民法改正で不動産投資はどう変わった?不動産投資で押さえておくべきポイントを解説!
- 更新:
- 2024/12/23

2020年4月1日、120年ぶりに民法が改正されました。今回の民法改正は「現代に合わせた内容へのアップデート」と「曖昧だった規定の明確化」が目的です。 しかし、2022年に改正された「成人年齢の引き上げ」のような身近での変化を感じられない分、何が変わったのかよく知らない方も多いのではないでしょうか。
2020年には、賃貸借契約や管理に影響する部分が多く改正されました。不動産投資家の方々にとっては無視できないポイントです。そこで本記事では、2020年の民法改正で不動産投資家が貸主として押さえておくべきポイントを解説。さらに、民法改正で不動産投資家が確認すべきことも紹介します。最後まで読めば、2020年の民法改正が不動産投資にどのような影響を与えたかが理解できるでしょう。
2020年の民法改正が不動産投資に与えた影響を知りたい方、不動産投資で何が変わったのか知りたい方は、ご一読ください。
民法改正の概要と不動産投資におけるポイント
2020年4月の民法改正では、民法の中でも債権関係の規定が見直されました。国民が民法の内容を理解しやすくする観点から、裁判や実務で適用されているルールを明文化。契約に関する規定を中心に、社会・経済の変化への対応を図りました。
主な改正内容
下表は、2020年改正の主な改正内容です。
項目 | 内容 | 条文 |
---|---|---|
意思能力について | 意思能力(判断能力)を有しないでした法律行為は無効であることを明記 | 3条の2 |
消滅時効の改正 | 業種ごとの時効を廃止し、「知ったときから5年」に統一 | 166条 |
法定利率の引き下げ | 年5%から年3%に引き下げ、市中の金利動向に合わせて変動する制度を導入 | 404条2項 |
無効な約款の制定 | 1条2項に定める「信義則」に反して相手方の利益を一方的に害する条項は無効と明記 | 548条の2~4 |
表に記載した以外にも、多くの条文が改正されました。次項では、不動産投資に関係する「契約」に関する改正について取り上げます。
不動産投資で影響を受ける改正内容
不動産投資で影響を受ける改正内容は、以下の8項目です。
- 瑕疵担保責任が契約不適合責任に変更
- 敷金の定義と返却時期の明文化
- 借主は「原状回復義務」を負わないことが明文化
- 極度額設定の義務化
- 物件が一部滅失した場合は賃料の減額が必要
- 急ぎの場合は借主の修繕対応も認められる
- オーナーチェンジ物件における賃貸人の地位を明文化
- 事業用融資の保証人には公証人による「保証意思の確認」が必須
いずれも不動産投資家が押さえておくべき重要な内容ですので、1つずつ順番に解説します。
改正ポイント①:瑕疵担保責任が契約不適合責任に変更
2020年の民法改正では、「瑕疵(かし)担保責任」が「契約不適合責任」に変わり、内容についても変更されました。「瑕疵」とは「傷」のこと。売買の対象商品に不備や欠陥があった場合に売主が責任を負う規定が「瑕疵担保責任」でした。しかし、「瑕疵」の概念があいまいでありることから、どのような場合に責任を負うべきかわかりづらくなる問題が発生。今回の改正で「契約に対する不適合に対する責任」と明確に規定し、「契約不適合責任」に変更されました。
改正後の民法では、売買されるすべての商品について、契約不適合責任が問われます。もちろん、不動産も対象です。契約不適合責任に変わったことで、引き渡された商品に欠陥があった場合に買主がどのように修繕や補修を請求できるのかが明文化されました。
では、買主の請求できる権利や行使期間について掘り下げていきましょう。
買主の権利
今回の民法改正では、契約不適合があった場合に、買主は売主に対して以下の権利を行使できる旨の条文が新設されました。
- 修補や代替物引渡しなどの履行の追完請求
