ETFとは?投資信託や株式、不動産投資との違いをわかりやすく解説!
- 更新:
- 2024/02/07
2024年1月より新NISAが開始、成長投資枠の中で扱える金融商品が広がったことからETFが注目を集めています。ETFとは、上場している投資信託のこと。しかし、名前だけは知っていても、そもそもETFとは何かよく知らない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、ETFとは何か、投資信託や株式との違い、メリットやデメリットについてわかりやすく解説します。さらに、不動産を扱うETFであるREIT ETFやJ-REITと不動産投資(現物投資)の違いについても解説。最後まで読むことで、ETFへの理解はもちろん、不動産投資(現物投資)との違いも理解できるでしょう。ETFや不動産投資、REIT ETFが気になっている方は、最後までご一読ください。
ETFとは
ETFとは取引所に上場している投資信託(上場投資信託)のこと。「Exchange Traded Funds」の頭文字を取って「ETF」と呼ばれています。東京証券取引所に上場しているため、株式と同じような時価での売買が可能です。
ETFと投資信託との違い
ETFと投資信託は、売買の場所や価格、購入・売却までの期間が違います。ETFは投資信託の一種ですが、証券取引所に上場しているため証券会社経由での取引です。ETFは、価格を見ながらリアルタイムで売買可能。株式のように、相場の動きを見ながら売買価格を指定する指値注文も可能です。
一方、投資信託は非上場。証券会社だけでなく、銀行や郵便局でも売買可能となっています。売買は、1日に1回だけ公表される基準価額(投資信託の一口あたりの値段)にて実施。ETFのように、リアルタイムの価格を使った取引ではありません。
ETFと投資信託は、売買までの期間も違います。ETFは、証券取引所の開場中はリアルタイムで売買可能。自分が希望する金額で売買ができます。一方投資信託は、売買の注文をする申込日と注文が確定する約定日(やくじょうび)が異なり、希望金額で売買できない場合があります。投資信託で購入・売却の基準となるのは、約定日の基準価額です。つまり、申込日と約定日が異なる場合は、申込日の価額で決済できない場合があります。
ETFと株式との違い
ETFと株式の違いも見ておきましょう。ETFは、複数の銘柄(株式)がひとつになっていて、指数の動きと連動するように運用される投資信託です。ETFに含まれた固有銘柄での売買は行わず、ETFを1口ずつ売買することで利益を上げていきます。一方、株式は1銘柄ずつ購入。銘柄ごとに市場価格の値動きを見て売買し、利益を上げる仕組みとなります。
ここまで述べたETF・投資信託・株式の違いは以下のとおり。ETFと投資信託・株式との違いを知り、ETFに関する理解を深めていきましょう。
項目 | ETF | 投資信託 | 株式 |
---|---|---|---|
上場 | 東京証券取引所に上場 | 非上場 | 上場 |
売買場所 | 証券会社のみ | 証券会社、銀行、郵便局 | 証券会社のみ |
売買価格 | その時々につけられた市場価格 | 1日1回公表される基準価額 | その時々につけられた市場価格 |
購入・売却までの期間 | 証券取引所開場中はいつでもリアルタイム | 申込日と約定日が異なる場合がある | 証券取引所開場中はいつでもリアルタイム |
ETFの分類
ETFは、上場している場所や運用方法によりいくつかの種類に分けられます。どの国の証券取引所に上場しているかで、国内ETF、外国ETFに分類。国内ETFは、東京証券取引所に上場しているETFになります。外国ETFは、海外の取引所に上場しているETFです。
運用方法では、インデックス型とアクティブ型に分類されます。インデックス型は、各指数の動きに連動するように運用するETFです。代表的な指数は、国内では東証株価指数(TOPIX)や日経平均株価(日経225)、海外の場合は、ダウ平均株価(NYダウ)やS&P500となります。一方アクティブ型は、連動対象指数を定めないETFです。
ETFで投資する5つのメリット
では、ETFで投資すると何がいいのでしょうか。ETFで投資を行うメリットは、以下5点です。
