ワーケーションとはどんな制度?概要やメリット、不動産投資への影響を解説
- 更新:
- 2023/12/01

最近「ワーケーション」という言葉をよく聞くようになった、と感じている方が多いのではないでしょうか。ワーケーションは、時代に合った働き方・休み方のひとつとして近年注目されています。
今回は「ワーケーション」の概要から各方面へのメリットまで解説。また意外にもワーケーションは「不動産投資」と関係があります。そこで「ワーケーションが不動産投資に与える影響」についても見ていきましょう。「ワーケーション」について詳しく知っておきたい方はもちろん、投資のチャンスを逃したくない人は要チェックです。
- ワーケーションは「普段と違う場所で休暇を楽しみながら働くスタイル」
- ワーケーションのタイプは2種類
- 日本でワーケーションが推進されはじめている2つの背景
- ワーケーションは「企業・労働者・地域」にメリットがある
- 7つの県・自治体がワーケーション補助金を出している
- ワーケーションは不動産投資のチャンスを生む!
- まとめ
ワーケーションは「普段と違う場所で休暇を楽しみながら働くスタイル」
ワーケーションは「ワーク(仕事)」と「バケーション(休暇)」を組み合わせた造語です。ひとくちにワーケーションといっても複数の形がありますが、基本的には「普段と違う場所で休暇を楽しみながら働くスタイル」のことを指します。
参考観光庁
厚生労働省によれば、ワーケーションは「テレワーク」のひとつの形として認められた働き方です。企業・労働者はもちろん、地域にまでメリットがある働き方として注目されています。
参考厚生労働省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」
まずは「ワーケーション」の起源や、現在の日本における認知率について見ていきましょう。
生まれは2000年代のアメリカ
ワーケーションの起源は、パソコンやインターネットの技術が急速に発展した2000年代のアメリカです。アメリカでは当時、法律で年次有給休暇の取得権が保証されていませんでした。そこで福利厚生の一環として、長期休暇を取らせて旅行させるとともに、遠隔地から仕事をさせようと始まったのがワーケーションです。
当時のワーケーションは「休暇は取らせたいけど、仕事もやらせないわけにはいかない」というネガティブな意味が主でした。現在では「ワークライフバランス」を提唱する時代背景もあるせいか、徐々に「リフレッシュして生産性も上がるポジティブな取り組み」としてワーケーションが注目されてきています。
国内でも認知率が上がっている
ワーケーションは国内でも認知度が上がりつつあります。観光庁の調査によれば、企業・労働者いずれも認知度は8割を超えているとのことです。
しかし同調査によれば、実際に試したことがある労働者は4.3%にとどまりました。また実施している企業はそもそも11.7%しかありません。認知度が上がってはいるものの、まだ「浸透している」とは言い難い状況でしょう。とはいえ近年、数多くの大手企業が取り組みを始めていることもあり、制度としてワーケーションを導入する企業が徐々に増えてきそうです。
ワーケーションのタイプは2種類
ワーケーションには複数のタイプがありますが、大きく分けると下記の2種類に分類されます。
- 休暇型ワーケーション
- 業務型ワーケーション
それぞれ見ていきましょう。
休暇型ワーケーション
休暇型ワーケーションは、有給休暇での長期旅行をメインとしたスタイルです。たとえば「有給休暇でリゾート地に何泊かしたのち、同じリゾート地から数日間テレワークを行う」のが休暇型ワーケーションにあたります。
そのほか「一家総出でリゾート地に宿泊させて、業務時間中は仕事、ほかの家族は観光」といった特殊なワーケーションを導入している企業も。企業にとってコストのかかる方法ではあるものの、労働者のリフレッシュ効果は大きく生産性の向上も見込めるでしょう。
業務型ワーケーション
業務型ワーケーションは、合宿所やリゾート地など普段と違う場所で仕事をさせるスタイルです。有給休暇を取得させるわけではなく、あくまで「業務」のために行なわれるものが業務型ワーケーションにあたります。活用方法の例は下記のとおりです。
- リモートワーク社員を同じ場所に集結させる
- サテライトオフィスを設置する前のイメージづくりとして使う
- 普段と違う場所で業務をさせつつ、地方の企業との接点をつくる
業務が中心とはいえ、連泊中の休日や終業後の活動は自由とするスタイルが一般的です。リゾート地や観光地に社員を宿泊させれば、相応のリフレッシュ効果も見込めるでしょう。
日本でワーケーションが推進されはじめている2つの背景
日本でも徐々に浸透しつつあるワーケーションですが、観光庁や厚生労働省などが推進するのには下記2つの背景があります。
- 「働き方改革関連法案」の有給取得義務への対応
- コロナ禍によるテレワークの急速普及
それぞれ詳しく解説します。
「働き方改革関連法案」の有給取得義務への対応