- 損害賠償請求
- 契約の解除
- 代金減額請求
不動産投資においては、オーナーが物件を購入し契約不適合があった場合に適用されます。「追完請求」とは、売主に対して目的物の補修や代替物の引渡し、不足分の引渡しを請求すること。追完請求と代金減額請求については、今回新たに付与された権利です。
契約不適合があったとしても、すべてが救済されるわけではありません。救済の可否は、売主と買主に帰責事由があるかどうかで決まります。下表のように、買主が原因で契約不適合責任が生じた(帰責事由がある)場合は、すべて救済不可です。
行使期間
契約不適合があったことに対する権利の行使は、常に行えるわけではありません。民法によって、行使できる期間が定められています。
旧民法では、買主が瑕疵を知ってから1年以内の権利行使が必要でした。「1年以内」という短い期間であるのは、売主を保護する観点からの設定です。今回の民法改正では、買主が契約に適合しないことを知ってから1年以内に、売主への通知が必要との条文が新設。権利行使ではなく通知となったことで、売主保護から買主保護へとシフトチェンジしました。
改正ポイント②:敷金の定義と返却時期の明文化
賃貸借契約では敷金は一般的な概念であるにもかかわらず、改正前の民法では敷金とは何か、敷金はいつ返還の請求ができるのかについて、はっきりとした規定がありませんでした。改正後の民法では「敷金とは何で、いつ返却すべきか」が明文化されています。明文化により、敷金返還をめぐるトラブルを未然に防ぐことが期待されています。
敷金とは
2022年の民法改正では、敷金について規定する622条の2が新設。敷金は「いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭」と定義されました。
これまではなかった「敷金」の定義を、実務上の扱いに即した形で明文化したものが622条の2です。
敷金で担保されるのは、以下の項目です。項目も明文化されていませんが、過去の通例から判断されている内容です。
- 賃料
- 共益費
- 修繕費
- 原状回復費用
- 借主の債務不履行による損害賠償金
例えば借主が賃料を滞納した場合には、貸主が敷金から賃料を徴収できます。
敷金は賃貸借契約の終了とともに借主に返還されることも明文化
今回の改正では、賃貸借契約が終わり借主が貸主に物件を返却した後、債務の額を差し引いた敷金の残額が借主に返還されることも明文化されました。合わせて、敷金を返還する際は、敷金から差し引いた債務額の内訳も明示するものと規定されています。
改正ポイント③:借主は「原状回復義務」を負わないことが明文化
今回の改正では通常損耗や経年変化について、借主は原状回復義務を追わないことが明文化されました。特に賃貸借契約における原状回復費用については、貸主・借主どちらが何をどこまで負担するのか、という点がトラブルとなりがちであったことが理由です。
どこまでが通常損耗や経年変化の扱いになる?
借りていた物件の損傷が通常損耗や経年変化の扱いとなった場合は、借主の原状回復義務はありません。では、どのような場合に、通常損耗や経年変化の扱いとなるのでしょうか。
2011年に国土交通省が発行した「原状回復ガイドライン」では、以下のように定められています。
通常損耗や経年変化の扱いとなる | 通常損耗や経年変化の扱いとならない | |
---|---|---|
具体例 |
|
|
原状回復費用の負担者 | 貸主 | 借主 |
原状回復ガイドラインは、あくまで「ガイドライン(基準)」です。中にはガイドラインと異なる負担範囲を明記している賃貸借契約書もあります。契約書を熟読した上で何をどちらが負担するのかあらかじめ把握し、借主と貸主がどちらも同じ認識を持っておくことがトラブル回避にもつながります。
参考マンションの退去費用は誰が支払う?原状回復ガイドラインに沿って徹底解説!
