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地面師詐欺とは何か?令和に生き残る信じられない詐欺の手口を解説

この記事の執筆者: 不動産投資コンサルタント 釜田晃利

老舗不動産投資会社にて投資用区分マンションの営業マンとして約10年間従事したのち、2015年にストレイトライド株式会社にて不動産事業をスタートしました。現在は取締役として会社経営に携わりながら、コンサルタントとしてもお客様へ最適な投資プランの提案をしています。過去の経験と実績をもとに、お客様としっかりと向き合い、ご希望以上の提案が出来るよう心がけています。

地面師詐欺という言葉をここ数年耳にするようになったのは、不動産大手企業の積水ハウスが地面師詐欺の被害に遭ったことがニュースで取り上げられたことが大きいでしょう。そもそも、地面師詐欺とは何なのか。また、なぜ大手優良企業でさえ騙されてしまうことになったのかを今回は取り上げます。

まずは、積水ハウスの地面師詐欺事件の概要から入りましょう。これは2017年、同社が都内の品川区にある元旅館のあった土地をめぐり、偽の不動産所有者を通じて、地面師詐欺グループから土地の購入代金として約55億円をだまし取られたことが発覚した事件です。

地面師詐欺とは

そもそも地面師詐欺とは、不動産の所有者になりすまし、買主に不動産を購入させ不動産の売却代金を騙しとることを指します。一般的に、地面師詐欺に目をつけられそうな不動産は、空き地からビルまでさまざまですが、共通して言えることは不動産の所有者が誰だか一見わからなさそうなものであるということ。不動産の所有者は、法務局が管理する登記簿に記載されています。地面師詐欺犯は、その登記簿上の本人になりすますことで所有者としての真性を高め、買主を騙してしまいます。特に、築古の建築物だったり昔からあるような土地は、権利関係が曖昧であることも多くターゲットになりやすいのも特徴です。

地面師詐欺事件が起こった背景

概要からは分からない、当該事件が起きた背景を、積水ハウスの統括検証報告書をもとに紐解いていきましょう。

まず事件のきっかけとなった本件不動産は、品川区五反田駅から徒歩3分の好立地にあります。もともと旅館「海喜館」として大正10年に指定地認可を受けてから3代にわたって営業されてきましたが、2017年ではすでには長らく廃業状態でした。広さは、約600坪。好立地にあるこの広大な土地は、不動産業者間では注目されていました。しかし、同時に、土地の所有者がなかなか土地を売らない物件としても有名でした。本件不動産は、不動産登記簿謄本によると、昭和35年に相続があったとの記載のみで、抵当関係を示す乙区には何も記載されていません。つまり、本件不動産をめぐる権利関係は複雑ではなく、相続した所有者の承諾さえあれば土地を購入できるということ。

詐欺グループは、当時100億円の資産価値があるとされていた本件不動産に目をつけ、偽の土地所有者を演じられる人物を探すなどして着手しました。そして、兼ねてより物件を転売目的で所有することを考えていたブローカーに土地売買の話を持ちかけたのです。ブローカーは、複数の取引先に本件不動産の話をしていましたが、その中の一つが被害者となった積水ハウスです。同社は、分譲マンション向けの好立地を探しているところでした。

ブローカーは、積水ハウスの営業部長に話を持ちかけ、営業部長宛に本件不動産の売買契約書とともに、その重要事項説明書、委任状、公正証書、写真及び住民票・印鑑証明書及 び重要事項説明書といった書類を送付。これらの本人確認は、すべて偽装されたものでしたが、営業部長は本人確認は信用に足るものだとし、手続きを開始した。本件不動産の購入希望者が多数いることや、偽の土地所有者により可能な限り早く手元金が欲しいと聞いていた同社担当者らは、書類の内容については確認を行ったものの、偽の本人確認についての話はなされませんでした。

同社は、偽の土地所有者との顔合わせ、持参したパスポート原本、印鑑証明書原本、住民票原本、 本権利証原本の司法書士2名による確認を経た上で、売買契約を結び、手付金として14億円を支払いました。

その後、真の土地所有者と思われる人物から「御通知書」と表した通知書が送付されます。これは、送り主自身が売買契約を締結していないことや、不動産の仮登記で用いられら実印が本物ではないことなどを理由に、本件不動産の仮登記の抹消を求めるものでした。

この通知書が届いたことや、偽の土地所有者の言動などを理由に、司法書士らから本人確認の信憑性を疑問視する声があがりましたが、営業部長を中心に、確認できる本人確認に基づき「問題ない」との判断を下しています。現に、本部長や社長も一連の判断に関わっているが、本人に間違いないとの判断は変わらなかったのです。

