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ハザードマップのユニバーサルデザイン化とは?何が変わる?不動産投資への影響も解説

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2023年4月26日、国土交通省は「ハザードマップのユニバーサルデザイン化」に向けた取りまとめを発表しました。障がいのある方を含め誰にでも分かりやすく、生命を守るための活動につながる情報をまとめたハザードマップを目指しています。

ユニバーサルデザイン化の第一歩として発表されたのが、国土地理院が公開する「重ねるハザードマップ」の改良です。今回はハザードマップがユニバーサルデザイン化される背景や、重ねるハザードマップの変わるポイントを解説します。不動産投資への影響も解説するので、投資を検討中の方も、すでに物件を持っている方も要チェックです。

ハザードマップとは?

そもそもハザードマップとは、国民の生命を守るための情報をまとめて視覚化した地図のことです。下記のような情報が地図をベースにまとめられています。

  • 自然災害の被害予想地域と被害内容の予測
  • 地域別の避難場所・避難経路
  • 防災関係施設の位置

ハザードマップを見れば、自然災害で被害が発生する可能性が高い地域や、地域ごとの避難場所が分かります。なお、ハザードマップで確認できる災害の種類は下記のとおりです。

  • 洪水
  • 高潮
  • 内水
  • 地震
  • 津波
  • 土砂災害

後ほど詳しく解説しますが、不動産を売却する際には「洪水・内水・高潮」の3つのハザードマップについて、買主に詳しく説明する義務があります。まずはこのハザードマップがどこで見られるのか解説します。

ハザードマップは各市町村のホームページで見られる

ハザードマップは各市町村のホームページで公開されており、誰でも見られます。たとえば、下記は東京都千代田区の「洪水ハザードマップ」のうち、神田川周辺で想定される最大規模の浸水深を示したものです。

上図から千代田区を流れる「神田川」の周りは洪水・氾濫があった場合に、最大3m以上の浸水被害に遭う可能性があると分かります。また左下には災害の対策が記載してあり、洪水時には「頑強な2階以上の建物に避難したほうが良い」と分かるでしょう。

千代田区の場合は、もうひとつ「浸水継続時間」が分かる洪水ハザードマップと、高潮・土砂災害のハザードマップをそれぞれ用意しています。内水の被害予測については洪水ハザードマップに含まれており、個別では用意されていません。

なお全国的に整備されつつありますが、地域によってはまだ一部または全部のハザードマップが公開されていない場合もあります

参考液状化ハザードマップ作成の手引きを確認しよう!地震、洪水、大雨、自然災害と共にある日本のハザードマップ

国土地理院が公開する「重ねるハザードマップ」もある

国土地理院は、より各地域のハザードマップを調べやすくした「重ねるハザードマップ」というものを公開しています。重ねるハザードマップでは、住所検索で特定の地域をすぐに表示可能です。下記のような画面となっています。

上記は、先ほど「洪水ハザードマップ」を紹介した千代田区の神田川周辺地域。画面左側のバーで選択した災害のリスクがある地域を、地図上に色分けして表示します。広く塗られた薄いピンク・黄色は洪水、赤枠で囲った部分をはじめとする濃い赤・黄色は土砂災害の被害予想エリアです。

重ねるハザードマップは、複数の災害被害予測を地図でまとめて確認できる点で優れています。しかし地図上の特定地点をクリックしても下記のようにしか表示されないため、災害時に個人が何をしたら良いのか具体性がありません

そこで国土交通省は、より分かりやすい「生命を守るための情報」を国民に届けるために、ハザードマップの「ユニバーサルデザイン化」を推進しています。最初の取り組みとして、この「重ねるハザードマップ」の改良が発表されました

ハザードマップがユニバーサルデザイン化される理由

ハザードマップは2023年6月までを目標として、下記2つの課題解決を理由にユニバーサルデザイン化されます。

  • とるべき避難行動が分かりづらい
  • 障がいのある方が情報を確認できない

どちらもハザードマップの目的である「国民の生命を守るための情報を届ける」ために解決すべき課題です。それぞれ詳しく見ていきましょう。

理由①:とるべき避難行動が分かりづらい

ユニバーサルデザイン化の最大の理由は、とるべき具体的な避難行動が非常に分かりづらいからです。多くの市町村で公開するハザードマップは、災害の被害予測はある程度簡単に把握できるものの、具体的に何をすれば良いのかがすぐに分かりません。

