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【2023】札幌GX金融都市構想とは!?札幌は不動産投資のフロンティアとなるのか

札幌, GX, 金融都市

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2023年2月、半導体メーカー「ラピダス」の北海道千歳市への進出が発表されました。それに加え、6月18日には国がさらなる追加支援の検討を行うことを西村経済産業相が表明し、ニュースでも話題となりました。

ラピダスの本社は東京都千代田区です。ではなぜ、遠く離れた北海道に新工場設立が決定したのでしょうか。それには札幌・苫小牧・石狩エリアをデジタル産業の一大集積地にする「北海道バレー構想」、そして「札幌GX金融都市構想」が大きく関係しています。

今回のラピダスの新工場設立は、政府、北海道、企業が一体となったこれらの構想に基づく北海道側の誘致によって実現したものです。

札幌を中心とする北海道の変革は、不動産投資の視点からも注目したい話題です。本記事では札幌GX金融都市構想と不動産投資の可能性について解説します。

半導体メーカー「ラピダス」北海道進出の概要

デジタル化の進展により、半導体産業は2030年には約100兆円規模になると予測されており、非常に成長が期待されている分野です。

しかし1980年代には世界トップクラスだった日本の半導体産業は、世界で大きな後れを取っているのが現状です。

その状況を変えるチャンスとなったのが、中国に頼らない半導体調達ルートを得たいアメリカの思惑でした。最大手IoT事業者である「IBM」の持つ、最先端の2㎚プロセス半導体製造技術の提供申し出を受けるため、トヨタ自動車をはじめとする国内大手企業8社により設立されたのが「ラピダス」です。

ラピダスは欧州半導体をけん引するベルギーの半導体研究開発機関imecとも提携を行い、国産2㎚プロセス半導体の量産化を目指すとしています。

ラピダスが進出した千歳市は札幌市からも1時間程度の距離であり、札幌GX金融都市構想にも関わっています。

(ラピダス新工場建設についての詳細記事はこちら

札幌GX金融都市構想とは?

次に、金融都市構想の概要と、札幌が目指す金融都市の形について見ていきましょう。

金融都市構想とは?

国際金融都市とは「グローバルな金融取引や投資活動の拠点になる都市」のことです。

ニューヨーク、ロンドンが世界的な金融都市として有名ですが、日本でも東京・大阪・福岡を中心として国際的な金融都市を目指す動きがあります。

東京の金融都市としての強みは、世界主要取引所の上場株式時価総額第4位である「東京証券取引所」と「世界的にも高い都市力」です。フィンテック(金融(Finance)+ 技術(Technology))企業や資産運用業者などの誘致により金融のデジタル化を推進し、世界・アジアの金融ハブとしての地位確立を目指しています。

一方、大阪は魅力的な文化と万博開催地という強みを活かし、高度外国人材などの受入の推進やスタートアップ企業の支援などにより、大阪独自の個性・機能を持った国際金融都市の実現を目指しています。大阪の目指す金融都市の姿は、アジア・世界の活力を呼び込みインバウンドにより経済活性化させる「金融をテコに発展するグローバル都市」です。

札幌金融都市構想の特徴「GX」

札幌の金融都市構想のポイントとなっているのが「GX」です。

GXとはグリーントランスフォーメーション、つまり「化石エネルギー中心の産業構造・社会構造から太陽光や水素などのクリーンエネルギー中心への転換」です。

地球温暖化防止のために各国はCO2を始めとする温室効果ガスの「排出量を削減し、吸収量・除去量と差し引きゼロにする」、カーボンニュートラルを目指しています。

2050年までのカーボンニュートラル実現を表明した国は124ヵ国・1地域、2060年までの実現を表明した中国を加えると全世界の約2/3にもなります。

カーボンニュートラルへの世界的な流れに伴い起こったのが、脱炭素と経済活性化を同時に実現するGXへの投資競争です。

エネルギー自給率の低さが課題である日本にとっても、GXはエネルギー問題と環境問題の解決に加え経済効果も見込める重要な戦略です。

日本総合研究所主任研究員の大島氏は「金融機関に求められるGX支援の強化」の中で、「GX推進には、今後10年で150兆円超の大規模な投資が必要となるため、金融面からの後押しが不可欠である」と述べています。

参考大嶋秀雄. "金融機関に求められる GX 支援の強化." 銀行実務 53.5 (2023): 62-65.