- 簡単に分散投資ができる
- リスクが低い
- 値動きがわかりやすい
- リアルタイムでいつでも売買できる
- コストが安い
メリット①:簡単に分散投資ができる
ETFの大きなメリットとして、簡単に分散投資ができることが挙げられます。ETFは、たくさんの投資家から集めたお金をファンドマネージャー(証券会社)が運用する投資信託です。自分で分散投資をする場合、資金調達から銘柄選定まですべて自分で行わなければなりません。しかし、証券会社には多くのお金が集まるため分散投資も容易にでき、銘柄選定までした商品を売ってもらえます。
ETFは、自分で行うと大変な分散投資と銘柄選定がすでに行われている金融商品です。購入するだけで簡単に分散投資ができることが、ETFが持つ最大のメリットといえるでしょう。
メリット②:リスクが低い
分散投資により価格下落のリスクが低くなることも、ETFのメリットです。ETFの分散投資は、リスクの分散にも役立ちます。例えば、株式を1銘柄だけ購入した場合、その株式が暴落すると大きな損をしてしまいます。数種類のみの株式投資の場合も同様です。ETFは数十 〜 数百種の銘柄に分散投資済み。従って、ETFでは1銘柄の価格下落が原因でETF全体の価格が暴落することはまずありません。
メリット③:値動きがわかりやすい
ETFは、値動きが分かりやすいこともメリットです。インデックス型の場合は指数に連動しているため、特に値動きがわかりやすい特徴があります。例えば、TOPIX(東証株価指数)に連動しているETFの場合、TOPIXの動きに沿って運用。日経平均株価と連動している場合は、日経平均株価の動きを見ることでETFの値動きが読めます。このように、連動している指数を見ることで値動きが分かりやすいこともETFのメリットです。
メリット④:リアルタイムでいつでも売買できる
ETFのメリットとして、リアルタイムでいつでも売買できることも外せません。投資信託は、申込日と約定日が異なる場合があります。しかし、ETFであれば、証券取引所の開場時間内であればいつでも好きなときに売買が可能。投資信託とは異なり、売りたい、もしくは買いたい価格になったときにすぐETFを売買できることがメリットです。
メリット⑤:コストが安い
ETFは、低コストであることもメリットといえます。ETFに必要なコストは、売買委託手数料(売買手数料)と信託報酬です。証券会社によっては、売買委託手数料は無料となる場合もあります。信託報酬とは、簡単に言うと証券会社の運営費用です。ETFの信託報酬は、投資信託より低いため、コストをあまりかけずに運用することができます。
以下は、2024年2月現在の、主な証券会社におけるTOPIX(東証株価指数)を扱うETFと投資信託の信託報酬の比較です。どの証券会社も、投資信託よりもETFの方が信託報酬が低くなっていることが分かります。
証券会社名 | ETF | 投資信託 |
---|---|---|
SBI証券 | 0.06~0.088% | 0.143%以内 |
楽天証券 | 0.066~0.968% | 0.143% |
野村證券 | 0.0608% | 0.682%以内 |
マネックス証券 | 0.07~0.1% | 0.143%以内 |
※最新の情報につきましては、各証券会社のホームページをご確認ください。
ETFで投資する3つのデメリット
ETFで投資する際は、メリットだけでなくデメリットも把握しておくことが大切となります。ETFのデメリットは、以下3点です。
- 分配金は自動的に再投資されない
- 銘柄が少ない
- 市場価格と基準価額に差が生じる可能性がある
デメリット①:分配金は自動的に再投資されない
ETFの分配金は、手数料を差し引いて決算時に支払われます。分配金は証券口座に入金。投資信託のように、ETFに自動再投資される制度がありません。分配金をETFに再投資したい場合は、自分で再投資の手続きをする必要があります。このように、受け取った分配金を再投資したい場合には手続きが必要である点が、ETFのデメリットです。
デメリット②:銘柄が少ない
ETFは銘柄が少ない点もデメリットといえます。国内の上場企業数は約4,000。株式銘柄も同数です。一方、東京証券取引所に上場しているETFは、約300銘柄。株式と比べると銘柄が少ないため選択肢が限られてしまうことも、ETFのデメリットといえるでしょう。