国土交通省の調査でも、50%以上の人がハザードマップが役に立っていない理由として「自宅にとどまってよいか避難所に行く必要があるか分からない」と回答しています。

「誰にでも分かりやすく避難情報を伝える」ためには、住む場所をピンポイントに調べられる「重ねるハザードマップ」の改良が最善手といえるでしょう。

理由②:障がいのある方が情報を確認できない

もうひとつのユニバーサルデザイン化の大きな理由は、障がい者がハザードマップの情報を確認できないからです。特に視覚障がい者の場合、紙面やホームページ画面の地図・テキストだけでは、被害予測や避難に関する情報を得られないでしょう。国土交通省の調査によると、ホームページでハザードマップを公開する20市町村のうち10市町村が「障がいの特性に特別配慮していない」と回答しました。

すべての国民の生命を守るためには、もちろん障がい者でも理解できる情報を届ける必要があるでしょう。その第一歩として、まずは視覚障がい者でもハザードマップの情報が分かるよう「重ねるハザードマップ」に機能が追加されます。

ハザードマップのユニバーサルデザイン化で何が変わる?

国土交通省は市町村のハザードマップ改良に先立ち、国土地理院が公開する「重ねるハザードマップ」のユニバーサルデザイン化を発表しています。重ねるハザードマップの「変わるポイント」は下記の3つです。

  • 災害時にとるべき行動が色分けして詳細に表示される
  • 現在地検索が可能になる
  • 読み上げ機能が導入される

それぞれ詳しく見ていきましょう。

変わるポイント①:災害時にとるべき行動が色分けして詳細に表示される

もっとも大きく変わるのは、特定の地点をクリックした際に「災害時にとるべき行動」が色分けして詳細に表示される点。実際の表示イメージは下記のとおりです。

従来は洪水時の最大浸水深など「被害内容の予測」しか表示されませんでした。しかし改良後は、具体的な避難指示までまとめて確認できます。「この地域ではどんな災害が起きるリスクがあり、災害時にはどのように対応すれば良いのか」という点を、誰でも簡単に理解できるようになるでしょう。

変わるポイント②:現在地検索が可能になる

従来の重ねるハザードマップでは地図の縮小・拡大やドラッグ操作、もしくは住所検索により特定の地点を表示できました。改良後はGPS機能を活用した「現在地検索」が可能になり、ワンクリック・ワンタップで自宅付近を検索できます

大きな変化ではありませんが、わざわざ地図をドラッグして探したり、長い住所を入力したりせずに済みます。特に住み始めたばかりの自宅付近のハザードマップを確認しやすくなるでしょう。

変わるポイント③:読み上げ機能が導入される

視覚障がい者でも情報を確認できるよう、テキストの読み上げ機能が導入されます。あわせて全体的なレイアウトやテキスト情報が整備され、読み上げ機能によりハザードマップの全容がつかめるページ構成となる予定です。また表示されるテキストも、読み上げやすさを重視したシンプルな言葉遣いとなる予定で、障がい者に限らずさらに災害リスク情報を理解しやすくなるでしょう。

不動産取引時には水害ハザードマップの説明が義務!

2020年8月の法改正により、不動産取引をする際には、売主が買主に対し「水害ハザードマップ」について説明するのが義務化されました。ハザードマップのユニバーサルデザイン化により、より分かりやすく買主に災害リスク情報を伝えられるようになるでしょう。

自分が買主の立場となる場合は、分かりやすくなったハザードマップを確認し、リスクを回避した購買行動が可能です。この不動産取引時に必須となる水害ハザードマップの説明について詳しく解説します。

重要事項説明書への記載と図面を用いた説明が必要

不動産取引時には、重要事項説明書への水害ハザードマップに関する情報の記載と、実際の図面の添付が必要です。重要事項証明書には下記のように記載します。

添付する図面は、必ず各市町村が公開する最新のものを添付しなければいけません。もし該当の市町村でハザードマップを公開していない場合は「無」にチェックをつけます。ユニバーサルデザイン化された「重ねるハザードマップ」を使えばより分かりやすい説明が可能になると予想されますが、添付するのは各市町村が公開するハザードマップでなければいけないので注意しましょう。

不動産取引時に説明する3つの水害ハザードマップ

不動産取引時に説明・添付する必要があるのは、水防法に基づき作成された下記3つの水害ハザードマップと定められています。

ハザードマップの種類 概要
洪水ハザードマップ 堤防決壊により浸水が想定される範囲・被害程度を示したもの
内水ハザードマップ 大雨時に下水管・水路からの浸水が想定される範囲・被害程度を示したもの
高潮ハザードマップ 高潮による浸水範囲・被害程度を示したもの

勘違いしている人が多いですが「水害ハザードマップ」という名のハザードマップはなく、水害の種類別にハザードマップが作成されており、重要事項説明書にはこちらを個別に添付します。水害以外の「土砂災害」「地震」といった災害に関する情報を説明する義務はないため、買主となる際は改良された「重ねるハザードマップ」を使って、水害以外の情報も詳細にチェックしておきましょう。

ハザードマップのユニバーサルデザイン化は不動産投資にも影響する?

