2024年不動産投資市場動向の振り返り|2025年の展望は?今後の動向予想を解説
- 更新:
- 2025/05/11

2024年、日本の不動産投資市場は大きな転換点を迎えました。コロナ禍から回復した経済活動、継続する円安環境、海外からの活発な投資流入など、さまざまな要因が市場を活性化させています。
本記事では2024年の不動産投資市場を振り返り、2025年の見通しについても詳しく解説します。
2024年の不動産投資市場動向の総括:2023年比で全体的に大きく成長した1年
JLLの発表によると、2024年の日本における商業用不動産投資額は約5.48兆円に達し、前年比で63%増という大幅な成長を記録しました。この数字は2015年以来9年ぶりに5兆円を超える高水準です。
引用JLL速報値
第4四半期(10月〜12月)だけでも投資額は前年同期比166%増の約1.6兆円となっており、明らかな市場の勢いを示しています。
また、2024年は住宅不動産の価格も堅調に推移しました。とくにマンションの価格上昇が好調です。不動産価格指数を見ると、令和5年11月は194.1%のところ、令和6年11月には207.2%と13.1%もの上昇を見せました。これに引っ張られる形で、住宅総合の不動産価格指数も5.8%上昇しています。
首都圏を中心として全国的にタワーマンションの建設が進められており、国内外の投資家からのビッグマネーが流れ込んだことから、マンション価格の引き上げが起きたものと考えられます。
2024年はアメリカ・トランプ大統領の就任など世界経済の不安定感が高まる中で、「安全資産」としての日本不動産の価値が再評価された1年といえるでしょう。
2024年不動産投資市場動向の振り返り
ここからは物件タイプ別に2024年の市場動向を詳しく見ていきましょう。価格変動を中心に、それぞれの分野でどのような動きがあったのかを分析します。
「マンション」は2023年比で大きく不動産価格が上昇
国土交通省が発表した不動産価格指数によると、マンション(区分所有)の価格指数は大幅な上昇を示しました。戸建住宅や住宅地と比較しても、その伸び率は際立っています。
不動産タイプ | 2024年11月価格指数 | 前年同月比 |
---|---|---|
住宅総合 | 141.3 | +5.8% |
マンション(区分所有) | 207.2 | +13.1% |
戸建住宅 | 118.5 | +2.2% |
住宅地 | 116.8 | +1.8% |
参考国土交通省「不動産価格指数(令和6年11月・令和6年第3四半期分)」
考えられるマンション価格上昇の主な要因は以下の通りです。
- 建設コスト高騰による新規供給の減少
- 都心回帰の動きによる需要増加
- 安全資産としての分譲マンションへの投資需要拡大
地域別では三大都市圏のマンション価格が前期比2.2%上昇するなど、都市部の上昇が顕著となりました。
「戸建て」はほぼ横ばい。不動産価格は頭打ちか
戸建住宅市場は、マンション市場とは対照的に比較的落ち着いた動きを見せています。国土交通省の不動産価格指数によると、戸建住宅の価格指数は118.5%と前年同月比で約2.2%の上昇にとどまりました。
参考国土交通省「不動産価格指数(令和6年11月・令和6年第3四半期分)」
2024年に戸建市場が伸び悩んだ主な要因としては以下が挙げられます。
- 物価高騰による建築コスト増加
- 新築戸建ての着工数減少
- 住宅ローン金利の上昇による購入層の縮小
- 地方と都市部の市場二極化の進行
国土交通省の建築着工統計によれば、2024年の戸建住宅の着工戸数は前年比で3.4%減少しました。3年連続で着工数が減少している状況です。
新築のコスト増加も相まって中古戸建ての流通が活発化していますが、価格が大きく上昇するほどには至らなかったとみられます。
「オフィス」はコロナ禍で落ちた需要が回復傾向に転調
オフィス市場はコロナ禍からの回復が鮮明になってきており、空室率の低下と賃料の上昇が見られます。とくに以下のとおり、東京都心部では回復の動きが顕著です。
指標 | 2024年2月 | 2025年2月 | 変化率 |
---|---|---|---|
平均空室率 | 5.86% | 3.94% | -1.92% |
平均賃料 | 19,776円/坪 | 20,481円/坪 | +3.6% |
オフィス需要が大きく回復した要因としては以下が考えられます。
- 企業の「出社回帰」の動きの強まり
- 大手企業の新築ビルへの移転・増設の活発化
- 能登地震を受け、BCP対策としての高品質オフィス確保の動き
2026年までは新規供給が比較的抑えられるため、需給バランスを保ったまま、空室率の減少・平均賃料の上昇傾向は続く可能性が高いです。なお、最新オフィス市場動向については下記の記事で詳しくまとめているので、気になる方は参考にしてください。