改正ポイント④:極度額設定の義務化
今回の民法改正では、連帯保証人をつけた場合に「極度額」を設定することが義務化されました。極度額とは限度額のこと。連帯保証人が補償すべき最大額を指します。
実際の改正では「賃貸借契約の連帯保証人には極度額を設定しなければならない」と書かれたわけではありません。今回の改正で義務化されたのは「根保証契約における連帯保証人に対する極度額設定」です。本項では、根保証契約とは何か、連帯保証人とどう関係があるのかをわかりやすく解説します。
極度額の定めのない個人の根保証契約は無効となる
今回の民法改正では、極度額(上限額)の定めのない個人の根保証契約が無効となりました。根保証契約とは「将来発生する不特定の債務について保証する契約」です。入居者の家賃支払いを保証する「保証人契約」も、根保証契約となります。
極度額(上限額)の定めのない個人の根保証契約が無効となったことにより、極度額(上限額)の定めのない連帯保証人契約も無効となったのです。
保証人契約においても極度額の定めが必須となった
改正前の民法では、連帯保証人の負担範囲が規定されていませんでした。改正後の賃貸借契約では、借主が個人の連帯保証人をつける場合は「連帯保証人は賃料〇ヵ月分(〇〇円)まで借主の債務を担保する」といった極度額を記載することが必須となります。
民法改正前は、以下のようなケースで連帯保証人が借主の代わりに賃料や費用を支払っていました。ここでは、極度額の有無は関係ありません。
- 入居者が家賃を3ヵ月滞納したので、連帯保証人に請求した
- 入居者が室内の設備を壊したので修理費用を請求するも支払わず、連帯保証人に請求した
民法改正後は極度額を定めなければ、上記の費用は連帯保証人に請求できません。今後は、極度額が決められていないと、連帯保証人契約が無効になってしまいます。
なお、極度額の設定が必須なのは、2020年の民法改正後に締結された連帯保証人契約です。改正前に締結された連帯保証人契約に関しては、極度額設定がなくても引き続き有効となります。
既存の連帯保証人契約は新たに極度額を設定する方向に
民法が改正された2020年4月1日以降に連帯保証人契約を更新する場合、想定されるのは以下2パターンです。
- 新たに極度額を設定した書面を作成して保証人と契約
- 現行の契約を継続して「極度額記載なし・保証人のサインなし」で更新
基本的には更新のタイミングで「連帯保証人承諾書」などの書面で連帯保証人と管理会社とで契約を締結しているため、改正後は新たに極度額を設定する方法が主流になると見られています。
改正ポイント⑤:物件が一部滅失した場合は家賃の減額が必要
賃貸物の一部滅失による賃料(家賃)の減額は、改正前の民法にも規定されていました。賃貸物の一部滅失による賃料の減額とは、「給湯器の故障でシャワーからお湯が出ない」など、借主が賃借物の一部を利用できなかった(=一部滅失)期間の割合に応じて「家賃の減額を請求することができる」規定です。
賃貸物の一部滅失により賃料(家賃)を減額できる規定はあったものの、故障した設備や割合については明確な基準がありませんでした。改正民法では一部滅失の場合に「部分の割合に応じて賃料が減額される」と規定。家賃の減額率は滅失割合に応じて決まることが明文化されました。
一部滅失の指標
一部滅失の対象となる故障設備や割合については、公益社団法人日本賃貸社宅管理協会が出している「貸室・設備等の不具合による賃料減額ガイドライン」で確認できます。
故障内容 | 減額割合(月ごと) | 免責日数※ |
---|---|---|
トイレが使えない | 20% | 1日 |
風呂が使えない | 10% | 3日 |
水が出ない | 30% | 2日 |
エアコン不作動 | 5,000円 | 3日 |
電気が使えない | 40% | 2日 |
テレビ等通信設備が使えない | 10% | 3日 |
ガスが使えない | 10% | 3日 |
水道が使えない | 30% | 2日 |
免責日数とは、物理的に代替物の準備や業務の準備にかかる時間です。貸主が直ちに修理に応じても、修理業者の都合などで即日解決できない場合もあるため、各免責日数分は減額割合から除かれます。
月額賃料が15万円で、ガスが6日間使えなかった場合、減額される家賃額は以下のような計算式です。
- 月額賃料150,000 円 × 家賃減額割合10% ×(6日-免責日数3日) ÷ 30日
参考貸室・設備等の不具合による賃料減額ガイドライン|公益社団法人日本賃貸社宅管理協会
