不動産投資と投資信託(REIT)の違いを徹底比較!どっちがいいかやメリットも解説!
- 更新:
- 2024/10/24

不動産投資と投資信託は、安定した利益を得られる資産運用といわれています。しかし、それぞれの違いやメリットがはっきりわからないことから、投資に一歩踏み出せない方も多くいらっしゃるでしょう。
投資商品はそれぞれの違いを知ることで、どれが自分向きであるかがわかります。この記事では「不動産投資(現物投資)」と投資信託のひとつである「不動産投資信託(REIT)」について、それぞれの特徴を比較しつつ違いを解説。メリットとデメリットも比べながら、それぞれの投資に向いている方の特徴も紹介します。
不動産投資と投資信託を比較することで、それぞれの特徴について理解を深められる記事です。この記事を参考に、将来の資産形成に向けて、より自分に合った投資を選びましょう。
- 目次
- 徹底比較!不動産投資と投資信託(REIT)の違い
- 不動産投資のメリット・デメリット
- 不動産投資信託(REIT)のメリット・デメリット
- 不動産投資と投資信託(REIT)どっちを選ぶべき?
- 不動産投資は将来性がある
- まとめ
徹底比較!不動産投資と投資信託(REIT)の違い
不動産投資と投資信託(以下「REIT」と記載)は、両方とも安定的な利益を生み出す投資です。しかし、両者を比較するとかなりの違いがあります。
不動産投資 | 投資信託(REIT) | |
---|---|---|
利益率 | 中 | 低 |
初期投資 | 数百万円〜 | 数万円〜 |
運用の手間 | 多い | ほぼない |
景気の影響 | ほぼなし | 大きい |
リスクの大きさ | 中程度 | 低~中 |
税制 | 所得税や住民税、相続税が軽減可能 | NISAの活用で、運用益も含めて最大1,800万円まで非課税 |
不動産投資は努力や手間が必要ですが、利益率は高く、景気の影響も受けづらいとされる投資です。一方、投資信託(REIT)は、専門家に運用を任せるため手間はかかりません。しかし、利益率は低く、景気変動の影響も受けやすいとされています。
このように、同じ不動産を扱う投資でも、特徴がまったく違います。自ら運用する不動産投資か、資金を預けて運用してもらうことにより利益を得る投資信託を選ぶかでは、割く時間もかかる資金も大違いです。ここからは、6つの観点から不動産と投資信託(REIT)の違いを徹底比較します。自分に合った投資を始めるためにも、まずは両者の違いをしっかり理解しましょう。
違い①:不動産投資は利益率が10%近くになる
最初に、利益率の観点から見た違いについて解説します。
不動産投資では、利益率を判断する基準は「利回り」です。中古の区分マンションの場合、利回りは3%後半から10%。融資によるレバレッジ効果があるので、自己資金以上の利回りを得られる可能性があります。
一方、REITの分配金利回りは、一般的に3〜5%程度。不動産投資に比べると利益率は低めですが、分散投資なので高い安定性があります。
参考不動産投資のポートフォリオとは?その重要性やノウハウを解説!
違い②:REITは数万円程度から投資ができる
次に、初期投資額の違いを見てみましょう。不動産投資の初期投資額は、数百万円から数千万円。かなりの高額ですが、すべて自己資金で支払う必要はありません。不動産投資ローンを借りることで、自己資金を抑えられます。
一方、REITの初期投資額は数万円から。1口単位で購入でき、少額から始められる点が魅力です。
違い③:REITの方が運用の手間がかからない
投資を行う際は、運用の手間も検討する必要があります。手間がかかりすぎると、投資に時間がかかりすぎてしまい、日常生活を圧迫してしまう恐れがあるからです。
物件管理や入居者対応などがある不動産投資は、運用に若干手間がかかります。また、修繕や空室対策など、継続的な管理が必要です。
REITは専門家に資金を預けて運用してもらうため、投資家自身の手間はほとんどかかりません。株式と同様に売買でき、運用も比較的簡単です。会社勤めをしながら投資を行いたい場合は、運用の手間がかからないREITに軍配が上がる結果となります。
違い④:不動産投資は景気の影響を受けにくい
では、景気の影響はどうでしょうか。長期にわたって不動産を保有する不動産投資は、短期的な景気変動の影響をあまり受けません。
一方REITは、経済情勢や金利の変動に対する反応が敏感です。株式市場で取引されることもあり、景気や市場動向の影響を受けやすい傾向が見られます。
違い⑤:REITは分散投資なのでリスクが低い
投資をする際は、リスクの高さも重要です。リスクが低いほど、より安全な投資となります。
不動産投資は、投資対象が1物件だけの場合は、空室や賃料下落などのリスクが集中してしまいます。1室だけ、もしくは、1棟だけを持っている場合は、物件の選定や管理次第で大きな損失を被るかもしれません。
REITは複数の物件に分散投資することから、物件が持つリスクは軽減されます。しかし、市場全体の動向に影響を受けやすいことから、価格変動リスクがやや高めです。
参考不動産投資のリスクはこれで抑えろ!7つのリスクとその対策を徹底解説!
