マンションは床材の種類で印象が変わる?床材の種類や視覚的効果について徹底解説!
- 更新:
- 2024/10/29

近年は内装にこだわる入居者が増え、内装への工夫が空室リスクの軽減につながります。内装に大きな影響を与えるのが、部屋の大部分を占める「床材」です。同じ部屋でも床材を変えるだけで、部屋全体が明るい印象になる、広く見えるなどといったさまざまな効果をもたらします。しかし、床材は種類が豊富だからこそ視覚的効果が変わることについて、知らない方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、床材の種類や特徴、場所ごとに適した床材、床材が持つ視覚的効果を紹介。種類や材質、色を含めて、どの場所でどの床材がふさわしいかを解説します。物件購入後のリフォームを前提としている方だけでなく、これまでリフォームを検討していなかった方にとっても役に立つ記事です。購入した投資用不動産で床のリフォームが必要か悩んでいる方や、不動産投資では床のリフォームが必須か心配な方は、最後までお読みください。
代表的な床材3選
不動産投資で成功するには、入居者層に合った床材選びも重要です。本章では、代表的な床材として、フロアタイル、クッションフロア、フローリングの特徴やメリット・デメリットを解説。合わせて、タイル、コルク、畳、カーペットについても解説します。
①フロアタイル
フロアタイルは正方形または長方形のピース状で、パズルのように並べて貼り付けていく床材です。色柄のバリエーションが豊富でデザイン性が高く、高級感を持つ床材となっています。塩化ビニルに石目や木目などがプリントされており、さまざまな質感をリアルに表現できる点も特徴的です。
フロアタイルのメリットは、なんといっても耐久性と防水性の高さ。その特性から、キッチンや玄関によく使用されます。硬い素材なので、家具を置いてもあまり跡が残りません。しかし、フロアタイルの「耐久性」は、デメリットともなり得ます。塩化ビニルは硬くクッション性を欠くため、足触りの良さや防音ではやや劣ります。従って、よく歩く場所や直接床に座るような間取りには、あまり向いていません。
②クッションフロア
クッションフロアも、フロアタイルと同じく塩化ビニル製の床材です。シート状になっており、表面には木目や石目調、タイルなどの柄がプリント。柔らかい質感でクッション性に優れています。
クッションフロアのメリットは、コストが低いこと。後述するフローリングの3分の1程度です。安価でありながら色やデザインが豊富。手ごろな価格で理想の部屋にしやすい点は最大のメリットといえるでしょう。
防水・防汚性が高いことも、クッションフロアのメリットです。汚れがついても拭き取るだけできれいにできるため、ペット可の物件や水回り、キッチンスペースにうってつけの床材です。
反面、劣化しやすい点がクッションフロアのデメリットです。家具を載せて重さが1ヵ所に集中すると凹みができてしまいます。また、クッションフロアは熱には強くないため、紫外線により色褪せや劣化が目立つことがあります。
③フローリング
フローリングは、木材を加工した定番の床材です。メリットは、部屋に馴染みやすいところ。木材ならではの温かみとナチュラルな印象が、どんな部屋にもマッチします。
一方、フローリングのデメリットは、メンテナンスに手間がかかる点です。湿度の変化により木材が収縮するとすき間ができるため、こまめな掃除が欠かせません。また、フローリングの美しさを保つためには、定期的なワックスがけも必須です。メンテナンスにあまり手間をかけたくない場合、フローリングは面倒に感じるかもしれません。
フローリングは無垢材と複合の2種類
フローリングは、「無垢材フローリング」と「複合フローリング」に分類されます。
無垢材フローリングは天然木をそのまま使用していることから、高級品に分類。調湿機能があり、保温性や断熱性に優れている点がメリットです。特に、ヒノキやチェスナットといった硬い木材は、傷がつきにくく耐久性に優れています。硬い木材を使用した場合は、入居者が変わるたびに床を張り替える必要もありません。
複合フローリングは、合板の表面に天然木の薄板を貼り付けた床材です。さまざまな特性の合板や表面材を合わせるため、防音やダニ予防などの効果が高まります。
フローリングに使われる主な木材の種類と特徴
以下の表は、フローリングに使われる代表的な木材です。木材ごとに違う特徴を持っているため、リフォームでは入居者の好みに合った木材選びが求められます。フローリングの木材選びの際、参考にしてください。
名称 | 木の種類 | 特徴 |
---|---|---|
オーク | ナラ(楢) | 固さがあり、木目が美しい |
ウォールナット | クルミ | 変形しにくく、グラデーションのかかった木肌と複雑な木目が魅力 |
パイン | 松 | 柔らかさがあり、肌触りが良い |
メープル | 楓 | 衝撃や摩擦に強く、清潔感がある |
チェスナット | 栗 | 湿気に強く、流れるようなダイナミックな木目が人気 |
タモ(アッシュ) | タモ | 柔軟性と強靱さが共存し、木目がはっきりしている |
