【2025年最新】家賃収入で確定申告は必要?計算方法や節税方法をわかりやすく解説!
- 更新:
- 2025/01/12
家賃収入がある方にとって、最も悩ましいイベントが確定申告でしょう。特に初めて家賃収入を得た年は、色々と調べたものの難しく、「自分は確定申告が必要なの?」「結局、家賃収入の確定申告はどうやればいいのだろう?」と不安になる方も多いのではないでしょうか。
家賃収入で確定申告が必要なのは、本業の給料以外で得た所得の合計が年間20万円を超えた場合です。20万円以下であれば確定申告は不要ですが、行った方が良い場合もあります。
本記事では、家賃収入で確定申告が必要な条件や所得税の計算方法を、計算例を交えて解説。合わせて、確定申告をしない場合のペナルティや確定申告での節税方法についても解説します。家賃収入で確定申告が必要か知りたい方や計算方法を知りたい方は、最後までご一読ください。
なお、本記事は2025(令和7)年1月時点の情報をもとに執筆しています。最新情報は国税庁のホームページなどでご確認ください。
- 目次
- 家賃収入で確定申告が必要なのは「給与以外で20万円以上」の所得があるとき
- 家賃収入を確定申告していないと追徴課税の対象となる
- 家賃収入にかかる所得税の計算方法
- 家賃収入での節税方法
- 家賃収入での確定申告方法は2種類
- 家賃収入を確定申告する手順
- まとめ
家賃収入で確定申告が必要なのは「給与以外で20万円以上」の所得があるとき
確定申告とは、毎年1月1日から12月31日までの1年間で発生した所得にかかる税金の額を計算し、税額を確定させるための手続きです。家賃収入で確定申告が必要になるのは、給与以外の所得合計が年間20万円を超えた場合です。「年間20万円」には、不動産所得のみではなく、事業所得や雑所得も含まれます。給与所得以外の所得なので、給与所得は含まれません。
不動産所得の計算方法
家賃収入は「不動産所得」に該当し、「不動産収入」から「必要経費」を差し引いて算出します。不動産収入は、1年間で得た家賃収入の合計を指します。「必要経費」とは修繕費や管理費といった不動産事業に必要とみなされる費用です。
- 不動産所得 = 不動産収入 - 必要経費
例えば、ある年にワンルームマンションを月額10万円で貸し、年間120万円の家賃収入を得て、必要経費として100万円を支出したとしましょう。この場合、年間の不動産所得は120万円から100万円を引いた20万円となります。年間の不動産所得が20万円を超えていないので、確定申告は不要です。逆に20万円を1円でも超えた場合は、申告が必要になります。
不動産所得は、土地や建物などの不動産の貸付けで得られる所得だけではありません。地上権のように、不動産に関係する権利を設定したり貸し付けたりした所得も対象です。
出典No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)|国税庁
家賃収入が赤字でも確定申告すべきケースがある
不動産所得が赤字になった場合は、基本的に確定申告の義務はありません。しかし、確定申告をすると給与など他の所得と損益通算でき、所得税の節税が可能となります。
損益通算とは、1年間の不動産所得が赤字の場合に、給与など他の所得から赤字分を控除することで総所得額を減らす仕組みです。
例えば、給与所得が400万円で不動産所得が赤字で100万円であれば、損益通算により、給与所得から不動産所得の赤字分を差し引いた300万円のみに所得税が課税されます。
ただし、不動産所得で赤字を出した場合でも、趣味や娯楽、保養といった生活に必要不可欠ではない目的で所有する別荘の貸し付けは損益通算ができません。不動産を取得するために借りたお金に対する利息についても、同様です。
出典No.1391 不動産所得が赤字のときの他の所得との通算|国税庁
家賃収入を確定申告していないと追徴課税の対象となる
確定申告をすべきであるにもかかわらず申告を忘れた場合、追徴課税の対象となります。申告内容に漏れがあった場合も同様です。追徴課税は、以下の4種類。
- 過少申告加算税
- 無申告加算税
- 延滞税
- 重加算税
申告漏れの悪質さや期限後の長さに応じて、加算される税額が変わる仕組みです。それぞれどのような場合に課されるのか、詳しく見ていきましょう。
過少申告加算税:本来の申告額より少なかったことを後から申告した場合
過少申告加算税は、本来の申告額より少なかったことを後から申告した場合に課されます。以下のケースが対象です。
- 税務調査で申告内容に誤りが発覚した
- 確定申告後にミスに気づき、自主的に修正申告をした
- 税務署から更正処分を受けた
過少申告加算税は、納税額の10%。ただし、期限内の申告税額もしくは50万円以上を超えた場合、超過部分の税率は15%となります。
無申告加算税:そもそも確定申告をしていなかった場合