最大の理由は、2018年7月6日に公布された「働き方改革関連法案」に含まれる、有給休暇の取得義務への対応です。同法案により、企業が労働者に年間5日の有給休暇を取得させるのが義務となりました(※)。
※週所定労働日数・年間出勤日数により義務でないこともあります。
そこで「休暇型ワーケーション」を取り入れれば、有給休暇をしっかりと5日以上取得させつつ社員のモチベーションを高められます。そのため、まずは大手企業が先立ってワーケーションを取り入れるよう、各省庁が推進しているわけです。
コロナ禍によるテレワークの急速普及
さきの新型コロナウイルスの影響により、テレワークが急速に普及したのも背景のひとつとして考えられます。リゾート地などで仕事をさせるワーケーションは、テレワークの活用を前提とした取り組みです。「テレワークのために業務型ワーケーションをさせる」というのは、ひとつの手段として理にかなっています。
また各省庁でワーケーションを推進する背景には、新型コロナウイルスで打撃を受けた観光業界への支援もあるといわれています。ワーケーションが広がれば必然的にリゾート地・観光地の需要が高まるため、観光業界もコロナ禍以前のように活性化されていくでしょう。
ワーケーションは「企業・労働者・地域」にメリットがある
ワーケーションは企業・労働者・地域の3方向にメリットがあります。それぞれ見ていきましょう。
企業にとってのワーケーションの4つのメリット
企業がワーケーションに取り組めば、主に下記4つのメリットに期待できます。
- 最低年間5日間の有給休暇取得を促進できる
- 人材を確保できる
- 社員定着率の向上が期待できる
- 生産性を向上させられる
働き方改革関連法案によって定められた「年間5日間の有給取得」の条件クリアは、ワーケーションの制度を導入すれば容易になります。また「福利厚生ワーケーションを推進している」というのは「働きやすさに配慮している」というイメージを与えるため、人材の確保や社員定着率の向上にも効果が期待できるでしょう。
また社員は普段のオフィスと違う環境に身を置くことでリフレッシュできます。生産性も向上し、今までにないアイデアやイノベーションが創出されるかもしれません。
労働者にとってのワーケーションの3つのメリット
労働者におけるワーケーションには、下記3つのメリットがあります。
- 働き方の選択肢が増加する
- リフレッシュできる
- いままで取れなかった長期休暇が取れる
今までの働き方に「テレワークを活用したワーケーション」の選択肢が増えます。毎日のオフィス勤務でストレスが溜まっている社員にとっては、大きなリフレッシュ効果が期待できるでしょう。また多くの会社では今まで「長期休暇」を取りづらい風潮がありましたが、ワーケーションを活用すれば堂々と1週間単位の休暇を取ることも実現可能になります。
地域にとってのワーケーションの3つのメリット
地域にとってもワーケーションによって、下記3つのメリット享受が期待できます。
- 平日に観光地・リゾート地を利用する人が増える
- 他の地域の企業とのかかわりが増える
- 使われていない土地・建物の活用が期待される
ワーケーションが浸透すれば、平日の観光地・リゾート地の利用者が増え地域の活性化につながります。他の地域の企業とのかかわりも増えるため、今までになかったアイデアから地域振興事業の糸口が見えてくるケースもあるでしょう。
また観光地・リゾート地周辺にある使われていない土地・建物を企業が買い上げたり、不動産投資家によって購入された空き家を企業が長期スパンで借りたり、といった効果も期待できます。土地・建物の活用により地価が上がり、世間から人気があると認知されて地域の活性化につながるかもしれません。
7つの県・自治体がワーケーション補助金を出している
2023年11月現在、全国7つの県・自治体がワーケーションに対する補助金を出しています。多くの県や自治体の狙いは、地元観光業の活性化や移住者誘致です。今回は7つの中から「北海道富良野市」と「鹿児島県」の補助金事例を紹介します。
ワーケーション補助金の例①:北海道富良野市
北海道富良野市では、ワーケーションを理由に市内の宿泊施設を利用した日本国内の企業や個人事業主に対し、1泊あたり3,000円 ~ 10,000円の宿泊費補助と、同じく1泊あたり2,500円のレンタカー利用料補助事業を行っています。
「素泊まりまたは朝食付きのプランのみ」「4泊以上の滞在が必要」など条件があるので、利用を検討する際は富良野市を参照しましょう。
参考富良野市『令和5年度「ワーケーション実証費用助成金」について』
ワーケーション補助金の例②:鹿児島県
鹿児島県では県内移住を考えている個人事業主や、県内の企業・団体との連携を検討している企業に対し、利用者1人あたり最大10万円(補助対象経費の2分の1以内)の補助金を交付しています。
2023年4月に始まったばかりの補助金事業ですが、この記事を執筆した同年11月15日には予算に達し、募集が終了していました。次年度も実施される可能性が高いので、気になる方はチェックしておきましょう。
参考鹿児島県「令和5年度かごしまワーケーション実施支援事業について」
ワーケーションは不動産投資のチャンスを生む!
