市街化区域と市街化調整区域の違いは?それぞれのメリット・デメリットを徹底解説
- 更新:
- 2023/12/13
「市街化区域と市街化調整区域の違いが知りたい」「それぞれのメリット・デメリットは何?」
この記事では上記のようなお悩みを解決します。住むにも投資のために購入するにも、市街化調整区域には大きなデメリットがあるため注意が必要です。市街化区域と市街化調整区域の違いを知らないと、将来の資産価値がほとんどなくなってしまう土地や建物を購入してしまうかもしれません。
そこで今回は市街化区域と市街化調整区域の違いから、それぞれのメリット・デメリットを徹底解説。また不動産投資をメインに扱う当社の視点から「市街化調整区域への不動産投資はアリなのか」という点についても解説します。これから家を買う方、不動産投資を始めたい方は必見です。
- 市街化区域と市街化調整区域の違いとは?
- 市街化区域と市街化調整区域の調べ方
- 市街化区域のメリット・デメリット
- 市街化調整区域のメリット・デメリット
- 市街化調整区域への不動産投資はアリ?
- 不動産投資は市街化区域で始めよう!
- まとめ
市街化区域と市街化調整区域の違いとは?
「市街化区域」と「市街化調整区域」は、似た名称ですがまったく異なるものです。都市計画法第7条により、それぞれの区域が明確に区別されています。
ざっくりいうと、市街化区域は「優先的・計画的に市街化していく区域」のこと。市街化調整区域は「市街化を抑制していく区域」のことです。詳しい「市街化区域」と「市街化調整区域」の違いについて見ていきましょう。
市街化区域:すでに街・もしくは10年以内に街にするエリア
市街化区域とは、優先的・計画的に市街化していく区域のこと。より具体的にいうと、「すでに街であるか、もしくは10年以内に街にするエリア」が市街化区域です。市街化区域は下記13種類の「用途地域」に分類されています。
用途地域の種類 | 建てられる建物の例 |
---|---|
第一種低層住居専用地域 | 10 ~ 12mまでの低層住宅 |
第二種低層住居専用地域 | 低層住宅や小規模なコンビニ・飲食店 |
第一種中高層住居専用地域 | 2階建て以内で床面積が500㎡以下の店舗・教育施設・病院 |
第二種中高層住居専用地域 | 2階建て以内で床面積1,500㎡以下の店舗・事務所 |
第一種住居地域 | 床面積3,000㎡までの店舗・事務所・ホテル |
第二種住居地域 | 床面積10,000㎡以下の遊戯施設 |
準住居地域 | 車庫・倉庫・自動車修理工場 |
田園住居地域 | 住宅・高校までの教育施設・図書館・病院 |
近隣商業地域 | 店舗・事務所・映画館(床面積の制限なし) |
商業地域 | 百貨店などの大規模店舗・風俗施設 |
準工業地域 | 小 ~ 中規模工場や工場関連施設 |
準工業地域 | 小 ~ 中規模工場や工場関連施設 住宅・教育施設・娯楽施設も建設可能 |
工業地域 | 規模を問わない工場 住宅・店舗も建設可能 |
工業専用地域 | 工場のみ |
13の用途地域に共通するのは「制限なくなんらかの建物が建てられる」ということ。計画的に市街化を進めるために、市街化区域とその用途地域がしっかりと定められています。なお用途地域については下記の記事で詳しく解説しているので、気になる方は読んでみてください。
参考【2023】13種類の用途地域とは?概要と具体的なイメージを徹底解説!