参考都心部のオフィス需要が回復傾向に!今後の見通しや不動産投資戦略を解説
「商業施設」は東京・大阪・福岡中心に賃料が上昇傾向
CBREのレポートによると、2024年第4四半期の商業施設市場は賃料の上昇傾向が続いています。全国10エリア中6エリアで平均賃料が前期から上昇し、特に銀座は対前期比6.5%増と大きな伸びを示しました。賃料上昇が顕著なエリアは以下のとおりです。
- 東京・銀座:プライム賃料450,000円/坪(調査開始以来最高値)
- 東京・表参道・原宿:プライム賃料380,000円/坪(調査開始以来最高値)
- 大阪・心斎橋:コロナ禍前の水準を上回る回復
- 福岡・天神:平均賃料前期比6.0%上昇(調査開始以来最高値)
※プライム賃料:市場におけるもっとも高い賃料のこと
商業施設市場を牽引しているのはファッション関連の出店。とくに時計・メガネのリテーラーや、ラグジュアリーブランド、アウトドア・スポーツの大型出店が目立ちます。また、インバウンド需要の回復も商業施設市場にプラスの影響を与えている状況です。とりわけ、大阪・関西万博を控えた関西エリアでは、今後も賃料上昇が続くと見込まれています。
参考CBRE「MARKETVIEW|JAPAN RETAIL|2024年第4四半期」
その他、インバウンド需要で「ホテル」も大きな伸びを見せる
JLLによれば、2024年の日本のホテル投資額は7,600億円と、統計史上最高額を記録しています。
参考JLL「Global Hotel Investment Outlook 2025」
このホテル需要を裏付けるのが、2024年の訪日外国人観光客の急増です。観光庁の資料によると、2023年の訪日外国人旅行消費額のうち、「宿泊費」の総額は18,345億円。2024年には、この宿泊費が約1.5倍の27,331億円まで増加しました。
2025年には大阪万博も控えており、しばらくはホテル市場の成長が見込めそうです。なお、最新のインバウンド需要動向は下記の記事で詳しくまとめています。
参考インバウンド需要が過去最高に!2025年の見通しは?不動産市場への影響も解説
海外投資家による資金流入は「ホテル・オフィス・物流施設」を中心に伸び
2024年は海外投資家の日本不動産市場への積極的な回帰が見られました。第4四半期のみのデータですが、投資総額は6,090億円と、2023年の同期比で233%まで増加しています。国内外の投資家全体を見たとき、オフィス・物流施設・ホテルの投資額が大きく伸びていることから、海外投資家の資金もこれらに多く流入したものとみられるでしょう。
ロシア・ウクライナ問題やイスラエル・パレスチナ問題をはじめ、世界的な地政学リスクが高まる中、「安全資産」として日本の不動産が再注目されています。
2025年不動産投資市場はどうなる?今後の動向予想
2024年に大きく成長した日本の不動産投資市場ですが、2025年はどのような展開が予想されるでしょうか。市場の変化や物件タイプごとの、2025年の見通しを解説します。
米国トランプ政権発足で揺れ動く世界市場、安定的な日本への投資が引き続き注目
2024年11月の米国大統領選挙でトランプ氏が勝利しました。2025年1月のトランプ政権発足は、世界の経済・金融環境に大きな影響を与えています。「米国第一主義」の政策による貿易摩擦と、それによる市場の大変動が予想される中、相対的に安定性の高い日本への投資が注目されています。
依然として円安の傾向も続いており、しばらくは海外投資家による日本への積極的なビッグマネー流入は続きそうです。ただし、トランプ氏の一声で状況が大きく変わるリスクもあることから、今後の動向を注視する必要があるでしょう。
「日銀による政策金利上昇」の影響はまだ限定的な予想、2026年ごろから本格化か
日本銀行は2024年に段階的な金融政策の正常化を進め、2023年12月の0.1%から0.25%、2024年7月には0.5%へと政策金利を引き上げてきました。市場では2025年中に政策金利が0.75%程度まで上昇し、2026年初頭には1%に達するとの見方が強まっています。
投資家の心理的にも、「1%」を超えるまでは投資への影響はさほど大きくないと考えられるでしょう。しかし、これが1%を超えてくると「買い控え」の動きが徐々に始まる予想です。2025年の間は影響が小さいものの、2026年に入って金利水準が上がったタイミングで、不動産価格の下落傾向がみられるかもしれません。
インバウンド需要の高まりで「ホテル投資」はまだまだ伸びそう