違い⑥:税制は両者とも一長一短
最後に、税制の違いを比較しましょう。
不動産投資は、相続税対策に極めて有効です。減価償却費の計上や損益通算による節税効果も期待できます。反面、固定資産税や都市計画税などの支払いが毎年必要です。
REITの不動産取得税や固定資産税は、運用している法人が負担。個人投資家が直接負担する必要はありません。配当金から20.315%の所得税が控除されますが、NISAを利用することで非課税となる場合もあります。
不動産投資のメリット・デメリット
不動産投資と投資信託(REIT)の違いを比較したところで、不動産投資における、メリットとデメリットを解説します。それぞれのメリットとデメリットを知ることで、どちらが自分に向いている投資なのかが見えてくるでしょう。
不動産投資のメリット
不動産投資のメリットは、次の6点。
- 高い利回りにより確実な利益が期待できる
- 不動産投資ローンにより少ない資産で始めることができる
- レバレッジ効果を利用することができる
- 生命保険の代わりになる
- ローン完済後は現物不動産を売却して新たな投資に踏み出すことができる
- リスクコントロールをしやすい
不動産投資の期待利回りは、中古の区分マンションで3%後半から10%。REITよりも高い利回りが、不動産投資の大きなメリットです。また、ローンを組むことで、少ない資産でもレバレッジ効果を利かせて投資できることも外せません。
団体信用生命保険(団信)により生命保険の代わりになることや、物件の売却益を使って新たな投資ができることも、不動産投資の魅力です。リスクコントロールができる不動産投資は投資家の腕によって結果が左右されます。投資家としての知見を広げることで成功に近づきやすくなるため、やりがいがある投資です。
不動産投資のデメリット
メリットが多い不動産投資ですが、もちろんデメリットも存在します。主なデメリットは下記の5点です。
- 空室・災害・賃貸下落などさまざまなリスクがある
- 税金や管理費、修繕費といった維持費が毎年かかる
- 初期費用が高額である
- 低資本では分散投資しにくい
- 流動性が低く換金しにくい
不動産投資には、台風や火事、地震といった予測できないトラブルにより、物件が損傷したり入居者が退去しなければならないリスクが存在します。さらに、税金や管理費、修繕費などの維持費が毎年必要です。加えて初期費用が高額であることから、少ない資本では複数の物件への分散投資ができません。「不動産」=「動かない資産」であることから、REITと比べると換金しづらいこともデメリットです。
不動産投資信託(REIT)のメリット・デメリット
不動産投資信託(REIT)とは、投資家から集めた資金で不動産を購入し、購入した物件から出た利益を投資家に分配する仕組みの商品です。2024年1月からNISAの制度が変わったことで、NISAでも購入できるようになりました。多くは通常の株式と同じく、証券会社を通して金融商品取引所で売買できます。
そもそも投資信託とは、投資家から集めた資金を運用の専門家が「株式・債権」などに投資し、運用していく商品です。REITの場合は、不動産に投資されます。運用利益は投資額に応じて分配。最初の投資額は低くて済む反面、運用によって損失が出る場合もありますし、元本の保証もありません。
参考【完全理解】REITのメリットとリスクを分かりやすく解説!
不動産投資信託(REIT)のメリットは、なんといっても少ない資金で不動産に投資できることです。資金を預けて専門家に運用してもらうことから、自分での運用は不要。忙しいサラリーマンでも、手軽に不動産投資を始められます。複数の物件を運用でき、かつ利益の90%以上が投資家に分配されるため、高い利回りが期待できる投資です。
一方、デメリットは、分配金や取引価格が低下する恐れがあること。利益の90%が分配されるとはいえ、分配率は投資会社が決めています。いくらREITの運用成績が良くても、分配率が下がってしまった場合は自分の手元に入る金額は減少します。また、投資会社に運用を委託していることから、投資会社が倒産するリスクも否定できません。株式と同じく上場していることから、上場廃止になり取引ができなくなる可能性もあります。REITの場合、運用を任せている立場にあるため、自分ではどうにもできないリスクがあることを覚えておきましょう。
不動産投資と投資信託(REIT)どっちを選ぶべき?