市街化調整区域:街にする予定のない農地・森林などのエリア
市街化調整区域は、市街化を抑制していく区域のこと。具体的にいうと、街にする予定のない農地や森林などのエリアが市街化調整区域にあたります。街にする予定がないため、原則として住宅・商業施設を建てるなどの開発行為は禁止です。
ただし完全に禁止となっているわけではなく、自治体に申請し許可が下りれば住宅などを建設できる場合があります。市街化調整区域に建物を建てたいなら、建設基準を示した都市計画法第34条の内容を踏まえつつ、自治体と相談しましょう。
【関連】都市計画区域:都市計画によって定められたエリア
市街化区域や市街化調整区域とあわせて、ぜひ「都市計画区域」についても押さえておきましょう。都市計画区域とは、都市計画法に基づき都道府県知事や国土交通大臣によって定められたエリアのことです。そして、この都市計画区域を細かく分けたものが市街化区域・市街化調整区域となっています。
ちなみに都市計画区域には市街化区域や市街化調整区域のほかに、「非線引き区域」というエリアも存在します。これは市街化区域と市街化調整区域の中間のような存在で、「将来市街化するかもしれないエリア」を指すものです。
非線引き区域にも用途地域が設定されているケースがありますが、積極的に開発を進めるわけではありません。そのため扱いとしては市街化調整区域に近くなります。
市街化区域と市街化調整区域の調べ方
市街化区域と市街化調整区域の調べ方は、下記のように調べたい範囲によって異なります。
- 特定の物件について調べたいとき
- 特定の区域について調べたいとき
それぞれ見ていきましょう。
特定の物件について調べたいとき
購入を検討している特定の物件について調べたいときには、その物件の資料に書かれている「用途地域」の項目を確認してください。用途地域が設定されていれば市街化区域で、「市街化調整区域」と記載されていれば文字通り市街化調整区域です。
特定の区域について調べたいとき
特定の区域について調べたいときには、その区域を管轄する市町村の「都市計画課」に問い合わせてみてください。ほとんどの自治体で、都市計画課の担当者が市街化区域かそうでないかすぐに教えてくれます。
なお市町村によっては、「都市計画図」を自治体の公式サイトで公開しています。都市計画図でも市街化区域・市街化調整区域を確認できるので、まずは自治体の公式サイトで公開していないか確認してみると良いでしょう。
市街化区域のメリット・デメリット
市街化区域の土地・建物を購入したり、住んだりするメリット・デメリットをそれぞれ解説します。
市街化区域のメリット
市街化区域のメリットは下記の3つです。
- 住宅が自由に建てられる
- 生活の利便性が高い
- 将来売却しやすい
用途地域によっては制限がありますが、市街化区域なら住宅が自由に建てられます。スーパーなどの商業施設も充実しており、生活で不便することは少ないでしょう。
積極的な開発により地価・物件価値の相場も維持・向上されやすく、資産価値が維持しやすいのもポイントです。将来、万が一土地や建物を手放したくなった時に、売却先が見つからないリスクも低く済みます。
市街化区域のデメリット
市街化区域のデメリットは、下記2つの理由で市街化調整区域よりもお金がかかることです。
- 都市計画税がかかる
- 土地や建物の価格が高め
市街化区域に住宅を持っていると、固定資産税評価額の0.3%にあたる都市計画税がかかります(※)。さらに市街化区域は利便性の高さから需要があるため、根本的な土地や建物の価格も高めです。「費用を抑えること」を最優先に考えるなら、市街化調整区域に手を出すのもひとつの選択肢でしょう。
※土地部分のみ軽減特例があります。
市街化調整区域のメリット・デメリット
反対に市街化調整区域の土地・建物を購入したり、住んだりするメリット・デメリットについて見ていきましょう。
市街化調整区域のメリット
市街化調整区域のメリットは下記の2つです。
- 土地・建物の価格が安い
- 隣人トラブルのリスクがほとんどない
市街化調整区域は開発が抑制されているので、地価や物件価格の相場は下落傾向にあります。そのため土地・建物いずれも安く購入することが可能です。また、そもそも近隣に人がほとんど住んでいないケースが多く、隣人トラブルのリスクもほとんどありません。
市街化調整区域のデメリット
市街化調整区域のデメリットは下記の3つです。
- 建て替えや増築ができない可能性がある
- インフラが整備されない可能性がある
- 資産価値が低くなりやすい
市街化調整区域は開発行為が制限されるため、建物が老朽化しても建て替え・増築ができない可能性があります。インフラ整備の優先度が低い区域として指定されるため、電気やガスなどのライフラインが通っていない可能性もあり注意が必要です。
また今後の開発が見込めないことから、ほとんどの市街化調整区域の地価や物件価格の相場は大きく下がっていきます。購入した土地や物件の資産価値も低くなりやすいため、実質的に損をするのはほぼ間違いないでしょう。さらに将来もし手放したくなっても、需要がなく売却先を見つけるのに苦労するかもしれません。
市街化調整区域への不動産投資はアリ?
