【2023年7月最新版】実質増税!?給与所得控除の見直しに国民から怒り噴出!見直しの方針・理由とネット上の反応まとめ
- 更新:
- 2023/09/01
2023年6月30日、政府税制調査会は「給与所得控除の見直し」についての言及を含んだ答申を岸田首相に提出しました。各メディアがこの「給与所得控除の見直し」について報じており、これを見た国民は「実質増税と変わらない」「今度はサラリーマンから搾取するのか」と怒りの声を上げています。
今回はこの政府税制調査会が提出した答申の内容をベースに、現在の給与所得控除の内容がどのような方針で変わる可能性があるのか、見直しをする理由はそもそも何なのかについて見ていきましょう。サラリーマンにとって、給与所得控除の見直しは手取りが大幅に減るかもしれない緊急事態です。ぜひ全容をチェックしておいてください。
※本記事で紹介する給与所得控除・退職金控除の見直しに関する記述は、あくまで政府税制調査会の答申に記載された内容をもとにした予想です(2023年7月6日現在)。今後の税制改正の内容とは異なる可能性があるのでご了承ください。
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- 目次
- 給与所得控除をはじめとする税制の見直しについて言及
- 給与所得控除の見直しで増税になる?
- 給与所得控除だけじゃない!退職金控除も見直しで実質増税の見込み
- 給与所得控除や退職金控除が見直され増税となる理由は?
- 国民はもう限界!給与所得控除の見直しによる増税への反応まとめ
- まとめ
給与所得控除をはじめとする税制の見直しについて言及
2023年6月30日「政府税制調査会」は、中長期的な税制のあり方を示す答申を岸田首相に提出しました。悪化する財政状況を踏まえて、給与や退職金・年金にかかわる税制を「是正」し、歳出相応の税収を確保することなどを目的としています。
しかし、世間では『「是正」といいつつ、結局は増税なのだろう』という声がさっそく相次いでいます。そこで、今回提出された答申の内容をもとに、給与所得控除をはじめとする税制がどのように変わるか見ていきましょう。
参考税制調査会「わが国税制の現状と課題―令和時代の構造変化と税制のあり方―」
給与所得控除の見直しで増税になる?
結論からいうと、給与所得控除の見直しが入れば増税となってしまう可能性が非常に高いです。現在の給与所得控除と、見直し後の予想をそれぞれ見ていきましょう。
2023年現在の給与所得控除
2023年現在の給与所得控除の金額は、下記のように定められています。
給与等の収入金額 (源泉徴収票の「支払金額」) |
給与所得控除の金額 |
---|---|
~ 1,625,000円 | 550,000円 |
1,625,001円 ~ 1,800,000円 | 収入金額 ✕ 40% - 100,000円 |
1,800,001円 ~ 3,600,000円 | 収入金額 ✕ 30% + 80,000円 |
3,600,001円 ~ 6,600,000円 | 収入金額 ✕ 20% + 440,000円 |
6,600,001円 ~ 8,500,000円 | 収入金額 ✕ 10% + 1,100,000円 |
8,500,001円 ~ | 1,950,000円 |
たとえば給与収入が5,000,000円で、控除が給与所得控除(1,440,000円)と基礎控除(480,000円)のみのサラリーマンの場合、課税所得は3,080,000円となり、所得税は210,500円、住民税は308,000円です(※住民税10%として計算)。合計の税金額は518,500円となっています。実際には社会保険料控除など他の所得控除もあるケースがほとんどなため、こちらは目安としてお考えください。
参考国税庁「所得税」
なお、2023年時点での給与所得控除の詳細な仕組み等については、下記の記事で解説しています。
参考【2023】給与所得控除!誰でもわかるように解説します!
見直し後の給与所得控除は3%前後になる?