札幌金融都市構想では、政府が今後10年間で見込む150兆円の官民からのGX投資のうち、最大40兆円程度の再生可能エネルギー関連のGX投資を北海道へ呼び込むことを目的としています。

金融都市構想における札幌の強み

大都市である東京や大阪と比較してアクセスや都市力において不利ともいえる、札幌の強みがGXに適した立地です。

北海道は石狩湾沖の洋上風力を始め、太陽光や風力などの「再生可能エネルギー」による発電が充実しています。それに加えて水資源が豊富で土地確保が容易な北海道はビジネス上での大きなポテンシャルを持ちます。

ラピダスが北海道に進出した理由もそこにあります。ラピダスが設立予定なのは温暖化ガスや環境汚染物質の排出量を抑えた「環境配慮型工場(通称:IIM)」です。ラピダスはこのIIMで半導体の微細化を実現し、デジタル化により膨大に消費されるエネルギーの削減を目指しています。

北海道では、国内随一の再生可能エネルギーを持つ地域として「ゼロカーボン北海道」の取組を行っています。その中心となる札幌市は、日本の「脱炭素先行地域」として「環境首都・札幌」づくりを進めており、2023年5月には「G7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合」が札幌で行われました。

札幌GX金融都市構想に向けた取り組み

北海道・札幌がGXにおいて特に力を入れているのが、デジタル産業の集積地を作る「北海道バレー構想」です。

経済学者の髙原一隆氏によると、「札幌は後背地の工業基盤が弱く、第一次産業とその関連産業及び公共事業に支えられてきた。そして脱消費都市をめざしてサッポロバレーなどソフト系産業の発展に力を注いできた」とあります。

参考髙原一隆. "地方中枢都市の構造変化-札幌市と福岡市の比較を通して." (2021).

このような背景と合わせて、冷却が必要なデジタル産業に北海道の冷涼な気候が適しており、発展を後押しした面もあるでしょう。

北海道は、「地震や台風などの自然災害リスクの低さ」「大都市でありながらも低コストなオフィス賃料」を武器に、IT系の企業を中心とした企業誘致を積極的に行っています。

スタートアップの創出や工業系用地のマッチングなどの試みの結果、国内外の企業を北海道への誘致を勧める「北海道企業誘致推進会議」は、2022年度に前年度の倍近い51社の企業誘致に成功したと発表しました。この最大の成果がラピダスの誘致成功です。

札幌GX金融都市構想で札幌はどう変わる?

ここでは、札幌GX金融都市構想の実現で札幌エリアにどのような変化が起こる可能性があるかについて考察します。

地域経済の活性化

もしラピダスが2㎚半導体開発に成功すれば、ほかのIT産業が続々と参入し北海道バレー構想も大きく進展する可能性が出てきます。

また、固有の文化や多彩な食、雪をはじめとする豊かな自然など、観光資源の多い北海道は観光と産業、両方の相乗効果による発展を見込んだ投資にも期待できます。

資金流入により考えられるのが、デジタル産業以外の産業への波及効果です。観光、飲食業、物流など地域経済が多角化されさまざまな分野でビジネスチャンスが増えれば、国内外からの事業者や人材が増加し地域経済の発展につながるのではないでしょうか。

雇用創出と人材流入

北海道の課題の一つとなっているのが、道外への人材の流出です。

札幌のGX金融都市としての発展により企業進出が促進されれば、多くの雇用機会が生まれ、人材の需要が高まるでしょう。その結果、人材流出の抑止効果だけでなく、札幌周辺に質の高い人材が流入する可能性もあります。

人材の流入は企業だけではありません。

例えばラピダスは技術開発などを行うオープンプラットフォームであるLSTCを設け、日本の各大学や研究機関、海外の企業や研究機関、大学と連携しデジタル産業の振興をしていきたいとしています。

このような産学官の連携が広まれば、教育機関で育成した人材を活かすビジネス環境の整備も期待できます。

投資対象としての魅力向上

札幌GX金融都市構想の実現で地域経済の活性化や企業と人材の流入が起これば、投資対象としての魅力向上につながります。

また、デジタル産業だけでなく、農業もGXにおいて期待が持たれる分野です。

北海道の農業はクリーン農業技術などの高い技術力を持っています。北海道の大区画農地での再生エネルギーを活かしたクリーン農業技術とICTやロボット技術を掛け合わせた農業経営も、投資対象としての可能性を持っています。

日本の中心地から遠く離れた北海道は、成長するアジアや北米、ロシアとの距離が近いということでもあります。そのため北海道は「北海道 SDGs 未来都市計画(2021 ~ 2023)」の中で、「欧米とアジアを結ぶ結節点」である北海道の立地は逆にビジネスチャンスであるとしています。