本件不動産が、競争率が高めであったという性格も相まって、担当者らは「通知書」も本件不動産の売買をよく思わない人からの嫌がらせだとし、同社は2ヶ月前倒しで残りの残金約49億円を支払うことにしました。

その後、同社の関係者らは、真の土地所有者だと名乗る者の親族と面会し、「自分が真の所有者で、積水ハウスが騙されている」という旨を伝えられます。だが、パスポートなどの偽装を調査した結果、信憑性に足ることを確認できた上に、真の土地の所有者とその関係者が怪しいという見解すら生まれていました。

同時期、東京法務局には、真の土地の所有者の親族より、本件不動産の不正登記防止申出がなされていたため、実態調査を行なっていました。その結果、本人確認情報に資料として添付されていた国民健康保険被保険証の写しが偽造されたものであることが判明。東京法務局は、登記の申請が真性に行われていないという理由で、本件不動産の本登記を却下しています。

なぜ騙されてしまうのか?

報告書を読み、さまざまな箇所でエラーチェーンを断ち切れる可能性があったと感じざるを得ませんが、考えうる騙されてしまう原因は、大きく分けて2つあるでしょう。まずは、日本企業のリスクヘッジが機能不全であったこと。そもそも、同社の本件不動産の購入には、営業部長、本部長、さらには社長までが売買契約の締結に至るまでの判断に加わっています。契約締結までのプロセスが進むにつれ、不審な点がちらほら出てはいたが、結局それによって偽の土地の所有者の本人確認が偽装のものだと判明するまでには至りませんでした。これには、好立地で誰もが認める資産価値のある不動産は競争率も高く、心理的に「早く契約締結を」という焦りが出たことが大きく影響しています。不動産の取引は、力関係において売主側が強くなることが多いのが理由でしょう。特に、本件不動産が好立地であったことで、買主であった同社は「売主は条件が悪くなれば他者に乗り換えるだろう」と考えていたのは誰でも共感できることかもしれません。

第二に、土地の所有を証明する手段が限定的であることが挙げられます。本人確認の書類が偽装されやすく、本物と見分けることが困難であることもその一つ。登記簿には本人の顔写真は含まれていないため、真の土地の所有者か否かは書類上照合していれば、見破ることは極めて困難です。真の土地の所有者を知る人に、写真を用いて本人確認することは理論上可能ですが、周りに自分の写真を用いて本人かどうか確認していることが分かったら誰もあまりいい気はしないでしょう。前述の通り、力関係において上に立つ売主側に不信感や反感を抱かれてしまえば、取引自体なくなる恐れもあるため、実行に移せないのが現状と言えそうです。現に、検証報告書によれば、「昔からの知人や加盟組合(旅館)などへの写真による本人確認については、X氏(本人)の不興を買うおそれがあることから実施は困難である」ということになり実施されなかったとあります。現地訪問による本人確認についても、詐欺グループの手口が巧妙であるほど、むしろ買主側が、取引相手が真の所有者であることを確信することにつながりかねません。詐欺グループは、実際に真の所有者とコンタクトを取り遠方に旅行に行かせたりすることを容易くやってのけます。また、机に偽の所有者宛ての郵送物を無造作に置くという細工をすることで、内覧をも効果的に利用したのです。

騙されないために、徹底すべきことは…

もうお分かりかもしれないですが、騙されないためには「本人確認を徹底して行う」ことが必須です。直接の利害関係者である買主は、時に冷静な判断力に欠けることもあるので、専門家と一緒に行うことで、より効果的で確実な本人確認が可能になるはずです。

また、司法書士や弁護士に依頼することも効果的。当該事件において、不審点を指摘し、周辺住民への調査や物件の内覧などをした方が良いとアドバイスしたのは司法書士でした。手数料こそかさんでしまいますが、積水ハウスの被害額を考えれば払う価値のある値段でしょう。

注意すべき点としては、抵当権の設定がない物件や、売主の存在が見えにくい取引が挙げられます。前者の抵当権については、ローン組みなどがない利害関係者が少ない取引は、揃えるべき本人確認書類も少ないので、工程がシンプルで狙われやすいと言われています。また、後者については、地面師詐欺のやり方として、仲介や代理を多用することが多いためです。実際、売主が高齢であったり遠方に居住している場合、なかなか直接会うことは難しいかもしれません。ですが、そんな時こそ、本人確認をより慎重に行うか、売主と直接会う機会を設けるなどして気をつけましょう。

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