どんなカラクリ!?投資用マンションの節税効果に期待しすぎてはいけない!
- 更新:
- 2022/09/21
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「不動産投資は節税になる」とよく言われていて、営業トークとして使う営業マンもたくさんいます。そのため、投資用マンションを購入することによって税金が安くなるというイメージを持っている人も多いのではないかと思います。
不動産投資によって節税ができるというのは事実なのでしょうか?そして、その節税効果はどのくらいなのでしょうか?ここでは、投資用マンションの購入による節税の実態について説明します。
不動産投資は節税になるのか
結論としては、節税効果はあります。ただし、節税になる場合とならない場合があり、金額的なインパクトも大きくはないので、過度に節税効果を期待して不動産投資をするのはやめましょう。
具体的には、以下のようになります。不動産投資によって節税の対象になるのは、所得税、住民税、相続税であり、このうち相続税対策の必要性がない人にとっては、不動産投資による節税効果はほぼ無視できるレベルだと考えて差し支えありません。
結論は以下の通りです。
- 所得税・住民税の節税になるのは収支が赤字の場合のみ(法人の場合は法人税)
- 投資用不動産による利益が多ければむしろ増税になる
- 相続税対策としては十分な効果が期待できる
- 固定資産税、都市計画税、不動産取得税といった新たな税金が増える
所得税・住民税が節税できるからくり
「投資用マンションで節税」と言う時に対象としているのは、多くの場合、所得税のことを指しています。住民税も関連しますが、所得税の節税によって結果的に住民税も節税になる、というのが正確な表現です。
では、不動産投資によってなぜ所得税の節税になるのかというと、不動産事業の収支は給与所得と損益通算できるからです。
通常、サラリーマンは経費として申告できるものがほとんどないので、節税を行うことができません。ですが、不動産投資は事業であり、その事業にかかった費用は経費になります。そして、不動産投資自体が赤字であれば、サラリーマンとしての給与と通算して損金処理できるので、課税所得(所得税の計算対象となる金額)を小さくすることができ、所得税を節税できます。
つまり、所得税の節税対策をするためには、不動産事業の収支が(帳簿上)赤字である必要があるということです。
ですが、そもそも不動産事業が赤字なのであれば、節税効果うんぬん以前に、不動産投資をやる意味がないのでは?という疑問が浮かびますよね。赤字ということはお金が減っていくということです。誰がそんな状態を望むのでしょうか?
ここで出てくるのが「減価償却費」です。
減価償却費は手元資金が減らない帳簿上の費用
想像してみてください。1,000万円の中古の投資用マンションを購入したとします。これをそのまま経費として計上したら、初年度だけ経費が1,000万円もかかるので、大赤字ですよね?そして翌年からは家賃収入が入ってくるので、所得税が増えます。なんだか損した気分ですよね。
そうならないようにするのが、減価償却費です。購入した物件の費用を初年度に一括計上ではなく、数年間に分割して経費計上していくことができます。これによって2年目以降も家賃収入に対する所得税を抑えることができます。
この償却期間は物件の構造により定められた法定耐用年数です。投資用マンションはそのほとんどがRC(鉄筋コンクリート)またはSRC(鉄骨鉄筋コンクリート)であり、償却期間は47年です。中古で購入した場合、まだ償却期間が残っていれば、【残った償却期間 × 1.2】が減価償却期間です。
例)新築、2,500万円のRC区分マンション
→償却期間は法定耐用年数の47年間。年間約53万円を経費計上。
例)中古、築22年、1,000万円のRC区分マンション
→償却期間は(47年 − 22年)× 1.2 = 30年間。年間約33万円を経費計上。
不動産事業で経費精算できるのは減価償却費以外にも、購入時の仲介手数料、ローンの返済利息(元本支払いは経費対象外)、修繕費、管理費、火災保険料、固定資産税、都市計画税などがあります。細かいもので言えば投資のために発生した交通費や交際費なども経費計上できます。
これらの経費の中で、継続的に計上できる大きな費用は減価償却費です。