見直し後の給与所得控除の割合・計算式はまだ具体的に提言されていません。収入によって変動はありますが、現在の制度での給与所得控除率はおよそ30%です。しかし政府税制調査会の答申によれば、サラリーマンの必要経費にあたる部分は給与収入の3%程度にすぎないため、現在は「必要以上に控除されており手厚い状態」としています。
給与所得控除によりマクロ的には給与収入総額の3割程度が控除されていますが、給与所得者の必要経費と指摘される支出は給与収入の約3%程度と試算されており、主要国との比較においても全体的に高い水準となっているなど、「勤務費用の概算控除」としては相当手厚い仕組みとなっています。
引用税制調査会「わが国税制の現状と課題―令和時代の構造変化と税制のあり方―」
つまり、サラリーマンにとって考え得る最悪のシナリオは、税制調査会が考える「実際の支出分」である「約3%」の水準にまで給与所得控除を下げられてしまうケースです。先ほど計算したとおり、現在の税制では年収5,000,000円の人の所得税と住民税の合計は518,500円でした。仮に3%となった場合、どれだけ増えるか計算してみましょう。
給与所得控除が3%の場合、控除額はわずか150,000円です。4,850,000円が給与所得として残り、ここから基礎控除の480,000円を引いた4,370,000円が課税所得となります。ここから計算される所得税の金額は446,500円。住民税の金額は437,000円です。合計すると883,500円となり、なんと365,000円も増えてしまいました。
さすがに突然3%に控除額が引き下げられるとは考えづらいですが、仮に3%ではなく20%だった場合でも、年間の手取り額は100,000円以上減ってしまいます。結局のところ、給与所得控除の見直しは「是正」というよりも実質的な「大増税」といえるでしょう。
給与所得控除だけじゃない!退職金控除も見直しで実質増税の見込み
今回、見直しがかかりそうなのは給与所得控除だけではありません。退職金控除についても、雇用の流動性向上などを目的としてテコ入れが示唆されました。現在の退職金控除の状況と、見直し後の予想を見ていきましょう。
2023年現在の退職金控除
2023年現在の退職金控除の金額は、下記のように定められています。
勤続年数 | 退職所得控除額 |
---|---|
20年以下 | 400,000円 ✕ 勤続年数 |
20年超 | 8,000,000円 + 700,000円 ✕(勤続年数 ― 20) |
現在の仕組みの場合、勤続年数20年で退職金が8,000,000円以下の人は、全額控除されるので税金がかかりません。また、40年勤務して退職金を22,000,000円受け取った場合も、全額控除となり税金は0円です。
見直し後の退職金控除は控除率が大幅に下がる可能性が高い
見直し後の控除額について具体的な言及はされていませんが、大幅に下がる可能性が高いでしょう。今回の答申では「退職金控除が転職の妨げになっている」という旨の記載があります。勤続年数を増やせば増やすほど控除額が大きくなり、ほぼ無税で退職金を満額手元に置ける人が多くなるからです。
これは「勤続年数が長いと得をする仕組みを撤廃しよう」といっているのともはや同義でしょう。つまり何年勤めようがある程度の税金が取られる仕組みに、大きくシフトチェンジするとみられます。最初から終身雇用されるつもりがなかった人にはあまり関係がないかもしれませんが、退職金をアテにして今の会社にとどまり続けてきた40代 ~ 50代は大打撃を受けるかもしれません。
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給与所得控除や退職金控除が見直され増税となる理由は?
ここからは今回提出された答申に記載された内容をもとにした「給与所得控除や退職金控除が見直される理由」について見ていきましょう。答申によれば、主に下記の3つの理由があるとしています。
- 働き方による公平性を保つため
- 雇用の流動性向上を妨げているため
- 防衛・少子高齢化のための財源を確保するため
それぞれ詳しく解説します。
理由①:働き方による公平性を保つため
1つ目の理由は、働き方による公平性を保つためです。サラリーマンの皆さんはあまり気にしていないかもしれませんが、2023年10月から、主に個人事業主・フリーランスが対象となる「インボイス制度」がスタートします。制度の詳しい内容については以下の記事に記載がありますが、実質的には2 ~ 10%の段階的な増税です。
参考ついに始まるインボイス制度!不動産投資への影響まで分かりやすく解説!
さらに個人事業主・フリーランスは仕事に使った費用を経費として参入できるとはいえ、サラリーマンの給与所得控除にあたる制度は青色(白色)申告制度の65万円控除(白色の場合は55万円)しかありません。つまり「サラリーマンは個人事業主やフリーランスよりも大きな控除を受けているし、追加徴税もするから、今の制度は不公平だ」と財務省や政府は言いたいのでしょう。
物価の上昇などが続く今の日本で、手取りが減るのは大きな痛手です。しかし個人事業主やフリーランスが損をする方向に制度改革が進んでいる以上、「サラリーマンも損をする方向に傾くのは仕方のないことだ」というのが財務省や政府の主張であるといえます。
理由②:雇用の流動性向上を妨げているため
「見直し後の退職金控除は控除率が大幅に下がる可能性が高い」でも触れましたが、現在の退職金控除は勤続年数が長くなるほど得をする制度となっています。これが終身雇用を助長する要因となっており、雇用の流動性が高まるのを妨げているのです。
政府が雇用の流動性にこだわっているのは、労働者が会社を移りやすくなれば、産業の発展・成長が起き雇用市場が活性化するとみられているから。複数の専門家による研究では、高すぎない雇用の流動性を維持できれば企業の業績は好転すると分かっています。
雇用の流動性が高まるほど企業の利益率が高まるが、流動性が高すぎると利益率は低くなるといった逆U字の関係性がみられることが明らかになった。
引用山本勲, and 黒田祥子. "雇用の流動性は企業業績を高めるのか: 企業パネルデータを用いた検証." RIETI Discussion Paper Series 16 (2016).
