そんなのあり!?東京都内のオモシロい物件を解説します!
- 更新:
- 2022/11/21
不動産は、多くの人々の心を魅了する資産であると言われています。例えば、住む人々にとっては、雨風を凌ぐだけでなく、穏やかな日常を送るための大切な住み家でありますし、投資家にとっては、レバレッジを利かせて資産を長期的に運用するための安定した投資対象として活用されています。また、銀行から見れば、近年の超低金利時代において、ある程度の利子をつけて多額の融資を行うことのできる対象でもあります。
ただ、中には不動産そのもののデザインや造り、コンセプトの奥深さなどに強い魅力を感じ、ただ見るだけで幸福感を感じることのできる人々も存在しています。そういった一風変わった不動産を自身の住み家として選択することで、内に秘めた所有欲を満たすことが出来るというのも、なんとなく分かるような気がします。
そこで本記事では、東京都内に存在する、ちょっと変わった「オモシロい」物件について、いくつかピックアップしながら読者の皆さんにご紹介していきたいと思います。
是非皆さんも、「ここに住んでみたい」「こんな不動産があるのか」など、不動産を普段とは別の視点から見て頂く機会として頂ければ幸いです。
日本初の都市居住型集合住宅「ビラ・ビアンカ」
まず最初のオモシロ物件は、1964年のまさに東京オリンピックの最中に、渋谷区神宮前に誕生したビンテージマンションである「ビラ・ビアンカ」です。
時代を先取りする、前衛的なマンション
この物件が建てられた1964年の東京は、戦後20年程の時間が経過し、まさに「成長」の2文字を象徴するような熱気があり、輝かしい未来への期待と憧憬が誰の目からも読み取れるような、そんな時代だったと言います。「欧米諸国に追いつき、追い越せ」そういった空気があった当時、まさに同時期に欧米諸国の建築界を席巻していた「モダニズム」を取り入れるべく、当時最先端の設計・素材・設備を投入して建築されたのが、このビラ・ビアンカでした。
実はこのビラ・シリーズは、ビラ・ビアンカを始めとしてその後いくつもの物件が建設されることとなったのですが、記念すべき第一号の建設にあたり、デベロッパーであった興和商事の会長が、当時著名な建築家であった堀田英二氏に設計を依頼し、時代を先取りするような、前衛的な建築物の建設が開始されました。
この、世界でも最先端の都市居住型集合住宅であるビラ・ビアンカは、国内外から幅広く注目され、当時なんとアメリカのLIFE誌からも取り上げられたほどでした。
注目ポイント
上述のように、時代の最先端をいくビラ・ビアンカですが、特に多くの人々の心を魅了するポイントとして、2つご紹介したいと思います。
まず最初は、物件を見た瞬間に強烈な印象を残す、その特異な外観です。
ビラ・ビアンカが人々に与える最初の印象は、「ガラス張りの四角い箱が宙に浮いている」といったものでしょう。実際、一階ごとに住戸とバルコニーがずれ込むように配列されていて、一つ一つの部屋がまるで浮いているように見えるかと思います。
この、近未来的でありながら日本の市松模様をイメージしたような前衛的なデザインからは、欧米の建築思想を取り込みつつも、日本独自の文化をうまく残そうとした建築家の工夫がひしひしと伝わってきます。
2つ目のポイントは、やはりそのアクセスの良さです。物件自体は明治通りに面しており、原宿駅や表参道駅、外苑前駅や明治神宮前駅等から徒歩圏内で、ため息が出てしまうほどの好立地に存在しています。
なんでも建設された当時は、時代を先取りする超高級マンションとして、芸能人やスポーツ選手が住居として使用していたそうです。それも納得なほど、現代にまでその美しさやモダンさが引き継がれています。
現在、このビラ・ビアンカは建て替えを計画されており、この姿が見られるのは残り僅かかもしれません。もしご関心のある方は、是非現地まで足を運んでいてはいかがでしょうか。
湾岸に位置する、世界最大級のSOHOマンション「the SOHO」
次にご紹介するのは、江東区青梅に位置する世界最大級のSOHOマンションである「the SOHO」です。
引用the SOHO
そもそも、SOHOというのは、「Small Office/ Home Office」の略語であり、近年のデジタル・IT化の普及に伴い、自宅兼オフィスで仕事を行うという考え方のことであり、いわばテレワークの先駆けのような考え方であると言えるでしょう。
読者の方々の中にも、毎日満員電車に揺られて通勤をされている方がいらっしゃると思いますが、そういったストレスを極限までそぎ落とすことを可能にしたのが、このSOHOという生き方なのです。
人々を魅了する圧倒的なデザイン性
