【2023】修繕積立金とは?その全てを分かりやすく解説
- 更新:
- 2023/07/12
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マンションを購入した際、毎月かかる固定費の一つとして「修繕積立金」があるのをご存知でしょうか。不動産投資する上で、利益を出すことを考えると毎月かかる「固定費」はできるだけ下げたいものです。しかし、マンションの修繕費は購入する時点ですでに決まっています。不動産投資用でマンションを購入した場合、修繕積立金も含め利益計算を行いましょう。この記事ではマンションの修繕積立金に関して解説します。
マンション修繕積立金とは
マンションの修繕積立金とは、管理組合を通して積み立てられる、マンションの維持費や修繕用の費用です。
マンションの共用部分に関しては、マンションの購入者(区分所有者)が管理組合を構成し、建物の維持管理と修繕を行います。
しかし共用部分の修繕工事は、十年単位の長い周期で行われることが多く、修繕工事の実施時には高額な金額がかかります。修繕工事を実施するごとに一括請求となってしまうと、マンションの購入者にとって大きな負担です。
その時に、金額が用意できないなどがあると、修繕工事の実施も危ぶまれます。こうした事態を避けるためにも、将来行われる修繕工事費用を長期間に計画的に積み立てるのが「修繕積立金」です。
修繕積立金は共用部分の修繕に関して、管理組合が行う修繕工事費にあてるもので、専用部に関しては、各物件の所有者が負担することになります。マンションを購入した際は「共用部」と「専用部」の修繕積立金も視野に入れながら、自身のキャッシュフローの計算を行いましょう。
積立金に関しては、トラブルを防止するために国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」に修繕時期等の詳細が書いてあるため、まずはこちらに目を通すことをおすすめします。
修繕の内容とは
修繕積立金は経年劣化などによるマンションの修繕費として積み立てられます。詳しい内容について見ていきましょう。
年数ごとの修繕
一定年数毎に定められている、定期的な修繕費用に使われます。
定期的な修繕
修繕計画に沿って、定期的に行われる修繕費用に使われます。
これは壁や手すりなどのペンキ塗り替え費用、排水管の取り替え工事費、外壁・屋根・屋上の改修工事、受水槽の取り替え工事費などに使用されます。
特別な事情による修繕
予期せぬ地震や台風などの自然災害や、予想出来ない事故等によって、修繕が必要な場合も修繕積立金が使用されます。
敷地・共用部分の変更による工事費
敷地の増設によるポストの取替えや、駐車場・駐輪場を増設する際にも、修繕積立金が使われます。
調査費用
建物の建て替えによる調査費用も、修繕積立金が使われます。
管理費との違いとは
毎月かかる固定費として、修繕積立金と比べられる管理費ですが、その中身を見ていきましょう。
そもそも管理費とはマンションの居住者に毎月かかる金額で、マンションを維持するために使用されるものです。
例えば、エントランスの清掃費用や、管理人への支払い、エレベーターや防犯カメラの点検など、入居者がより住みやすい環境にするために使われます。
管理費は日常のマンション管理に使われ、修繕積立金は経年劣化により修理が必要になる部分の工事費として積み立てられます。
マンション修繕積立金の相場
修繕積立金の金額は、マンションごと定められるためばらつきがあります。様々な要因を加味して算出されていますが、多くは長期修繕計画によって金額を定めています。
また「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」にもおおよその目安が書かれています。
「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」によると、修繕積立金の相場額の算出方法は下記の計算式となっています。
この計算式を使用し、購入を検討しているマンションの修繕積立金を算出するのは良い手です。
- (算出式) Y = AX(+ B)
Y:購入予定のマンションの修繕積立金の額の目安
A:専有床面積当たりの修繕積立金の額
X:購入予定のマンションの専有床面積(㎡)
(B:機械式駐車場がある場合の加算額)
階数/建築延床面積 | 平均値 | 事例の3分の2が包含される幅 | |
---|---|---|---|
15 階未満 | 5,000 ㎡未満 | 218円/㎡・月 | 165円 ~ 250円/㎡・月 |
5,000~10,000 ㎡ | 202円/㎡・月 | 140円 ~ 265円/㎡・月 | |
10,000 ㎡以上 | 178円/㎡・月 | 135円 ~ 220円/㎡・月 | |
20 階以上 | 206円/㎡・月 | 170円 ~ 245円/㎡・月 |
物件の購入を検討している場合、上記の計算式を使用してまずは修繕積立金の目安を見ることをおすすめします。
マンション修繕積立金がなぜ途中から上がるのか
マンションの修繕積立金が途中から上がってしまったと嘆く方も多いでしょう。基本的に、修繕積立金は修繕積立計画に基づいて算出されています。そのため、元々決まっていた金額を少しずつ上乗せしている場合があります。
そのため「急に値上がりした!」と思うかもしれませんが、これは最初から決まっている金額を分割にしている場合もあります。
また予期せぬ自体が起こり、修繕をさらに大規模に行わなくてはならない場合は、修繕積立金が上がっていくこともあります。
修繕積立金が上がらない、という場合は、比較的最初から高い金額で一定にしている場合があります。
また思いの外、劣化が少なかったといった場合は、計画を伸ばすこともあります。
積立修繕費の増加リスクの見極め方
「修繕費なので仕方ない」と思いながらも、毎月かかる修繕積立金が上がっていくのは、厳しいものがありますよね。
しかし、修繕積立金の値上がりに関しては、マンションの購入時に予想することも可能です。