ここまで、不動産投資と投資信託(REIT)の違い、メリットとデメリットを見てきました。結局のところ、不動産投資と投資信託(REIT)どちらを選ぶべきなのでしょうか。
不動産投資をおすすめするのは「資産拡大を進めたい人」、投資信託(REIT)は「手堅く運用したい人」におすすめです。それぞれ詳しく見ていきましょう。
将来的に投資を広げたいならば「不動産投資」がおすすめ
将来的に投資を広げていきたいと考えている場合は、「不動産投資」がおすすめです。ある程度の資金が必要である代わりに、大きな利益を生む現物資産を作れるからです。
具体的には、以下のような方は、不動産投資に向いています。
- レバレッジ効果を活用し、より大きな資産を得たい方
- 自分の手を動かして投資を行いたい方
- 不動産投資ををきっかけに投資を広げていきたい方
ローンや管理会社を活用することで、自己資金が少なかったり忙しかったりしても不動産投資を始められます。将来的に投資を広げていきたいと考えている方には、不動産投資がおすすめです。
少額でも堅実に投資したい方は「不動産投資信託(REIT)」向き
投資額を増やすよりも、少額でも堅実に利益を積み重ねていきたい方は「不動産投資信託(REIT)」が向いています。
REITに向いているのは、以下のような方です。
- リスクや手間をかけずに安定収入を得たい方
- 少額から投資を始めたい方
- 自分の資産をすべて投資資金として使いたい方
- 早めに現金化したい方
REITは少ない資金で手間をかけず運用が可能。投資初心者や忙しい方でも、比較的気軽に始められる投資です。専門家によってリスク対策がされたうえで運用されているので、急激な価格の乱高下が少なく、長い目で心穏やかに運用を見守っていられます。さらに、REITは市場での売買も可能。現物の不動産投資よりも早く現金化できることから、いざという時の貯金代わりとしてもおすすめです。
選ぶポイントは「自分がどうなりたくて投資をするか」
不動産投資と不動産投資信託はそれぞれに魅力があります。選ぶポイントは「自分がどうなりたくて投資をするか」です。
不動産投資の魅力は、融資によりレバレッジを利かせて、大きな利益を得られる点にあります。リスクもありますが、レバレッジにより得られる利益は比較的高額でかつ安定。従って、高額の利益を得たい方に向いています。
一方、ローンを組まずに購入できる不動産投資信託(REIT)は、自己資金のみで行える投資です。不動産投資よりも下落幅が少ないため、少しずつですが堅実に利益を増やせます。少額でもより安全にコツコツと利益を出したい方は、REITが向いているでしょう。
不動産投資とREITで迷っている場合は、いま一度、自身が「なぜ投資に興味を持ったか」「投資でどうなりたいか」「どれくらいの期間でどれだけ利益を得たいか」を見直しましょう。見直した上で、改めて資産の運用方法を考えることがおすすめです。
不動産投資は将来性がある
ここで、オリンピック後から現在までの不動産投資の状況と、状況から予測される将来性について見ていきましょう。不動産投資の投資信託であるREITについても当てはまる内容です。現物の不動産投資・REIT、どちらを希望する場合でもご一読いただければ幸いです。
オリンピック後も不動産の価値は下がらなかった
2020年、東京オリンピックの開催が決定。「オリンピック後に不動産価格が下がるのでは?」という見解=「2020年問題」が登場します。2020年問題を契機に、不動産投資を始めるタイミングについてさまざまな意見が飛び交いました。
2020年以降に不動産価格が下落するとされたのは、以下の理由です。
- オリンピック後に人口は減少するだろう
- オリンピック後に景気も減退するはず
- オリンピック後は海外の投資家が注目しなくなる
加えて、新型コロナウイルス感染症の爆発的な流行によりオリンピックの開催は延期。緊急事態宣言による経済活動の低下も相まって日本の経済全体が落ち込み、不動産の価格も全体的に下落しました。
とはいえ、過去の大きな出来事が不動産業界にマイナスな影響を与えたとは読み取れません。2008年のリーマンショックでも、不動産の価値は一時的に下落しましたが、すぐに回復しています。2020年時点でも投資用物件の需要が見込まれていたことから、不動産投資の収益性がそこまで下落するとは考えにくい状況でした。