それでは、早速 the SOHOの見どころをご紹介いたしましょう。やはり何といっても、この物件の高いデザイン性は、SOHO物件を検討している人々をして「絶対にここに住みたい!」と思わせるほど優れています。いくつか具体例を見ていきましょう。
まずは、なんといってもこのカラフルな共用廊下です。インテリアデザイナーが「ヤンキーの学ランの裏地」をイメージした設計したというこの廊下は、歩いているだけで楽しい気分になりそうなデザインがなされています。
続いてこちらは、物件の1階部分にあるラウンジになります。先ほどのカラフルな廊下のデザインとは打って変わり、まるで高級ホテルのロビーのような知的で高級感あふれるデザインが魅力です。このラウンジでは、入居者が簡単な打ち合わせや雑談するためのスペースとして活用されており、ふと素敵なアイデアが浮かんだ時のアウトプットの場としても最適です。
ここまで、この the SOHOのデザイン性についてご紹介してきましたが、この物件の優れた点はデザインだけでなく、その機能性にこそ存在しています。
住みやすさ×働きやすさを追及した設計
この物件の最大の魅力は、住みやすさと働きやすさを追及した高い機能性にあります。どれだけおしゃれで高いデザイン性を有していても、働きにくい設計であれば、SOHO物件としては今一つと言われてしまいます。
しかしこの the SOHOは、働きやすさの面でも万全の設計がなされています。
引用the SOHO
この物件には、全部で360室ものオフィススペースがあり、その広さも33.86㎡~260㎡と非常にバリュエーション豊かで、「普段は少数精鋭で働いているものの、顧客との打ち合わせでは大規模な会議室を利用したい」といったニーズにも柔軟に対応可能です。
引用the SOHO
また、上の写真のようなミーティングルームも使用可能なため、製品発表会や大規模会議などにも活用することが出来るのは、SOHOの働き方において非常に重宝されるのではないでしょうか。
芸術作品に住む!「三鷹天命反転住宅」
最後にご紹介する物件は、2005年に三鷹市に建設された、芸術家/建築家の荒川修作氏とマドリン・ギンズ氏による「三鷹天命反転住宅」です。
この物件は、世界で最初の「死なないための住宅」をコンセプトとしており、全部で9戸の集合住宅が、内外装に14色の鮮やかな塗装を身に纏っています。
「死なないための住宅」とされる理由は、様々な身体能力の違いを超えて、この家に住む人がそれぞれにあった使い方をすることが出来るような設計にされており、これまで不可能であったことが可能となるような、そういったライフスタイルを提供することができる点に由来しているようです。
部屋ごとに、全く異なったデザイン
外観の奇抜さもさることながら、この物件の特徴はその独特な内装設計にあります。
まず、普通であれば平らであるはずの床が、凸凹になっていて、思わず足をとられそうになることもあるといいます。また、この物件には殆ど収納がなく、全て天井に設置されたフックを使って、ハンモックなどで収納スペースを確保する必要があります。
一見、ただ奇抜な仕組みをランダムに組み合わせたような、粗野なデザインのように思えてしまうのですが、実はその裏には、想像を絶するほどの緻密な設計が潜んでいます。
張り巡らされた緻密な仕掛け
実はこの物件、どこから見ても6色以上が一度に知覚できるような設計がなされています。そうすることにより、色そのものを単体と捉えるのではなく、私たちが普段日常の中で通常目にしているような「環境」として脳が認知できるのだそうです。
他にも、凸凹で危険に見えた床面も、実は影の存在によって考えながら歩かせるような仕掛けとなっています。
この物件のユニークなところは、通常であれば「寝室」「リビング」「子供部屋」といった部屋ごとの役割が一切存在せず、そこに住まう人が自分の住みやすいように使えることを重視している点です。
誰もが気づかなかったようなその部屋ごとの個性に気づき、その個性を最大限に活かすような使い方を発見していく過程は、まさに「不可能を可能にする」というこの物件のコンセプトに合致したライフスタイルを提供してくれることでしょう。
まとめ
本記事では、東京都内の「オモシロい物件」を、筆者独自の観点から3つご紹介させて頂きました。時代を先取りするような前衛的なヴィンテージマンションから、SOHOという新しい働き方を提供してくれるマンション、奇抜なデザインの裏に緻密な設計が潜む「死なないための家」まで、実に様々な物件がありました。
冒頭でも述べたように、不動産というのはただ住むための空間だけでなく、長期的な資産運用のための安定した投資対象でもあり、見る人を魅了する最高の芸術作品でもあります。
是非読者の皆さんも、ご自身が素晴らしいと思えるような物件を探してみてください。