結論からいうと、市街化調整区域への不動産投資は基本的におすすめしません。その理由や一部のおすすめな人、市街化調整区域の活用方法について見ていきましょう。
エリアの成長が見込めないため資産価値は落ちる一方
市街化区域は開発行為が制限されているため、新たな住宅や商業施設などエリアを発展させる建物が建つことはほとんどありません。そのためエリアの成長は見込めず、もし物件を購入しても資産価値は落ちる一方となるでしょう。
また資産価値が落ちた格安物件ですら、まったく需要がないと売却も難しくなります。基本となる家賃収入も安定して得られず、出口戦略も立てづらい市街化調整区域に手を出すのはあまりおすすめしません。
極小の元手で始めたいならアリ
「とにかく費用を抑えて、不動産投資にチャレンジしてみたい」という方であれば、市街化調整区域の物件を購入してみるのもひとつの手でしょう。市街化調整区域の物件なら、土地込みで数百万円から購入できる場合があります。
まれに市街化調整区域にもかかわらず一定の賃貸需要があるエリアも存在するので、しっかりリサーチしてニーズを押さえられれば思わぬお宝物件にもなり得ます。ただし失敗する確率は非常に高く、元手が小さく済むとはいえ損失を出すケースがほとんどでしょう。
市街化調整区域なら「土地だけ買って太陽光発電投資」がおすすめ
市街化調整区域で低リスクな投資を始めたいなら、「土地だけを購入し、太陽光発電設備を設置する」方法がおすすめです。太陽光発電設備の設置は開発行為にあたらないため、市街化調整区域で行っても問題ありません。日当たりの良い更地に設置できれば、安定した売電収入を得られるでしょう。
ただし太陽光発電設備で発電した電気を定額で買い取る「FIT制度」の買取価格は、年々下がってきています。平成24年時点で34円/kWhだったFIT価格は、令和5年の時点で16円/kWhです。一度も上がったことはなく、太陽光発電の普及に伴いこれからも下がり続けるとみられます。
参考資源エネルギー庁
FIT制度が突然なくなるのは考えづらいですが、買取価格が下がり続けるのはほぼ間違いありません。不確定要素が大きいため、下手に手を出すよりは市街化区域で普通に不動産投資をしたほうが良いでしょう。
不動産投資は市街化区域で始めよう!
やはり不動産投資は市街化区域の物件を狙うのが正攻法です。その理由やおすすめの物件を見ていきましょう。
家賃の安定性・売却のしやすさが魅力
市街化区域の物件は、やはり家賃の安定性や売却のしやすさが魅力です。市街化調整区域とは異なり常に賃貸需要があるエリアが多いため、空室発生のリスクは低く安定した家賃収入に期待できます。万が一空室が発生しても、短期間で次の入居者が見つかるケースが大半です。
また安定した市街化区域の物件であれば、欲しがる他の投資家も多くなります。手放したくなったときにも売却先は見つかりやすく、出口戦略に頭を悩ませることは少ないでしょう。
初心者は中古区分マンションからのスタートがおすすめ
不動産投資初心者は、市街化区域の物件の中でも「中古区分マンション」から始めるのをおすすめします。中古区分マンションがおすすめな理由は下記のとおりです。
- 価格が安く手を出しやすい
- ニーズが高い
- 手間がほとんどかからない
中古区分マンションは安いものだと1,000万円以下で購入可能。数千万円するような一戸建て物件やアパートと比較し、圧倒的に手を出しやすいのがポイントです。もちろんローンを使って購入できるので、最小限の負担で始められます。
また区分マンションはワンルーム・1K前後の物件が多いですが、この間取りは単独世帯(1人暮らし)から非常に好まれます。単独世帯数は右肩上がりに増えており、すなわち区分マンションのニーズが高いと分かるでしょう。
さらに中古区分マンションの管理・賃貸募集はほとんど不動産会社に任せられるため、忙しいサラリーマンの方でも負担なく運用可能です。当社では東京23区や大阪など、特に単独世帯が増えており需要の高い物件を多数取り扱っています。興味のある方は、当サイトに無料会員登録して非公開の優良物件情報をチェックしてみましょう。
まとめ
13の用途地域のいずれが設定されているかによっても変わりますが、市街化区域は基本的に住宅や商業施設を建てるような開発行為が可能です。それに対して、市街化調整区域は自治体の許可なしにはほとんどの開発行為ができません。
市街化調整区域の土地や建物は安く手に入るのが最大のメリットではあるものの、利便性の低さや資産価値の維持しにくさが大きなデメリットです。これから住んだり不動産投資したりするなら、市街化区域の物件購入をおすすめします。
当社では市街化区域の中でも特に需要の高い「東京23区」「大阪」の物件を中心にご紹介できます。当社ならあなたの増やしたい手取りや、将来の資産形成計画に合った最適なご提案が可能です。ぜひ一度お気軽にご相談ください。
この記事の執筆: 及川颯
プロフィール:不動産・副業・IT・買取など、幅広いジャンルを得意とする専業Webライター。大谷翔平と同じ岩手県奥州市出身。累計900本以上の執筆実績を誇り、大手クラウドソーシングサイトでは契約金額で個人ライターTOPを記録するなど、著しい活躍を見せる大人気ライター。元IT企業の営業マンという経歴から来るユーザー目線の執筆力と、綿密なリサーチ力に定評がある。保有資格はMOS Specialist、ビジネス英語検定など。
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