借主と貸主で修理に必要な日数の合意があれば減額の必要なし
設備が使えないからといって、ただちに家賃を減額する必要はありません。借主と貸主の間で修理までの日数について合意があれば、減額しなくても大丈夫です。
夏にエアコン故障の通知を借主からもらったとしましょう。通知を受けた借主がすぐ業者に連絡したとしても、繁忙期のため即日修理できない場合もあります。その場合、貸主は、すぐに修理できないことと、最短で修理に入れる予定日の連絡をすぐに入れることが大事です。ここで双方が「修理まで〇日かかる」と合意すれば、家賃減額の必要はありません。貸主側が借主側の通知にすぐ対応することで合意を得られれば、家賃の減額は防げるともいえるでしょう。
改正ポイント⑥:急ぎの場合は借主の修繕対応も認められる
近年、大雨や台風によりマンションが甚大な被害を受けるケースも多く見られます。浸水や窓ガラスの損壊のように物件の修繕がすぐに必要となった場合、借主が自ら修理できるのでしょうか。
これまでの民法では、借主側が修理を行っていいのかについて明文化されていませんでした。改正民法では、一定の条件を満たしている場合は、借主が自ら修繕対応して良いことが明文化されました。条件は以下3つです。
- 借主が貸主に修理が必要な旨を通知している
- 貸主が一向に修繕に応じてくれない
- 急いで修理が必要である
上記に合致した場合、借主が修繕した費用を貸主に請求できます。
借主が自ら修繕をするにあたっては、借主から貸主への通知が必要です。通知をせず修繕してしまった場合は貸主の負担にはできません。合わせて、通知により借主と貸主双方の合意が必要となります。以下の項目について通知し、合意を得ましょう。
- 修繕の対象
- 修繕する範囲
- 費用負担額
貸主の合意が必要なのは、不要な修繕費用を請求されるトラブルを防ぐためでもあります。必要な修繕であることを認めてもらう意味でも、急いで修繕を行う必要が生じたら、必ず貸主に連絡が必要です。
改正ポイント⑦:オーナーチェンジ物件における賃貸人の地位を明文化
2020年の民法改正では、オーナーチェンジ物件における賃貸人の地位も明文化されました。
オーナーチェンジ物件とは、入居者がいるまま売買した不動産です。不動産の所有者が変わるため「オーナーチェンジ物件」と呼ばれています。
民法では、賃貸不動産が譲渡されオーナーチェンジ物件となった場合の規定がありませんでした。今回の改正で、判例における運用を明文化した605条の2が新設。オーナーチェンジした場合、元の貸主(売主)が所有していた権利は、買主に移転することが明文化されました。合わせて、新しい持ち主が元から住んでいる住民(借主)に賃料を請求する際は、所有権移転登記をしなければならないことも規定されています。
改正ポイント⑧:事業用融資の保証人には公証人による「保証意思の確認」が必須
個人が事業用融資の保証人になろうとする場合は、公証人による保証意思の確認を経ることも規定されました。不動産投資も事業用融資に該当します。従って、不動産投資で友人や知人に保証人を依頼する場合は、公証人による保証意思の確認が必要です。
ただし、保証人が次に該当する場合は、意思確認はいりません。
- 融資を受ける者と共同して事業を行っている共同事業者
- 融資を受ける者と一緒に事業を行っている配偶者
補償意思の確認は、公証役場で行います。連帯保証人の契約を締結する日から1ヵ月以内に、公証人と面談。債務内容や保証人になることの意味やリスクを理解しているかを確認したうえで、公正証書(保証意思宣明公正証書)を作成します。
民法改正で不動産投資家が確認すべき3つのこと
2020年の民法改正では、特に契約に関する内容が変わりました。民法改正からすでに4年経過しているとはいえ、契約内容が改正前から変わっていないことも考えられます。これから不動産投資を行う際は、契約書の内容が改正民法に沿っているかを確認しましょう。
確認しておきたい内容は、以下3点です。
- 契約書の条項を確認する
- 信頼できる業者によるインスペクション(建物状況調査)を必ず行う
- 家賃保証会社の活用を検討する
1つずつ見ていきましょう。
①契約書の条項を確認する
不動産投資における「契約書」には、「売買契約書」と「賃貸借契約書」があります。両方とも、改正民法に沿っているかを見直さなければいけません。売買契約書と賃貸借契約書、それぞれ見直すべきポイントを解説します。
売買契約書
売買契約書では、次の2点を確認しましょう。
- 契約の内容