ワーケーションには不動産投資のチャンスを生む可能性があるとして、一部の投資家から注目されています。その理由や立ち回り方について見ていきましょう。
「補助金適用エリアにある温泉街の付近」が穴場になることも
ワーケーションの影響で「補助金適用エリアにある温泉街の付近」のようなエリアの物件が穴場になることもあります。コロナ禍の影響で値段が下がっていて安価で購入できるにもかかわらず、ワーケーションの普及による需要の高まりで物件の価値が上がったり、安定した賃貸・宿泊需要が生まれたりするためです。
なかには「利回り50%オーバー」という、わずか2年ほどで投資金額を回収できるとんでもない穴場物件を見つけている投資家もいます。ワーケーション補助金が始まってこれから需要が高まるエリアの物件に先行投資すれば、一生モノのお宝物件に変わるかもしれません。
「ネット環境の整備」と「ターゲットの絞り込み」が重要なポイント
前提として、購入した物件はネット環境を整備したテレワークに適する空間にする必要があります。企業にネット回線を引く手間を考慮させてはいけません。短期の入居を検討する層の需要も失ってしまいます。
また「どの層のワーケーションにアプローチするか」もしっかりと考慮しておきましょう。たとえば個人向けなら1室で問題ありませんが、グループでのワーケーションを想定するなら「個別ルーム + 会議室」のような空間が理想です。周辺物件の利用状況などを徹底的にリサーチし、ニーズに合致した物件選びをするようにしてください。
「ワーケーション狙い」はまだ博打要素も!安全策ならやっぱり東京23区
ワーケーション需要を狙った不動産投資は非常に高い利回りが期待できる一方、下記のようなリスクも孕んでいます。
- 県・自治体の補助金撤退
- 企業のワーケーション制度廃止
予測できない上記のようなことが起きれば急激に物件の需要はなくなり、ほとんど収益を出さない「空き家」のような状態になってしまうかもしれません。特に初心者は撤退の判断を誤り、負債となり続ける物件を生んでしまう可能性が高いでしょう。
そのため不動産投資初心者は安易にリスキーな物件には手を出さず、空室発生の可能性が低く安定した利回りが期待できる「東京23区」や「大阪」のようなエリアを狙うのがおすすめです。当社では東京23区・大阪の優良物件情報を大量に掲載しておりますので、ぜひ無料会員登録してチェックしてみてください。
まとめ
ワーケーションは「普段と違う場所で休暇を楽しみながら働くスタイル」です。2018年から始まった「5日間の有給休暇取得義務」や、さきの新型コロナウイルスの蔓延によるテレワークの普及により、観光庁や厚生労働省を中心として推進され始めています。企業・労働者・地域の3方向へのメリットが期待できるため、大手を中心に導入する企業も増加中です。
「ワーケーションによる需要増」を狙った不動産投資もひとつの手段ではありますが、ある程度知識があり投資に慣れた方でないと非常にリスキーです。特に初心者は当社が扱うような東京23区や大阪など、高い安定性が期待できるエリアの物件をおすすめします。あなたの手取り増や将来への資産形成をしっかりとサポートいたしますので、不動産投資が気になる方はぜひ一度お気軽に当社へお問い合わせください。

この記事の執筆: 及川颯
プロフィール:不動産・副業・IT・買取など、幅広いジャンルを得意とする専業Webライター。大谷翔平と同じ岩手県奥州市出身。累計900本以上の執筆実績を誇り、大手クラウドソーシングサイトでは契約金額で個人ライターTOPを記録するなど、著しい活躍を見せる大人気ライター。元IT企業の営業マンという経歴から来るユーザー目線の執筆力と、綿密なリサーチ力に定評がある。保有資格はMOS Specialist、ビジネス英語検定など。
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