ハザードマップのユニバーサルデザイン化は、不動産投資にも影響を与えると予想されます。先行して発表された「重ねるハザードマップ」の改良により予想される不動産投資への影響は下記の3つです。

  • より水害リスクを判断しやすくなる
  • 地震・津波・土砂災害のリスクが分かりやすくなる
  • 保有物件が売れにくくなるリスクもある

それぞれ見ていきましょう。

不動産投資への影響①:より水害リスクを判断しやすくなる

改良後の重ねるハザードマップを見れば、より視覚的に水害リスクを判断しやすくなります。地図クリックで購入を検討する物件の周辺をチェックすれば「洪水の可能性があるからリスクが高い」「洪水のリスクはないが、内水被害に遭う可能性がある」などと容易に判断が可能です。複数にわたるハザードマップを個別にチェックしなくても、そもそもリスクの高いエリアに投資しない選択がとれるでしょう。

不動産投資への影響②:地震・津波・土砂災害のリスクが分かりやすくなる

重ねるハザードマップの改良により、地震や津波・土砂災害といった「説明が義務化されていない災害」のリスクが分かりやすくなります。これまでは分かりにくかった水害以外の想定被害が詳細に確認できるため、検討している物件の周辺をチェックすれば、水害以外のリスクも回避した安全な投資が可能になるでしょう。

参考不動産投資で地震のリスクを抑えるには?注意すべきポイントを徹底解説!

不動産投資への影響③:保有物件が売れにくくなるリスクもある

重ねるハザードマップの改良は、自分が売主ならデメリットとなる可能性があります。すでに持っている物件が地震・津波・土砂災害の被害予想エリア内だった場合、リスク回避のために購入をキャンセルされる可能性が高くなるからです。

自分が買主の場合に重ねるハザードマップをチェックしてリスク回避ができるというのは、相手が逆の立場の場合も同じ。保有物件が売れにくくなるリスクがあるので、できれば重ねるハザードマップの改良前に保有物件を調査し、対策を考えておきましょう

まとめ

ハザードマップとは、国民の生命を守るための情報を視覚化した地図です。水害をはじめとする自然災害の被害予想範囲や避難情報などがまとめられています。しかしハザードマップは「とるべき避難行動が分かりづらい」「障害のある方が情報を確認できない」といった理由から、ユニバーサルデザイン化が推進されています。

ユニバーサルデザイン化のはじめの施策として発表された「重ねるハザードマップ」の改良により、さらに詳しい水害リスクの情報はもちろん、地震・津波・土砂災害など水害以外リスクを回避した不動産投資が可能になるでしょう。ただし自分が売主の場合は、自分の物件のリスクを理解し、早期に対策するのが大切です。

当社では、しっかりと災害リスクを押さえて物件を紹介しています。「災害リスクが怖くて不動産投資に手を出せないでいる」という方は、ぜひ一度気軽にご相談ください。

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この記事の執筆: 及川颯

プロフィール:不動産・副業・IT・買取など、幅広いジャンルを得意とする専業Webライター。大谷翔平と同じ岩手県奥州市出身。累計900本以上の執筆実績を誇り、大手クラウドソーシングサイトでは契約金額で個人ライターTOPを記録するなど、著しい活躍を見せる大人気ライター。元IT企業の営業マンという経歴から来るユーザー目線の執筆力と、綿密なリサーチ力に定評がある。保有資格はMOS Specialist、ビジネス英語検定など。

ブログ等:はやてのブログ

この記事の監修: 不動産投資コンサルタント 釜田晃利

老舗不動産投資会社にて投資用区分マンションの営業マンとして約10年間従事したのち、2015年にストレイトライド株式会社にて不動産事業をスタートしました。現在は取締役として会社経営に携わりながら、コンサルタントとしてもお客様へ最適な投資プランの提案をしています。過去の経験と実績をもとに、お客様としっかりと向き合い、ご希望以上の提案が出来るよう心がけています。

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投資家目線で課題をヒアリングし、
中立の観点でアドバイスを行います。

不動産投資で成功するためのアドバイスですので、お客様のご状況によっては不動産投資をあきらめていただくようおすすめする場合もございます。あらかじめご了承ください。

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