほぼ必須といえる設備です。防犯カメラも人気なので、ぜひあわせて導入しましょう。
24時間利用可能ゴミ置き場
その名の通り24時間いつでもゴミを捨てられる「24時間利用可能ゴミ置き場」も、単身者に非常に人気のある設備です。特に夜勤者が多い工業地帯の周辺にある物件ではほぼ必須といえます。多くのマンションが24時間利用可能ゴミ置き場を導入していますが、ない物件もあるので注意して選びましょう。
ファミリー向け物件におすすめの設備・サービス5選
ファミリー向け物件では、下記5つの設備やサービスがおすすめです。
- インターネット無料・高速インターネット
- 追い炊き
- システムキッチン
- オートロック
- ガレージ
インターネット無料・高速インターネット
多くの子供がゲームや動画鑑賞で使うので、ファミリー世帯にとっても「インターネット無料」「高速インターネット」のサービスは必須といえます。即日もしくはなるべく早くインターネットを使えて、毎月の費用を抑えられる物件は、親にとってそれだけで魅力的です。
追い炊き
お風呂のお湯を再度温められる「追い炊き機能」がない物件は、ファミリー世帯の多くが入居を避けます。追い炊き機能がない物件を購入する・持っている場合は、必ず導入しましょう。
ファミリー世帯は人数が多いため、お風呂を沸かしてから全員が入浴を終えるまでにどうしても時間がかかります。もし追い炊き機能がない場合はお湯を張り直すことになるので、無駄な時間と水道光熱費がかかってしまうのです。
「追い炊き機能があることで家賃が上がっている」としても、追い炊き機能がないことによるコストアップを避けられるのは入居者にとって魅力的でしょう。
システムキッチン
ファミリー世帯には、シンク・コンロ・作業台がセットになった「システムキッチン」が人気です。なぜシステムキッチンが人気かというと、安全性に配慮された設計となっているから。ベビーゲートを取り付けるだけでキッチンに侵入できない安全な環境を作れるので、小さい子供がいる家庭はシステムキッチン物件を選ぶ傾向があります。
参考収益性に直結!?キッチンの種類と特徴を分かりやすく解説!
オートロック
ファミリー向けでも、オートロックがついた防犯性の高い物件が人気です。子供がいるファミリー世帯にとって、オートロックには下記のようなメリットがあります。
- 子供による鍵のかけ忘れを防止できる
- 子供の留守番中に知らない人を入れてしまうリスクを回避できる
特にどうしても子供に留守番をさせざるを得ない場面で、防犯性を高められるのがポイント。子供に訪問営業などの応対をさせる必要もありません。ファミリー向けの物件を購入するなら、オートロックの有無はひとつのチェックポイントでしょう。
ガレージ
いわゆる高級マンション・アパートに多いですが、車を入れられる屋根付きのスペース「ガレージ」付きの物件が人気です。車好きの富裕層ファミリーにニーズがあるのに対し、設置している物件は少ないため大きく差別化できます。資金に余裕がある場合はぜひ選択肢に入れてみましょう。
女性向け物件におすすめの設備・サービス5選
女性向け物件では、下記5つの設備やサービスがおすすめです。
- セキュリティシステム・防犯設備
- 室内洗濯機置場
- 広いクローゼット
- トイレ・お風呂別
- インターネット無料・高速インターネット
セキュリティシステム・防犯設備
女性は特にセキュリティ関連の設備の有無を重視して物件を選びます。株式会社FJネクストによる首都圏のワンルーム入居者への調査では、「家賃よりセキュリティを重視する」という女性が38.5%にものぼりました。
そのため女性が多いエリアでは、セキュリティ関連の設備があるほど空室リスクが下がるといえます。下記のような設備をなるべく導入しましょう。
- 防犯窓(強化ガラス)
- 防犯カメラ
- 二重ロック
- オートロック
- TVモニターつきインターフォン
- セコムなどのセキュリティシステム
室内洗濯機置場
室内洗濯機置き場の有無も、女性の入居者にとっては重要なポイント。単純な利便性向上の面でもメリットがありますが、下着泥棒などのリスクもあるため多くの女性は室内での選択を望みます。女性が多いエリアの物件には必ず導入しましょう。
広いクローゼット
オシャレ好きの女性は、服をたくさん収納できるクローゼットがある物件を好みます。しかし一般的なマンションの収納率(部屋の面積に対する數納スペースの割合)は、6 ~ 8%ほどしかありません。収納率が10 ~ 15%程度あれば、周囲の物件と差別化できるため空室リスクを下げられるでしょう。
トイレ・お風呂別
女性は特にトイレ・お風呂が別の物件を選ぶ傾向があります。大阪府の一級建築士事務所CUBICの調査によると、単身女性の79.1%がトイレ・お風呂別の物件を選んでいます。
つまりユニットバス物件というだけで、約8割の単身女性の選択肢から外されてしまうということ。女性が多いエリアの場合、空室リスクの高いユニットバス物件は避けましょう。
インターネット無料・高速インターネット
女性にもインターネットが無料で使える物件は人気です。女性が多いエリアでは「インターネットが使えて、セキュリティが強固な、ユニットバスでない」物件であれば、空室リスクは大幅に下がるといえます。ぜひ押さえておきましょう。
独特なサービス・ユニークな設備
独特なサービスやユニークな設備を導入して、周囲の物件と大幅な差別化を図るのもひとつの選択肢でしょう。特定の層をターゲットにした物件は、相場より家賃が高くても入居者が現れる可能性が高いです。たとえば、実際に下記のようなユニーク物件があります。
- アトリエ付き
- 水槽備え付け
- 防音室完備
- レトロ内装
- 浴室天井スピーカーあり
- DIY可・原状回復不要
- 収納スペースがすべて可動式
最近増えているのが、収納スペースがすべて可動式の物件です。8畳 ~ 15畳程度のリビングに設置した移動式の収納により、自由に部屋を間仕切りして空間を有効活用できます。
参考伊藤忠都市開発
築古物件を購入して、こうした独特なサービスやユニークな設備を備えた物件にリノベーションするのもおすすめです。思ったよりも入居者が集まらない場合は、特定の層をターゲットにした戦略も検討してみましょう。
まとめ
どの層をターゲットにした物件の場合でも、下記5つの設備・サービスは押さえておくのがおすすめです。
- インターネット無料・高速インターネット
- 室内洗濯機置場
- TVモニター付きインターホン
- 独立洗面台
- 温水洗浄便座
このほか単身者向け物件なら「浴室換気乾燥機」、ファミリー向け物件なら「追い炊き・システムキッチン」などがあれば、空室リスクを大きく下げられるでしょう。女性向け物件の場合は、セキュリティの強固さやユニットバスでないことが重視されます。
築古マンションを購入して、特定の層をターゲットとした独特なサービスやユニークな設備のある物件にリノベーションする選択肢もあります。当社ではエリアに応じた物件の設備・サービスについてのご提案も可能です。ぜひ一度お気軽にご相談ください。
この記事の執筆: 及川颯
プロフィール:不動産・副業・IT・買取など、幅広いジャンルを得意とする専業Webライター。大谷翔平と同じ岩手県奥州市出身。累計900本以上の執筆実績を誇り、大手クラウドソーシングサイトでは契約金額で個人ライターTOPを記録するなど、著しい活躍を見せる大人気ライター。元IT企業の営業マンという経歴から来るユーザー目線の執筆力と、綿密なリサーチ力に定評がある。保有資格はMOS Specialist、ビジネス英語検定など。
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