この経費が家賃収入を上回れば、給与所得と通算して所得税が還付されます。ですが、その金額的な影響はそれほど大きくありません。仮に年間で20万円の赤字だったとして、それに対する所得税還付はせいぜい数万円でしょう。それであれば、不動産事業の収益を高める努力をした方がよっぽど生産的です。
所得税・住民税の節税対策を目的とした不動産投資が本末転倒であることはお分りいただけると思います。
相続税対策の効果は大きいが対象者はごく一部
所得税対策としての効果は限定的でしたが、相続税対策の効果は高いです。ですが、ごく一部の人を除けば考える必要はありません。
相続税はほとんどの人が課税対象外
まず、そもそも相続税対策が必要なライフステージだけが対象です。かつ、相続税は基礎控除が大きいので、課税対象となるのは一定以上の財産を持っている人に限られます。
相続税の基礎控除額を求めるには次の計算式が成り立ちます。
- 基礎控除額 = 3000万円 + (600万円 ✕ 法定相続人の数)
分かりやすく具体例をあげてみます。
例えば、奥さんと3人の子供が相続人である男性の場合、法定相続人は4人です。このとき基礎控除額は<3,000万円 + (600万円 × 4) = 5,400万円>です。お子さんが2人なら基礎控除額は4,800万円です。
このように控除額が大きいので、納税対象者は限られてきます。では「相続税対策には不動産投資!」のように盛んにうたわれたのはなぜかというと、相続税の増税が行われたからです。2014年12月31日までは、基礎控除額は【5,000万円 + (1,000万円 × 法定相続人の数)】とさらに高かったのが、現在の計算式になりました。この実質的な増税によって、確かに納税対象者は増えましたが、そうはいっても実際は慌てて対策をしなければならないほどではありません。
要は、ただの営業トークですね。
まずは自身やご両親の資産状況から相続税の納税対象かどうかを確認してみてください。
相続税は現金よりも投資用不動産での財産保有が有利
相続税の納税対象者であれば、不動産投資は対策に有効です。相続税は課税対象となる財産そのものの金額ではなく、相続税の納税額を決めるための評価額によって決まります。現金の評価額は100%であるのに対し、不動産は約70%です。賃貸用であればここからさらに70%の評価となります。
例えば1,000万円の現金と1,000万円の投資用マンションであれば、その相続税の評価額は
- 現金:1,000万円そのまま
- 投資用マンション:1,000万円 × 70% × 70% = 490万円
となりますので、評価額は大きく下がります。これにより、不動産投資は相続税対策になります。
新たに不動産取得税、固定資産税、都市計画税がかかる
ここまでは節税の観点から説明してきましたが、投資用マンションの購入によって逆に増える税金もあります。不動産事業が黒字であれば所得税がかかりますし、不動産取得税、固定資産税、都市計画税もかかります。
不動産取得税は物件購入後、半年〜1年くらいの間に納税通知書が届きます。その一度のみの支払いですが、忘れた頃に通知が来るので手元資金を残しておいてください。
固定資産税と都市計画税は毎年支払う税金です。これは物件の評価額(固定資産税評価額)に対し、固定資産税は1.4%、都市計画税は0.3%かかります。合計で1.7%です。
固定資産税評価額は、物件購入価格の7割前後を想定しておくと無難です。築年数の経過とともに評価額は下がっていきます。
まとめ
いかがでしょうか。見てきたとおり、サラリーマンが投資用マンションを購入する際は節税効果を期待しないほうがよく、相続税の納税対象者であれば相続税対策として検討する価値はある、というのが、投資用不動産にまつわる節税の実態です。
不動産を所有したら新たな税金が増えますし、そもそも不動産は事業であって節税のツールではないので、不動産事業から得られる利益を大きくするために所得税の節税も意識する程度がちょうどいいのではないでしょうか。
節税という言葉はとても魅力的ですが、イメージ先行で物事を進めないようご注意ください。物件ごとやお客様のご状況に応じた、より具体的な説明を希望される場合は不動産投資コンサルタントによる不動産投資に関する無料相談も受付けておりますので、是非お気軽にご利用ください。