札幌GX金融都市構想でもたらされる不動産投資への可能性

札幌には、GX投資だけでなく不動産投資においても期待が寄せられます。不動産投資における札幌の可能性と魅力について見ていきましょう。

不動産市場の活性化による不動産価値の上昇

札幌市によると、下の図のように今後市内中心部では再開発が次々と計画されており、2030年までの間にオフィスビルの大量供給が見込まれるとしています。

2030年の招致を目指す冬季オリンピック・パラリンピック、2030年度の北海道新幹線札幌延伸に向けて、不動産投資も活発になると考えられます。

不動産投資における札幌の魅力は、なんといっても「都市圏でありながらも低価格な不動産価格」です。

株式会社不動産経済研究所の「全国 新築分譲マンション市場動向2022年」によると、東京23区の新築マンションの平均価格が8,236万円に対し、札幌市の新築マンションの平均価格は5,022万円となっています。

下の表のようにオフィスの賃料も首都圏と比べて安い上に空室率も高く、今後需要とともに不動産価値が上昇する可能性がある札幌周辺は不動産投資の対象としても魅力的です。

雇用の創出による安定的な賃貸需要

金融都市としての発展により、デジタル産業とその周辺産業を中心とした企業の流入と雇用の創出が予想されます。

オフィスビルへの賃貸需要だけでなく、新たな雇用機会が生まれ企業で働く従業員が増えることで、賃貸住宅への需要も高まるでしょう。長期的な賃貸需要により、不動産投資において安定的なキャッシュフローを確保できる可能性があります。

また、産業の発展により雇用の機会が増えれば、企業への就職を目指す学生が近隣の大学に集まる可能性も高くなります。

札幌市周辺には北海道大学をはじめとして理工系の大学も数多くあります。学生が増えればその学生たちの賃貸需要も見込めます。

新たな投資機会の創出とポートフォリオの多様化

札幌GX金融都市構想は、札幌市を資金・企業・人材が集まる「金融センター」として発展させる取り組みです。札幌GX金融都市構想の実現によりビジネス、観光、金融と多角的な発展を遂げた場合、多くの不動産需要と投資機会が創出されます。

例えば工場用地や新たな企業が進出するためのオフィススペース、店舗、ビジネスマンや個人事業者向けのコワーキングスペース、医療施設、ホテル、賃貸不動産などが投資対象として挙げられるでしょう。さまざまな不動産セグメントへの投資が可能になり、多様なポートフォリオの選択肢が生まれリスクの分散にもつながります。

また、不動産セグメントの多様化に留まらず、投資地域の分散によるリスクの軽減も可能です。首都圏と比較して不動産価格が安い札幌エリアへの不動産投資は、新たな投資候補エリアの筆頭と言っても過言では無いでしょう。

まとめ

「札幌GX金融都市構想」には金融庁・環境庁や3メガバンクなどが共同参画し、札幌市を国際環境金融都市に位置づけるためのプロジェクトがスタートしています。

札幌GX金融都市構想は持続可能なエネルギーへの転換を推進するだけでなく、地域経済の活性化や新たな産業の育成にも大きく貢献することが期待されています。

札幌がGXの中心地としての地位を確立すれば国内外からの投資やビジネス機会を引き寄せ、その影響が周辺地域に波及する可能性もあります。国内外からの投資を呼び込み、北海道に資金だけでなく企業や人材、発展をもたらすことができるのか、不動産投資の視点においても期待が持てます。

この記事の執筆: ひらかわまつり

プロフィール:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士資格を有するママさんライター。親族が保有するマンションの管理業務経験を有するなど、理論・実務の両面から不動産分野に高い知見を持つ。また、自身でも日本株・米国株や積立NISAなどを行っていることから、副業や投資系ジャンルの執筆も得意としている。解像度の高い分析力と温かみのある読みやすい文章に定評がある。不動産関連資格以外にも、FP2級、日商簿記検定2級、建築CAD検定3級、TOEIC815点、MOSエキスパートなど多くの専門資格を持つ。

ブログ等:ひらかわまつり

この記事の監修: 不動産投資コンサルタント 釜田晃利

老舗不動産投資会社にて投資用区分マンションの営業マンとして約10年間従事したのち、2015年にストレイトライド株式会社にて不動産事業をスタートしました。現在は取締役として会社経営に携わりながら、コンサルタントとしてもお客様へ最適な投資プランの提案をしています。過去の経験と実績をもとに、お客様としっかりと向き合い、ご希望以上の提案が出来るよう心がけています。

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