2025年は大阪・関西万博の開催年であり、訪日外国人観光客数は更なる増加が見込まれています。JTBの予測によれば、2025年の訪日外国人旅行者数は4,020万人(前年比108.9%、2019年比126.1%)に達する見通しです。リゾート地や地方の観光拠点はもちろん、大阪万博が開催される関西エリアのホテルは市場はまだまだ需要が伸びる可能性があります。
また、円安の継続も外国人観光客にとって日本旅行の魅力を高める要因となっており、インバウンド消費はさらに拡大する予想です。これを見込んだホテルへの投資は、2025年も引き続き活発に行われるでしょう。
オフィスは新規供給が一時減、手を出すなら今か
コリアーズ社のレポートによると、東京主要5区のグレードA(※)オフィスの新規供給は2026年にいったん減少したあと、2027年以降に再び増加する見込みであることがわかります。
※CBREでは以下に該当するビルを「グレードA」として定義しています。
- 貸室総面積が6,500坪以上
- 延床面積10,000坪以上
- 基準階床面積350坪(東京は500坪)以上
- 築年数がおおむね15年未満
とくに東京駅周辺や日本橋エリアでは大規模な再開発プロジェクトが計画されており、これらの竣工が2027年以降の供給増につながると考えられます。
短期的には空室率の低下傾向が続くと予想されるため、オフィス投資を検討するなら2025年から2026年前半がタイミングとして適しているかもしれません。ただし、2027年以降は大量供給の影響で空室率が一時的に上昇するリスクもあります。とくに築年数の古い年季の入ったオフィスは敬遠される傾向があるため、なるべく築浅で好印象・かつアクセスのよい物件選びがポイントです。
「省エネ基準適合義務化」により中古戸建て/マンション需要が高まる見込み
2025年4月から「新築住宅の省エネ基準適合」が義務化されました。これにより新築住宅の建築コストが上昇し、価格高騰が避けられない状況です。この影響で、相対的に価格が安くなる中古物件への関心が高まると予想されます。
とくに都心部の中古マンションは、新築との価格差が広がることで投資対象としての魅力が増すでしょう。立地の良い中古物件を購入し、必要に応じて省エネリフォームを施すことで、相場よりも高い利回りで運用できる可能性が高いです。
当社でも「省エネ基準適合義務化」の動向を追っておりますので、この制度に乗じた投資戦略のアドバイスが可能です。お気軽に無料相談をご利用ください。
東京・大阪など都市圏の商業施設誘致が加速、賃貸需要や不動産価格も伸びる可能性大
インバウンド需要の回復・増加を背景に、都市圏に大規模な商業施設が誘致されるケースが増えています。2025年3月21日に開業した、グラングリーン大阪南館の複合施設がその一例です。とくに安定的なインバウンド需要がある東京や、大阪万博を控えた大阪・福岡では、2025年も商業施設への投資拡大が見込まれるでしょう。
商業施設が増えれば、必然的に従業員の住まいとなる賃貸物件の需要も高まります。安定した家賃収入、そして将来の売却益が期待できるマンションに投資するのも一考の価値ありです。
「ちょっと気になるけど、どこに手を出すべきか迷っていて踏み出せない」という人は、お気軽に当社の無料相談をご利用ください。ただ優良な物件を勧めるだけでなく、あくまで「投資家」の目線から、中立的なアドバイスをいたします。
まとめ
2024年の日本不動産投資市場は、商業・住宅ともに大きく成長しました。とくに「ホテル」「オフィス」市場の回復が激しく、海外投資家からの資金流入が著しく増加しています。また建築コスト増加や首都圏を中心としたタワマン建設などの要因もあってか、マンションの不動産価格も前年比13.1%と大きく上昇しました。
2025年は「トランプ政権の影響」など不確実性の高い要素こそあるものの、インバウンド需要の増加などを背景に、不動産市場は全体的に成長傾向が継続する見込みです。とくに大阪万博を控える大阪や、安定的なインバウンド需要がある東京は、引き続き投資価値が高い状態を維持するでしょう。
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この記事の執筆: 及川颯
プロフィール:不動産・副業・IT・買取など、幅広いジャンルを得意とする専業Webライター。大谷翔平と同じ岩手県奥州市出身。累計900本以上の執筆実績を誇り、大手クラウドソーシングサイトでは契約金額で個人ライターTOPを記録するなど、著しい活躍を見せる大人気ライター。元IT企業の営業マンという経歴から来るユーザー目線の執筆力と、綿密なリサーチ力に定評がある。保有資格はMOS Specialist、ビジネス英語検定など。
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