無申告加算税は、確定申告をせず、期限後に申告を行った場合に加算されます。加算額は、申告時期により変動。自主的に申告した方が、より低い税率になります。
自主的に期限後申告をした場合 | 5% |
---|---|
税務調査の通知を受けて期限後申告をした場合 | 10% (納付すべき税金が50万円を超えている場合、 超えている部分については15%) |
税務調査後に期限後申告をした場合 | 15% (納付すべき税金が50万円を超えている場合、 超えている部分については20%) |
確定申告のし忘れは、無申告加算税の対象です。必ず期限内に確定申告を行いましょう。
延滞税:期限より遅れて確定申告した場合
延滞税は、期限より遅れて確定申告した場合に課せられる税金です。延滞日数によって税率が異なり、確定申告をしていなかった場合の無申告加算税と一緒に加算されます。延滞日数による税率は下表のとおり。
納期限の翌日から2ヵ月を経過する日まで | 年2.4% |
---|---|
納期限の翌日から2か月を経過した日以後 | 年8.7% |
なお、上記は令和6(2024)年12月31日までの割合です。令和7(2025)年以降の割合は、国税庁サイトにてご確認ください。
期日どおり申告したにもかかわらず修正申告が必要になり、最終的な申告が期限を越えた場合も延滞税の対象です。修正申告が遅れれば遅れるほど、延滞税の金額も増加します。
延滞税には特例措置があり、以下の条件に当てはまれば一定の期間は計算期間に含まれません。
- 期限内に申告書が提出され、法定申告期限後1年を経過してから修正申告または更正があったとき
- 期限後に申告書が提出され、申告書の提出後1年を経過してから修正申告または更正があったとき
- 確定申告書を提出した後に減額更正がされ、さらに修正申告または更正があったとき
重加算税:仮装隠蔽があった場合
重加算税は、利益を隠すためにわざと虚偽の記載を行った、わざと確定申告を行わなかった(仮装隠蔽)など、悪質な所得隠しを行ったケースに適用されます。重加算税は、本来納税すべき額の35%です。無申告による仮装隠蔽行為が発覚した場合は、無申告加算税に代えて45%が追加で課税されます。
家賃収入にかかる所得税の計算方法
家賃収入にかかる所得税は、以下の流れで計算します。
- 不動産所得や事業所得など、各種所得を算出する
- 所得を合算し、総所得額(課税標準)を算出する
- 課税標準から各種所得控除を差し引き、課税所得を算出する
- 課税所得に所得税率をかけて、所得税額を算出する
- 所得税額から税額控除(住宅ローンや配当控除)を差し引き、申告すべき所得税額(申告所得税額)を算出する
所得税率が所得税額によりどう変わるかは、次の章にて詳しく解説します。
本章では、所得税を計算する流れを簡単に紹介しました。所得税や住民税、固定資産税など各種税金の計算方法を詳しく知りたい方は、以下の記事も合わせてお読みください。
参考家賃収入にかかる税金はいくら?計算方法や税金対策について解説
家賃収入での節税方法
家賃収入は、全額手元に入るわけではありません。所得税を納めることで減少してしまいます。日本の所得税は「累進課税」を採用しているため、所得を減らす節税対策が必須です。ここからは「累進課税」の概要を紹介した後、具体的な節税方法を解説します。
所得税は所得が増えるほど税金が増える「累進課税」
日本の所得税は、所得が増えるほど税金が増える「累進課税」制度により計算されます。下表のように、所得が増えるに連れて所得税率も増えていきます。
所得が増えるほど税金が増える=所得を減らすと税金が減るため、所得を減らすことが節税への近道です。
所得税を下げる=節税する方法として、次の2つが考えられます。
- 経費にできるものはなるべく経費として計上する
- 青色申告を行い最大65万円の控除を受ける
ひとつずつ見ていきましょう。
経費にできるものはなるべく経費として計上する
不動産所得は、「不動産投資の収入-必要経費」の数式で算出されます。経費計上できる費用が多くなると所得を減らせるため、所得税の節税が可能となるのです。
不動産投資の費用は、必要経費にできるものとできないものがあります。以下の表を参考にして、計上できる経費を漏れなく計上し、所得をなるべく減らすようにしましょう。
経費計上できる費用 | 経費計上できない費用 |
---|---|
・減価償却費 ・仲介手数料 ・損害保険料 ・交通費 ・通信費 ・新聞図書費 ・会議費・接待交際費 ・消耗品費 ・固定資産税 ・都市計画税 ・登録免許税 ・不動産取得税(購入時のみ) ・譲渡所得税(売却時のみ) ・印紙税 |
・管理費、修繕積立金 ・修繕費 ・賃貸管理代行手数料 ・不動産投資ローンの利息 ・税理士費用 ・所得税 ・住民税 ・相続税 |
参考ローンの利息分だけが経費?不動産投資の必要経費を正しく理解して賢く節税しよう
青色申告を行い最大65万円の控除を受ける
確定申告を青色申告で行うことで、最大65万円の控除を受けられます。青色申告で65万円の控除を受ける条件は、下記のとおり。