では、2020年以降、不動産価格が実際にどう推移したのか見てみましょう。2020年の基準地価は、新型コロナウイルスの影響により住宅地、宅地見込地、商業地で前年度比下落。2021年も下落が続いたものの、東京、大阪、名古屋の三大都市圏では、全用途平均が上昇しました。都市中心部の希少性が高い住宅地や交通利便性等に優れた住宅地においては、上昇が継続。2022年になると、地価上昇が見られる地域の範囲が拡大に転じたのです。
参考東京オリンピック後の不動産価格!区分マンションが安心な理由
今後も不動産の価値は上昇することが見込まれる
2024年度の公示地価でも、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも3年連続で上昇。今後さらに上昇を続けていくことが期待されます。
東京都内では、地価の上昇に合わせて、1室の価格が1億円を超える新築マンションも現れました。利便性がいい都心の住宅地においては、新築マンションだけでなく、中古マンションも含めたマンションの価格上昇が見込まれています。
また現在では、インバウンド需要により観光地の不動産価値も上昇中です。2024年の地価調査では、以下の観光地に大きな上昇が見られました。
- 静岡県:熱海市
- 大阪府:大阪駅北口方面
- 山梨県:富士河口湖町
リモートワークも普及しどこでも仕事ができる環境が整いつつあることから、将来的には、都市圏以外でも不動産の価値が上昇する可能性も考えられます。
2025年問題により新たな需要が生まれる可能性もある
2025年には、1947〜49年の「第1次ベビーブーム」に生まれた「団塊の世代」が後期高齢者となります。団塊の世代はおよそ800万人、総人口の約6%です。
令和5年版高齢社会白書(全体版)によると、65歳以上の方が「持家(一戸建て)」に居住する割合は75.6%、「持家(分譲マンション等の集合住宅)」が11.8%となっています。65歳以上の8割以上が「持家」に住んでいる計算です。加えて、団塊の世代が後期高齢者になることと、2024年から始まった相続登記の義務化により売却数や相続数が増加。結果、不動産の価値が下落する「2025年問題」が懸念されています。
しかし、後期高齢者の急増は、マイナス面ばかりではありません。バリアフリーのマンションや身体に配慮した低階層のマンションの需要が高まることも期待されます。
不動産の価格は上昇し続けていることから、反動で下落する可能性も否定できません。価格の暴落を恐れた金融機関が融資を渋ったり、審査基準が高くなったりするなどして、ローンで物件を買えなくなる可能性があります。そうなると、現物を購入する不動産投資の選択肢は現金購入のみ。選択肢が狭まってしまうことで不動産投資ができず、結果、大きな利益を得られなくなる可能性があります。
今ある制度が、将来も続くとは限りません。不動産投資ローンも同様です。投資の判断をする際は「不動産を手にした上でのリスク」と「不動産を手にしなかったリスク」を比べ、どちらがより自分にとってお得かを見極めることが必須となります。
参考不動産投資は融資を受けたほうがいい?よくある疑問にお答えします
まとめ
不動産投資と投資信託(REIT)には、それぞれにメリットとデメリットがあります。投資において重要なのは「利益を出す」ことと「自分のニーズにあった投資方法を選択する」こと。今回得た知識により「自分でもできるかも」と投資へのハードルが低くなったのではないでしょうか。
理想的かつ効率的な投資方法は、不動産投資の知識を学びつつ、まずREITで利益を得る。次に、REITでの利益を元手にして現物の不動産投資に踏み込むことです。とはいえ、個々の予算や生活設計により、ベストな選択は変わります。自分はどの投資を行うべきか、納得いくまで調べることが大切です。
調べた上で方向性が固まったら、まずは今の自分に合った投資から始めていきましょう。不動産投資とREITで迷った際は、ぜひ当社の無料相談をご活用ください。経験豊富なコンサルタントが、投資家目線でアドバイスいたします。

この記事の執筆: 堀乃けいか
プロフィール:法律・ビジネスジャンルを得意とする元教員ライター。現役作家noteの構成・原案の担当や、長野県木曽おんたけ観光局認定「#キソリポーター」として現地の魅力を発信するなど、その活躍は多岐に亘る。大学および大学院で法律や経営学を専攻した経験(経済学部経営法学科出身)から、根拠に基づいた正確性の高いライティングと、ユーザーのニーズに的確に応えるきめ細やかさを強みとしている。保有資格は日商簿記検定2級、日商ワープロ検定(日本語文書処理技能検定)1級、FP2級など。
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