デメリット③:市場価格と基準価額に差が生じる可能性がある
ETFの市場価格は市場の需要と供給により決定します。ETFの需要が少ない、もしくは供給が多い場合、市場価格は下落。反対に需要が多い、もしくは供給が少ない場合は、市場価格が上昇します。市場価格の上下動により基準価額と差が生じ、結果的に損をする可能性がある点も、ETFのデメリットとして覚えておきましょう。
不動産投資(現物投資)とETF(REIT ETF)やJ-REITとの違い
ETFには、不動産投資に分散投資する「REIT ETF」があります。同様に、不動産投資を行う投資信託の「J-REIT」も存在。一方、当社で扱っている不動産投資は、実際の物件を取り扱う「現物投資」です。ここからは、現物投資とETF(REIT ETF)やJ-REITとの違いを、それぞれのメリット・デメリットを通して解説します。
REIT ETFやJ-REITは投資信託なので、少額から投資可能です。今まで解説したETFと同様、複数の不動産に対して分散投資ができるため、1つの不動産価値が下落してもETFやJ-REITが大幅に下落することはないため、低リスクでの不動産投資が可能です。さらに、年複数回の分配金を得られるため、キャッシュフローが円滑に回るメリットもあります。
デメリットは、売りたい価格で売却できないことや、相場の影響を受けやすいことです。購入額によっては、基準価額との差で損をする可能性もあります。
現物投資のメリットを見ていきましょう。現物投資が持つ最大のメリットは、ローンを使ってレバレッジを効かせることで、少額の自己資本でも大きな利益を得られる点です。入居者が途切れないような人気のある物件を購入することで、空室リスクも避けられ、確実に家賃収入を得られます。また、REITと比べて相場の影響を受けづらいことから、資産価値の上下動が少なく安定している点も魅力です。
しかし、現物投資には天災や事故のリスクがあります。修繕積立金や固定資産税のように毎月、毎年の費用が発生することから、収入すべてが自分の手元に残らない点もデメリットです。資産価値が下落した場合は、売却しても損失が出るかもしれません。
REIT ETFやJ-REIT、現物投資にはそれぞれデメリットがあります。REIT ETFとJ-REITは相場の影響を受けやすく、相場が下落すると価格が下がってしまう点です。一方、現物投資には、空室になると家賃収入が減る空室リスクがあります。それぞれのデメリットを補うために、REIT ETFやJ-REIT、現物投資を両方行うことがおすすめです。
参考不動産投資のREIT ETFとは?メリット・デメリットを通常の不動産投資と比較して解説!
まとめ
ETFは証券取引所に上場していて、手軽に始められる投資です。特にインデックス型の場合は、指数の動きに沿っていることから流れが読みやすい特徴もあります。ETFの中でもREIT ETFを購入すれば、不動産投資も可能。2024年1月より開始された新NISAの成長投資枠でも扱われているので、不動産投資の入り口としておすすめといえるでしょう。
とはいえ、REIT ETFよりも現物投資の方が大きな利益を出しやすい特徴があります。不動産投資の醍醐味は、やはりレバレッジによる大きな利益です。最初はREIT ETFで不動産投資の仕組みを学び、将来的には現物投資も行い、2種類の不動産投資で利益を得ることをおすすめします。
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この記事の執筆: 堀乃けいか
プロフィール:法律・ビジネスジャンルを得意とする元教員ライター。現役作家noteの構成・原案の担当や、長野県木曽おんたけ観光局認定「#キソリポーター」として現地の魅力を発信するなど、その活躍は多岐に亘る。大学および大学院で法律や経営学を専攻した経験(経済学部経営法学科出身)から、根拠に基づいた正確性の高いライティングと、ユーザーのニーズに的確に応えるきめ細やかさを強みとしている。保有資格は日商簿記検定2級、日商ワープロ検定(日本語文書処理技能検定)1級、FP2級など。
ブログ等:堀乃けいか