- 開業届を提出し、かつ青色申告承認申請書を提出する
- 複式簿記で記帳を行う
- e-Taxにより確定申告を行う
複式簿記とは、収入と支出だけでなく、資産と負債についても増減を記載する記帳方法です。慣れるまでが大変ですが、大変さを上回る恩恵を受けられます。青色申告のメリットについては、後ほど改めて解説します。
家賃収入での確定申告方法は2種類
確定申告は、青色申告と白色申告の2種類です。青色申告は届出が必要です。届出がない場合は、自動的に白色申告となります。ここでは、両者の違いと、家賃収入で確定申告をする際はどちらがいいかを解説します。
青色申告と白色申告の違い
青色申告には、申請書の提出があったり複式簿記で記帳したりと、申告が若干面倒です。面倒な反面、白色申告にはない控除が複数あります。主な違いは、下表のとおり。
青色申告 | 白色申告 | |
---|---|---|
事前申告 | 必要(開業届と青色申告承認申請書) | 不要 |
記帳形式 | 複式簿記 | 単式簿記 |
帳簿の作成方法 | 決算書類(貸借対照表、損益計算書、売上台帳など) | 収支報告書 |
控除額 | 最大65万円 (記帳形式や申告方法により、 10万円 / 55万円 / 65万円の3パターンがある) |
10万円 |
特別な税制優遇 | 損益通算 損失の繰越 家族に支払った専従者給与の費用計上可 |
損益通算 |
家賃収入を確定申告する際は節税しやすい青色申告がおすすめ
家賃収入を確定申告する際は、青色申告を強くおすすめします。青色申告の方が控除額が大きく節税効果を多く得られるからです。
白色申告の10万円と比べると、青色申告は控除額がかなり大きく設定されています。青色申告をe-Taxで行うだけで、最大65万円の控除です。e-Taxで行わず紙で送付する場合でも、青色申告であれば控除額は55万円となります。一方、単式簿記で青色申告を行った場合は、白色申告と同じ10万円の控除です。青色申告の恩恵を最大限に活かすには、少々面倒でも複式簿記で記帳することをおすすめします。
青色申告では、過去2年分の赤字を繰り越せます。例えば1年目に100万円の赤字が出て、2年目は150万円の黒字だった場合、2年目の黒字が圧縮されて黒字が50万円となる節税効果を生むのです。
控除額や繰越額が大きい青色申告を活用することで、不動産所得を減らせます。従って、家賃収入を確定申告する際は、所得を減らしやすい青色申告がおすすめです。
家賃収入を確定申告する手順
確定申告は、以下の手順で行います。
- 青色申告を行う場合は「所得税の青色申告承認申請書」を提出
- 提出書類の準備
- 決算書の作成
- 確定申告書の作成
- 税務署へ提出
青色申告承認申請書は、原則として事業開始後2ヶ月以内に税務署に提出します。遅くなった場合でも、確定申告を行う年の3月15日までに提出すれば問題ありません。
確定申告の提出書類は、各税務署に準備されています。e-Taxで申請する場合は紙に書く必要はなく、国税庁のホームページ上で作成可能です。会計ツールを使う場合、ツールから作成や申請もできます。申請書の提出は、毎年2月16日から3月15日までです。1日でも期限を過ぎると、延滞税が加算されるので、必ず期限内に税務署に届くように申告を行いましょう。確定申告の詳しいやり方は、以下の記事をご覧ください。
参考ここで差がつく!不動産投資における確定申告の手順とポイント
まとめ
「確定申告」「税金」と聞くと、拒絶反応を覚えたりわずらわしく思ったりする方もいらっしゃるでしょう。不動産投資を行う際、確定申告は避けては通れない道です。一度やり方を覚えてしまえば、それほど難しくありません。どうしても苦手な場合は税理士に依頼できますので、経験と思って一度取り組んでみてください。
節税をする際にもっとも大切なのは、経費の計上です。何が経費として計上できるのか、まずは当社のサイトや無料書籍で学んでいただければ幸いです。
学習した上でわからないことが出てきたときは、無料相談でいつでも話をお伺いします。特に確定申告が要・不要の境目にいる方には、個別の収入や支出状況を詳しく聞いて、状況に即したアドバイスを行います。ぜひ一度お越しいただき、確定申告に対する不安を解消してください。
この記事の執筆: 堀乃けいか
プロフィール:法律・ビジネスジャンルを得意とする元教員ライター。現役作家noteの構成・原案の担当や、長野県木曽おんたけ観光局認定「#キソリポーター」として現地の魅力を発信するなど、その活躍は多岐に亘る。大学および大学院で法律や経営学を専攻した経験(経済学部経営法学科出身)から、根拠に基づいた正確性の高いライティングと、ユーザーのニーズに的確に応えるきめ細やかさを強みとしている。保有資格は日商簿記検定2級、日商ワープロ検定(日本語文書処理技能検定)1級、FP2級など。
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