一般的に言われているのが、新築時のマンションは始めは修繕積立金が安く(1戸あたり1,000円前後というケースも)、徐々に積立金を上げる場合もあります。
こうした修繕積立金の変動に左右されないためにも、物件の購入前に「重要事項調査報告書」を取得し、そこに記載されている修繕積立金の総額を確認しましょう。
ここにもしも管理組合が借り入れをしていると記載がある場合は、将来的に見て積立金に変動の可能性があります。
参考マンション管理組合の理事長とは?不動産投資家でもなれる!仕事内容やメリット・注意点を押さえて投資活動を有利に進めよう
重要事項調査報告書とは
先述した重要事項調査報告書ですが、これは管理会社が毎年発行している書類で、マンションの管理費や修繕積立金における支払い・積み立ての状況、共用部の各種工事や工事費用について詳細が書かれています。
この資料に目を通すことで、
- 修繕積立金はいくら貯まっているか
- これまでに大規模修繕工事は行われているか
というのが分かります。
先ほど申し上げた通り、修繕積立金が足りずに借り入れをしているマンションもごく稀にあります。
逆に言えば、こうした資金繰りがうまく行っていない物件は管理能力が乏しく、資産価値の安定を見込むのも難しいと言えるでしょう。購入検討している場合は、候補から外すことをおすすめします。
また、マンション全体の管理費・修繕積立金の滞納額も確認しましょう。
もしもマンション全体で数百万円の滞納があると、悪質な滞納者がいたり、管理会社の運営能力が乏しかったりします。
不動産投資で利益を出すためにも、マンションの運営能力は重要なポイントです。このような物件を購入することはおすすめできません。
購入物件の選定、という意味でも「重要事項調査報告書」に目を通した方がいいといえます。
(中古)マンション購入時に気をつけるべきこと
中古マンションを購入する際は、まず「全体の維持管理状況」を把握しマンションの管理状態を確認するところからはじめましょう。
マンションの維持管理状態は、入居者が入りやすいかどうか、建物自体の寿命がどのくらいなのか、といったことが分かります。入居者が付かないということは、不動産投資する上で利益が出ないということです。入居者が付きづらい物件という時点で購入検討から外す必要があります。
維持管理状況も、先ほど申し上げた「重要事項調査報告書」に書かれています。
この重要事項調査報告書の中の
- 直近の大規模修繕工事はいつ行われたか
- 修繕積立金の値上げ予定はないか
という項目もしっかりと確認しましょう。工事の履歴などで、おおよその管理状態が理解できます。また修繕積立金の値上げ予定がある場合は、利益に影響するので購入前に把握した方がいいでしょう。
中古マンションを購入する場合は、必ず重要事項調査報告書に目を通してください。
参考【2023年最新版】何%が目安?不動産投資における利回りを徹底解説!
(新築)マンション購入時に気をつけるべきこと
中古マンションは重要事項調査報告書がありますが、新築マンションの場合はどうなのでしょうか?新築マンションは、区分所有者は管理組合に入ることになり、この管理組合の総会によって修繕積立金の値上げ案などが議題に上げられることになります。総会によって金額が定められることもあるため、議事録などは目を通しすことをおすすめします。
しかし多くの新築マンションは、年数が経つと修繕積立金は上がると考えた方がいいでしょう。経年劣化による修繕工事が増えるため、年数が経つことで値上がりするマンションは多いと考えます。
参考新築分譲マンションの価格はどう決まる?中古より割高な理由を解説!狙い目の物件も紹介
管理費・修繕積立金が高すぎる物件には注意
よく相談されるのですが「高利回り」と書いてある物件は、その分「管理費」「修繕積立金」を高額に設定している場合があります。
物件価格は、その分下げているため、一見すると安くて高利回りのように見えるのですが、実際にはそうではありません。
修繕積立金等が高額になると、売却価格を下げなくてはいけないため、こういった物件の購入はおすすめできません。
とはいえ、あまりにも修繕積立金が低い物件も注意しましょう。積立金が低い場合は、のちのち高額請求されるといった例もありますし、そうすると毎月の支払いが一気に上がり売却もし辛くなります。
特に新築マンションは、始めに管理費・修繕積立金の設定を低くし過ぎてしまい、大規模修繕工事が出来ないというリスクもあります。
こういった事例も踏まえ、物件購入する際は、管理費・修繕費がバランスの良い価格設定になっている物件を選びましょう。分からない場合や悩んだ場合は、信頼できる不動産屋に相談することをおすすめします。
修繕積立金はランニングコストの一つ
不動産投資で利益を増やすためには「ランニングコスト」という考え方を理解した方がいいでしょう。ランニングコストとは、物件の維持管理費用です。修繕積立金もそのうちの一つ。それ以外にも、ランニングコストは以下のようなものが考えられます。
- 所得税
- 住民税
- 固定資産税
- 都市計画税
- 個人事業税(一定規模を超えた場合)
- 管理委託手数料
- 管理費
- 広告費
- 減価償却費
- ローン返済元金
- ローン金利
- リフォーム費
- 修繕費
- 修繕積立金
- 損害保険料
- 税理士および弁護士費用
- 交通費
- 電子機器代
- 通信費
並べると非常に多くのものがありますが、これらがかかる事を理解したうえで、利益がでる不動産投資を行いましょう。たとえ低い金額でも、利益率に関わる重要な点です。そのためどんぶり勘定ではなく、一つ一つをきちんと理解することが大切です。不動産投資家として成功するためにも、まずは自分の知識と経験を積み上げていくことを意識しましょう。
参考不動産投資における運用コストに注目!「ランニングコスト」も計算すべし
まとめ
修繕積立金に関して解説しました。修繕積立金は毎月かかる固定費ですが、理解していない人も多いのが実状です。また、途中で値上げをする可能性や、予期せぬ事態の場合は追加でかかることもあります。物件をよりよく維持管理するためにも、修繕積立金は重要なポイントです。運用コストを理解し、より利益を出す不動産投資をしましょう。