ヒノキ | 檜/桧 | 強度があり、殺菌殺虫効果もある |
スギ | 杉 | 吸音性が高いが、柔らかく傷がつきやすい |
その他材質の床材
床材は、先ほど紹介した3種類だけではありません。本章では「その他材質の床材」として、タイル、畳、コルク、カーペットについて解説。入居者の好みに合い、かつ長持ちする床材を選ぶための基礎知識として、頭に入れておきましょう。
タイル
タイルは、耐汚性や耐水性に優れた床材です。独特な風合いや形状を持つ石材や陶器製のタイルは、特に高級感やスタイリッシュな印象を求める方に人気があります。フロアタイルとの違いは素材。フロアタイルは塩化ビニル製ですが、タイルの素材は多種多様。特にプラスチックで作られたタイルは「Pタイル」と呼ばれています。
タイルのメリットは、メンテナンスに手間やコストがかからないこと。キッチンの油汚れも簡単に拭き取りでき、傷や凹みによる劣化の心配もさほど必要はありません。摩擦には強いタイルですが、衝撃を吸収できません。硬いものを落とした場合、タイルが割れる可能性があります。また、天然素材や石材などを加工しているため、材料費や施工費が高くつきやすい点もデメリットです。
コルク
コルクは、コルク樫の樹皮から作られた床材で、柔らかな質感が最大の特徴です。ワイン瓶のふたとしても使われ、吸音性や緩衝性に優れています。断熱性が高いため、マンションにも多く使われている床材です。
コルクは掃除が難しそうに見えますが、実は簡単です。他の床と同じく、掃除機やから拭き、水拭きができます。掃除も楽で、吸音性や緩衝性に優れているため、実は床材向きの素材なのです。
畳
日本人にはおなじみの畳は、い草(イグサ)から作られます。い草は湿気を吸収したり排出したりすることから、夏は涼しく冬は暖かく感じられる点が魅力です。また、い草には浄化作用があり、香りにはリラックス効果があるとされています。
畳は、定期的な手入れや張り替えが必要な点がデメリット。湿気が多いと、カビが生える場合もあります。
カーペット
カーペットは、毛、ナイロン、ポリエステルなど、さまざまな素材から作られている床材です。一気に住まいが洋風化した高度成長期に、広く普及しました。柔らかな肌触りで、足への衝撃を吸収する効果のある床材です。
カーペットのメリットは、肌触りが良く、遮音性が高いこと。裸足でも過ごしやすく足腰への負担が軽減されるため、小さい子どもや高齢者が住む場合おすすめです。カーペットを敷くことで、階下への騒音も軽減。下の階に足音や物音が聞こえるか気になる場合は、カーペットを導入するといいでしょう。
一方、カーペットはメンテナンスの大変さがデメリットです。ほこりが溜まってダニが繁殖しやすいため、こまめな掃除が欠かせません。加えて、液体をこぼすとシミになりやすく、乾くまでに時間がかかるところも難点です。
床材は場所や素材ごとで向き不向きがある
床材は、場所ごとに向き不向きが存在します。場所に向いていない素材を使った場合、持ちが悪い、雰囲気が合わないといった問題が生じてしまいます。不動産投資においては、部屋の問題は部屋に入居者が入らず家賃収入が見込めない「空室リスク」の一因です。空室リスクを減らすためには、適材適所で床材を使うことが必須です。
こちらは、場所ごとに適した床材を一覧にした表になります。床材選びの参考にしてください。
場所 | 床材 |
---|---|
リビング・ダイニング | 無垢材フローリング、カーペット |
洗面所・トイレ・キッチン | 耐水性が高いクッションフロア、フロアタイル |
玄関 | タイル、石材 |
廊下 | フローリング |
寝室 | カーペット |
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床材の色と視覚的効果
人は、日常生活で視覚から8割以上の情報を得ているとされています。心理学における「メラビアンの法則」によると、対人コミュニケーションにおいて、視覚から得られる情報は55%。いずれにせよ、人は視覚から多くの情報を得ていることがうかがえます。
マンションを選ぶ際も、同様です。入居希望者は、壁や床の色や材質を見て入居するかどうかを判断します。人は視覚が優位になりがちなので、視覚的効果を含めて、入居者層のニーズを満たせる床材選びが必須です。「何となく」「流行だから」といった安易な床材選びは、空室リスクの原因となってしまいます。
ここからは床材の色と視覚的効果について解説します。本記事では床の色をホワイト系、ナチュラル系、ブラウン系、グレー系、ブラック系の5つに分け、それぞれどのような印象になるのか解説します。所有する不動産を好きになってもらい入居につなげられるよう、色が持つ効果を知っておきましょう。
ホワイト系床材は開放的ですっきりした印象
ホワイト系の床には、次のような視覚効果があります。
- 明るく開放感が生まれる
- すっきりとした印象になる
ホワイトの床は明るく広々とした印象で、スペースを大きく見せられます。物を多く置いていたとしても、すっきり見せることが可能。組み合わせる家具の色も選ばないため、あらゆるインテリアに合わせられます。