- 不動産の利用目的
契約の内容としては、以下の3点を見直します。
- 原状回復義務
- 追完請求権にかかる担保責任の内容
- 追完請求権の行使期間も
不動産の利用目的も、必ず見ておきましょう。利用目的が定められていなかった場合、契約不適合責任を問えないことでトラブルとなる可能性があるからです。
賃貸借契約書
賃貸借契約書においては、連帯保証人の極度額上限が設定されているかどうかを確認します。合わせて、設備に不備があった際は「事前通知が必要であること」と、遅延損害金の利率も見ておきましょう。遅延損害金の法定利率は、3%です。しかし、双方の合意により利率が決まっている場合は、法定利率ではなく合意で決めた「約定利率」が優先される旨が民法で定められています。
遅延損害金を法定利率にしてしまうと、「3%くらいの利息ならいいか」と滞納されてしまうかもしれません。消費者契約法で定められた、契約における遅延損害金の上限利率は14.6%。滞納を防ぐ意味でも、14.6%を越えない範囲で高く設定することがおすすめです。
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②信頼できる業者によるインスペクション(建物状況調査)を必ず行う
契約不適合責任への対策として、信頼できる業者によるインスペクション(建物状況調査)を必ず行いましょう。インスペクションは必ず瑕疵を見つけるものではありません。事前に行っておくことで物件に問題ないことがわかるので、必ず実施しましょう。
インスペクションは売主もしくは不動産業者が業者を手配して行います。中には悪質な業者もいるので、安価すぎるインスペクションにも注意が必要です。相場と比べて安価すぎる場合は、安価な理由を尋ねましょう。納得できない理由であった場合、業者の変更を提案することもおすすめです。
インスペクションでは床下や屋根裏の調査にオプション料金が必要な場合もあります。床下や屋根裏は、普段見ることがない場所だからこそ、不具合が潜んでいるかもしれません。契約不適合責任を防ぐために、多少費用はかかっても、できうる限りの調査をしておくと安心です。
不動産をあっせんする宅建業者にも、インスペクションを実施する者のあっせん可否を説明する義務があります。あっせんが「否」である場合、明確な理由が必要です。
③家賃保証会社の活用を検討する
連帯保証人に極度額が付与されることで、自分が損害を被るのが不安であれば、家賃保証会社の活用もおすすめします。賃貸借契約は連帯保証人ではなく、保証会社をつけての契約も可能です。保証会社の場合は極度額の設定がありません。保証範囲も明確なので、貸主としても保証費用をめぐるトラブルを回避できます。
国土交通省のリーフレットによると、2021年における家賃債務保証会社の利用率は80%でした。高齢者の単身世帯が増加していることや人間関係が希薄化していることが相まって、高い利用率となっています。今後の賃貸借契約においても、貸主と借主の双方にとって安心で円滑なやりとりが可能となることから、保証会社を利用した賃貸借契約が増えていくことが想定されます。
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まとめ
2020年の民法改正では、不動産投資に関係する部分もたくさん変更されました。すべての変更点に共通しているのは「基準を明確にして借主・貸主のトラブルを未然に防ぐ」こと。貸主として行うこと自体に大きな変化はありません。
本記事で解説したのは、あくまで概要です。記事を読んで「よくわからない」「具体的な事例で教えて」といった疑問も出てくるでしょう。「自分の物件ではどうなの?」と感じた際は、当社の無料相談をご活用ください。経験豊富なコンサルタントが、中立の立場で疑問にお答えいたします。

この記事の執筆: 堀乃けいか
プロフィール:法律・ビジネスジャンルを得意とする元教員ライター。現役作家noteの構成・原案の担当や、長野県木曽おんたけ観光局認定「#キソリポーター」として現地の魅力を発信するなど、その活躍は多岐に亘る。大学および大学院で法律や経営学を専攻した経験(経済学部経営法学科出身)から、根拠に基づいた正確性の高いライティングと、ユーザーのニーズに的確に応えるきめ細やかさを強みとしている。保有資格は日商簿記検定2級、日商ワープロ検定(日本語文書処理技能検定)1級、FP2級など。
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