「終身雇用主義」が当たり前だった日本の制度に風穴を開け、流動的な雇用へ切り替える動きがいずれは必要でした。その最初の一歩として、今回の退職金控除の見直しがスタートするのでしょう。
理由③:防衛・少子高齢化のための財源を確保するため
もうひとつの理由は、防衛費や少子高齢化対策の財源を確保するためです。常々ニュース等で騒がれているので多くの方はご存じかと思いますが、2023年度から防衛費が増額しました。さらに2024年ごろから「異次元の少子化対策」の施策がスタートする見込みです。
防衛費は2023年 ~ 2027年で17兆円、異次元の少子化対策には毎年3兆5,000億円ほどの財源が必要とされています。防衛費のうち財源が決まっていない2兆6,000億円と、異次元の少子化対策の毎年3兆5,000億円は増税でまかなうほかないでしょう。おそらく今回の給与所得控除と退職金控除の見直しによって増えた税収が、これらの財源として充てられるとみられています。
国民はもう限界!給与所得控除の見直しによる増税への反応まとめ
給与所得控除の「見直し」とはいったものの、行われるのは結局のところ「増税」です。すでに度重なる物価の上昇で悲鳴を上げている国民の多くは、今回の答申に関する報道に怒りの反応を見せています。いくつか反応をピックアップしたので見ていきましょう。
反応①:退職金は納得できるが、給与所得控除の件は問題
退職金に関してはまぁ仕方ないかな、、控除額がどれくらい減らされるかにもよるけど、若者はそもそも終身雇用はきついし
問題は給与所得控除だろうな、、税金差し引いた給料が15万切ったら死人が出る
引用Twitter
「終身雇用の時代は終わり」とささやかれる現代で、退職金控除の見直しは仕方ないという意見です。しかし、それでも給与所得控除の見直しは大きな問題だと考えています。給与所得控除の見直しは毎月の手取りに影響するので、可処分所得が減るのは明らかです。ただでさえ国民の生活は苦しくなっているのに、根本的な手取りまで減らされたら国民は希望を持てるのでしょうか。
反応②:なぜ負担が大きい方に合わせようとするのか
「フリーランスに配慮して」サラリーマンの給与所得控除見直すんじゃなくて、フリーランスのインボイスをとりあえず取っ払ったらええやん。なんで両方マイナスに突っ込みに行くんや?
参考Twitter
今回の給与所得控除見直しの理由として、個人事業主・フリーランスとの格差が挙げられています。しかし、続く値上げラッシュで生活が苦しいのは皆同じ。「より厳しい基準」に合わせず「相対的に負担の少ない方」に合わせて、国民全員の負担を軽減すべきと考える人がいてもおかしくはありません。
反応③:いよいよ生活できなくなる
給与所得控除なくなったらいよいよ生活が危ぶまれるぞ
参考Twitter
昨今の「値上げ」「増税」が続く中、給与所得控除がなくなったらついに生活ができなくなるという声です。給与所得控除がなくなるだけで、年間手取りが数十万円減ってしまう可能性も示唆されています。生活の維持に危機感をおぼえるのも当然といえるでしょう。
参考【2023年】社会保険料がやばい!値上げの理由や対策、不動産投資への影響を解説
まとめ
まだ具体的な数値・割合等の情報は出てきていませんが、これから給与所得控除と退職金控除の制度にテコ入れがあるのはほぼ間違いないでしょう。もし給与所得控除が3%前後となる「サラリーマンにとって最悪のシナリオ」が来れば、手取りが数十万円単位で減ってしまうかもしれません。
今回の見直しの理由としては公平性の維持・雇用の流動性向上などが挙げられていますが、結局のところ行きつく先は「増税」です。もはや国民が給与収入だけで生活すること自体、少しずつ難しくなってくるでしょう。
給与収入で生活するサラリーマンは、将来のためになんらかの副収入を得る手段を作り始めておくべきです。当社はそのうちのひとつの手段として「不動産投資」を提案しています。リスクなどを加味し、中立の立場でしっかりとご提案しますので、将来への不安がある方はぜひ気軽にご相談ください。
この記事の執筆: 及川颯
プロフィール:不動産・副業・IT・買取など、幅広いジャンルを得意とする専業Webライター。大谷翔平と同じ岩手県奥州市出身。累計900本以上の執筆実績を誇り、大手クラウドソーシングサイトでは契約金額で個人ライターTOPを記録するなど、著しい活躍を見せる大人気ライター。元IT企業の営業マンという経歴から来るユーザー目線の執筆力と、綿密なリサーチ力に定評がある。保有資格はMOS Specialist、ビジネス英語検定など。
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