よりスタイリッシュさが好まれるエリアや物件の場合は、ホワイトの中でも石目柄や、木目がわかりづらい床材を選ぶといいでしょう。逆に暖かみを持たせたい場合は、木目調の床材がおすすめです。
ナチュラル系床材は部屋が広く見え高人気
ナチュラル系も、人気が高い色合いです。木の風合いをそのまま味わえることや、部屋が広く見えることから根強い人気があります。
ナチュラル系床材を使うメリットは、部屋が広く明るく見えること。温かい雰囲気を持っているので、あらゆる家具や壁紙に対応できます。明るめの色なので、ほこりがあまり目立たないことも好印象です。
ナチュラル系床材は、経年劣化がわかりやすいことがデメリット。素材によっては、安っぽく見えてしまう場合もあります。
ブラウン系床材は温もりのある落ち着いた雰囲気
ブラウン系の床材は、多くの物件に導入されています。主な視覚的効果は、次のとおり。
- 温もりや落ち着きがある
- 傷や汚れが目立ちにくい
木目が程よく見えるブラウン系の床材は、温もりのある落ち着いた雰囲気にすることができます。明度によって印象が異なり、ライトブラウンは部屋を広く見せられます。一方、ダークブラウンは、より重厚感や高級感を感じさせるのが特徴です。明るい色合いの床材と比べて傷や汚れが目立ちにくい点も、ブラウン系床材が持つメリットの1つ。傷や汚れが目立ちにくく、メンテナンスしやすい点もメリットです。
ブラウン系床材のデメリットは、明るい色に比べると部屋が狭く見えてしまいがちであること。また、暗い色なので、白っぽい汚れやほこりは目立ちがちです。
グレー系床材は上品さや上質さを演出
グレーは上品さや上質さを感じさせる色で、次のような視覚的効果があります。
- 上品さや上質さを演出する
- 様々なインテリアテイストにマッチする
グレー系床材は色味がなく、どのようなインテリアテイストにもマッチするところが魅力です。ただ、賃貸物件ではグレー系床材はあまり多くありません。希少価値があることは、メリットでもありデメリットでもあります。グレー系の床材を取り入れることで、他の物件との差別化を図れますが、入居者がオーソドックスな床の色を求めている場合は、敬遠される可能性もある点に留意が必要です。
ブラック系床材は重厚感や高級感を演出
ブラック系の床材には、次のような視覚的効果があります。
- 重厚感や高級感を感じさせる
- 非日常的でクールな雰囲気を演出する
重厚感や高級感を感じさせるブラックの床材は、非日常的でクールな雰囲気を演出可能。無機質でスタイリッシュであることから、オフィス街のワンルーム用物件にはとてもおすすめです。ただし、ブラックは部屋全体が狭く見えてしまうことが難点。広いLDKのような、開放的な空間での使用がおすすめです。
不動産投資において床材選びは入居に直結する大切な要素
不動産投資では、エリアの特徴や入居者層に合った床材選びが欠かせません。ターゲットに合った床材を選ぶことで物件の価値が高まり、入居に直結するからです。例えば、ビジネス街に近い物件では、上品で落ち着いた印象を持つ黒やグレーなどが求められます。一方、若い世代をターゲットにした物件では、ホワイトやナチュラルといった明るい色合いがおすすめです。
入居者にとって、部屋の雰囲気は大変重要です。床以外の条件がどんなに良くても、自分たちが求める雰囲気の床でないだけで、入居しない可能性も十分考えられます。床材は入居の決め手ともなり得るため、エリアの特徴や客層に合わせて床材を選ぶことが必須です。
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まとめ
床材はさまざまな色や材質があり、それぞれに適した用途があります。購入した物件のリフォームを検討している方は、本記事を参考にして購入物件の入居者層が好む床材を検討いただけますと幸いです。
場所ごとに適した床材を選ぶと、視覚的効果により入居が増えるだけでなく物件をメンテナンスする頻度が抑えられます。しかし、リフォームには多くのお金が必要です。効果がなかった場合を考えると、簡単にリフォームに踏み出せない場合もあるでしょう。
「購入希望の物件で、床をリフォームすべきか」「自分が購入した物件の床材が、本記事でおすすめの床材ではないが大丈夫か」など床材に関する疑問が出てきたときは、無料相談にて話をお聞かせください。中立的な投資家目線で、相談者様の事例に即した個別のアドバイスをさせていただきます。無理な勧誘はいたしませんので、気負わずにお問い合わせいただければ幸いです。

この記事の執筆: 堀乃けいか
プロフィール:法律・ビジネスジャンルを得意とする元教員ライター。現役作家noteの構成・原案の担当や、長野県木曽おんたけ観光局認定「#キソリポーター」として現地の魅力を発信するなど、その活躍は多岐に亘る。大学および大学院で法律や経営学を専攻した経験(経済学部経営法学科出身)から、根拠に基づいた正確性の高いライティングと、ユーザーのニーズに的確に応えるきめ細やかさを強みとしている。保有資格は日商簿記検定2級、日商ワープロ検定(日本語文書処理技能検定)1級、FP2級など。
ブログ等:堀乃けいか